ビューティカダンホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ビューティカダンホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード市場上場。葬儀社向けの生花祭壇事業を中核に、生花卸売、ブライダル装花事業を展開する企業グループです。直近の業績は、生花祭壇事業や卸売事業が伸長し連結売上高は増収となりましたが、原材料費や人件費の高騰、一部事業の営業損失計上などにより、経常利益は大幅な減益となりました。


※本記事は、株式会社ビューティカダンホールディングス の有価証券報告書(第29期、自 2024年7月1日 至 2025年6月30日、2025年9月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ビューティカダンホールディングスってどんな会社?


生花祭壇の企画・制作・設営を主力とし、生花卸売やブライダル装花も手がける生花関連の企業グループです。

(1) 会社概要


1974年に創業し、生花祭壇の販売や生花卸売を開始しました。2000年に法人化、2006年に東証マザーズへ上場し、その後東証二部を経て2022年にスタンダード市場へ移行しました。2013年には生花卸売事業を子会社化するなど組織再編を進め、2024年1月に持株会社体制へ移行し、現在の商号となりました。

2025年6月30日時点で、連結従業員数は221名、単体従業員数は15名です。筆頭株主は会長の三島美佐夫氏が代表を務める株式会社MMC、第2位は創業者の三島美佐夫氏であり、経営陣およびその関連会社が主要株主となっています。

氏名 持株比率
MMC 22.22%
三島 美佐夫 12.73%
謝花 斉 1.94%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性2名の計9名で構成され、女性役員比率は22.2%です。代表取締役社長は舛田正一氏です。社外取締役比率は11.1%です。

氏名 役職 主な経歴
三島 美佐夫 代表取締役会長 1974年ビューティ花壇創業。2000年社長、2003年会長。MMC社長、セレモニーサービス社長などを兼任し、2020年9月より現職。
舛田 正一 代表取締役社長 1990年入社。流通統括部長、業務本部長、経営企画室長などを歴任。アグリフラワー社長などを経て2024年1月より現職。
三島 まりこ 専務取締役経営管理本部長兼財務経理部長 2004年入社。役員秘書室長、経営企画室長、経営企画本部長などを歴任。キャリアライフサポート社長などを兼任し、2024年9月より現職。
田口 絹子 取締役総務人事部長 2006年入社。クラウンガーデネックス(現ビューティ花壇西日本)社長、コーポレート部長などを経て2020年9月より現職。
栁田 晋介 取締役経営・IT企画部長 2013年入社。総務人事部長、経営企画部長などを歴任。2023年6月より現職。


社外取締役は、新改敬英(熊本学園大学大学院会計専門職研究科准教授)です。

2. 事業内容


同社グループは、「生花祭壇事業」「生花卸売事業」「ブライダル装花事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) 生花祭壇事業


葬儀関連会社を主な顧客とし、生花祭壇や供花など葬儀における主要商品を制作し、設営までを含めた販売を行っています。近年は家族葬などの小規模葬儀の普及に対応したサービスや商品開発にも注力しています。

収益は、葬儀関連会社への生花祭壇および供花の販売代金です。運営は、主に関東・東北エリアをビューティ花壇東日本、関西・九州エリアをビューティ花壇西日本、沖縄エリアを花時が担当しています。

(2) 生花卸売事業


国内外の生産者や卸売市場から生花を仕入れ、生花小売店や葬儀関連会社、およびグループ内の生花祭壇事業に対して販売を行っています。海外生産地からの直接輸入や、コールドチェーン(冷蔵輸送)による品質管理を特徴としています。

収益は、生花小売店や葬儀社への生花販売代金です。運営は、マイ・サクセスが主体となり行っています。グループ内の仕入機能としての役割も担い、スケールメリットによる価格競争力の強化を図っています。

(3) ブライダル装花事業


ホテルや専門結婚式場、ゲストハウスなどを顧客とし、高砂花、卓上花、ブーケなどの婚礼用生花商品を制作し、設営までを含めて提供しています。完全予約制の特徴を活かし、在庫ロスを抑えた効率的な運営を行っています。

収益は、結婚式場やエンドユーザー(新郎新婦)からの装花制作・設営料です。運営は、主にビューティ花壇西日本が担当しています。関西・九州エリアでの新規顧客獲得や、リテール部門の商品力強化に取り組んでいます。

(4) その他


上記報告セグメントに含まれない事業として、冠婚葬祭に関する企画・コンサルタント、就労継続支援、農業、レストラン事業、肥料の製造・販売などを行っています。

収益は、コンサルティング料、就労支援事業の給付金・売上、農産物や肥料の販売代金、飲食代金など多岐にわたります。運営は、セレモニーサービス、キャリアライフサポート、アグリフラワー、THE MOMENT、南産業などの子会社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は直近5期間において増加傾向にあり、事業規模は拡大しています。一方、利益面では変動が見られ、2025年6月期は売上高が過去最高水準に達したものの、経常利益は大幅に減少し、利益率は0.1%まで低下しました。当期純利益については、子会社株式の売却益などの特別利益計上により前期を上回っています。

項目 2021年6月期 2022年6月期 2023年6月期 2024年6月期 2025年6月期
売上高 53億円 59億円 64億円 70億円 76億円
経常利益 1.0億円 1.3億円 1.4億円 1.0億円 0.0億円
利益率(%) 1.9% 2.2% 2.1% 1.4% 0.1%
当期利益(親会社所有者帰属) 0.8億円 0.9億円 0.9億円 0.3億円 0.4億円

(2) 損益計算書


売上高は増加しましたが、売上原価の増加率が売上高の伸びを上回り、売上総利益は微減となりました。さらに販売費及び一般管理費が増加したことにより、営業損益は赤字に転落しました。原価および販管費のコントロールが課題となっている状況がうかがえます。

項目 2024年6月期 2025年6月期
売上高 70億円 76億円
売上総利益 10億円 10億円
売上総利益率(%) 14.2% 12.8%
営業利益 0.8億円 -0.1億円
営業利益率(%) 1.2% -


販売費及び一般管理費のうち、給料手当が2.7億円(構成比27.5%)、役員報酬が2.3億円(同23.7%)を占めています。

(3) セグメント収益


生花祭壇事業と生花卸売事業は増収となりましたが、生花祭壇事業は利益が減少しました。生花卸売事業は増益を確保しています。ブライダル装花事業は減収となり、赤字幅が拡大しました。その他事業は増収となったものの、赤字幅が拡大しています。全体として、売上拡大に対し利益確保に苦戦している状況です。

区分 売上(2024年6月期) 売上(2025年6月期) 利益(2024年6月期) 利益(2025年6月期) 利益率
生花祭壇事業 39億円 41億円 3.3億円 2.2億円 5.4%
生花卸売事業 22億円 26億円 0.3億円 0.6億円 2.3%
ブライダル装花事業 3.5億円 3.4億円 -0.0億円 -0.2億円 -
その他 5.3億円 6.3億円 -0.0億円 -0.3億円 -
調整額 -10.8億円 -12.0億円 -2.8億円 -2.3億円 -
連結(合計) 70億円 76億円 0.8億円 -0.1億円 -

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社のCF状態は「救済型」(本業赤字を資産売却+借入で補填)です。

項目 2024年6月期 2025年6月期
営業CF 1.0億円 -0.3億円
投資CF -0.7億円 0.7億円
財務CF 0.9億円 1.1億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は7.4%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は21.1%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「花咲く未来を創造する」をグループミッションとし、「花と儀礼の文化をテクノロジーの活用により進化させ、継承し、人々のくらしと心をより豊かにすることに貢献する」ことをグループ理念として掲げています。新体制による収益力強化とサステナビリティ経営の推進により、企業価値向上を目指しています。

(2) 企業文化


同社は「技術による付加価値」を重視する文化を持っています。生花祭壇事業において、故人の人柄を偲ばせるデザインや、喪家の要望に応じた創作祭壇を提案できるよう、高度な技術レベルを持つ技術者の養成を念頭に置き、日々技術の練磨に励む姿勢を大切にしています。また、技術者の技術レベル向上を図れる制度や環境を整備しています。

(3) 経営計画・目標


同社は中期経営計画(2025年6月期~2027年6月期)を策定しており、新体制によるグループ収益力強化とサステナビリティ経営の推進を基本方針としています。資本効率の向上を重要な課題と位置づけ、中長期的にはROE15%以上を目指しています。

* ROE 15%以上(中長期目標)

(4) 成長戦略と重点施策


経営基盤の強化、各事業の売上拡大、サステナビリティ経営の推進を重点目標として掲げています。M&Aによる事業多角化、DX推進による業務効率化、各事業エリアの拡大や新商品開発などを進める方針です。

* 経営基盤強化:M&Aによる事業多角化、人的資本の価値向上、DX推進
* 生花祭壇事業:既存エリアの戦略的拡大、新商品開発、人材獲得・育成
* 生花卸売事業:産地開拓による新商品構築、事業承継による拡大
* ブライダル装花事業:新規取引先開拓、リテール強化、ノベルティ売上拡大

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、女性の活躍促進を含む社内における多様性の確保が中長期的な成長に有益であると認識し、女性の積極的な採用・教育を実施しています。また、従業員エンゲージメント向上を目的としたベースアップの実行や、リモートワーク、フレックスタイム制度の導入など、働きやすい職場づくりと生産性向上に取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年6月期 40.2歳 7.8年 4,171,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社および連結子会社は「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」等の規定による公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 葬儀施行価格の低下傾向について


葬儀の簡素化が進み、葬儀施行価格が全般的に低下する傾向にあります。同社は提案力や技術力による差別化、加工物流部門による原価低減などで対応していますが、全体的な価格低下が著しい場合、販売価格の下落を余儀なくされ、業績に影響を与える可能性があります。

(2) 競合他社の影響について


同社は品質や教育体制などで優位性を持つと考えていますが、葬儀形態の著しい変化などでその優位性が失われる可能性があります。また、生花卸売事業において、卸売市場の手数料自由化や異業種参入などによる競争激化が進んだ場合、ビジネスモデルの優位性維持が困難になり、業績に影響を与える可能性があります。

(3) 人材育成(技術者)について


生花祭壇の技術者養成には長時間を要します。事業の急展開に養成が追いつかない場合や、附帯業務により技術者が本来の業務に集中できない場合、熟練度が不足する事態が想定されます。これにより十分な技術者を確保できず、技術の優位性を維持することが困難となる可能性があります。

(4) 生産、仕入に影響を及ぼす天候・気候について


生花は天候の影響を受けるため、異常気象や災害で生産量が減少し価格が高騰すると、生花卸売事業の利益は増える一方、生花祭壇事業の原価が上昇する可能性があります。仕入価格の高騰が続いたり、為替変動によるコスト増を販売価格に転嫁できない場合、利益率が低下する可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。