CIJ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

CIJ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

プライム市場に上場するシステム開発企業。独立系SIerとして、システムの設計・製造から運用・保守までを一貫して手掛けます。直近の業績は、売上高269億円(前期比4.5%増)、営業利益22億円(同10.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益15億円(同57.7%増)と増収増益を達成しました。


※本記事は、株式会社CIJ の有価証券報告書(第50期、自 2024年7月1日 至 2025年6月30日、2025年9月17日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. CIJってどんな会社?


システム開発を中心に、コンサルティングから運用・保守まで幅広いITサービスを提供する独立系SIerです。

(1) 会社概要


1976年に横浜市で日本コンピュータ研究所として設立されました。2001年に店頭公開、2002年に東証二部上場を経て、2004年に東証一部へ指定されました。2022年の市場区分見直しによりプライム市場へ移行しています。直近では2024年10月に、電力系システム開発に強みを持つアドバンスソフトを完全子会社化し、事業基盤を拡大しています。

連結従業員数は1,677名(単体808名)です。大株主は、信託銀行の信託口が筆頭株主となっており、次いで事業会社の光通信、従業員持株会が名を連ねています。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 11.96%
光通信 7.80%
CIJ社員持株会 4.14%

(2) 経営陣


同社の役員は男性10名、女性1名の計11名で構成され、女性役員比率は9.1%です。代表取締役社長は坂元 昭彦氏が務めています。社外取締役比率は37.5%です。

氏名 役職 主な経歴
坂元 昭彦 代表取締役社長社長執行役員 1988年同社入社。執行役員経営企画部長、SIビジネス事業部長、営業本部長、カスタネット代表取締役社長を経て2019年より現職。
茨木 暢靖 取締役常務執行役員ADM本部長兼高度技術長 1987年同社入社。SIビジネス事業部長、事業推進本部長等を経て2025年より現職。
川上 淳 取締役常務執行役員営業統括本部長兼グローバルビジネス・デジタルソリューションR&D推進本部長 2000年同社入社。金融ビジネス事業部長、CIJネクスト代表取締役社長等を経て2024年より現職。
久保 重成 取締役上席執行役員デジタルイノベーションビジネス事業部長 1989年エヌ・ティ・ティ・データ通信入社。同社統括部長等を経て2019年同社入社。プライムビジネス事業部長等を経て現職。
白須 英大 取締役執行役員経営戦略本部長 2001年同社入社。ADM本部副本部長、経営戦略本部長、i-BRIDGE代表取締役を経て2024年より現職。


社外取締役は、川島 祐治(元NTTデータ経営研究所社長)、任田 信行(元日立社会情報サービス社長)、花川 典子(阪南大学教授)です。

2. 事業内容


同社グループは、「システム開発及びシステム開発に関連するサービス(システム開発等)」の単一報告セグメントで事業を展開していますが、売上品目として以下の領域を有しています。

(1) システム開発


システムの設計、製造から運用・保守業務までを提供しています。製造分野やエネルギー分野向けの受注が堅調に推移しており、主力事業としてグループ全体の成長を牽引しています。

収益は、顧客からのシステム開発受託費や保守運用費として得ています。運営は主にCIJおよびグループ各社が行っています。

(2) コンサルテーション及び調査研究


システムに関するコンサルテーションおよび調査研究業務を行っています。情報・通信分野の受注が堅調であり、AIエンジニアを活用した生成AI案件などにも取り組んでいます。

収益は、顧客に対するコンサルティング料や調査研究費として得ています。運営は主にCIJおよびグループ各社が行っています。

(3) システム/パッケージ・インテグレーション・サービス


システムまたは自社ソフトウェア製品のインテグレーション・サービスを提供しています。自治体向け福祉総合システムの標準化支援案件などが堅調に推移しています。

収益は、システム導入費やパッケージ製品のライセンス料、インテグレーション費用として得ています。運営は主にCIJおよびグループ各社が行っています。

(4) その他


コンピュータ製品の販売およびその他のサービスを提供しています。公共分野における運用保守案件などが含まれます。

収益は、製品の販売代金やサービス提供料として得ています。運営は主にCIJおよびグループ各社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績は、売上高、利益ともに増加傾向にあります。売上高は200億円規模から269億円まで順調に拡大し、経常利益も14億円から22億円へと成長しました。利益率も改善傾向にあり、当期純利益は直近で大きく伸長して15億円に達しています。全体として安定的な成長トレンドを維持しています。

項目 2021年6月期 2022年6月期 2023年6月期 2024年6月期 2025年6月期
売上高 204億円 215億円 229億円 257億円 269億円
経常利益 14億円 16億円 18億円 20億円 22億円
利益率(%) 6.8% 7.4% 8.0% 7.7% 8.2%
当期利益(親会社所有者帰属) 8億円 9億円 10億円 10億円 15億円

(2) 損益計算書


売上高の増加に伴い、売上総利益、営業利益ともに増加しています。売上総利益率は約20%強の水準で安定しており、営業利益率も改善傾向にあります。直近では営業利益率が8.1%となり、収益性の向上が見られます。

項目 2024年6月期 2025年6月期
売上高 257億円 269億円
売上総利益 53億円 56億円
売上総利益率(%) 20.5% 20.9%
営業利益 20億円 22億円
営業利益率(%) 7.6% 8.1%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が11億円(構成比31%)、賃借料が3億円(同9%)、役員報酬が4億円(同10%)を占めています。人件費関連が主要なコスト要因となっています。

(3) セグメント収益


全売上品目で増収を達成しています。主力のシステム開発は製造・エネルギー分野の好調により堅調に推移しました。システム/パッケージ・インテグレーション・サービスやその他部門は2桁成長を記録し、全体的な事業拡大に寄与しています。

区分 売上(2024年6月期) 売上(2025年6月期)
システム開発 225億円 233億円
コンサルテーション及び調査研究 10億円 10億円
システム/パッケージ・インテグレーション・サービス 7億円 9億円
その他 14億円 17億円
連結(合計) 257億円 269億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

CIJは、本連結会計年度において、事業活動から得られる収入が増加しました。一方で、将来の事業展開に向けた投資や株主還元策に伴う支出が増加しています。これらの活動の結果、現金及び現金同等物の期末残高は減少しました。

項目 2024年6月期 2025年6月期
営業CF 12億円 18億円
投資CF -5億円 -9億円
財務CF -9億円 -16億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「情報技術で人と社会にやさしい未来を創造します」を企業理念として掲げています。この理念のもと、情報技術による顧客の発展への貢献、世界に認められる技術や魅力ある製品の開発、環境変化の先取りによる進化と成長、社員の能力発現支援、効率的で透明性の高い経営に努めることを経営理念としています。

(2) 企業文化


同社は「社員の能力発現や自己実現への挑戦を支援します」という理念に基づき、社員を財産と捉える文化を持っています。社員および協働者の健康に配慮した安全で働きやすい環境整備を進めるとともに、多様な人格や個性を尊重する気風を醸成し、豊かな人間関係の形成に努めています。また、「CIJグループ行動憲章」等に基づき、コンプライアンスや企業倫理を遵守する姿勢を重視しています。

(3) 経営計画・目標


同社は中期経営計画「BEIT50」(2025年6月期〜2027年6月期)を推進中です。持続的な成長を目指し、事業環境やアドバンスソフトのグループ入り等を踏まえて計画を見直し、以下の数値目標を掲げています。

* 2026年6月期:売上高285億円、営業利益22.5億円
* 2027年6月期:売上高300億円、営業利益24.0億円

(4) 成長戦略と重点施策


同社は経営方針として、事業環境の変化への適応と新領域(生成AI、IoT等)への挑戦、特化型SEの育成推進、サステナビリティ経営の推進等を掲げています。また、顧客との信頼関係(Trust relationship)強化による事業拡大への貢献や、プライムビジネスの更なる拡大を重点施策としています。製品開発への投資や海外マーケットへの進出も推進しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は「特化型SEの育成推進」を経営方針の一つとして掲げ、技術力やプロジェクトマネジメント能力、業種特化ノウハウを持つスペシャリストの育成を推進しています。教育体制の強化や人材開発への投資を行うほか、健康経営やダイバーシティの推進を通じて、社員が能力を発揮できる環境整備に取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年6月期 38.5歳 13.4年 5,929,538円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
管理職に占める女性労働者の割合 14.4%
男性労働者の育児休業取得率 50.0%
労働者の男女の賃金の差異(全労働者) 87.1%
労働者の男女の賃金の差異(正規雇用) 86.9%
労働者の男女の賃金の差異(非正規) 94.1%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、PMP資格保有者率(14.0%)、IPA資格保有率(基本情報技術者試験以上)(66.6%)、ベンダー資格保有率(52.3%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 特定顧客への依存リスク


同社グループの主要顧客はNTTグループと日立グループであり、両グループへの売上高比率は約4割を占めています。両グループの事業方針の変化や業績悪化等により取引額が減少した場合、同社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。これに対し、重点顧客の開拓等により顧客ポートフォリオの分散を目指しています。

(2) 人材確保に関するリスク


情報サービス産業全体で人材不足と流動化が進んでおり、計画通りの人材確保が困難になる可能性があります。必要な人材が確保できない場合、業績等に影響を及ぼす恐れがあります。同社は採用活動の強化や、従業員エンゲージメントの向上、育成施策等に取り組んでいます。

(3) 景気変動・顧客動向の変化に関するリスク


ソフトウェア開発需要は景気動向の影響を受けやすく、経済情勢の変化により顧客の情報化投資が減退した場合、業績等に影響を及ぼす可能性があります。同社は官公庁、金融、製造など幅広い業種へソリューションを提供することで、特定分野への依存度を下げ、リスク分散を図っています。

(4) 技術革新・ビジネス革新等による市場喪失リスク


技術やビジネスモデルの変化が激しい業界であり、革新的な技術の進展に適切に対応できない場合、競争力を失い業績等に影響を及ぼす可能性があります。同社は先端技術の研究開発や海外企業との連携を通じて、技術習得と新ビジネスの創出に努めています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。