サニーサイドアップグループ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

サニーサイドアップグループ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

同社は東京証券取引所スタンダード市場に上場しており、PR発想を軸としたブランドコミュニケーション事業や「bills」を展開するフードブランディング事業を手掛けています。直近の業績では、主力のPR事業や販促施策が好調に推移し、売上高および各段階利益で過去最高を更新する増収増益となりました。


※本記事は、株式会社サニーサイドアップグループ の有価証券報告書(第40期、自 2024年7月1日 至 2025年6月30日、2025年9月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. サニーサイドアップグループってどんな会社?


PR発想を軸にあらゆるコミュニケーション手法を用いて課題を解決する「PRコミュニケーショングループ」です。

(1) 会社概要


1985年にPR代行会社として設立され、1990年代にはスポーツ選手のマネジメント事業を開始しました。2008年に大阪証券取引所ヘラクレスに上場し、「bills」運営子会社を設立してフード事業へ本格参入しました。2020年に持株会社体制へ移行し、現商号に変更しています。2023年には連結子会社間の合併を行い、中核事業の再定義と効率化を進めました。

連結従業員数は403名、単体では45名です。筆頭株主は株式会社ネクストフィールドで、第2位は創業者の次原悦子氏、第3位は代表取締役副社長の渡邊徳人氏となっており、経営陣が主要株主として名を連ねています。

氏名 持株比率
ネクストフィールド 36.68%
次原悦子 7.86%
渡邊徳人 5.10%

(2) 経営陣


同社の役員は男性3名、女性3名の計6名で構成され、女性役員比率は50.0%です。代表取締役社長は次原悦子氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。

氏名 役職 主な経歴
次原悦子 取締役社長(代表取締役) 1985年同社設立と共に取締役に就任し、1997年より現職。日本経済団体連合会ダイバーシティ推進委員会委員長や国際PR協会会長なども歴任。
渡邊徳人 取締役副社長(代表取締役) 税理士登録を経て1997年同社監査役に就任。2006年より現職。グループ会社のクムナムエンターテインメントやフライパン、ステディスタディ等の代表も兼任。
白井耀 取締役(監査等委員) 2000年同社入社後、エンタテインメント事業部長、管理本部長、PR本部長などを歴任。2016年常勤監査役を経て2017年より現職。


社外取締役は、長井亨(リンカーン・インターナショナル・シニアアドバイザー)、藤井麻莉(三浦法律事務所パートナー)、服部景子(服部景子公認会計士事務所所長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「ブランドコミュニケーション事業」「フードブランディング事業」「ビジネスディベロップメント事業」の3つの報告セグメントを展開しています。

ブランドコミュニケーション事業

企業の活動や商品価値を伝えるための戦略策定、施策立案・支援を行っています。PR、イベント、SNS戦略、キャスティングに加え、店頭での販促施策や商品企画も手掛けています。
運営は主に株式会社サニーサイドアップが行っており、株式会社クムナムエンターテインメントや株式会社ステディスタディなども特定領域のサービスを提供し、クライアントから対価を得ています。

フードブランディング事業

オーストラリア・シドニー発のオールデイダイニング「bills」のブランディング、ライセンスビジネス、店舗運営を行っています。国内8店舗、海外2店舗を展開しています。
収益は店舗での飲食代金やライセンス料等からなり、運営は株式会社フライパンおよびSUNNY SIDE UP KOREA, INCが担っています。

ビジネスディベロップメント事業

新規事業の開発・創出による事業領域の拡充と新たな収益基盤の構築を目的としています。現在はマーケティング戦略支援やコンサルティング等を行っています。
株式会社グッドアンドカンパニーや株式会社TKG Consultingが運営を行い、クライアントからのコンサルティングフィー等を収益源としています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は増加傾向にあり、直近では196億円に達しました。経常利益も順調に伸長しており、利益率は8%台を維持しています。当期純利益も回復基調にあり、全体として成長トレンドを維持しています。

項目 2021年6月期 2022年6月期 2023年6月期 2024年6月期 2025年6月期
売上高 154億円 162億円 190億円 179億円 196億円
経常利益 7億円 13億円 13億円 15億円 16億円
利益率(%) 4.3% 7.9% 7.0% 8.4% 8.4%
当期利益(親会社所有者帰属) 3億円 6億円 9億円 8億円 9億円

(2) 損益計算書


売上高の増加に伴い売上総利益も増加しています。売上総利益率は23%台で推移しており、収益性は安定しています。

項目 2024年6月期 2025年6月期
売上高 179億円 196億円
売上総利益 42億円 46億円
売上総利益率(%) 23.7% 23.4%
営業利益 15億円 16億円
営業利益率(%) 8.2% 8.2%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当が7億円(構成比22%)、役員報酬が5億円(同17%)を占めています。売上原価については内訳の詳細記載がありませんが、事業特性上、外注費や材料費等が中心と考えられます。

(3) セグメント収益


主力のブランドコミュニケーション事業が増収増益となり、全社業績を牽引しました。フードブランディング事業は微増収ながら減益、ビジネスディベロップメント事業は事業縮小により大幅な減収減益となりました。

区分 売上(2024年6月期) 売上(2025年6月期) 利益(2024年6月期) 利益(2025年6月期) 利益率
ブランドコミュニケーション事業 144億円 162億円 25億円 27億円 16.8%
フードブランディング事業 33億円 33億円 1億円 1億円 2.8%
ビジネスディベロップメント事業 2億円 1億円 0.3億円 0.2億円 24.3%
調整額 △0.4億円 △1億円 △12億円 △12億円 -
連結(合計) 179億円 196億円 15億円 16億円 8.2%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFで得た資金を借入金の返済や配当支払いに充てており、財務体質の健全化を進める「健全型」のキャッシュ・フローと言えます。

項目 2024年6月期 2025年6月期
営業CF 7億円 22億円
投資CF △1億円 △1億円
財務CF △5億円 △5億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は22.3%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は43.7%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「たのしいさわぎをおこしたい」という経営理念を掲げています。PR発想を軸にあらゆるコミュニケーション手法を用いて課題を解決するプロフェッショナル集団として、「人の心が動けば、行動が変わり、やがて世の中全体が変わっていく」というPRが持つ普遍的な力を信じ、新しい時代の価値観を創造することを目指しています。

(2) 企業文化


「社会の公器としての責任」と「PRが持つ力」の双方を認識し、自社が課題とするサステナビリティおよびダイバーシティの取り組みを推進しています。また、同様の取り組みを行う企業・団体の価値向上をコミュニケーションの側面から支援するなど、持続可能な社会の実現に資する活動にも積極的に取り組む文化があります。

(3) 経営計画・目標


2023年5月に策定した中長期経営方針「成長に向けた戦略方針」において、2026年6月期に以下の経営指標の達成を掲げています。
* 連結営業利益:20億円

(4) 成長戦略と重点施策


中長期経営方針の達成に向け、中核事業であるブランドコミュニケーション事業の強化による収益力向上、次期成長戦略の策定、および人的資本経営の実現を重点施策としています。特に既存事業の強化と戦略的M&Aの融合による成長を目指し、キャピタル・アロケーション等の検討を進めています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


先進的な人的資本経営を目指し、「人的資本経営ガイドライン」を定めています。性別・国籍等を超えて全員が活躍できる組織づくり、教育投資の拡充、および従業員のエンゲージメント・スコアの向上を柱とし、人材投資への重点配分や職場環境整備を積極的に推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年6月期 40.6歳 5.7年 6,645,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 53.8%
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全労働者) 74.7%
男女賃金差異(正規雇用) 74.6%
男女賃金差異(非正規雇用) 110.2%


※男性育児休業取得率については、当事業年度は対象者がいないため記載がありません。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、当社取締役女性比率(50.0%)、連結管理職女性比率(44.3%)、専門教育プログラム受講回数(4.1回)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 経済状況・市場環境の影響

マーケティングやコミュニケーションサービスに関する費用は景気動向の影響を受けやすく、ブランドコミュニケーション事業を中心とした受注件数や金額が変動する可能性があります。また、AI等の新技術の台頭により、サービス提供プロセスや内容が変化し、対応が求められる可能性があります。

(2) ビジネスモデルと人財確保

同社の競争力は人財に依存しており、必要な能力を有する人財の確保・育成ができなかった場合や流出が発生した場合、業績に影響を与える可能性があります。また、経営方針や事業戦略が特定の役員等に依存している面があり、これらの人物が経営執行困難となった場合の影響もリスクとして認識されています。

(3) ブランドコミュニケーション事業の変動要因

販促施策・商品企画はスポット契約が多く、受注変動が大きい傾向にあります。また、プレミアムグッズ制作の一部を海外で行っているため、急激な円安進行等の為替変動や生産国の政治・経済情勢の変化が、コスト増を通じて業績に影響を与える可能性があります。

(4) フードブランディング事業の運営リスク

「bills」はライセンスビジネスであり、ライセンス契約や事業パートナーとの契約継続が前提となります。また、海外展開におけるスケジュールの遅延、原材料価格の上昇、人材確保難、万一の食品事故発生による社会的信用の失墜などが、事業継続や業績に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。