※本記事は、株式会社ハンズマン の有価証券報告書(第61期、自 2024年7月1日 至 2025年6月30日、2025年9月29日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ハンズマンってどんな会社?
九州を地盤に、超多品目の品揃えと丁寧な接客を強みとする体験型DIYホームセンターを展開しています。
■(1) 会社概要
1964年に設立され、1986年にホームセンター1号店となる吉尾店をオープンしました。2000年に株式を店頭登録し、2004年にJASDAQへ上場しました。その後、2022年の市場区分見直しに伴いスタンダード市場へ移行しています。2023年には大阪府に松原店をオープンし、創業以来の念願であった本州への初出店を果たしました。
同社(単体)の従業員数は184名です。筆頭株主は有限会社ガーデンビルで、第2位は従業員持株会、第3位は資産管理業務を行う信託銀行です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 有限会社ガーデンビル | 14.09% |
| ハンズマン社員持株会 | 11.25% |
| 野村信託銀行株式会社 | 6.46% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性10名、女性0名の計10名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は 大薗 誠司 氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 大薗 誠司 | 代表取締役社長兼内部監査室長 | 1993年三和銀行入行。1995年同社入社。専務取締役経営企画室長等を経て2006年より現職。 |
| 大薗 正忠 | 専務取締役兼人事部長 | 1991年ドイト入社。1994年同社入社。常務取締役店舗運営部長等を経て2025年より現職。 |
| 田上 秀樹 | 常務取締役経営企画室長兼経理部長 | 1994年東海銀行入行。2011年同社入社。2013年取締役経営企画室長兼経理部長を経て2016年より現職。 |
| 戸田 勝久 | 常務取締役総務部長兼店舗開発部長 | 1990年三菱信託銀行入社。2017年同社入社。2021年取締役店舗開発部長兼総務部長を経て2023年より現職。 |
社外取締役は、土持 寿翁(土持産業代表取締役会長)、加納 昭(元南日本酪農協同代表取締役会長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「ホームセンター事業」および「その他」事業を展開しています。
■(1) ホームセンター事業
一般消費者およびプロの職人を対象に、DIY用品、家庭用品、カー・レジャー用品などを販売しています。品揃えの豊富さを追求し、お客様の要望に応える店舗運営を行っています。
収益は、店舗およびインターネット通販を通じた商品の販売代金です。運営は主にハンズマンが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は300億円台前半から半ばで安定的に推移しています。第60期には経常利益が一時的に減少しましたが、第61期には売上高の増加に伴い回復傾向にあります。利益率も改善しており、堅実な経営が続いています。
| 項目 | 2021年6月期 | 2022年6月期 | 2023年6月期 | 2024年6月期 | 2025年6月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 341億円 | 309億円 | 309億円 | 341億円 | 349億円 |
| 経常利益 | 28億円 | 22億円 | 18億円 | 11億円 | 15億円 |
| 利益率(%) | 8.4% | 7.2% | 5.7% | 3.2% | 4.4% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 20億円 | 15億円 | 12億円 | 8億円 | 10億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の増加に対し、売上原価も増加しましたが、売上総利益は増加を確保しました。一方、販売費及び一般管理費は前期比で減少し、結果として営業利益率は改善しています。効率的な店舗運営が進んでいることが窺えます。
| 項目 | 2024年6月期 | 2025年6月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 341億円 | 349億円 |
| 売上総利益 | 108億円 | 110億円 |
| 売上総利益率(%) | 31.8% | 31.6% |
| 営業利益 | 9億円 | 12億円 |
| 営業利益率(%) | 2.5% | 3.5% |
販売費及び一般管理費のうち、従業員給料及び手当が42億円(構成比43%)、賃借料が10億円(同10%)を占めています。
■(3) セグメント収益
同社は単一セグメントですが、商品区分別に見ると、主力のDIY用品が堅調に推移し、全体の売上成長を牽引しました。家庭用品やカー・レジャー用品も前期を上回り、全区分で増収となっています。
| 区分 | 売上(2024年6月期) | 売上(2025年6月期) |
|---|---|---|
| DIY用品 | 190億円 | 193億円 |
| 家庭用品 | 105億円 | 109億円 |
| カー・レジャー用品 | 46億円 | 47億円 |
| 連結(合計) | 341億円 | 349億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業活動によるキャッシュ・フローはプラスを維持し、投資活動は抑制的で、財務活動では借入金の返済や配当支払い等によりマイナスとなりました。本業で稼いだ資金で借入返済等を行う健全な財務状態です。
| 項目 | 2024年6月期 | 2025年6月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 12億円 | 18億円 |
| 投資CF | -19億円 | -2億円 |
| 財務CF | 5億円 | -17億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は5.7%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は70.5%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「お客様第一主義」を企業理念として掲げ、ホームセンター事業を通じて「住まいと暮らしに関するお客様の要望をすべて満たす」ことを経営の基本方針としています。この使命を果たし、お客様に喜ばれることが企業の成長とステークホルダーへの価値還元につながると確信しています。
■(2) 企業文化
お客様の要望に応えることを最優先とし、従業員の商品知識向上や接客力の強化に力を入れています。研修会やDIY体験会を積極的に開催し、コンサルティング販売能力を高めることで、お客様に喜ばれる店舗づくりを推進する文化があります。
■(3) 経営計画・目標
同社は「B/Sを重視した経営」と「株主重視の経営」を掲げています。具体的な数値目標として、以下の指標の維持・向上を目指しています。
* 自己資本比率:50%以上
* 総資本経常利益率(ROA):10%以上
* 株主資本利益率(ROE):10%以上
■(4) 成長戦略と重点施策
創業以来九州地区で店舗網を拡大してきましたが、今後は大阪府の松原店を足掛かりに、大都市圏を中心とした本州での出店エリア拡大を目指しています。お客様満足度と従業員満足度の向上を両輪とし、業務効率の改善や優良新規物件の開発に取り組むことで、さらなる成長を図ります。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
接客を重視しており、従業員の質の向上こそが顧客満足につながると考えています。年齢や性別を問わず多様な人材を重視し、高齢者雇用も含めて積極的に推進しています。従業員が誇りを持って長く働けるよう、処遇や福利厚生の改善、働きやすさ改革に取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年6月期 | 47.4歳 | 17.5年 | 5,796,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 10.4% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 87.5% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 81.3% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用) | 81.4% |
| 労働者の男女の賃金の差異(非正規) | 91.8% |
また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、全従業員における女性の占める割合(約6割)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 出店に関する法的規制
大規模小売店舗立地法や都市計画法などの法的規制により、新規出店や増床の際に調整期間の長期化やコスト増加が生じる可能性があります。また、条例等による規制強化があった場合、出店計画に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 気象要因
屋外作業に関連するDIY用品や園芸資材等の販売ウェイトが高いため、降雨量の増加や低気温などの悪天候が続くと、来店客数や商品販売にマイナスの影響を与え、業績が悪化する可能性があります。
■(3) 自然災害
大規模な地震や台風などの自然災害が発生した場合、店舗設備の損壊、停電、物流網の遮断などが生じ、営業活動に支障をきたすことで業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。



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