西川計測 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

西川計測 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

同社は東証スタンダード市場に上場し、制御・情報機器システムや計測器、理化学機器等の販売およびエンジニアリングを一括して行う技術商社です。第90期の業績は、ライフライン関連や半導体・自動車関連の需要を取り込み、売上高は前期比6.3%増、経常利益は同9.2%増と増収増益を達成しています。


#記事タイトル:西川計測転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

※本記事は、西川計測株式会社 の有価証券報告書(第90期、自 2024年7月1日 至 2025年6月30日、2025年9月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 西川計測ってどんな会社?


同社は、制御・計測・理化学機器の販売とそれに伴うエンジニアリング、ソフトウエア製作等を展開する技術商社です。

(1) 会社概要


1932年に計測器の販売を目的として創業し、1951年に株式会社として設立されました。1964年に現在の商号へ変更し、各地へ拠点を展開しながら業容を拡大しました。2004年にはジャスダック証券取引所へ上場を果たし、その後市場統合を経て2022年の市場再編に伴い、東京証券取引所スタンダード市場へ移行しています。

同社(単体)の従業員数は403名です。筆頭株主は主要な仕入先でもある計測制御機器大手の電機メーカーで、第2位は通信サービスや電力販売等を行う事業会社の子会社です。

氏名 持株比率
横河電機 13.06%
UH Partners2 7.53%
光通信 7.44%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性0名の計8名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は田中勝彦氏が務めています。社外取締役比率は25.0%です。

氏名 役職 主な経歴
田中勝彦 取締役社長(代表取締役) 1977年同社入社。エンジニアリング統括本部長、常務取締役、専務取締役などを歴任し、2013年7月より現職。
赤塚雅賢 専務取締役技術ソリューション統括本部長(代表取締役) 1995年ワイエヌシステム入社。VAソリューション本部長、取締役などを経て、2025年7月より現職。
須田真 取締役 1987年同社入社。公共営業本部長、常務取締役営業統括本部長などを歴任し、2025年7月より現職。
福山貴弘 取締役営業統括本部長兼首都圏営業本部長兼営業統括本部室長 1995年同社入社。九州支社長、執行役員首都圏営業本部長などを経て、2025年7月より現職。
後藤靖文 取締役コーポレート本部長 2008年アイロムホールディングス入社。2015年同社入社後、経営企画部長を経て、2021年9月より現職。
石川博史 取締役(監査等委員) 1977年同社入社。人事企画部長、監査役を経て、2015年9月より現職。


社外取締役は、野田謙二(野田総合法律事務所パートナー弁護士)、熊澤賢一(MAACパートナーズ代表取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「制御・情報機器システム」「計測器」「理化学機器」「産業機器・その他」の品目別に事業を展開しています。

(1) 制御・情報機器システム


プロセスオートメーション(PA)およびファクトリーオートメーション(FA)の制御用コンピュータシステムや、温度計・流量計等の各種検出機器、調節計などの制御機器を提供しています。主な顧客は、上水道、ガス、電力などのライフライン関連事業者や各種製造業です。

機器の販売代金に加え、エンジニアリング、ソフトウエア製作、計装工事、保守サービスなどの対価を受け取る収益モデルです。運営は主に西川計測が行っており、システム販売分野ではエンジニアリング・工事会社に発注して製作・施工を行っています。

(2) 計測器


電流計、電圧計、電力測定器などの各種電気測定器や、オシロスコープ、通信測定器、計測システムなどを提供しています。通信・自動車関連や半導体業界などにおける研究開発や製造現場での計測ニーズに対応しています。

製品の販売代金が主な収益源です。運営は主に西川計測が行っており、横河電機やアジレント・テクノロジーなどの主要メーカーから商品を仕入れ、顧客に販売しています。

(3) 理化学機器


ガスクロマトグラフ、液体クロマトグラフなどの有機化学分析装置や、ICP質量分析装置などの無機分析装置、および分析データ用ソフトウエアを提供しています。半導体、化学、石油関連企業の研究開発部門などが主な顧客です。

分析装置やソフトウエアの販売代金が主な収益源です。運営は主に西川計測が行っており、アジレント・テクノロジー等の代理店として商品を仕入れ、販売および付随するサービスを提供しています。

(4) 産業機器・その他


環境試験装置、油圧機器、空圧機器、産業ロボット、恒温槽などを取り扱っており、受託計測サービスも提供しています。自動車関連企業の次世代モビリティ開発などの投資需要に対応しています。

各種産業機器の販売代金や、計測サービスの受託料が収益源となります。運営は主に西川計測が行っており、顧客のニーズに合わせた多様な産業機器を調達・販売しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は2022年6月期以降、着実な増加傾向にあります。利益面でも、経常利益、当期純利益ともに増加基調を維持しており、特に2024年6月期から2025年6月期にかけては高い利益水準を記録しています。利益率も改善傾向にあり、堅調な成長が続いています。

項目 2021年6月期 2022年6月期 2023年6月期 2024年6月期 2025年6月期
売上高 305億円 295億円 319億円 364億円 387億円
経常利益 20億円 21億円 24億円 36億円 39億円
利益率(%) 6.6% 7.2% 7.4% 9.9% 10.1%
当期利益(親会社所有者帰属) 14億円 12億円 15億円 25億円 27億円

(2) 損益計算書


直近2期間の業績を比較すると、売上高の増加に伴い売上総利益も増加しています。売上総利益率は約23%前後で推移しており、安定した収益性を維持しています。営業利益および営業利益率も前期と比較して向上しており、増収効果が利益拡大に寄与していることが読み取れます。

項目 2024年6月期 2025年6月期
売上高 364億円 387億円
売上総利益 84億円 88億円
売上総利益率(%) 23.0% 22.7%
営業利益 35億円 38億円
営業利益率(%) 9.5% 9.7%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が24億円(構成比48%)、その他経費が10億円(同19%)を占めています。人材への投資が販管費の主要な要素となっています。

(3) セグメント収益


当期は全品目で増収となりました。主力の制御・情報機器システムはライフライン関連や半導体関連の需要回復により増加しました。計測器は通信・自動車関連の需要拡大により2桁増収を記録しています。産業機器・その他も自動車関連の投資需要により堅調に推移しました。

区分 売上(2024年6月期) 売上(2025年6月期)
制御・情報機器システム 191億円 210億円
計測器 39億円 45億円
理化学機器 96億円 93億円
産業機器・その他 37億円 39億円
連結(合計) 364億円 387億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社は、本業で稼いだ営業キャッシュ・フローを原資として投資活動を行い、借入返済や配当支払いなどの財務活動も自己資金で賄う「健全型」のキャッシュ・フロー状態にあります。

項目 2024年6月期 2025年6月期
営業CF 16億円 28億円
投資CF -7億円 -24億円
財務CF -5億円 -10億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は13.8%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は60.4%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「みんなで良くなろう」という企業理念を掲げています。計測・制御・理化学のエンジニアリングを基盤とし、公共事業体やエネルギー、化学、自動車などあらゆる産業の発展に寄与し、広く社会に貢献することで、顧客・取引先・株主・社員が共に良くなることを目指しています。

(2) 企業文化


事業経営にあたっては、法令、ルール、社会規範を遵守することを重視しています。企業倫理に則した公正かつ適切な経営の実現を通じて豊かな社会を作り出し、企業の社会的責任(CSR)を果たすことを行動の指針としています。

(3) 経営計画・目標


同社は、2025年度までの中期経営計画「Strong & Expanding 2025(SE2025)」において、中長期的な企業価値・株主価値の向上を目標としています。数値目標としては以下を掲げています。

* 自己資本比率50%以上
* 自己資本当期純利益率(ROE)10%以上

(4) 成長戦略と重点施策


新中期経営計画において、既存ビジネスの深耕と成長ビジネスの拡大、R&Dビジネスへのソリューション付加、DX・IoT・AIの活用による付加価値提供、経営基盤の強化を基本戦略としています。特に社会インフラや環境問題への取り組みを基幹ビジネスと位置づけ、提案型営業や新規事業開拓を推進する方針です。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は人材を「人財」と位置づけ、最も重要な経営資源と考えています。多様な価値観を持つ社員の主体性や創造性を重視し、一人ひとりの適性と目標に合わせた成長機会の提供や人材育成による組織強化を推進しています。また、女性のキャリア形成支援や働き方改革による職場環境の整備にも取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年6月期 42.3歳 16.9年 10,880,000円


※平均年間給与は賞与および基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 1.5%
男性育児休業取得率 73.0%
男女賃金差異(全労働者) 66.0%
男女賃金差異(正規) 64.2%
男女賃金差異(非正規) 64.4%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、労働者の有給取得率(70.3%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 主要販売先との取引


販売先の上位10社が売上全体の約30%を占めており、特に上水道、都市ガス、電力などのライフライン関連事業者が上位を占めています。これらの販売先における設備投資額の減少や更新計画の延期等は、同社の受注活動や業績に影響を与える可能性があります。

(2) 主要仕入先との取引


主要な仕入先である横河電機およびそのグループからの仕入額が全体の約30%を占めています。同グループの製品競争力の低下や、代理店契約の内容変更などが発生した場合、同社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 業績の季節変動


主要販売先である官公庁や公益事業関連の工事案件において、工期が3月の年度末に集中する傾向があります。このため、同社の売上・利益は下期(1月~6月)に集中する季節変動性があり、進捗の偏りが業績管理上のリスク要因となります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。