※本記事は、株式会社かんなん丸 の有価証券報告書(2025年6月期、2024年7月1日 ~ 2025年6月30日、2025年9月25日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
かんなん丸は、自社ブランドの「大衆すし酒場」やカラオケルームに加え、他社のフランチャイジーとして多様な料理飲食業を主に展開しています。女性専用AIパーソナルジムの運営も行い、多角的な事業ポートフォリオを構築しています。
単体従業員数は108名です。事業部門は、じんべえ太郎部門、kobanちゃん部門、庄や部門、日本海庄や部門、VANSAN部門、FURDI部門の6つに分かれています。
かんなん丸は、自社ブランドの「大衆すし酒場」やカラオケルーム、および他社のフランチャイジーとして「庄や」「日本海庄や」「VANSAN」「FURDI」などの店舗を運営しています。
同社は当事業年度において業態ポートフォリオの最適化に注力し、不採算店舗の業態転換や新規店舗の開店を積極的に推進しました。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
株式会社かんなん丸は、飲食事業を主軸とする企業であり、従業員の平均年齢や勤続年数から、比較的落ち着いた環境で長く働く傾向が見られます。同社は人材への投資を重視しており、採用強化やキャリアアップ制度の導入を通じて、従業員のモチベーション向上とチーム力強化を図っています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、平均勤続年数が長く、平均年齢も高めであることから、従業員が安定して働き続けている傾向がうかがえます。これは、長期的なキャリア形成を検討する上で注目すべき点と言えるでしょう。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 3,740,000円 |
| 平均勤続年数 | 11.2年 |
| 平均年齢 | 47.5歳 |
| 単体従業員数 | 108人 |
なお、退職給付制度に関する記載はありません。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社は「食の楽しさを通じて、お客様に感動・満足を提供する」という経営理念に基づき、人的資本への投資を重視しています。社員とその家族、お客様、お取引先様、地域の皆様、株主様等、すべてのステークホルダーの幸せを達成するための営業活動を通じて、持続的な成長と企業価値向上を目指しています。
具体的には、採用と研修に力を入れています。コロナ禍以前から飲食店の従業員採用が困難な状況にある中、従来の募集方法を見直し、SNSを活用した店舗や仕事の紹介を通じて新たな採用窓口を強化しています。また、社員向けの人事制度とは別に、パートナー(非正規雇用者)に対しても業務習得状況を数値化するキャリアアップ制度を導入し、時給見直しを行うことでモチベーション向上とチーム力強化を図っています。研修においては、座学を具体的な行動につなげるための事例共有や他社店舗視察、社内異動による別業態の視点を取り入れ、新たな人材の採用と循環を進めています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体のデータを示します。管理職に占める女性労働者の割合の集計にあたり、店長以上の役職者を集計対象の管理職としています。男性労働者の育児休業取得率および労働者の男女の賃金の差異は、公表義務の対象ではないため、記載を省略しています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 13.2% |
人材育成・エンゲージメント
平均年齢は、同社の経営理念達成に関する人材育成・社内整備方針の指標として設定されています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 平均年齢 | 47.5歳 |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
かんなん丸は、自社ブランドおよびフランチャイズ形式で多様な料理飲食業を展開しています。顧客のニーズに応じた店舗展開と、効率的な運営体制の構築を通じて収益を上げています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社は、大衆すし酒場「じんべえ太郎」やカラオケルーム「kobanちゃん」といった自社業態に加え、株式会社大庄のフランチャイジーとして大衆割烹「庄や」「日本海庄や」、株式会社VANSANのフランチャイジーとしてItalian Kitchen「VANSAN」、さらに株式会社FURDIのフランチャイジーとして女性専用AIパーソナルジム「FURDI」を運営しています。これらの店舗運営を通じて、来店客からの飲食代金や利用料を主な収益源としています。
同社は業態ポートフォリオの最適化に注力しており、地域特性に応じた顧客ニーズへの対応や集客力の向上を目指しています。料理人の人材不足や人件費高騰といった課題にも対応し、業務効率の改善や顧客満足度の最大化を図る取り組みを進めています。
料理飲食事業
この事業では、大衆すし酒場「じんべえ太郎」、カラオケルーム「kobanちゃん」、大衆割烹「庄や」「日本海庄や」、Italian Kitchen「VANSAN」の運営を行っています。収益は、各店舗での飲食やサービス提供から得ています。
その他
この事業では、女性専用AIパーソナルジム「FURDI」の運営を行っています。収益は、ジムの利用料などから得ています。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社の過去5期間の業績を見ると、売上高は変動が見られます。経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益は、直近2期間で損失が続いていますが、その損失額は縮小傾向にあります。
| 項目 | 2021年6月期 | 2022年6月期 | 2023年6月期 | 2024年6月期 | 2025年6月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 7.3億円 | 6.7億円 | - | - | - |
| 経常利益 | △6.4億円 | △66百万円 | - | - | - |
| 経常利益率 | △87.3% | △9.9% | - | - | - |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | △5.0億円 | △9百万円 | - | - | - |
| 1株当たり当期純利益(円) | △132.47 | △2.30 | - | - | - |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社の従業員1人あたり売上高は、前期から当期にかけて増加しています。これは、従業員一人ひとりの売上貢献度が高まっている傾向を示しています。
| 指標 | 2024年6月期(前期) | 2025年6月期(当期) |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 15.3百万円 | 17.1百万円 |
| 従業員1人あたり当期純利益(連結) | △1.9百万円 | △2.0百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
かんなん丸は、事業の収益改善と財務安定化に向けた取り組みを進めている段階です。資金の流れを見ると、事業活動と投資活動の両方で資金を使用しており、今後の改善策の進捗が注目されます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
かんなん丸の財務基盤を見ると、当期末の自己資本比率は27.7%となっています。これはプライム市場の非製造業平均(24.2%)と比較するとやや高い水準です。純資産は4.3億円、現金及び預金は3.7億円となっています。手元資金は前期から減少しており、今後の資金繰りや事業改善の進捗が、従業員の雇用や給与の安定性に影響を与える可能性があります。
| 指標 | 2024年6月期(前期) | 2025年6月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 6.5億円 | 4.3億円 |
| 自己資本比率 | - | 27.7% |
| ROE(自己資本利益率) | - | - |
| 現金及び預金 | 5.7億円 | 3.7億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
かんなん丸のキャッシュフローを見ると、当期は営業活動、投資活動、財務活動のいずれにおいても資金を使用しています。営業活動によるキャッシュフローは、税引前当期純損失や減損損失などが主な要因となり、△53百万円の資金を使用しました。投資活動では、有形固定資産の取得による支出が主な要因で、△1.0億円の資金を使用しています。財務活動では、長期借入金の返済により△44百万円の資金を使用しました。
本業で資金を創出できていない状況であり、事業改善による収益力向上が、今後の雇用や給与の安定性につながると考えられます。
| 項目 | 2024年6月期(前期) | 2025年6月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | - | △53百万円 |
| 投資CF | - | △1.0億円 |
| 財務CF | - | △44百万円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | - | △1.6億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
かんなん丸は、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象または状況が継続していると記載しています。しかし、同社は事業の収益改善と財務安定化を目的とした改善策を実施しており、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しています。
② 事業構造・収益性に関するリスク
かんなん丸は、株式会社大庄とのフランチャイズチェーン加盟契約が事業の根幹にかかわる重要な契約であると認識しています。この契約が終了、解除または大きく変更された場合には、同社の業績に影響を与える可能性があります。また、大規模感染症の流行等により、経済が大きく減速する場合には、同社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
かんなん丸は、人材の採用・確保・育成をリスクとして挙げています。店長や調理長などの育成には時間がかかるため、調理や接客等のオペレーションレベルが低下した場合、同社の業績に影響を与える可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
かんなん丸は、「お客様のわざわざに感激申し上げ、わざわざをもってお応えする」ことを企業理念に掲げ、地域に根差した店舗展開を目指しています。食の楽しさを通じて感動と満足を提供することを重視する会社です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
かんなん丸は、「お客様のわざわざに感激申し上げ、わざわざをもってお応えする」ことを企業理念としています。これは創業以来の使命として全社員に深く浸透させ、差別化したサービスの実行に日々努めるものです。同社は埼玉県を中心に周辺地域への店舗展開を目指し、「街角の一軒」を基本方針としています。また、「接客・調理の全てにおいてお客様にご恩返しをする」という精神を徹底し、お客様に誠心誠意真心を持っておもてなしをすることを重視しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
かんなん丸では、企業理念である「お客様のわざわざに感激申し上げ、わざわざをもってお応えする」ことを全社員が深く認識し、日々の業務に取り組むことを重視しています。営業においては「接客・調理の全てにおいてお客様にご恩返しをする」という精神を徹底し、お客様に誠心誠意おもてなしをすることを大切にしています。また、サステナビリティに関する行動指針として、社員とその家族、お客様、お取引先様、地域の皆様、株主様等、すべてのステークホルダーの幸せを追求しています。お客様の声を聴く取り組みとしてミステリーショッパーを導入し、「お客様が主語」となる運営を目指しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
かんなん丸は、外食業界の中でも特に居酒屋業態の厳しい業況を経営課題として認識しています。この課題に対し、お客様の満足度向上を重点テーマの一つとしています。具体的には、タイムリーな販売促進活動によるリピーター獲得、既存店の活性化、業態変更、店舗リニューアル等に取り組んでいます。また、人材育成も重要なテーマであり、お客様にご恩返しする姿勢を堅持できる人材育成のため、研修・教育への投資を充実させています。採用強化やパートナー向けキャリアアップ制度の導入、職人に頼らない業態へのシフト、平均年齢の若返りも検討テーマです。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
かんなん丸は、株主、顧客、取引先等からの評価と安定的かつ着実な成長を目指し、経営の透明性向上と公正な経営実現に努めています。経営活動に対する監視・チェック機能の有効性確保を経営上の最重要課題の一つと位置付け、コーポレート・ガバナンスの充実を図っています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
かんなん丸の筆頭株主は佐藤榮治氏であり、個人が大株主として名を連ねています。また、有限会社群青も上位株主として存在しており、特定の個人および関連会社が上位を占める資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 佐藤 榮治 | 35.65% |
| 有限会社群青 | 11.98% |
| サントリー | 2.16% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は6名(男性6名・女性0名)で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は野々村孝志氏が務めています。社外取締役比率は0.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 野々村 孝志 | 代表取締役社長 | 1980年サントリー入社後、ダイナックで経営開発室長、専務取締役営業統括本部長を歴任。サントリーパブリシティサービス代表取締役社長、サントリー酒類市場開発副本部長を経て、2022年7月同社顧問として入社、同年9月代表取締役社長より現職。 |
| 三留 雅広 | 常務取締役 営業本部長 | 2002年同社入社後、営業部次長、営業部長を歴任。2011年9月取締役営業部長、2012年7月取締役営業本部副本部長を経て、2014年7月常務取締役営業本部長より現職。 |
| 宮永 一彦 | 取締役 管理部長 | 2006年同社入社後、管理部次長、執行役員管理部長を歴任。2024年9月同社取締役に就任より現職。 |
社外取締役は、保坂孝徳氏(ダイナック常勤監査役・監査等委員)、山本浩正氏(カーヴ・ド・リラックス代表取締役社長・監査等委員)です。
同社は2024年9月24日開催の定時株主総会をもって、監査等委員会設置会社へ移行しました。社外取締役2名を含む監査等委員会が経営の健全性の維持・強化を図り、実効性のある経営監視監督に努めています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
かんなん丸の役員報酬は、株主総会で決定された報酬総額の限度内で支給されています。取締役の報酬は、代表取締役が担当職務の内容や業績への貢献度などを総合的に勘案して個人別に決定しています。監査等委員である取締役の報酬は、監査等委員である取締役間の協議により決定される仕組みです。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 6名 | 36百万円 | 5.9百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 1百万円 | 1.4百万円 |
| 社外役員 | 5名 | 4百万円 | 0.9百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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