※本記事は、株式会社テー・オー・ダブリュー の有価証券報告書(2025年6月期、2024年7月1日 ~ 2025年6月30日、2025年9月24日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
テー・オー・ダブリューは、体験領域をコアとするプロモーション全般の企画・制作およびそれに付帯する業務を展開しています。リアルイベント、ハイブリッドイベント、統合プロモーション、その他を業務カテゴリーとしています。
単体従業員数は219名、連結従業員数は302名です。同社グループの事業は単一セグメントです。
主な国内グループ会社は、(連結子会社)ティー・ツー・クリエイティブ(イベント制作・運営・演出)、(連結子会社)モット、(連結子会社)Qeticなどです。
2025年1月15日付でQeticを子会社化したことにより、デジタルコンテンツ領域を強化しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
株式会社テー・オー・ダブリューは、イベントプロモーションを主軸とする企業であり、その働き方はプロジェクトベースの特性を持つと考えられます。給与水準や働き方の特徴は、業界の動向や同社グループの事業戦略に影響を受ける傾向があります。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、平均年齢が比較的若く、平均勤続年数も短めであることから、活発な人材の入れ替わりやキャリア形成の機会が多い環境であると推測されます。若手社員が中心となって事業を推進している傾向が見られます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 7,074,196円 |
| 平均勤続年数 | 5.8年 |
| 平均年齢 | 31.6歳 |
| 単体従業員数 | 219人 |
| 連結従業員数 | 302人 |
| 単体のグループ内比率 | 72.5% |
同社グループは、退職給付制度として確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)と確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する)の両方を採用しています。これらの制度は、同社および連結子会社に適用されています。
退職一時金制度も設けられていますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
当連結会計年度における確定拠出制度への要拠出額は13百万円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
人材戦略に関する記載はありません。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。男性育児休業取得率および男女賃金差異は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく公表義務の対象項目として選択しておらず、公表されていません。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 16.7% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
テー・オー・ダブリューは、体験領域を核としたプロモーション全般の企画・制作を手掛ける企業です。リアルとデジタルを融合した多様なプロモーションを通じて、顧客の課題解決を支援しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、テー・オー・ダブリューと連結子会社(ティー・ツー・クリエイティブ、モット、Qetic株式会社)で構成されています。プロモーション業務の企画から制作実施までを一貫して手掛け、分析・調査、戦略立案、企画提案、実施制作、効果検証といった幅広い業務を提供しています。
リアルイベント、オンラインプロモーション、ウェブサイト、SNS、動画制作、デジタル広告、PR、OOH、TVCMなど、多岐にわたる手法を顧客の目的や課題に合わせて最適なチームを編成し、プランニング・プロデュースを行っています。連結子会社であるティー・ツー・クリエイティブはリアルイベントやハイブリッドイベントの制作・運営・演出を、モットはTVCMやWEB動画の企画・制作を、Qeticはデジタルコンテンツ領域の企画・制作・運用をそれぞれ担当しています。
同社グループの事業は単一セグメントですが、プロモーション業務を「リアルイベント」「ハイブリッドイベント」「統合プロモーション」「その他」のカテゴリーに分類しています。直近の売上高では、リアルイベントが最も大きく、次いで統合プロモーション、ハイブリッドイベントが続いています。リアルイベントは飲料や嗜好品の街頭プロモーション、ビジネスカンファレンス、官公庁・団体の大型案件が堅調に推移し、大阪・関西万博関連業務も寄与しています。
ハイブリッドイベントは情報通信関連やゲーム、IPコンテンツ等の案件が伸長しています。統合プロモーションはグループ連携による映像業務が増加していますが、大阪・関西万博へのリソース影響もあり、前期とほぼ横ばいで推移しています。その他カテゴリーは官公庁・団体からの事務局業務の減少が見られます。
収益は、顧客との契約から生じるプロモーション業務の対価として得られています。同社グループの売上高は本邦の外部顧客への売上高が大部分を占めており、海外比率は低い傾向にあります。特定の顧客への売上集中も見られ、株式会社博報堂が主要な顧客の一つとなっています。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの業績は、直近5年間で売上高と経常利益が増加傾向にあります。特に直近2期では売上高、経常利益ともに堅調な伸びを示しています。親会社株主に帰属する当期純利益は、直近の期で減少となりましたが、これは労働制度運用に関する是正措置対応に伴う特別損失の計上が主な要因となっています。
| 項目 | 2021年6月期 | 2022年6月期 | 2023年6月期 | 2024年6月期 | 2025年6月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 122億円 | 111億円 | 118億円 | 175億円 | 178億円 |
| 経常利益 | 7.0億円 | 9.2億円 | 11.8億円 | 20.6億円 | 21.9億円 |
| 経常利益率 | 5.7% | 8.3% | 10.0% | 11.8% | 12.3% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 4.6億円 | 6.0億円 | 3.6億円 | 14.1億円 | 11.3億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 10.14 | 13.22 | 8.61 | 34.71 | 27.72 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高(連結)は前期から減少しています。また、従業員1人あたり営業利益(連結)も前期から減少する傾向を示しています。これは、従業員数の増加に対して売上高や営業利益の伸びが追いつかなかったことを示唆しています。
| 指標 | 2024年6月期 | 2025年6月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 66.6百万円 | 58.9百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 7.6百万円 | 7.1百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
株式会社テー・オー・ダブリューは、本業で安定的に資金を生み出し、事業活動に必要な投資も行っている状況です。財務基盤の健全性を保ちながら、今後の成長に向けた資金運用を行っています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、自己資本比率とROE(自己資本利益率)からその健全性を確認できます。自己資本比率はプライム市場の非製造業平均と比較して高い水準にあり、強固な財務体質を示しています。ROEもプライム市場平均を上回っており、効率的な経営が行われていることがうかがえます。
手元資金である現金及び預金も潤沢に確保されており、不測の事態や将来の事業展開に備えるための余力がある状態です。これらの財務指標は、同社グループが安定した経営基盤を持ち、従業員の雇用や給与の安定性にも寄与する可能性を示しています。
| 指標 | 2024年6月期(前期) | 2025年6月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 93.0億円 | 98.9億円 |
| 自己資本比率 | 66.0% | 69.5% |
| ROE(自己資本利益率) | 15.9% | 11.8% |
| 現金及び預金 | 84.5億円 | 81.3億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローは、本業の営業活動で資金を獲得し、投資活動に資金を使い、財務活動で資金を返済する動きを示しています。当連結会計年度の営業活動によるキャッシュフローは7.3億円の獲得となりましたが、前連結会計年度と比較すると減少しています。これは主に、法人税等の支払額や仕入債務の減少額、売上債権の増加額があった一方で、税金等調整前当期純利益や労務関連引当金の増加額があったことによるものです。
投資活動によるキャッシュフローは△0.9億円の使用となり、前連結会計年度と比較して使用額が増加しています。これは主に、有形固定資産の取得による支出があったことによるものです。財務活動によるキャッシュフローは△9.7億円の使用となり、前連結会計年度と比較して使用額が増加しています。これは主に、配当金の支払額や短期借入金の返済による支出があったことによるものです。
結果として、フリーキャッシュフローは6.4億円の獲得となりましたが、前連結会計年度と比較すると減少しています。本業で安定して資金を生み出しつつも、前期と比較して資金の獲得が減少している傾向が見られます。
| 項目 | 2024年6月期(前期) | 2025年6月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 33.9億円 | 7.3億円 |
| 投資CF | △0.4億円 | △0.9億円 |
| 財務CF | △6.8億円 | △9.7億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 33.5億円 | 6.4億円 |
※フリーCF(フリーキャッシュ・フロー)とは、会社が事業活動と投資活動を通じて自由に使える余剰資金のこと。
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、景気・消費の悪化、感染症の世界的流行、自然災害等により、クライアントの広告・宣伝費の支出減少や業務の中止、受注の減少、規模の縮小等が生じ、業績に影響を与える可能性があります。また、販売先上位が広告会社であり、2025年6月期における主要な販売先に対する売上高構成比は58.5%となっています。広告会社より発注量の手控えがあれば、同社グループに影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループの競争力は、企画力・推進力・制作力を有する優秀な人材の確保と育成に依拠しています。今後の採用市場の動向や人材の流動性の高まり等によって、必要な人材の確保や育成が想定どおりに進まなかった場合、また特定人材への依存が高まった場合には、同社グループの業務遂行や競争力、ひいては業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
テー・オー・ダブリューは、イベント・プロモーションを通じて、人々の心豊かな社会づくりに貢献することを目指す会社です。新しい時代の体験を創造し、持続的な成長を追求する企業風土が特徴です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
テー・オー・ダブリューは1976年の設立以来、「人と人とのコミュニケーションを大切にする心豊かな社会作りに貢献すること」を目標としています。2022年2月にはパーパス「新しい時代の体験を創る」を制定しました。
同社グループは、社会・生活のデジタル化や生活者の価値観の多様化が進む中で、時代や世の中の変化に柔軟に適応し、最適な形に変えていくことを追求しています。普遍的な強みである「体験価値」を軸に、リアルやデジタルなど様々な方法を駆使し、柔軟な発想力で新たな可能性を生み出すことを目指しています。持続的な成長とパーパスの実現に向けて、体験デザインの進化による事業成長と、人的資本をはじめとした基盤強化によってサステナビリティ経営を推進しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、サステナビリティ方針として「社員一人一人が創り出す体験を通じて企業課題・社会課題に向き合い、持続的に成長する会社へ」を掲げています。この方針に基づき、人的資本経営を中心とする取り組みを推進しています。
経営及び組織運営におけるガバナンス体制の強化と企業倫理の浸透を図ることを重視しています。具体的には、コンプライアンス行動規範の再構築と社内浸透、意識改革の推進を通じて、実効性ある企業統治の確立を目指しています。サステナビリティ課題への取り組みは、経営陣や社員で構成されたサステナビリティ委員会において推進されています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、持続的な成長とパーパスの実現に向けて、体験デザインの進化による事業成長と人的資本をはじめとした基盤強化によってサステナビリティ経営を推進しています。特に基盤強化においては、2025年6月期に発覚した労働制度運用に関する不備を機に、ガバナンス体制の再構築を進めています。
2026年6月期には、ガバナンス体制の強化と意識改革の推進、外部視点を活用した監査・診断体制の構築、労働制度の適正化と制度設計の見直し、担当部門の実務運用体制の強化を重点テーマとしています。具体的には、代表取締役副社長兼チーフガバナンスオフィサー兼グループCHROを新たに設置し、制度運用及び体制の明確化を図っています。また、外部専門家と連携した労働制度の再設計や、労務・制度運用に関わる専門性の向上と業務対応体制の強化も進めています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
同社は監査等委員会設置会社として、取締役会の監督機能の強化と業務執行の迅速性・柔軟性の両立を図る体制を採用しています。社外取締役を含む多様な取締役によって構成される取締役会を中心に、監査等委員会、経営会議体、内部監査室、各種委員会等を有機的に組み合わせることで、経営の透明性と意思決定の実効性を高めています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社の株主構成を見ると、信託銀行が上位を占めており、機関投資家による安定的な保有がうかがえます。個人株主も上位に名を連ねています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 13.44% |
| 真木 勝次 | 9.62% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 4.77% |
なお、2025年5月15日現在で三井住友DSアセットマネジメントが2,934千株(5.99%)を所有している旨が大量保有報告書に記載されていますが、期末時点の実質所有株式数は確認できていません。
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は8名(男性7名・女性1名)で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長は村津憲一氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 村 津 憲 一 | 代表取締役社長 | 2000年同社入社。第一本部チームリーダー、執行役員第一本部長、常務取締役、専務取締役を経て、2022年1月より代表取締役社長。 |
| 雨 宮 淳 平 | 代表取締役副社長兼チーフガバナンス オフィサー 兼グループCHRO HR室長 | 2006年同社入社。第一本部チームリーダー、執行役員第三本部長、取締役兼執行役員を経て、2025年7月より代表取締役副社長兼チーフガバナンスオフィサー兼グループCHRO HR室長。 |
| 市 川 公 彦 | 常務取締役兼執行役員 | 2004年同社入社。第一本部チームリーダー、執行役員第一本部長、取締役兼執行役員を経て、2025年7月より常務取締役兼執行役員。 |
| 舛 森 丈 人 | 取締役兼執行役員CFO兼管理本部長 | 2003年同社入社。SP戦略本部長、取締役兼執行役員第二本部長、執行役員管理本部長を経て、2025年7月より取締役兼執行役員CFO兼管理本部長。 |
社外取締役は、柳澤大輔氏(㈱カヤック代表取締役CEO)、萩原新太郎氏(芝綜合法律事務所パートナー弁護士・監査等委員)、今西由加氏(キュリオジャパン㈱代表取締役社長・監査等委員)、吉川友貞氏(㈱エスユーエス取締役副社長・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、取締役会の監督機能の強化と業務執行の迅速性・柔軟性の両立を図る体制を採用しています。社外取締役を含む多様な取締役によって構成される取締役会を中心に、経営の透明性と意思決定の実効性を高めています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社では、監査等委員でない取締役に対する報酬は、固定報酬、業績連動型報酬としての役員賞与、譲渡制限付株式報酬、および株式報酬型ストックオプションで構成されています。社外取締役には、その職務に鑑み、固定報酬のみが支払われます。業績連動型報酬は連結経常利益を指標とし、目標達成率に応じて算定されます。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 4名 | 1.7億円 | 41.8百万円 |
| 社外役員 | 4名 | 26百万円 | 6.6百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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