※本記事は、ウェルネット株式会社 の有価証券報告書(2025年6月期、2024年7月1日 ~ 2025年6月30日、2025年9月25日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
ウェルネットは、事業者と消費者を結ぶ決済サービスの提供を中心とした決済・認証事業を展開しています。マルチペイメントサービス、送金サービス、電子マネーサービス、交通系事業者向けDX化ソリューションなどを手掛けています。
同社の単体従業員数は131名です。セグメントは決済・認証事業の1つです。
ウェルネットは、事業者と消費者を結ぶ決済サービスの提供を中心とした決済・認証事業を自社で行っています。具体的には、紙・ペーパーレス双方のマルチペイメントサービス、送金サービス、スマートフォンアプリ「支払秘書」による電子マネーサービス、「バスもり!」などの交通系事業者向けDX化ソリューションを提供しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
ウェルネットは、決済・認証事業を通じて社会インフラを支えるIT企業です。事業特性として専門性の高い技術力が求められることから、従業員が専門性を高めながらキャリアを築ける環境が期待されます。サステナビリティに関する取り組みや人材育成方針からは、従業員のWell-beingを重視し、働きやすい環境づくりに注力している傾向が見られます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、平均年齢が30代後半であり、平均勤続年数も一定の長さがあることから、比較的落ち着いた年齢構成で、従業員が長く働き続ける傾向が見られます。専門性を高めながらキャリアを築ける環境がうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,406,989円 |
| 平均勤続年数 | 8.2年 |
| 平均年齢 | 37.7歳 |
| 単体従業員数 | 131人 |
同社は、給与や勤続年数に応じて給付額が決まる確定給付型の企業年金制度を採用しています。退職一時金制度も併用されています。
ただし支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
年金資産は1.6億円です。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社は「安全・安心・快適・便利を最大効率で実現する」という経営理念に基づき、ITを活用した社会インフラの構築を目指しています。請求・決済の電子化を通じてペーパーレス社会の推進に貢献する企業活動そのものを重視しており、キャッシュレス社会への変革期をビジネスチャンスと捉え、積極的な経営姿勢で事業を展開しています。
人材戦略においては、女性従業員が多様なフィールドで活躍できるよう、職場環境づくりやワーク・ライフ・バランスの実現に向けた支援策を積極的に推進しています。具体的には、育児・介護に関する両立支援制度の整備と社内周知、女性活用支援策「育休復帰プラン」への参画検討を進めています。
また、女性従業員の職域拡大や積極的な採用・登用、残業時間の抑制促進、病気治療等で出勤が困難な従業員を対象とした在宅勤務制度の制定など、多様な働き方を支援する環境整備にも取り組んでいます。これらの施策を通じて、従業員一人ひとりが能力を最大限に発揮できる環境を目指しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。女性管理職比率および男女賃金差異は開示されていません。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
育児・介護支援
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
| 女性の育児休業取得率 | - |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
ウェルネットは、事業者と消費者の間に立ち、決済サービスの提供を主軸とした決済・認証事業を展開しています。多様な決済手段を提供することで、顧客の利便性向上と事業者の業務効率化を支援しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社は決済・認証事業の単一セグメントで事業を展開しています。主なサービスとして、請求書や払込取扱票を用いた代金回収を代行するマルチペイメントサービスを提供しています。このサービスには、紙の請求書を発行するビリングサービスと、請求書を電送で届け、Kiosk端末やATM、クレジットカード、スマホバーコード決済など多様な方法で決済できるE-ビリングサービスがあります。
また、事業者から消費者への送金代行を行う送金サービスや、スマートフォンアプリ「支払秘書」を活用したサーバー型電子マネーサービスも提供しています。交通系事業者向けには、スマートフォンアプリ「バスもり!」を通じたDX化ソリューションを展開し、バスや鉄道の予約・購入を可能にしています。その他、特定の事業者向けにカスタマイズしたマルチペイメントサービスや、電子チケット認証ソリューション、プリペイドカードのオンライン販売、各種申込サービスも手掛けています。
同社の収益は、初期設定料、月額基本料金、決済ごとの手数料などで構成されています。経営方針としては、キャッシュレス社会への変革期をビジネスチャンスと捉え、積極的な経営姿勢に転換しています。同社が目指すサービスプラットフォームは、一旦収益ラインを突破すると一気に拡大する可能性を秘めているという特徴があります。
主要な販売先としては、株式会社DEGICAやアマゾンジャパン合同会社があります。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社の直近2期の業績は、売上高、営業利益、経常利益、当期純利益のいずれも増加傾向にあります。特に経常利益は前期から大きく伸びています。これは、主力商材であるマルチペイメントサービスや送金サービス、アルタイルトリプルスターの需要拡大、および投資事業組合運用益などが要因となっています。
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
ウェルネットの財務基盤の状況と資金の流れから、同社の現在地を把握できます。事業活動で得た資金を、将来に向けた投資に充てている状況がうかがえます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社の財務基盤は、自己資本比率とROE、そして手元資金の状況から確認できます。自己資本比率は非製造業のプライム市場平均と比較して高い水準にあり、安定した財務体質を示しています。ROEもプライム市場平均を上回っており、効率的な経営が行われていることがうかがえます。手元資金も厚く、不測の事態への耐性があると考えられます。これらの状況は、入社後の雇用や給与の安定性にもつながる要素です。
| 指標 | 2024年6月期(前期) | 2025年6月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 83.8億円 | 88.6億円 |
| 自己資本比率 | 30.9% | 30.2% |
| ROE(自己資本利益率) | 10.3% | 12.6% |
| 現金及び預金 | 166.6億円 | 174.9億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社のキャッシュフローは、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローがプラスを維持しています。これは、事業を通じて安定的に資金を生み出していることを示しています。しかし、前期と比較すると営業活動によるキャッシュフローは減少しています。主な増加要因は税引前当期純利益と減価償却費の計上、収納代行預り金の増加であり、主な減少要因は預け金の増加です。
投資活動によるキャッシュフローは、当期はマイナスに転じています。これは、保証金の差入による支出が主な減少要因であり、事業拡大や設備投資に資金を投じている状況がうかがえます。前期は資金の獲得となっていました。財務活動によるキャッシュフローは、配当金の支払いや自己株式の取得により、継続してマイナスとなっています。
フリーキャッシュフローはプラスを維持しており、本業で得た資金が投資を上回る余力がある状態です。これらの資金の流れから、同社は本業で安定した資金を創出しつつ、将来に向けた投資も行っていることがわかります。この状況は、雇用や給与の安定性、そして今後の成長性にもつながる要素です。
| 項目 | 2024年6月期(前期) | 2025年6月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 26.4億円 | 24.1億円 |
| 投資CF | 3.3億円 | △8.3億円 |
| 財務CF | △3.9億円 | △7.4億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 29.8億円 | 15.8億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社は、特定の取引先への依存に関するリスクを認識しています。継続的に新規取引先の拡充に努めていますが、大口取引先向けの売上高が減少した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、提供する収納代行サービスは参入障壁が必ずしも高くないため、既存の決済代行業者間の競争激化や、新しい技術を活用した競合他社の出現、低価格競争により、業績に影響を受ける可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
人材・組織に関するリスクの記載はありません。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
ウェルネットは、ITを活用して社会に安全・安心・快適・便利を提供することを目指す企業です。北海道から新たなサービスを生み出し、日本のDX化を牽引することを使命としています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
ウェルネットは、2025年7月から2030年6月までの経営計画として「『Think Wild.』~ 新規サービスを北海道から生み出し、日本のDX化けん引企業に~」を策定しています。同社は「安全・安心・快適・便利を最大効率で実現する」という経営理念に基づき、ITを活用して様々な仕組みの実現を目指しています。現在提供しているサービスの収益最大化と、電子マネー・認証関連の新規事業育成に注力していく方針です。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
ウェルネットは、2023年1月に「サステナビリティ基本方針」を策定し、社会・環境問題の解決への貢献、社会からの信頼の確立、Well-beingの尊重、地域社会への貢献を骨子としています。経営理念「安全・安心・快適・便利を最大効率で実現する」に基づき、請求・決済の電子化を通じてペーパーレス社会の推進に資する企業活動を重視する企業風土です。
同社の本社社屋は「WELL認証」最高ランクのプラチナ認定と「第36回日経ニューオフィス賞」を受賞しており、従業員に最高レベルの労働環境を提供することで生産性向上や働き方改革を実践しています。人材の多様性を尊重し、女性従業員が活躍できる職場環境づくりやワーク・ライフ・バランス実現に向けた支援策を積極的に推進しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
ウェルネットは、IT利活用とDX化の推進自体が地球環境保全に資するものと認識し、地域貢献活動にも積極的に取り組んでいます。北海道の学生向けに“ウェルネット奨学金”を設立し、経済的に困難な学生の就学を支援しています。
また、地元北海道のウインタースポーツ振興に寄与するため、「スクラム」構想へ参画し、社員アスリートの活躍を支援しています。同社サービスプラットホーム「ekaiin.com」も活用し、ITによるスポーツ振興を促進しています。人的資本である従業員に最高レベルの労働環境を提供することで、生産性向上や働き方改革を通じた企業価値の向上を実践しています。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
ウェルネットは監査等委員会設置会社であり、取締役会は業務執行取締役と監査等委員である取締役で構成されています。執行役員制度も導入し、迅速な意思決定と経営監視の強化を図る体制となっています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
ウェルネットの筆頭株主は三井住友銀行であり、主要な金融機関が同社の資本を支えています。また、東京中小企業投資育成株式会社のような機関投資家や、代表取締役社長である宮澤一洋氏も上位株主として名を連ねています。特定の株主が過半数を占めるような構成ではなく、多様な株主によって支えられている状況です。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 三井住友銀行 | 4.88% |
| 東京中小企業投資育成 | 3.26% |
| 宮澤 一洋 | 2.88% |
| マーブル | 2.82% |
| 杉山 公敏 | 1.92% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は8名(男性7名・女性1名)で構成され、女性役員比率は13.0%です。代表取締役社長は宮澤一洋氏が務めています。社外取締役比率は37.5%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 宮澤 一洋 | 代表取締役執行役員社長 | 1983年東洋計器株式会社入社後、1996年株式会社一髙たかはし(現 株式会社いちたかガスワン)に入社。同年9月同社取締役営業部長に就任し、2009年9月より同社代表取締役執行役員社長として現職。 |
| 加藤 達也 | 取締役執行役員 本社営業部長 | 1988年株式住友銀行(現 三井住友銀行)入行。2013年三井住友銀行決済業務部長、2021年9月同社取締役執行役員決済イノベーション推進部長を経て、2024年7月より同社取締役執行役員本社営業部長として現職。 |
| 吉元 啓介 | 取締役執行役員 西日本支店長 兼本社社長室長 | 1986年三井物産株式会社入社。2001年三井物産テレパーク株式会社(現 株式会社ティーガイア)モバイル事業本部営業統括部長。2023年9月同社取締役執行役員西日本支店長兼社長室長を経て、2024年7月より同社取締役執行役員西日本支店長兼本社社長室長として現職。 |
| 東原 幸生 | 取締役執行役員 管理部長 | 1982年北洋相互銀行(現 北洋銀行)入行。2014年同行取締役事業戦略部長、2016年同行常務取締役。2023年9月同社取締役(監査等委員)を経て、2024年9月より同社取締役執行役員管理部長として現職。 |
| 中條 洋次 | 取締役執行役員 サービス開発部長 | 1988年富士銀行(現 みずほ銀行)入行。2014年みずほ情報総研株式会社(現 みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社)事業部長。2019年日本インベスター・ソリューション・アンド・テクノロジー株式会社常務取締役を経て、2024年9月より同社取締役執行役員サービス開発部長として現職。 |
社外取締役は、花澤隆氏(元NTTアドバンステクノロジ代表取締役社長・監査等委員)、浦田祥範氏(北海道ベンチャーキャピタル代表取締役社長・監査等委員)、山本・ティレル・由美氏(Nippon Investment Bespoke Research UK Ltd代表取締役・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、監査等委員である社外取締役が取締役の職務執行を監査し、経営監視機能を果たしています。独立した立場からの客観的かつ中立的な監視体制が整っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
ウェルネットの役員報酬は、優秀な人材の確保、企業価値の増大、株主との利害共有を目的として設計されています。基本報酬と業績連動報酬等で構成され、業績連動報酬には金銭報酬と譲渡制限付株式報酬が含まれています。基本報酬と短期実績を反映した金銭報酬、そして譲渡制限付株式報酬の割合は、原則として50%:50%を基準として設定されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 5名 | 76百万円 | 15.3百万円 |
| 社外役員 | 4名 | 16百万円 | 3.9百万円 |
同社の役員報酬の総額は92百万円であり、報酬の支給対象となった役員は合計9名です。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。
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