※本記事は、株式会社エヌジェイホールディングス の有価証券報告書(第34期、自 2024年7月1日 至 2025年6月30日、2025年9月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. エヌジェイホールディングスってどんな会社?
ゲーム事業(受託開発・運営)とモバイル事業(キャリアショップ運営)の2本柱で展開する企業グループです。
■(1) 会社概要
1991年に新都市科学研究所として設立され、1997年にネプロジャパンへ商号変更し携帯電話販売代理店事業を展開しました。2006年にジャスダックへ上場し、2014年には持株会社体制へ移行しました。2015年に現社名へ変更するとともにトライエースを子会社化しゲーム事業を本格化させ、2022年にスタンダード市場へ移行しました。
連結従業員数は866名、単体では18名の体制です。筆頭株主は資産管理会社の有限会社リーコムで、第2位、第3位には個人株主が名を連ねています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| リーコム | 30.09% |
| 滝西 竜子 | 19.06% |
| 中村 英生 | 15.28% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長は福田 尚弘氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 福田 尚弘 | 代表取締役社長 | 京成ハウジング入社後、2000年同社入社。ゲームスタジオ代表取締役、同社取締役等を経て2022年より現職。 |
| 五反田 義治 | 取締役 | 日本テレネットを経て1995年トライエース入社。同社代表取締役。2020年より現職。 |
| 中野 喜一郎 | 取締役 | 横浜ゴム、日東工業代表取締役社長、東京アイテック代表取締役等を経て2010年より現職。 |
社外取締役は、宮田彰彦(さざれキャピタルマネジメントマネージングディレクター)、滝西敦子(京都先端科学大学准教授)です。
2. 事業内容
同社グループは、「ゲーム事業」「モバイル事業」および「その他」事業を展開しています。
■(1) ゲーム事業
家庭用ゲームソフトやスマートフォン向けアプリ等の企画・開発・運営を行っています。主要な顧客は大手ゲームパブリッシャー等です。
収益は、受託開発業務における開発売上、運営受託による運営費、およびレベニューシェア収入等から成ります。運営は主にゲームスタジオ、トライエース、ウィットワン、ウィットワン沖縄、テックフラッグが行っています。
■(2) モバイル事業
特定の通信事業者の端末・サービスを取り扱うキャリアショップ(auショップ等)や、複数の通信事業者を扱う複合販売店「PiPoPark」の運営を行っています。
収益は、通信事業者からの契約取次手数料、販売手数料、および端末販売益等から成ります。運営は主にネプロクリエイトが行っています。
■(3) その他
報告セグメントに含まれない事業として、クレジット決済事業等を行っています。
収益は、加盟店からの決済手数料等から成ります。運営は主に同社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
2021年6月期には約120億円あった売上高は、以降減少傾向にあります。利益面では2022年6月期、2023年6月期と経常赤字が続きましたが、2024年6月期に黒字転換を果たしました。2025年6月期は減収となり、利益率も低下しましたが、黒字を確保しています。
| 項目 | 2021年6月期 | 2022年6月期 | 2023年6月期 | 2024年6月期 | 2025年6月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 120億円 | 107億円 | 101億円 | 97億円 | 91億円 |
| 経常利益 | 2.0億円 | -8.7億円 | -2.6億円 | 1.0億円 | 0.3億円 |
| 利益率(%) | 1.7% | -8.1% | -2.6% | 1.0% | 0.3% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -0.9億円 | -9.4億円 | -3.9億円 | 3.5億円 | 0.3億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期比で減少しました。売上原価率の改善により売上総利益は微増しましたが、販売費及び一般管理費の負担増により、営業利益は前期の約半分となりました。
| 項目 | 2024年6月期 | 2025年6月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 97億円 | 91億円 |
| 売上総利益 | 18億円 | 18億円 |
| 売上総利益率(%) | 18.2% | 19.7% |
| 営業利益 | 1.0億円 | 0.5億円 |
| 営業利益率(%) | 1.1% | 0.6% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が7億円(構成比39%)、その他経費が6億円(同34%)を占めています。売上原価においては、労務費や外注費等が主要な構成要素となっています。
■(3) セグメント収益
ゲーム事業は、開発体制のピークアウトや運営案件の縮小により減収減益となりました。モバイル事業は、新規出店や既存店の好調により増収増益を達成しました。その他事業は減収減益となっています。
| 区分 | 売上(2024年6月期) | 売上(2025年6月期) | 利益(2024年6月期) | 利益(2025年6月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| ゲーム事業 | 76億円 | 65億円 | 3.4億円 | 2.4億円 | 3.6% |
| モバイル事業 | 21億円 | 25億円 | 0.5億円 | 1.0億円 | 4.1% |
| その他 | 0.7億円 | 0.7億円 | 0.4億円 | 0.3億円 | 41.5% |
| 調整額 | -0.2億円 | -0.1億円 | -3.2億円 | -3.2億円 | - |
| 連結(合計) | 97億円 | 91億円 | 1.0億円 | 0.5億円 | 0.6% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社グループは、事業運営に必要な流動性と資金源を安定的に確保することを基本方針としております。
営業活動によるキャッシュ・フローは、主にゲーム事業やモバイル事業における開発、仕入、販売活動の結果として生み出されています。
投資活動によるキャッシュ・フローは、ソフトウェアを含む設備投資やM&A等に充てられています。
財務活動によるキャッシュ・フローは、自己資金及び金融機関からの借入金による調達によって形成されています。
| 項目 | 2024年6月期 | 2025年6月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 6.6億円 | -4.8億円 |
| 投資CF | 4.2億円 | -1.9億円 |
| 財務CF | -5.3億円 | -1.7億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「超悦」を経営理念として掲げています。人と技術をつなぎ、顧客に満足を超える感動と悦びを与える商品・サービスの提供を通じて、投資家や株主から期待される会社作りを目指しています。
■(2) 企業文化
同社は、クリエイターが持つ創造性を価値あるコンテンツとして世に送り出すことや、人的資本価値を最大限に引き出すことを重視しています。職業人としての能力開発や成長機会の充実を図り、自社で働く魅力を高めることで、人材の多様性や専門性を尊重する文化の醸成に取り組んでいます。
■(3) 経営計画・目標
同社は、中期経営計画(2025年6月期から2027年6月期)において、最終年度の数値目標を掲げています。
* 連結営業利益:4億円
* ゲーム事業セグメント利益:6億円
* モバイル事業セグメント利益:1億円
■(4) 成長戦略と重点施策
ゲーム事業では、翻訳やソーシャルリスニング等の海外対応業務の拡大、企画提案型の開発人材育成、AI活用による品質向上に取り組みます。モバイル事業では、店舗運営ビジネスの拡大やAIスマートフォンの魅力訴求、新規出店機会の探索を進め、収益拡大を目指します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
ゲーム事業では大型プロジェクトを率いるコア人材の育成やクリエイターの底上げを重視し、モバイル事業では組織の活性化と人材層の充実を図っています。また、財務数値に表れない人的資本への投資を促進し、各事業分野での能力開発やキャリア形成支援を通じて、採用競争力の向上と人材の定着を目指しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年6月期 | 46.4歳 | 8.9年 | 7,578,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | -% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 88.4% |
| 男女賃金差異(正規) | 85.5% |
| 男女賃金差異(非正規) | 98.3% |
※上記は連結子会社である株式会社ウィットワンの実績です。提出会社およびその他の連結子会社は公表義務の対象ではないため記載を省略しています。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、管理職の性別多様性に関する指標(連結)(54.3%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) ゲーム受託開発の変動性
ゲーム事業の売上は受託開発やレベニューシェアに依存しています。仕様変更や納期延期、販売先のプロモーション戦略変更等により、売上計上時期や金額が変動し、業績に影響を与える可能性があります。また、開発費高騰や競争激化により収益性が低下するリスクもあります。
■(2) 特定の販売先への依存
売上高において特定の主要取引先(大手ゲーム会社等)への依存度が高くなっています。取引先の経営方針変更や取引条件の見直し、契約解除等が発生した場合、同社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(3) モバイル事業の契約リスク
モバイル事業は通信事業者の一次代理店との販売代理店契約に基づき店舗運営を行っています。契約は原則自動更新ですが、通信事業者の戦略変更による手数料条件の改定や、万が一契約が解除された場合、同事業の収益基盤に影響を与える可能性があります。
■(4) 専門人材の確保と育成
ゲーム事業およびモバイル事業ともに、高度な技術やノウハウを持つ人材が競争力の源泉です。採用競争が激化する中で、優秀なクリエイターや店舗スタッフの確保・育成が計画通りに進まない場合、事業運営や成長戦略に支障をきたす可能性があります。



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