メディアスホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

メディアスホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所(プライム市場)に上場する、医療機器の販売・メンテナンスおよび介護福祉機器の販売・レンタルを行う企業グループです。医療機器販売事業を中核に、M&Aによる規模拡大を推進しています。直近の業績は、売上高が前期比11.1%増、経常利益が同38.4%増と増収増益で着地しました。


※本記事は、メディアスホールディングス株式会社 の有価証券報告書(第16期、自 2024年7月1日 至 2025年6月30日、2025年9月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. メディアスホールディングスってどんな会社?


医療機器の販売・メンテナンスや介護福祉機器の販売・レンタルを主力とする、地域医療貢献を目指す持株会社です。

(1) 会社概要


1952年に池谷医療器械店として創業し、1959年に協和医科器械を設立しました。2009年に持株会社として協和医科ホールディングス(現メディアスホールディングス)を設立し、ジャスダック証券取引所に上場しました。2010年に現社名へ変更し、栗原医療器械店を子会社化するなど事業基盤を拡大しました。2022年には東京証券取引所プライム市場へ移行しました。

同社グループの従業員数は連結2,614名、単体93名です。大株主構成は、筆頭株主が役員及びその近親者が議決権の過半数を所有している会社等であるエム・ケー、第2位が同属性のM’s、第3位も同様にイケヤとなっており、創業家や役員関連の資産管理会社が上位を占めています。

氏名 持株比率
エム・ケー 9.80%
M’s 9.80%
イケヤ 7.80%

(2) 経営陣


同社の役員は男性14名、女性1名の計15名で構成され、女性役員比率は6.7%です。代表取締役社長執行役員は池谷保彦氏が務めています。社外取締役比率は46.7%です。

氏名 役職 主な経歴
池谷保彦 代表取締役社長執行役員 1976年村中医療器入社。2001年協和医科器械代表取締役社長。2009年7月より現職。2025年9月より協和医科器械取締役会長を兼務。
宮地修平 取締役専務執行役員プレジデント統括本部長 2009年ミタス代表取締役社長。2017年メディアスホールディングス取締役、2023年7月より現職。
芥川浩之 取締役専務執行役員コーポレート統括本部長 1991年協和医科器械入社。2014年メディアスホールディングス取締役。2023年7月より現職。
栗原勝 取締役専務執行役員 1990年栗原医療器械店入社。2017年同社代表取締役社長、メディアスホールディングス専務執行役員に就任。
住吉進也 取締役専務執行役員 1985年協和医科器械入社。2022年同社代表取締役社長、メディアスホールディングス取締役専務執行役員に就任。
古木壽幸 取締役常務執行役員 1992年協和医科器械入社。2015年メディアスソリューション代表取締役社長。2023年9月より現職。
武井宏人 取締役(常勤監査等委員) 1999年協和医科器械入社。2009年メディアスホールディングス経営支援本部長。2023年9月より現職。
山口光夫 取締役(常勤監査等委員) 1977年新日本証券(現みずほ証券)入社。2017年メディアスホールディングス監査役。2023年9月より現職。


社外取締役は、武内秀明(弁護士)、越後純子(弁護士)、桑原和明(税理士)、工藤浩(元日本メドトロニック代表取締役社長)、舩山範雄(元新生銀行常務執行役員)、渡部昭彦(元楽天証券ホールディングス取締役CFO)、横幕才(元ボストン・サイエンティフィックジャパン)です。

2. 事業内容


同社グループは、「医療機器販売事業」および「介護・福祉事業」事業を展開しています。

(1) 医療機器販売事業


国内の医療機器メーカーや商社等から仕入れた医療機器(備品・消耗品)を、国内の病院等の医療施設に対して販売しています。また、販売した医療機器の修理・アフターサービスや、保守契約に基づくメンテナンス業務も提供しており、グループの基幹事業となっています。医療材料の購買・在庫管理ソフトのASPサービスも提供しています。

収益は、医療施設等の顧客に対する製品の販売代金や、修理・メンテナンスサービスの対価、システム利用料などから得ています。運営は、主に連結子会社である栗原医療器械店、協和医科器械、ミタス、マコト医科精機、秋田医科器械店、メディアスソリューションなどが各地域で行っています。

(2) 介護・福祉事業


国内の介護福祉機器メーカーや商社等から仕入れた介護福祉機器(備品・消耗品)を、国内の病院、リハビリ施設、介護・療養施設および一般個人に対して販売しています。また、これらの機器のレンタル事業も展開しています。

収益は、医療・介護施設や個人顧客に対する機器の販売代金およびレンタル料から構成されています。運営は、栗原医療器械店のライフケア事業本部、協和医科器械のベネッセレ事業部、ミタスのライフケア事業部および石川医療器などの事業会社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は2,133億円から2,887億円へと毎期増加しており、安定した拡大傾向にあります。経常利益は2021年6月期の32億円から2024年6月期には18億円まで減少しましたが、2025年6月期は24億円へと回復しました。M&Aによる規模拡大が増収に寄与しています。

項目 2021年6月期 2022年6月期 2023年6月期 2024年6月期 2025年6月期
売上高 2,133億円 2,266億円 2,391億円 2,598億円 2,887億円
経常利益 32億円 28億円 24億円 18億円 24億円
利益率(%) 1.5% 1.2% 1.0% 0.7% 0.8%
当期利益(親会社所有者帰属) 7億円 9億円 10億円 6億円 5億円

(2) 損益計算書


直近2期間の損益構成を見ると、売上高の増加に伴い売上総利益も増加しています。売上総利益率は約12%で推移しており、安定しています。販管費も増加していますが、増収効果により営業利益は前期比で大きく伸長しました。

項目 2024年6月期 2025年6月期
売上高 2,598億円 2,887億円
売上総利益 311億円 344億円
売上総利益率(%) 12.0% 11.9%
営業利益 13億円 19億円
営業利益率(%) 0.5% 0.7%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が132億円(構成比41%)、その他が66億円(同20%)を占めています。売上原価は2,542億円で、売上高に対する構成比は約88%となっています。

(3) セグメント収益


各セグメントの状況を見ると、主力の医療機器販売事業が売上高・利益ともに増加し、全社の成長を牽引しています。介護・福祉事業も増収増益となりましたが、全体に占める割合は小さく、医療機器販売事業への依存度が高い構造となっています。

区分 売上(2024年6月期) 売上(2025年6月期) 利益(2024年6月期) 利益(2025年6月期) 利益率
医療機器販売事業 2,540億円 2,827億円 92億円 104億円 3.7%
介護・福祉事業 58億円 60億円 4億円 5億円 8.6%
調整額 -329000円 22000000円 -83億円 -91億円 -
連結(合計) 2,598億円 2,887億円 13億円 19億円 0.7%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


本業の利益で借入返済を行い、投資については手元資金の範囲内または一部抑制気味に推移している、財務基盤の安定化を優先している状態(健全型)です。

項目 2024年6月期 2025年6月期
営業CF 19億円 70億円
投資CF -27億円 -25億円
財務CF 40億円 -35億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は6.8%で市場平均を下回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は18.1%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「地域医療への貢献」を理念として掲げています。人々の生命や健康にかかわる医療機器を取り扱う企業として、迅速かつ適切で安定した供給体制を確保し、各地域に適応した付加価値の高いサービスや最新情報の提供を通じて、地域社会およびすべての人々の健康と豊かな生活へ貢献することを目指しています。

(2) 企業文化


医療に携わる企業として、「正義と利益のどちらかを取らなければならない状況に遭遇したら、迷わず正義を取れ」を企業活動の基本姿勢としています。コンプライアンスガイドラインの策定や研修を通じ、高い倫理観に基づいた行動を重視しています。また、変化を歓迎する気風を醸成する「C&I(チェンジ&イノベーション)」活動を推進しています。

(3) 経営計画・目標


業界のリーディングカンパニーを目指し、持続的な成長と企業価値の最大化を図ることをビジョンとしています。中長期的には、収益性および資本効率を高めることを重視しており、以下の数値目標を掲げています。

* ROE(自己資本利益率):8.0%以上

(4) 成長戦略と重点施策


国内最大の市場である首都圏(東京都中心)を中核地域と位置づけ、独自の情報ネットワークや医療材料データベースを活用したソリューション提案を強化することで、顧客価値の最大化を図ります。また、急性期医療機関への営業強化や低侵襲手術分野への注力により市場シェア拡大を目指します。

さらに、継続的なM&Aやアライアンスの推進により事業規模を拡大し、グループ経営管理体制の強化による収益性向上に取り組みます。IT・物流インフラの整備やDX推進による業務効率化、PMI(統合効果の最大化)を通じたシナジーの早期発現も重点課題としています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は「組織価値観の共有」と「行動規範の体現」を軸に、社員一人ひとりが自律的なプロフェッショナルとして成長できる環境整備を進めています。社内環境整備方針として、お互いを尊重し高め合う風土の醸成や、変化を歓迎する「チェンジ・リーダー」の育成を掲げています。人材育成においては、自律・自立を促す制度構築や公正な評価・処遇を通じて、高い専門性と人間力を兼ね備えた人材の輩出を目指しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年6月期 40.0歳 5.0年 6,484,922円


※平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 14.8%
男性育児休業取得率 50.0%
男女賃金差異(全労働者) -
男女賃金差異(正規雇用) -
男女賃金差異(非正規雇用) -


※同社は公表義務の対象ではないため、有報には「労働者の男女の賃金の差異」の記載がありません。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性管理職比率(8.5%)、男性育児休業取得率(47.5%)、年間有給休暇取得日数(9.5日)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 国の医療政策について


「地域医療構想」による医療機能の分化と連携が進む中、医療機関の集約化により販売先が減少する可能性や競争激化のリスクがあります。同社はソリューションビジネスの推進等により地域医療への貢献を図りますが、政策動向が販売額や収益に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 医療材料の償還価格の改定について


原則2年に1回行われる診療報酬改定に伴い、特定保険医療材料の償還価格も改定されます。同社の販売高の約3分の1を占める特定保険医療材料の価格が下落傾向にある場合、販売価格や利益率の低下につながり、業績に影響を与える可能性があります。

(3) M&Aについて


事業規模拡大のためM&Aを推進していますが、対象企業の事業計画が未達の場合、「のれん」の減損損失が発生するリスクがあります。また、企業文化の融合やシステム統合が円滑に進まない場合、期待したシナジー効果が得られず、業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。