※本記事は、プレシジョン・システム・サイエンス株式会社 の有価証券報告書(2025年6月期、2024年7月1日 ~ 2025年6月30日、2025年9月29日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
プレシジョン・システム・サイエンスは、バイオ関連業界でラボ自動化や臨床検査用の各種装置、試薬、消耗品類の開発・製造販売を手掛けています。業界大手のグローバル企業とのODM販売を中心に、日本国内や欧米子会社を通じてワールドワイドに事業を展開しています。
単体従業員数は89名、連結従業員数は151名です。同社グループの事業は、装置、試薬・消耗品、メンテナンス関連、受託製造・受託検査の4つの製品区分で構成されています。
主な国内グループ会社は、エヌピーエスなどです。
同社グループは、事業再編を進めており、ユニバーサル・バイオ・リサーチの株式譲渡やPrecision System Science USAの解散、エヌピーエスからの事業継承、およびエヌピーエスの持分法適用関連会社化を予定しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
プレシジョン・システム・サイエンスは、ヘルスケア分野での社会貢献を目指し、多様な人材の確保と育成に力を入れています。社員一人ひとりが専門性を高め、自律的に行動できるような環境づくりを重視している会社です。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は、平均年齢が比較的高く、平均勤続年数も一定の水準にあることから、社員が長く働き続ける傾向が見られます。多様な経験を持つ人材が活躍できる環境が整っていると考えられます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 6,011,000円 |
| 平均勤続年数 | 9.3年 |
| 平均年齢 | 46.5歳 |
| 単体従業員数 | 89人 |
| 連結従業員数 | 151人 |
| 単体のグループ内比率 | 58.9% |
同社および一部の連結子会社は確定拠出制度を採用しています。
なお、退職一時金の有無や支給条件、従業員ごとの会社拠出額などは、有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、「誰にでも使いやすく高精度な検査システムの提供を通じた病気の早期発見と予防に貢献する」という企業理念のもと、事業活動を通じて社会課題に取り組んでいます。人種・国籍・宗教・性別・年齢などに関わらず、多様な人材を確保、育成、登用していくことが、SDGsの実現と中長期的な企業価値向上につながると考えています。
「多様性を活かし、価値を引き上げられる人」「組織を鼓舞し、動かす人」「プロフェッショナルとして極める努力をする人」「自律的に行動する人」を求める人材像として掲げています。人材マネジメントポリシーとして、会社の理念や方針に共感し、プロ意識を持ち未知の領域に挑戦する人を採用し、個々の専門性向上をサポートする育成を行います。
報酬については、会社の成長への貢献と自身の専門性の向上に対して処遇を行い、役割に応じた安心して仕事ができる水準を目指しています。また、基本的人権を保護し、差別やハラスメント行為を排除することで、多様な人材が能力を最大限に発揮できる健全な職場環境の整備を推進しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、提出会社単体のデータを示します。男女賃金差異は、女性活躍推進法に基づく公表義務の対象項目として選択しておらず、公表されていません。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 22.2% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
多様性・登用
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性の管理職の人数 | 10人 |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
プレシジョン・システム・サイエンスは、バイオ関連業界において、ラボ自動化や臨床検査用の各種装置、それらに使用される試薬や反応容器などの消耗品類の開発、製造、販売を手がけています。同社グループは、ODM販売(Original Design Manufacturing)を中心に事業を展開しており、日本国内および欧米の子会社を通じた自社販売も行っています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループの事業は、主にバイオ関連業界向けの自動化システムインテグレーションサービスを単一セグメントとしています。収益は、核酸自動抽出装置を中心としたラボ向け自動化装置や臨床診断分野向け装置の「装置」販売、装置の使用に伴い消費される核酸抽出試薬やPCR検査用試薬、反応容器などの「試薬・消耗品」販売から得ています。また、装置メンテナンスやスペアパーツ販売を行う「メンテナンス関連」と、子会社による外部からの「受託製造・受託検査」も収益源となっています。
直近の連結会計年度では、臨床診断装置の販売が堅調に推移し、装置の売上が増加しました。これに伴い、核酸抽出試薬や関連消耗品、メンテナンス関連製品の売上も伸長しています。特に「メンテナンス関連」の売上は大きく増加し、「装置」および「試薬・消耗品」も堅調な伸びを見せました。一方で、「受託製造・受託検査」の売上は減少しています。
同社グループは、特定の顧客への売上集中が見られます。特にELITech Group S.p.Aへの売上が全体の過半数を占めており、PHC株式会社も主要な顧客の一つです。地域別では欧州での売上が最も大きく、日本、北米、その他の地域がこれに続いています。これは、グローバル企業との提携によるODM販売が事業の柱となっていることを示しています。
また、同社グループは事業再編を進めており、連結子会社エヌピーエス株式会社の合弁化や、糖鎖解析に注目した新規事業として糖鎖プロファイリングシステム「LuBEA-Ⅷ」の販売を開始するなど、収益構造の強化とコスト抑制に取り組んでいます。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの売上高は、過去5期において変動が見られます。2021年6月期をピークに減少傾向が続いていましたが、直近の2025年6月期には増加に転じました。経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益は、2023年6月期から損失が続いていますが、2025年6月期には損失幅が大幅に縮小しています。
営業活動によるキャッシュ・フローは、2024年6月期には減少していましたが、2025年6月期には増加に転じました。これは、事業構造改善費用や損害賠償金の支払いといった資金減少要因があったものの、減価償却費や棚卸資産の減少などにより資金が増加したためです。
| 項目 | 2021年6月期 | 2022年6月期 | 2023年6月期 | 2024年6月期 | 2025年6月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 93.0億円 | 74.3億円 | 52.8億円 | 39.8億円 | 46.9億円 |
| 経常利益 | 7.7億円 | 1.8億円 | △11.4億円 | △10.1億円 | △1.4億円 |
| 経常利益率 | 8.3% | 2.4% | △21.6% | △25.4% | △3.0% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 8.0億円 | 45百万円 | △13.2億円 | △11.2億円 | △2.5億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 29.25 | 1.64 | △47.93 | △40.59 | △9.21 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高は、前期から増加しています。また、従業員1人あたり営業利益は、前期に比べて損失幅が縮小しており、生産性が改善傾向にあることを示しています。これは、売上高の増加に加え、海外連結子会社や合弁会社の解散を含む事業再編と費用抑制策が奏功し、販売費及び一般管理費が減少したことが影響していると考えられます。
| 指標 | 2024年6月期(前期) | 2025年6月期(当期) |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 25.2百万円 | 31.1百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | △6.1百万円 | △0.8百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
プレシジョン・システム・サイエンスグループの財務状況は、事業再生フェーズにあり、利益確保の基盤を整えつつある段階を示しています。本業のキャッシュフローはプラスに転じており、資金の流れは改善傾向にあります。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
プレシジョン・システム・サイエンスグループの財務基盤を見ると、自己資本比率は76.2%となっており、前期の64.8%から上昇しています。これはプライム市場の平均と比較しても高い水準にあります。一方で、ROE(自己資本利益率)は△6.4%とマイナスであり、収益性の改善が課題となっています。手元資金である現金及び預金は当期末で10.4億円となり、前期の19.2億円から減少しています。これらの状況は、同社グループが財務の健全性を保ちつつも、収益力の向上と資金の効率的な運用に取り組んでいる段階であることを示しています。
| 指標 | 2024年6月期(前期) | 2025年6月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 41.4億円 | 37.6億円 |
| 自己資本比率 | 64.8% | 76.2% |
| ROE(自己資本利益率) | - | △6.4% |
| 現金及び預金 | 19.2億円 | 10.4億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
プレシジョン・システム・サイエンスグループのキャッシュフローを見ると、営業活動によるキャッシュフローは前期のマイナスから当期はプラスに転換し、96百万円の増加となりました。これは、減価償却費や棚卸資産の減少などにより資金が増加した一方で、事業構造改善費用や損害賠償金の支払いによる資金減少があったためです。投資活動によるキャッシュフローは、前期の国庫補助金による収入から当期は△8百万円の減少となり、有形固定資産の取得などが行われています。財務活動によるキャッシュフローは、長期借入金の返済や自己株式の取得などにより△9.1億円の減少となりました。
これらの結果、フリーキャッシュフローはプラスを維持していますが、前期と比較すると減少しています。本業での資金創出力は改善傾向にあり、財務体質の健全化も進められている段階です。しかし、利益面では損失が継続しており、今後の収益改善が雇用や給与の安定性につながる重要な要素となります。
| 項目 | 2024年6月期(前期) | 2025年6月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | △1.1億円 | 96百万円 |
| 投資CF | 20.6億円 | △8百万円 |
| 財務CF | △25.1億円 | △9.1億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 19.5億円 | 88百万円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
同社グループは事業再生フェーズにあり、営業損失、経常損失、親会社株主に帰属する当期純損失を計上しているため、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる事象または状況が存在しています。しかし、事業の抜本的改善策や資金面での対応により、重要な不確実性は認められないと判断されています。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、ELITechGroup等のODM販売先への依存度が76%程度と高くなっています。そのため、ODM販売先の売上状況が同社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、専門的な知識・技能を持った優秀な人材の確保が必須であると考えています。人材確保ができない場合や、必要不可欠な人材が社外に流出する状況になった場合、同社グループの事業戦略や業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
プレシジョン・システム・サイエンスは、独自の基盤技術で高精度な検査システムを提供し、病気の早期発見と予防に貢献することを目指しています。持続可能な社会の実現と同社グループの成長の両立を図るサステナビリティ経営を推進しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループの企業理念は「独自の基盤技術を継続的に創出し、誰にでも使いやすく高精度な検査システムを提供することで、病気の早期発見と予防に貢献し、すべての人々が健康で自分らしく生きられる社会の実現を目指すこと」です。この理念のもと、顧客の信頼に応える高品質製品の安定供給と、高付加価値製品の迅速な市場投入の二点を重点方針としています。
同社グループは、事業活動を通じてヘルスケアをはじめとした多様な社会課題に取り組み、中長期的な企業価値の向上を図る観点から、「持続可能な社会の実現」と同社グループの「持続的な成長」の両立を目指し、サステナビリティ経営を推進しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、人種・国籍・宗教・性別・年齢などに関わらず多様な人材を確保・育成・登用することが、SDGsの実現と中長期的な企業価値向上につながると考えています。求める人材像として「多様性を活かし、価値を引き上げられる人」「組織を鼓舞し、動かす人」「プロフェッショナルとして極める努力をする人」「自律的に行動する人」を掲げています。
人材マネジメントポリシーでは、会社の理念や方針に共感し、プロ意識を持ち未知の領域に挑戦する人材の採用を重視しています。お互いを承認・称賛し合える組織を目指した育成方針を定め、社員が自律的に考え行動できる環境を整えることを目指しています。
役割に応じた処遇と評価、安心して仕事ができる報酬水準を実現することを目指しています。また、基本的人権を保護し、差別やハラスメント行為を排除し、多様な人材が能力を最大限に発揮できる健全な職場を目指しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、2027年6月期を目途に財務基盤の安定化と持続的な企業価値向上に努めるとしています。特に第41期においては、ガバナンスの強化及び内部統制の再構築、財務基盤の再構築と成長に向けた施策を推進する方針です。
具体的には、中期事業計画を下回る業績に関する経営責任の明確化、専門知識を有する社外取締役の招聘による監視体制の強化、内部統制の外部専門家へのコンサルティング委託に取り組んでいます。また、グループ全体の
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
プレシジョン・システム・サイエンスは監査役会設置会社であり、取締役会が経営方針の意思決定と業務執行の監督を担っています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社の筆頭株主は個人である田島秀二氏です。上位株主には、証券会社や有限会社も名を連ねています。特定の株主グループが上位に複数名を占める傾向が見られます。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 田島 秀二 | 16.94% |
| 野村證券 | 5.86% |
| 有限会社ユニテック | 4.41% |
| 田中 正勝 | 2.97% |
| 楽天証券 | 1.24% |
(注)
1. 自己名義 株式(476,128株)を保有していますが、上記大株主の状況には含めていません。
2. 「発行済株式(自己株式を除く。)の総数に対する所有株式数の割合」の欄は、小数点以下第3位を切り捨てて表示しております。
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は9名(男性8名・女性1名)で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は杉山悠氏が務めています。社外取締役比率は40.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 杉山 悠 | 代表取締役社長 | 2015年5月同社入社、管理本部付ユニバーサル・バイオ・リサーチ株式会社出向。2018年10月同社営業部事業戦略室長、2022年7月同社営業統括部長。2023年4月同社執行役員営業統括部長を経て、2024年9月より現職。 |
| 狩長 亮二 | 取締役 | 2005年4月同社入社、研究開発本部開発第一部。2011年7月同社研究開発本部開発第一部マネージャー。栄研化学株式会社、藤森工業株式会社を経て、2024年9月より現職。 |
| 木村 進 | 取締役 | 1996年4月同社入社、技術室。2017年12月同社生産管理部製造管理課品質グループリーダー。2019年7月同社技術統括部長代理エレキ設計部長。2023年11月同社技術統括部長を経て、2024年9月より現職。 |
社外取締役は、荻原大輔氏(荻原公認会計士事務所開設)、田村尚之氏(ローランド顧問)です。社外監査役は、部屋健太郎氏(部屋公認会計士事務所開設)、本島佳代子氏(小池・本島法律事務所設立)、鈴木泰浩氏(鈴木泰浩公認会計士事務所開設)です。
同社は監査役会設置会社であり、社外取締役は経営戦略や経営計画の立案に意見を述べ、業務執行状況の監視を行っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の取締役(社外取締役を除く)の報酬は、固定報酬としての基本報酬と業績連動型報酬で構成されています。社外取締役および監査役の報酬は基本報酬のみです。業績連動型報酬の指標には連結営業利益が用いられています。また、第41期事業年度には業績条件型譲渡制限付株式の交付も予定されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 9名 | 64百万円 | 7.2百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 4百万円 | 3.6百万円 |
| 社外役員 | 4名 | 14百万円 | 3.5百万円 |
なお、報酬等の総額には、使用人兼務取締役に対して支払われた使用人給与額およびその他の報酬等は含まれていません。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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