テー・オー・ダブリュー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

テー・オー・ダブリュー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード市場に上場するイベント・プロモーション企画・制作会社。体験価値を軸に、リアルとデジタルを融合した統合プロモーションを展開しています。直近の決算では、大型イベントや万博関連業務が寄与し増収経常増益となりましたが、労務関連の特別損失計上により当期純利益は減益となりました。


#記事タイトル:テー・オー・ダブリュー転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

※本記事は、株式会社テー・オー・ダブリュー の有価証券報告書(第49期、自 2024年7月1日 至 2025年6月30日、2025年9月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. テー・オー・ダブリューってどんな会社?


体験価値をコアとするプロモーションの企画・制作を行う独立系企業。リアルとデジタルの融合に強みを持ちます。

(1) 会社概要


1976年にイベント・プロモーションの企画制作会社として設立され、2000年に店頭登録を行いました。2008年に東証一部へ指定され、2022年の市場区分見直しでプライム市場へ移行後、2023年にスタンダード市場を選択しました。近年はAI活用やデジタル領域の強化に向け、株式会社モットやQetic株式会社を子会社化しています。

同社の連結従業員数は302名(単体219名)です。筆頭株主は資産管理業務を行う信託銀行で、第2位は個人の真木勝次氏、第3位も信託銀行となっています。大手広告会社の株式会社博報堂が主要な販売先となっており、強固な取引関係を有しています。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口) 13.44%
真木  勝次 9.62%
株式会社日本カストディ銀行(信託口) 4.77%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長は村津憲一氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。

氏名 役職 主な経歴
村 津 憲 一 代表取締役社長 2000年同社入社。第一本部長、体験デザイン本部長、営業統括などを歴任。2020年代表取締役副社長兼COOを経て、2022年1月より現職。
雨 宮 淳 平 代表取締役副社長兼チーフガバナンスオフィサー兼グループCHROHR室長 2006年同社入社。体験デザイン本部副本部長、第三本部長などを歴任。2024年取締役兼執行役員グループCHROを経て、2025年7月より現職。
市 川 公 彦 常務取締役兼執行役員 2004年同社入社。第一本部長、業務統括本部長などを歴任。2025年1月より株式会社ティー・ツー・クリエイティブ代表取締役社長を兼務し、2025年7月より現職。
舛 森 丈 人 取締役兼執行役員CFO兼管理本部長 丸紅エネルギー株式会社、株式会社丹青社を経て2003年同社入社。SP戦略本部長、エリア本部長、第二本部長などを歴任。2025年7月より現職。


社外取締役は、柳澤大輔(株式会社カヤック代表取締役CEO)、萩原新太郎(弁護士)、今西由加(キュリオジャパン株式会社代表取締役社長)、吉川友貞(プライムロード株式会社代表取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「イベント・プロモーション事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) リアルイベント


実際の会場に集客を行い開催するイベント等の企画・制作を行います。広報イベント、街頭イベント、ビジネスカンファレンス、官公庁・団体の大型案件などが含まれます。また、ポップアップストアの展開なども手がけ、リアルな体験価値を提供しています。

収益は、広告主や広告会社からの企画・制作・運営業務に対する対価として得ています。運営は、主にテー・オー・ダブリューおよび連結子会社の株式会社ティー・ツー・クリエイティブが行っています。

(2) ハイブリッドイベント


オンラインとオフラインを融合して開催されるイベント等の企画・制作を行います。ウェビナー、オンラインカンファレンス、eスポーツ大会などが含まれ、期間や日時を限定して実施されます。リアルとデジタルの双方を活用した体験を提供します。

収益は、イベントの企画・制作・運営費として顧客から受領します。運営は、テー・オー・ダブリューおよび株式会社ティー・ツー・クリエイティブが中心となって行っています。

(3) 統合プロモーション


リアルイベントに加え、TVCMを含む動画、SNS、デジタル広告などを組み合わせ、リアルとデジタルを統合した宣伝・広報を行います。動画制作やSNSアカウント運用、デジタル広告運用などが含まれ、企業のマーケティング課題を解決します。

収益は、動画制作費やSNS・広告運用の対価として得ています。運営はテー・オー・ダブリューに加え、TVCM・WEB動画領域では株式会社モットが、デジタルコンテンツ領域ではQetic株式会社がそれぞれ専門性を発揮しています。

(4) その他


上記カテゴリーに含まれない業務として、主に官公庁・団体からの事務局運営業務などを行っています。

収益は、事務局運営等の業務委託費として受領します。運営は主にテー・オー・ダブリューが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は2022年6月期に底を打った後、回復傾向にあります。特に2024年6月期以降は170億円台で推移し、利益面でも経常利益率が10%を超える高い水準を維持しています。当期は増収経常増益となりましたが、特別損失の計上により当期純利益は減少しました。

項目 2021年6月期 2022年6月期 2023年6月期 2024年6月期 2025年6月期
売上高 122億円 111億円 118億円 175億円 178億円
経常利益 7億円 9億円 12億円 21億円 22億円
利益率(%) 5.7% 8.3% 10.0% 11.8% 12.3%
当期利益(親会社所有者帰属) 8億円 5億円 4億円 12億円 11億円

(2) 損益計算書


直近2期間の損益構成を見ると、売上高の増加に伴い売上総利益も増加しています。売上総利益率は約17〜18%で推移しており、営業利益率も11〜12%と安定した収益性を保っています。販管費の増加を吸収し、営業増益を達成しています。

項目 2024年6月期 2025年6月期
売上高 175億円 178億円
売上総利益 29億円 32億円
売上総利益率(%) 16.8% 17.9%
営業利益 20億円 22億円
営業利益率(%) 11.5% 12.1%


販売費及び一般管理費のうち、その他が4億円(構成比39%)、従業員給料が3億円(同24%)を占めています。売上原価については、外注費が主要な構成要素となっています。

(3) セグメント収益


カテゴリー別の売上高を見ると、主力の「リアルイベント」が堅調に推移し、全体の約6割を占めています。「ハイブリッドイベント」も伸長しましたが、「統合プロモーション」は微減、「その他」は事務局業務の減少により大きく減少しました。

区分 売上(2024年6月期) 売上(2025年6月期)
リアルイベント - 112億円
ハイブリッドイベント - 22億円
統合プロモーション - 42億円
その他 - 1億円
連結(合計) 175億円 178億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

テー・オー・ダブリューは、営業活動で資金を獲得し、投資活動で設備投資を行い、財務活動で借入金の返済や配当金の支払いを行っています。

営業活動では、税金等調整前当期純利益や労務関連引当金の増加が主な要因となり、資金を獲得しました。投資活動では、有形固定資産の取得による支出がありました。財務活動では、配当金の支払いと短期借入金の返済が主な要因となり、資金を使用しました。

項目 2024年6月期 2025年6月期
営業CF 34億円 7億円
投資CF -0.4億円 -0.9億円
財務CF -7億円 -10億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「人と人とのコミュニケーションを大切にする心豊かな社会作りに貢献すること」を目標としています。2022年にはパーパス「新しい時代の体験を創る」を制定し、社会の変化に柔軟に適応しながら、普遍的な強みである「体験価値」を軸に新たな可能性を生み出すことを目指しています。

(2) 企業文化


同社は、どんなに時代が変化しても「体験」は形を変えて人々の心を動かすという信念のもと、リアルやデジタルを駆使して感動や共感を届けることを重視しています。社員一人ひとりが価値を生み出す源泉であるとし、「社員が財産」と捉える人間中心の文化を持っています。

(3) 経営計画・目標


株主重視の経営観点から企業価値最大化を図るため、収益性と効率性を重視しています。具体的な目標とする経営指標として、以下の2点を掲げ、その向上を目指しています。

* 連結経常利益
* 従業員一人当たりの売上総利益

(4) 成長戦略と重点施策


「クライアントの拡張」と「領域の拡張」による事業拡大を推進しています。リアルとデジタルの融合が進む中、体験デザインを進化させ、統合プロモーションの提供を強化します。また、労働制度の不備を契機としたガバナンス体制の再構築や、人的資本をはじめとする基盤強化に注力し、サステナビリティ経営を推進します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「働きやすさ」と「やりがい・成長」を両立させる人材基盤の確立を目指しています。法令遵守や制度見直しによる労働環境改革を進めるとともに、AI・テクノロジー活用による生産性向上を図ります。また、育成への投資拡大や評価・給与体系の見直しを通じ、社員の活躍と定着を支援します。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年6月期 31.6歳 5.8年 7,074,196円


※平均年間給与は基準外賃金及び賞与が含まれております。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
管理職に占める女性労働者の割合 16.7%
男性労働者の育児休業取得率 -
労働者の男女の賃金の差異(全労働者) -
労働者の男女の賃金の差異(正規雇用) -
労働者の男女の賃金の差異(非正規雇用) -


※同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 社会情勢及び自然災害、感染症の流行等


景気後退や自然災害、感染症の流行等により、クライアントの広告費削減やイベントの中止・延期が発生した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。特に大規模地震等は広告市場全体の冷え込みを招く恐れがあります。

(2) 個人情報漏洩に関するリスク


PマークやISMSの認証を取得し管理を徹底していますが、万が一管理体制や運用に瑕疵が生じ、個人情報の漏洩や不正利用が発生した場合には、同社グループの社会的信用や業績に重大な影響を与える可能性があります。

(3) 企画、制作業務に関する業界の特徴


イベント制作は企画から実施まで段階があり、天候や社会情勢による急な変更や中止、追加発注等により予算が変動する特性があります。また、品質問題等が発生した場合は信頼を損ねる可能性があります。同社は受注管理システムで進捗把握に努めています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。