※本記事は、株式会社エリアクエスト の有価証券報告書(第26期、自 2024年7月1日 至 2025年6月30日、2025年9月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. エリアクエストってどんな会社?
エリアクエストは、事業用不動産の収益最大化を目指し、テナント誘致からビル管理までを一貫して提供する不動産ソリューション企業です。
■(1) 会社概要
同社は2000年にエリアリンクとして設立され、2001年にクエストホールディングスとの合併を経て現在の事業体制を構築しました。2003年には東証マザーズへの上場を果たし、2014年に東証二部へ市場変更、2022年4月の市場区分見直しに伴い、現在は東証スタンダード市場に上場しています。
同グループは連結従業員31名、単体10名の少数精鋭体制で運営されています。筆頭株主は代表取締役の資産管理会社である謙雅産業で、第2位には個人投資家の鈴木洋氏が名を連ねています。経営陣が主要株主として名を連ねており、オーナーシップを持った経営が行われています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 謙雅産業 | 44.30% |
| 鈴木 洋 | 11.92% |
| 清原 雅人 | 2.91% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性3名、女性3名の計6名で構成され、女性役員比率は50.0%です。代表取締役社長は清原雅人氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 清原 雅人 | 代表取締役社長 | 野村證券を経て、2000年1月に同社を設立し代表取締役社長に就任。グループ会社の代表も兼任し現職。 |
| 北原 美佳 | 取締役 | 2006年に同社に入社。2023年9月より同社取締役およびグループ会社の監査役に就任し現職。 |
社外取締役は、石川志保(BTホールディング取締役)です。
2. 事業内容
同社グループは、「不動産ソリューション事業」および「その他」事業を展開しています。
■(1) テナント誘致事業
ビルの所有者や経営者に対し、テナントのニーズ調査から誘致、リーシングまでを行う成功報酬型のサービスです。多店舗展開を行うクライアントの出店戦略に基づき、物件調査や設備環境の課題解決、出店実現までをサポートしています。
収益は、貸主と借主の賃貸借契約締結時に顧客から受け取る手数料が主な源泉です。運営は主に株式会社エリアクエスト店舗&オフィスが行っています。
■(2) 更新及び契約管理事業
ビルの収益性を維持・向上させるため、ビル経営におけるトラブル防止や解決のためのアドバイス、情報提供を行います。賃料滞納の解消や立ち退き交渉、相続問題への対応など、ビル経営に伴う様々な課題解決を支援しています。
収益は、ビル所有者等からの業務委託料などが源泉となります。運営は主に株式会社エリアクエスト不動産コンサルティングが行っています。
■(3) ビル管理事業
ビルのメンテナンスコスト効率化や法令対応のアドバイス、清掃業務、法定点検などを提供し、快適なビル経営をサポートします。また、ビル所有者からの要望に応じてサブリース(転貸)も行っています。
収益は、ビル所有者からの管理料や、サブリース物件および自社所有物件の入居者から受け取る賃料等が源泉です。運営は株式会社エリアクエスト店舗&オフィスおよび株式会社エリアクエスト不動産コンサルティングが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は21億円台から25億円近くまで緩やかに拡大傾向にあります。利益面では、経常利益が2億円前後で推移しており、売上高経常利益率は7〜10%の範囲で安定しています。第26期は増収となったものの、利益率はやや低下しました。
| 項目 | 2021年6月期 | 2022年6月期 | 2023年6月期 | 2024年6月期 | 2025年6月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 21億円 | 22億円 | 23億円 | 23億円 | 25億円 |
| 経常利益 | 2.2億円 | 1.7億円 | 2.3億円 | 2.2億円 | 1.9億円 |
| 利益率(%) | 10.1% | 7.9% | 10.1% | 9.5% | 7.6% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 1.4億円 | 1.0億円 | 1.1億円 | 1.3億円 | 1.1億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間の損益構成を比較すると、売上高は6.3%増加し25億円となりました。売上原価も増加しましたが、売上総利益は12.7%増加しています。一方、営業利益は前期の1.1億円から2.9億円へと大幅に伸長し、営業利益率も向上しました。
| 項目 | 2024年6月期 | 2025年6月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 23億円 | 25億円 |
| 売上総利益 | 6.4億円 | 7.2億円 |
| 売上総利益率(%) | 27.5% | 29.1% |
| 営業利益 | 1.1億円 | 2.9億円 |
| 営業利益率(%) | 4.9% | 11.8% |
販売費及び一般管理費のうち、支払手数料が0.6億円(構成比15%)、役員報酬が0.6億円(同14%)、給与手当が0.6億円(同14%)を占めています。売上原価においては、主に不動産賃貸原価(地代家賃、減価償却費等)が計上されています。
■(3) セグメント収益
第26期の販売実績を見ると、テナント誘致事業は前期比約1.8倍と大きく伸長しました。主力のビル管理事業も堅調に推移し増収となりましたが、更新及び契約管理事業は前期を下回りました。全体としては増収を達成しています。
| 区分 | 売上(2024年6月期) | 売上(2025年6月期) |
|---|---|---|
| テナント誘致事業 | 0.9億円 | 1.6億円 |
| 更新及び契約管理事業 | 0.6億円 | 0.6億円 |
| ビル管理事業 | 22億円 | 23億円 |
| 連結(合計) | 23億円 | 25億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
| 項目 | 2024年6月期 | 2025年6月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 0.6億円 | 3.0億円 |
| 投資CF | 3.8億円 | -1.8億円 |
| 財務CF | -1.9億円 | -3.3億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は7.5%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は35.1%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「地域密着を旨とし、貸主・借主に徹底サービスを提供する。情報と組織の強みを活かしたサービスに従事し、顧客と共に栄える。」という経営理念を掲げています。貸主と借主双方の利益を追求し、地域社会に貢献することを目指しています。
■(2) 企業文化
「テナント誘致・ビル管理・更新及び契約管理の三事業部が情報を共有・連携し、事業用不動産収益の最大化を追求する。」という企業哲学を持っています。各事業部が独立して動くのではなく、連携することで顧客の資産価値向上に取り組む姿勢を重視しています。
■(3) 経営計画・目標
同社グループは、中長期的に安定した成長を目指しており、以下の経営指標を目標として掲げています。
* 売上高経常利益率:10%
* 配当性向:30%以上
■(4) 成長戦略と重点施策
同社は独自の専門的な不動産サービスにより、問題解決力のある管理会社として顧客の囲い込みを進める方針です。特に中核事業においてリノベーションサブリース事業の拡大に注力しています。
* リノベーションサブリース件数目標:2026年6月期に280件
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
人材の多様性確保とスキル向上のため、採用活動の強化や新卒高校生の採用継続、女性管理職比率の向上、資格取得支援などに取り組んでいます。また、エンゲージメント向上や働き方改革のため、給与制度改革や福利厚生の充実、社内基幹システムの強化などを進めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年6月期 | 28.0歳 | 4.5年 | 5,579,723円 |
■(3) 人的資本開示
同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 経済状況について
不動産業界において事業を展開しているため、経済環境の悪化により、テナントの出店意欲減退や賃料相場の下落などが生じた場合、同社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 法的規制について
グループ会社において宅地建物取引業法に基づく免許を受けて事業を行っています。法令順守やコンプライアンス体制の整備に努めていますが、万が一法令違反等により免許取消等の行政処分を受けた場合、事業活動に支障をきたし業績に影響が及ぶ可能性があります。
■(3) 顧客情報について
営業活動を通じて入手した顧客情報をシステムに蓄積していますが、外部からの不正アクセス等により情報漏洩が発生した場合、社会的信用の低下や損害賠償請求等により、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。



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