※本記事は、株式会社SANKO MARKETING FOODSの有価証券報告書(第49期、自 2024年7月1日 至 2025年6月30日、2025年9月24日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準はJapan GAAPです。
1. SANKO MARKETING FOODSってどんな会社?
SANKO MARKETING FOODSは、大衆酒場等の飲食事業や水産事業の6次産業化を展開しています。
■(1) 会社概要
1977年に三光フーズとして設立され、1984年に第1号店を開店しました。2004年に東京証券取引所市場第二部に上場し、現在はスタンダード市場に区分されています。2021年にSANKO海商を子会社化して水産事業を開始し、現社名に変更しました。2022年には綜合食品を子会社化しています。
現在の従業員数は連結で317名、単体で242名です。筆頭株主は創業者で現取締役会長の平林隆広氏であり、第2位は事業会社のTLF、第3位は金融機関のBNP PARIBAS LONDON BRANCH FOR PRIME BROKERAGE CLEARANCE ACC FOR THIRD PARTY (常任代理人 香港上海銀行)となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 平林隆広 | 9.90% |
| TLF | 7.10% |
| BNP PARIBAS LONDON BRANCH FOR PRIME BROKERAGE CLEARANCE ACC FOR THIRD PARTY (常任代理人 香港上海銀行) | 5.20% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性9名、女性1名の計10名で構成され、女性役員比率は10.0%です。代表取締役社長は長澤成博氏が務めており、取締役7名のうち社外取締役の比率は28.6%となっています。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 長澤成博 | 代表取締役社長 | 1997年光通信入社。ジェイフォン東日本、レーサム等を経て2007年同社入社。常務取締役等を経て2021年2月より現職。SANKO海商、綜合食品代表取締役社長を兼務。 |
| 平林隆広 | 取締役会長 | 1998年同社入社ならびに取締役就任。代表取締役専務、アジアンエイト代表取締役、同社代表取締役社長等を経て2018年9月より現職。 |
| 冨川健太郎 | 専務取締役 | 2003年司法書士事務所入所。2008年同社入社。人事総務部長、常務取締役等を経て2024年9月より現職。事業開発本部長兼グループ経営管理本部長を務める。 |
| 土屋隆也 | 専務取締役 | 和泉陸運等を経て1995年下田不動産取引設立、代表取締役。2023年同社執行役員。SANKO海商取締役等を経て2024年9月より現職。グループ水産統括を務める。 |
| 秋田二郎 | 取締役 | 1986年トーメン入社。光通信、カネボウ化粧品、らでぃっしゅぼーや取締役等を経て2024年9月より現職。グループ財務統括を務める。 |
社外取締役は、河野恵美氏(アイテ・カンパニー代表取締役)、田中研次氏(坤ストゥーディオ代表取締役)です。
2. 事業内容
同社グループは、飲食事業および水産事業等の単一セグメントで事業を展開しています。
「アカマル屋」「焼肉万里」「金の蔵」などのブランドを中心とした飲食事業と、水産事業および官公庁等の飲食施設の運営受託事業を展開しています。産地から入り込み、飲食事業とのシナジーを追求した「水産の6次産業化」を推進しており、自社漁船での水揚げから加工、店舗での提供までを一貫して行っています。
飲食店舗での売上や、水産事業における水産物の卸売・小売等が主な収益源です。飲食店舗の運営や施設の運営受託等は主にSANKO MARKETING FOODSが担い、水産事業のサプライチェーンにおける仲卸や加工はSANKO海商、水産物卸売は綜合食品などのグループ各社が運営しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近4期間の推移を見ると、売上高はコロナ禍からの回復や水産事業の拡大により24.1億円から96.8億円へと大幅な増収傾向にあります。一方で利益面では、先行投資や各種コストの高騰により経常損失および当期純損失が継続しており、赤字からの脱却が課題となっています。
| 項目 | 2022年6月期 | 2023年6月期 | 2024年6月期 | 2025年6月期 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 24.1億円 | 71.2億円 | 93.3億円 | 96.8億円 |
| 経常利益 | -3.1億円 | -7.5億円 | -6.8億円 | -6.5億円 |
| 利益率(%) | -12.7% | -10.5% | -7.3% | -6.7% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -4.5億円 | -7.2億円 | -6.6億円 | -7.8億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の増加に伴い売上総利益も拡大していますが、出店や業態転換、水産事業のプラットフォーム構築に向けた先行投資が重荷となり、営業損失が継続する構造となっています。
| 項目 | 2024年6月期 | 2025年6月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 93.3億円 | 96.8億円 |
| 売上総利益 | 29.1億円 | 32.9億円 |
| 売上総利益率(%) | 31.2% | 34.0% |
| 営業利益 | -6.8億円 | -6.7億円 |
| 営業利益率(%) | -7.3% | -6.9% |
販売費及び一般管理費のうち、従業員給与が18.4億円(構成比46%)、地代家賃が4.7億円(同12%)を占めています。売上原価は63.9億円であり、売上原価率は66.0%となっています。
■(3) セグメント収益
同社グループは単一セグメントのため、連結合計の売上高のみを記載します。
| 区分 | 売上(2024年6月期) | 売上(2025年6月期) |
|---|---|---|
| 連結(合計) | 93.3億円 | 96.8億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
本業は赤字ですが、将来成長のため資金調達を行いながら投資を継続している勝負型の状態です。
| 項目 | 2024年6月期 | 2025年6月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -8.8億円 | -5.9億円 |
| 投資CF | -2.9億円 | -0.5億円 |
| 財務CF | 7.0億円 | 8.2億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は-255.3%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は13.0%であり、いずれも市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「価値ある食文化の提案」を企業理念とし、ともに働く仲間の幸福を最大限に追求しています。一人ひとりの経済的利益と精神的成長を達成することで、顧客へ最大の満足を提供し、地域社会へ貢献していくことを使命としています。
■(2) 企業文化
「笑顔と心遣いの大衆酒場」「お客様の為に手間を惜しまない」といったコンセプトを掲げ、顧客起点で喜びと驚きを提供することを重視しています。衰退する漁業を再興させるため、漁師とともに手を携え、日本が世界に誇る魚食文化を守る姿勢も持ち合わせています。
■(3) 経営計画・目標
持続的な成長と安定的な収益性を重視する観点から、水産6次産業化モデルの構築と店舗事業における収益基盤の再構築により、中期的に売上高営業利益率5%以上を目標として掲げています。
■(4) 成長戦略と重点施策
新たに「とる うる つくる 全部、SANKO」をスローガンとし、生産者とともに歩む「産地活性化プラットフォーマー」としてのオンリーワンビジネスモデルを展開します。SANKO船団による鮮魚の全量買取りや、加工技術を駆使した低利用魚等の価値最大化を進めるとともに、高効率なブランドへの業態変更や新規出店、コスト削減を通じた収益改善を図ります。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「全従業員の物心両面の幸福の追求」を経営理念とし、多様な人材が活躍できる働きがいのある職場環境づくりに取り組んでいます。評価制度や教育制度(SANKOカレッジ)の導入、パートナー正社員等の柔軟な雇用の促進、特定技能人材の積極採用などを通じて、従業員の心身の健康とワーク・ライフ・バランスの実現を目指しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年6月期 | 39.0歳 | 5.6年 | 4,447,590円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 6.3% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 56.4% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 83.4% |
| 男女賃金差異(パート・有期労働者) | 84.5% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、常用雇用労働者に占める女性比率(24.6%)、毎月の平均残業時間(17.5時間)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 感染症等の発生
新型コロナウイルス等の感染症が新たに発生した場合、消費者の外出自粛や店舗の臨時休業などにより、事業活動に支障が生じ、財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 外食市場の競争激化
顧客ニーズの変化を考慮した業態開発等を行っていますが、外食市場全体の縮小や競争の激化により既存店売上が想定以上に減少し、収益に悪影響を及ぼすリスクがあります。
■(3) 食材調達と価格高騰
異常気象や自然災害、為替変動、地政学リスク等により食材の調達が難しくなり、仕入価格が上昇した場合には、利益率の悪化など経営成績に直接的な影響を与える可能性があります。
■(4) 水産6次産業化モデルにおける需給変動
外部環境に左右されにくい事業ポートフォリオ構築を目指していますが、水産資源の減少や魚食需要の変動、流通構造の変化など予期せぬ事象が発生した場合、事業計画に影響が及ぶ可能性があります。



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