インテージホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

インテージホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所プライム市場に上場しており、マーケティング支援(消費財・サービス)、マーケティング支援(ヘルスケア)、ビジネスインテリジェンス事業を展開しています。直近の業績は、売上高656億円(前期比3.6%増)、経常利益41億円(同16.6%増)で増収増益となりました。


※本記事は、株式会社インテージホールディングス の有価証券報告書(第53期、自 2024年7月1日 至 2025年6月30日、2025年9月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. インテージホールディングスってどんな会社?


マーケティングリサーチの国内最大手であり、パネル調査やカスタムリサーチを通じて消費財・サービス・ヘルスケア分野の支援を行う企業です。

(1) 会社概要


1960年に社会調査研究所として設立され、パネル調査事業を開始しました。2001年にジャスダック市場へ上場し、2008年の東証二部上場を経て2009年に東証一部銘柄に指定されました。2013年には持株会社制へ移行し現商号に変更しました。2023年にはNTTドコモが親会社となり、新たな体制での事業展開を進めています。

連結従業員数は3,309名、単体では71名です。筆頭株主は親会社である通信事業者のNTTドコモで、第2位は資産管理業務を行う信託銀行です。従業員持株会も主要株主として名を連ねています。

氏名 持株比率
NTTドコモ 50.95%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 5.63%
インテージグループ従業員持株会 4.23%

(2) 経営陣


同社の役員は男性10名、女性2名、計12名で構成され、女性役員比率は16.7%です。代表取締役社長は仁司与志矢氏です。社外取締役比率は41.7%です。

氏名 役職 主な経歴
仁司与志矢 代表取締役社長 1992年社会情報サービス入社。インテージヘルスケア代表取締役社長等を経て、2024年7月より現職。
檜垣歩 取締役マーケティング支援(消費財・サービス)国内・海外事業担当、未来創造担当 1995年同社入社。インテージ代表取締役社長等を経て、2025年7月より現職。
大竹口勝 取締役当社取締役経営企画担当、関係会社担当 1985年同社入社。ドコモ・インサイトマーケティング代表取締役社長等を経て、2025年7月より現職。
竹内透 取締役当社取締役 CFO、経営管理担当 1987年埼玉銀行入行。同社財務部長、経営管理部長等を経て、2024年7月より現職。
石橋英城 取締役 1993年電通入社。NTTドコモ執行役員コンシューマサービスカンパニー統括長等を務め、2023年12月より現職。


社外取締役は、今井厚弘(フージャースホールディングス取締役)、渡邉温子(オンコセラピー・サイエンス取締役副社長)、中島肇(弁護士・元東京高等裁判所判事)、三山裕三(弁護士)、鹿島静夫(公認会計士・税理士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「マーケティング支援(消費財・サービス)」、「マーケティング支援(ヘルスケア)」、「ビジネスインテリジェンス」および「その他」事業を展開しています。

(1) マーケティング支援(消費財・サービス)


消費者や店舗から収集したデータを加工して提供するパネル調査や、マーケティング課題に応じたカスタムリサーチ、コミュニケーションサービス等を展開しています。消費財メーカーやサービス事業者などが主な顧客です。

顧客からの調査データ提供や分析サービスの対価が主な収益源です。運営は主にインテージ、インテージリサーチ、リサーチ・アンド・イノベーション、ドコモ・インサイトマーケティングや海外子会社が行っています。

(2) マーケティング支援(ヘルスケア)


製薬企業に対し、医療用医薬品に関する医師の処方実態調査やプロモーション活動の評価、一般用医薬品の販売データなどを活用したパネル調査やカスタムリサーチを提供しています。

製薬企業等からの市場調査や分析サービスの対価が主な収益源です。運営は主にインテージヘルスケア、協和企画、インテージリアルワールドなどが担当しています。

(3) ビジネスインテリジェンス


システムの開発・運用、BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)、ソフトウェア開発・販売、データセンター運用等を主な業務としています。また、AI技術の活用を見据えた研究開発も行っています。

システム構築・運用による業務プロセス改善支援やデータセンター利用料、ソフトウェア販売代金等が収益源となります。運営は主にインテージテクノスフィア、データエイジ、ビルドシステム等が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は5期間を通じて緩やかな増加傾向にあり、直近では656億円に達しています。利益面では一時的な減少も見られましたが、当期は回復し増益となりました。当期利益についても変動はあるものの、安定して黒字を維持しています。

項目 2021年6月期 2022年6月期 2023年6月期 2024年6月期 2025年6月期
売上高 576億円 602億円 614億円 633億円 656億円
経常利益 51億円 50億円 41億円 35億円 41億円
利益率(%) 8.8% 8.2% 6.6% 5.6% 6.3%
当期利益(親会社所有者帰属) 34億円 34億円 35億円 25億円 35億円

(2) 損益計算書


売上高の増加に伴い、売上総利益も増加しました。営業利益率は前期より上昇しており、本業の収益性が改善しています。

項目 2024年6月期 2025年6月期
売上高 633億円 656億円
売上総利益 220億円 245億円
売上総利益率(%) 34.8% 37.4%
営業利益 33億円 42億円
営業利益率(%) 5.2% 6.5%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が91億円(構成比45%)、賞与引当金繰入額が11億円(同5%)を占めています。

(3) セグメント収益


マーケティング支援(消費財・サービス)事業は増収増益となり、全体業績を牽引しました。マーケティング支援(ヘルスケア)事業は減収となったものの、大幅な増益を達成しています。ビジネスインテリジェンス事業は売上高が横ばいながら、利益は大きく伸長しました。

区分 売上(2024年6月期) 売上(2025年6月期)
マーケティング支援(消費財・サービス) 412億円 453億円
マーケティング支援(ヘルスケア) 143億円 124億円
ビジネスインテリジェンス 78億円 78億円
連結(合計) 633億円 656億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

インテージホールディングスは、最適資本構成の下、純利益から生じるキャッシュ・フローを成長投資と株主還元にバランス良く配分していく財務戦略を基本方針としています。

営業活動では、事業譲渡益などが主な収入となり、キャッシュ・フローは純収入となりました。投資活動では、投資有価証券の売却や事業譲渡による収入が、無形固定資産や子会社株式の取得による支出を上回り、キャッシュ・フローは純収入となりました。財務活動では、リース債務の返済や配当金の支払いによる支出が、キャッシュ・フローの純支出となりました。

項目 2024年6月期 2025年6月期
営業CF 20億円 64億円
投資CF -7億円 9億円
財務CF -22億円 -27億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「知る、つなぐ、未来を拓く Know today, Power tomorrow」をグループビジョンとして掲げています。お客様と生活者をつなぐ架け橋となり、豊かで可能性の広がる社会を創造することを経営の目的としています。

(2) 企業文化


経営の拠り所として「THE INTAGE GROUP WAY」を定め、5つの行動指針を掲げています。「最適を探求せよ!」「品質にこだわれ!」「責任を全うせよ!」「変化に柔軟であれ!」「挑戦を楽しめ!」とし、相手にとっての最適や期待を超える品質の追求、変化への対応と挑戦を重視する文化があります。

(3) 経営計画・目標


第14次中期経営計画(3か年)を推進しており、最終年度である2026年6月期に向けて以下の数値目標を掲げています。

* 連結配当性向:50%以上(累進的配当政策)
* ROE:12%

(4) 成長戦略と重点施策


「Data+Technology企業としてのNewPortfolioへ」を基本方針とし、マーケティングインテリジェンスとビジネスインテリジェンスを融合させた新たな価値創出を目指しています。特にNTTドコモとのシナジー実現やデータ連携を推進し、既存事業以外の領域への拡張を図ります。

* 消費財・サービス事業:国内ではNTTドコモとの連携による事業ドメイン拡張、海外では黒字化体制の構築とオンラインシフト強化を推進します。
* ヘルスケア事業:意思決定パートナーを目指し、業務支援から課題解決支援へのシフトによる高付加価値化を進めます。
* ビジネスインテリジェンス事業:DXパートナーとして成長し、データ統合基盤やデータ利活用支援領域を拡大します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「人」を重視し、多様な価値観を持つ社員が協働・共創することで活躍と成長の機会を創出することを目指しています。プロフェッショナリティ、コラボレーション、フレキシビリティをキーワードに、多様性の確保、能動的な学習機会の提供、ハイブリッドワーク等の職場環境整備を進め、組織全体の価値最大化を図っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年6月期 48.6歳 14.4年 8,969,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 28.7%
男性育児休業取得率 95.0%
男女賃金差異(全労働者) 78.3%
男女賃金差異(正規雇用) 82.4%
男女賃金差異(非正規) 73.1%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性従業員比率(51.3%)、新卒採用における女性比率(54.5%)、中途採用比率(44%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 情報の管理について


多種多様な企業情報や個人情報を取り扱う事業特性上、情報セキュリティ体制の整備に注力しています。しかし、不正アクセス等により情報の漏洩や改ざんが発生した場合、社会的信用の失墜や損害賠償等により、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) 事業上のリスクについて


消費財・サービス事業ではインターネット調査会社との競争激化やシステム投資負担の増加、ヘルスケア事業では製薬業界の動向や法規制の改正がリスク要因となります。また、ビジネスインテリジェンス事業におけるソリューション機能強化が想定通り進まない場合、業績に影響が出る可能性があります。

(3) 人材確保について


専門性の高い業務が多く、海外展開も進めているため、優秀な人材やグローバル人材の確保・育成が重要課題です。人材獲得競争の激化等により、必要な人材の確保や育成が順調に進まない場合、事業展開や業績に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 持株会社のリスク


持株会社である同社は、事業会社からの経営管理料や配当を収入源としています。そのため、各事業会社の業績や財政状態が悪化し、同社への配当支払いが困難になった場合、同社自体の業績や配当能力に悪影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。