※本記事は、アトムリビンテック株式会社 の有価証券報告書(2025年6月期、2024年7月1日 ~ 2025年6月30日、2025年9月26日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
アトムリビンテックは、建築金物・家具金物を主体とする内装金物全般の企画、開発、販売を手掛けるファブレスメーカーです。国内のハウスメーカーや建材メーカーなどを主要な販売先としています。
単体従業員数は120名です。同社は住宅用内装金物事業の単一セグメントで事業を展開しています。
アトムリビンテックは、ファブレスメーカーとして「ATOM」ブランドの内装金物全般を企画・開発・販売しています。中国とベトナムに非連結子会社を設立し、海外協力工場の開拓や現地販売、日本国内への商品供給拡大を図っています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
アトムリビンテックは、住まいの金物を通じて快適な住空間を支える企業です。同社では、従業員が長く安心して働ける環境が整っており、安定したキャリア形成を目指せるでしょう。また、環境への配慮や人材育成にも力を入れ、持続可能な社会への貢献と従業員の成長を両立させています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員が長期にわたりキャリアを築いている傾向が見られます。平均勤続年数と平均年齢から、経験豊富なベテラン社員が多く在籍し、安定した組織基盤を形成していることがうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 6,674,000円 |
| 平均勤続年数 | 16.6年 |
| 平均年齢 | 43.2歳 |
| 単体従業員数 | 120人 |
同社は、確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)と確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する)の退職給付制度を設けています。これらの制度は同社単体に適用されます。退職一時金制度もありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。なお、年金資産は318百万円です。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社は、従業員が最大限の能力を発揮できるような活力ある職場環境と企業風土の醸成に努めています。意欲と発想豊かな人材を育成し、適性のある従業員を管理職として積極的に登用していく方針です。管理職の登用においては、性別や国籍、中途採用・新卒採用の区別なく、能力と適性を総合的に勘案しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
同社は、女性活躍推進法および育児介護休業法の規定による公表義務の対象ではないため、法定開示項目は記載を省略しています。
提出会社単体の法定開示データは開示されていません。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
アトムリビンテックは、建築金物や家具金物を中心とした内装金物全般の企画・開発・販売を手がけるファブレスメーカーです。国内の住宅市場を主要な事業領域としています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
アトムリビンテックは「ATOM」ブランドのもと、建築金物や家具金物といった内装金物の企画、開発、販売を主に行っています。国内のハウスメーカー、住宅設備機器メーカー、建材メーカー、建築金物店などを主な販売先とするファブレスメーカーとして事業を展開しています。
同社は中国とベトナムに子会社を設立しており、海外協力工場の開拓や現地販売、日本国内への商品供給拡大も目指しています。収益は、折戸・引戸金物が最も大きく、開戸金物、引出・収納金物、取手・引手、附帯金物がこれに続きます。
直近では折戸・引戸金物、開戸金物、取手・引手、附帯金物の販売が増加傾向にあります。一方で引出・収納金物の販売は減少しています。同社の売上高は本邦の外部顧客への売上高が大部分を占めており、国内市場が主要な収益源となっています。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
直近の業績は、売上高、営業利益、経常利益、当期純利益のいずれも増加傾向を示しています。特に営業利益、経常利益、当期純利益は大幅な増加となりました。
これは原材料価格の高騰を販売価格に転嫁する取り組みや、原価低減につながる設備投資、販売費及び一般管理費の圧縮などが要因となっています。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社の財務状況は、事業活動による資金流出と積極的な投資活動が見られます。これにより、全体として手元資金が減少している状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社の自己資本比率は当期89.9%であり、前期の77.0%から増加しています。これはプライム市場の製造業平均(46.8%)と比較して高い水準を示しています。
当期末の現金及び現金同等物は1,924百万円となり、前期末の5,114百万円から減少しています。
高い自己資本比率は財務基盤の安定性を示しており、事業運営におけるリスク耐性につながります。
| 指標 | 2024年6月期(前期) | 2025年6月期(当期) |
|---|---|---|
| 自己資本比率 | 77.0% | 89.9% |
| ROE(自己資本利益率) | - | - |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社の当期のキャッシュフローは、営業活動による資金が1,154百万円使用されています。これは仕入債務の減少が主な要因となっています。
投資活動では1,894百万円の資金が使用されており、定期預金の預入や有形・無形固定資産、投資有価証券の取得が主な要因です。
財務活動では配当金の支払により139百万円の資金が使用されています。
これらの結果、フリーキャッシュフローはマイナスとなっており、本業で得た資金を上回る投資が行われている状況を示しています。
前期は営業活動による資金が増加していましたが、当期は減少に転じ、投資活動による支出も増加しています。
この資金の流れは、事業拡大や設備投資に積極的に取り組んでいる一方で、短期的な資金繰りには注意が必要な状況を示しており、今後の事業展開と資金管理が雇用安定性や給与水準に影響を与える可能性があります。
| 項目 | 2024年6月期(前期) | 2025年6月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 540百万円 | △1,154百万円 |
| 投資CF | △289百万円 | △1,894百万円 |
| 財務CF | △139百万円 | △139百万円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 251百万円 | △3,048百万円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社の業績は、住宅用内装金物の販売が主であるため、新設住宅着工戸数の増減に影響を受けます。
新設住宅着工戸数は、一般景気動向や金利動向、税制などの外部要因に左右される可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
少子高齢化社会の進展により、人手不足の深刻化が危惧される状況が継続しています。
同社は、事業を有効に活用できる人材の確保と育成に尽力しています。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
アトムリビンテックは、創業以来受け継がれる理念と精神を基盤に、住まいの金物を通じて社会に貢献することを目指しています。品質と環境への配慮を重視し、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを積極的に進める企業です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
アトムリビンテックは、創業者の「独り歩きのできる商品を提供すべき」という教えに基づき、「より良い金物を自ら考え、自ら普及させて行く」という企業理念を掲げています。同社は「創意・誠実・進取」の精神を社是とし、企画・開発・販売を兼ねるファブレスメーカーとして事業を展開しています。
同社は「内装金物(住まいの金物)」という分野を創造し、住まいの金物の進化と発展に寄与することを目指しています。住生活を通して広く社会に貢献し、内装金物分野におけるリーディングカンパニーとしての地位を確立することを使命としています。環境に配慮した「住空間創造企業」の構築も目指す方向性の一つです。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
アトムリビンテックは、「より良い金物を自ら考え、自ら普及させて行く」という企業理念と、「創意・誠実・進取」の精神を社是としています。同社は「繊細なものづくりの精神」を大切にし、商品開発に反映させています。
品質と環境への配慮を重視しており、ISO9001とISO14001の認証を取得しています。また、『企業行動規範』において「自然環境への配慮」を規定し、環境保全と汚染の予防を最重要課題の一つと認識しています。エコロジーとエコノミーの両立を目指した商品開発や、省資源・省エネルギーの推進、環境関連法規の順守などを環境方針として掲げています。
同社は、従業員が最大限の能力を発揮できる活力ある職場環境と企業風土の醸成に努めています。意欲と発想豊かな従業員を育成し、適性のある人材を管理職として登用していく方針です。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
アトムリビンテックは、事業環境に左右されない経営基盤の確立を重点テーマとしています。変動する経営環境下でも安定成長を可能とするため、市場優位性の維持と収益力の強化を目指しています。
同社は、居住空間のトータルデザイン化を目指した戦略的な商品開発を推進しています。高齢化社会や価値観の多様化に対応する「バリアフリー・快適性・安全性・利便性・汎用性」を備えた商品の展開や、環境負荷が小さく安全性に配慮した質の高い商品開発に取り組んでいます。
また、品質と環境に配慮した商品開発を継続しつつ、新分野・異分野への展開を積極的に進めています。経営管理体制の高度化による業務運用全般の品質向上と、企業活動のさらなる活性化を図ることも重要な課題です。環境面では、ISO14001に則った環境保全活動やSBT認定取得による温室効果ガス排出削減、SDGsへの取り組みを推進しています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
アトムリビンテックは監査役制度を採用しており、社外取締役や社外監査役を配置することで、経営の透明性と監督機能の強化を図っています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
アトムリビンテックの株主構成を見ると、筆頭株主は高橋不動産であり、代表取締役社長である髙橋快一郎氏も上位株主として名を連ねています。創業家や関連会社が上位を占めることで、安定した経営基盤を形成していることがうかがえます。また、従業員持株会も主要株主の一つとなっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 高橋不動産 | 22.19% |
| 髙橋 快一郎 | 19.80% |
| アトムリビンテック従業員持株会 | 5.54% |
| 磯川産業 | 5.52% |
| 櫻井金属工業 | 4.06% |
なお、前事業年度末に主要株主であったアトムリビンテック取引先持株会は、当事業年度末現在では主要株主ではなくなっています。
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は9名(男性9名・女性0名)で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は髙橋快一郎氏が務めています。社外取締役比率は20.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 髙橋 快一郎 | 代表取締役 社長 | 高橋不動産代表取締役、ATOM LIVIN TECH VIETNAM COMPANY LIMITED Chairmanを経て、2020年9月より同社代表取締役社長。 |
| 山口 俊 | 常務取締役 営業本部長 | 1995年4月同社入社、特販事業部長、執行役員特販事業部長、取締役営業本部長を経て、2024年9月より同社常務取締役営業本部長。 |
| 池井 正彦 | 取締役 商品本部長兼商品部長 | 1986年4月同社入社、卸売事業部長、執行役員商品部長、取締役商品本部長を経て、2024年10月より同社取締役商品本部長兼商品部長。 |
| 関内 和貴 | 取締役 営業本部副本部長 | 1996年4月同社入社、卸売事業部長、執行役員卸売事業部長、取締役卸売事業部長を経て、2025年7月より同社取締役営業本部副本部長。 |
社外取締役は、山下剛氏(双葉税理士事務所 代表)です。
同社は監査役制度を採用しており、社外取締役である山下剛氏は、税理士としての専門知識を活かし、主にリスクマネジメントの観点から経営監督機能の強化に貢献しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
アトムリビンテックの役員報酬は、固定報酬と退職慰労金で構成されています。報酬限度額は株主総会の決議によって定められており、代表取締役社長が各取締役の報酬額を決定する方針です。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 5名 | 1.1億円 | 21.6百万円 |
| 監査役(社外除く) | 2名 | 25百万円 | 12.3百万円 |
| 社外役員 | 5名 | 9百万円 | 1.7百万円 |
なお、人数は事業年度中に報酬の支給対象となった人数であり、期中に退任した役員を含みます。また、取締役山下剛氏と監査役小瀧繁幸氏は期中に役職が変更されており、報酬等の額及び対象となる役員の員数は、それぞれの在任期間に応じて該当する役員区分に含めて記載されています。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。