環境管理センター 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

環境管理センター 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

スタンダード市場に上場。環境計量証明業を基盤に、測定・分析、環境コンサルタント、環境対策工事などを展開する環境総合コンサルタントです。2025年6月期の連結業績は、民間向け工事やアセスメントが堅調で増収となった一方、競争激化や販管費増加等の影響で経常利益は減益となりました。


※本記事は、株式会社 環境管理センター の有価証券報告書(第56期、自 2024年7月1日 至 2025年6月30日、2025年9月22日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 環境管理センターってどんな会社?


環境計量証明業を基盤とし、測定・分析から環境コンサル、対策工事までワンストップで提供する環境の総合コンサルタントです。

(1) 会社概要


1971年に水質分析業務を開始して設立され、1976年に計量証明事業の登録を行いました。1995年に日本証券業協会へ店頭登録し、2004年にジャスダック証券取引所へ上場しました。その後、土壌汚染対策法に係る指定調査機関の指定や測量業者登録を受け、2018年にはベトナムに子会社を設立するなど事業を拡大しています。

連結従業員数は288名、単体では257名です。筆頭株主は代表取締役社長の水落憲吾氏で、第2位は環境不動産等に関するコンサルティング会社です。第3位には従業員持株会が入っており、経営陣と従業員が主要な株主構成の一部を占めるオーナーシップの高い体制となっています。

氏名 持株比率
水落 憲吾 12.01%
フィールド・パートナーズ 9.81%
環境管理センター従業員持株会 6.90%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性0名の計7名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は水落 憲吾氏です。社外取締役比率は42.9%です。

氏名 役職 主な経歴
水落 憲吾 取締役社長(代表取締役) 1997年同社入社。取締役、執行役員営業推進室長、専務取締役東京支社長、営業本部長などを経て、2011年4月より現職。
清水 重雄 専務取締役(代表取締役)役員室長 1989年同社入社。執行役員首都圏支社長、プロジェクト事業本部長、常務取締役、経営企画室長などを歴任。サンエイテクニクス会長を兼務し、2022年7月より現職。
浜島 直人 取締役 1994年同社入社。執行役員管理部長、経営企画室長、管理本部長、国際企画部長などを歴任。KANKYO ENVIRONMENT SOLUTIONS会長を兼務し、2024年9月より現職。
堀 宏一郎 取締役 1996年同社入社。北関東支社長、東関東支社長、執行役員営業本部営業3部長、上席執行役員営業本部長などを経て、2025年7月より現職。


社外取締役は、渡辺 真一郎(元野村ビジネスサービス社長)、中嶋 教夫(明星大学経営学部教授)、安藤 謙一郎(ANDO Business Partners社長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「環境計量証明事業並びにこれら関連業務」および「その他」事業を展開しています。

(1) 環境調査・分析・監視


同社は、大気汚染、水質汚濁、土壌汚染、騒音、振動、悪臭など、あらゆる環境媒体の測定・分析を行っています。公共用水域や大気環境のモニタリング、工場排水や排ガスの測定、建設現場や道路・鉄道の環境調査など、官公庁や民間企業からの多様なニーズに対応しています。

収益は、国や地方自治体、民間企業等の顧客から、測定・分析業務の対価として受領する委託料等が主な源泉です。運営は主に環境管理センターが行っており、連結子会社のKANKYO ENVIRONMENT SOLUTIONS CO.,LTD.もベトナムで環境計量証明業を展開しています。

(2) 環境コンサルタント・アセスメント


大規模開発事業に伴う環境影響評価(環境アセスメント)や、環境計画策定、自然環境調査などを提供しています。また、国の環境政策に関わるコンサルティング業務や、環境啓発資料の制作、各種委員会の運営支援なども行い、データ解析に基づいた提案を行っています。

収益は、開発事業者や官公庁等から、調査・評価・計画策定等のコンサルティング業務の対価として受領します。運営は主に環境管理センターが行っています。

(3) 工事・土壌汚染対策


土壌汚染の調査から対策工事、アスベストの除去工事、給排水・空調設備工事などを提供しています。不動産取引時の土壌調査や、工場跡地の浄化対策、建築物の解体・改修に伴うアスベスト対策など、調査から対策まで一貫したソリューションを提供します。

収益は、建設業者や不動産所有者等から、工事請負代金として受領します。運営は主に環境管理センターが行っているほか、連結子会社のサンエイテクニクスも設備工事業を展開しています。

(4) その他(受託試験・放射能など)


製品開発に伴う性能試験やクリーンルームの性能評価を行う受託試験、食品や空間の放射能測定、農業関連の試験業務などを展開しています。また、省エネコンサルティングや関連資材の販売など、測定・分析の周辺領域へも事業を広げています。

収益は、メーカーや農業従事者、施設管理者等から、試験・測定手数料やコンサルティング料、商品代金として受領します。運営は主に環境管理センターが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は44億円から61億円へと着実に増加傾向にあります。一方、経常利益は2021年6月期の2.6億円から変動があり、直近の2025年6月期は0.9億円まで低下しました。利益率は低下傾向にあり、増収ながらも利益確保に苦戦している様子が見て取れます。

項目 2021年6月期 2022年6月期 2023年6月期 2024年6月期 2025年6月期
売上高 44億円 47億円 53億円 56億円 61億円
経常利益 2.6億円 1.1億円 0.5億円 3.3億円 0.9億円
利益率(%) 5.9% 2.4% 1.0% 5.8% 1.5%
当期利益(親会社所有者帰属) 2.0億円 2.3億円 0.1億円 1.7億円 -0.2億円

(2) 損益計算書


売上高は前期の56億円から61億円へ増加しました。一方、営業利益は3.3億円から1.1億円へ減少しており、売上総利益の減少や販管費の増加が利益を圧迫している構造が見られます。

項目 2024年6月期 2025年6月期
売上高 56億円 61億円
売上総利益 15億円 13億円
売上総利益率(%) 26.1% 21.9%
営業利益 3億円 1億円
営業利益率(%) 5.9% 1.8%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が4.2億円(構成比35%)、その他が3.0億円(同24%)を占めています。

(3) セグメント収益


工事分野が前期の9億円から19億円へと倍増し、全体の増収を牽引しました。アセスメント分野も堅調に推移しています。一方、政策コンサルや土壌・地下水、アスベスト分野などは減収となり、分野によって好不調が分かれる結果となりました。

区分 売上(2024年6月期) 売上(2025年6月期)
工事 9億円 19億円
アセスメント 7億円 8億円
土壌・地下水 9億円 8億円
政策コンサル 8億円 6億円
施設事業場 5億円 5億円
廃棄物 3億円 3億円
アスベスト 4億円 3億円
作業環境 2億円 3億円
環境監視 2億円 2億円
受託試験 2億円 2億円
農業 0.7億円 1億円
その他(放射能・出向派遣等) 3億円 0.6億円
連結(合計) 56億円 61億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


積極型:営業で利益を出し、借入によって積極投資を行う状態

項目 2024年6月期 2025年6月期
営業CF 5億円 2億円
投資CF -1億円 -2億円
財務CF -3億円 2億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は0.3%で市場平均を下回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も42.7%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「我々に関わる全てに感謝し、事業活動を通じて期待や要請に応え、社会的責任を果たしていく」という企業理念を掲げています。また、環境の総合コンサルタントとして、社会や顧客の環境保全活動、環境リスク回避に役立ち、社会の経済発展に寄与することを経営の基本方針としています。

(2) 企業文化


「至誠を以て経営の正道を歩む」を経営理念とし、役員・従業員の在り方として志「あやなろう」を定めています。「良い言霊で響きあおう」「世の中の素晴らしい人たちにたくさんあおう」「仲間を優しく、思いやろう」「雰囲氣を作る人になろう」「今を大切に出来る人になろう」という5つの標語のもと、人材育成や組織づくりを推進しています。

(3) 経営計画・目標


2027年6月期を最終年度とする第2次中期経営計画を策定しています。事業分野の選択と集中を進め、人的資本効率の向上と新規分野への挑戦により企業価値増大を目指しています。

* 売上高:70億円
* 経常利益額:3億5000万円
* ROE:10%維持
* PBR:1.2倍以上

(4) 成長戦略と重点施策


脱炭素社会の実現に向け、風力・太陽光発電施設建設に伴う環境アセスメントや、設備工事関連のソリューション強化、省エネ支援体制の整備を進めています。また、アジア諸国への技術展開によるグローバル化も目指しています。優先課題として以下の5点を掲げています。

* 人的資本価値向上
* 新規事業の推進とDX戦略
* 成長分野の拡大(政策コンサル、工事、省エネ等)
* 基盤分野の最適化
* 社会貢献

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「人材」を「人財」と捉え、育成・活用・交流・健康経営等の推進により人的資本価値の向上を目指しています。多様な人材が活躍できる組織づくりを推進し、階層別研修や次世代育成研修などを実施しています。また、ワークライフ・バランスの推進として、多様な働き方の実現や看護等休暇制度の充実にも取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年6月期 41.5歳 15.2年 4,952,353円


※平均年間給与は、税込支払給与額であり、基準外賃金及び賞与を含んでおります。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
管理職に占める女性労働者の割合 9.2%
男性労働者の育児休業取得率 100.0%
労働者の男女の賃金の差異(全労働者) 65.3%
労働者の男女の賃金の差異(正規雇用) 75.6%
労働者の男女の賃金の差異(パート・有期) 47.4%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、5年後定着率(60%)、男女の平均継続勤務年数(男性16.3年,女性12.3年)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 事業環境および法規制の影響


環境計量証明業は法規制に基づくビジネスであり、行政の環境規制動向やJIS等の改正により市場環境が大きく変化します。設備投資や人材育成を行っていますが、市場環境の変化に対応できない場合、収益力や採算性に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 官公庁受注への依存と変動


官公庁からの受注は全受注金額の約20~30%を占め、特に4~6月に集中する傾向があります。これらは競争入札が条件となるため、入札参加資格の有無や他社の落札等により、受注予測が変動し業績に影響を与える可能性があります。

(3) 事業登録および許認可の維持


環境計量証明業をはじめ、作業環境測定機関、建設コンサルタント、建設業など、多岐にわたる事業登録を行って事業を展開しています。法令違反等によりこれらの登録が取り消された場合、事業継続に支障をきたすおそれがあります。

(4) 分析施設の安全管理と環境リスク


分析施設では化学薬品等を取り扱っており、火災や爆発、有害物質の漏洩等のリスクが内在しています。地震や事故により施設の操業が停止した場合、事業計画に重大な影響を及ぼす可能性があります。対策として、拠点の分散や厳格な安全管理体制を構築しています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。