メディアスホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

メディアスホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

メディアスホールディングスは東京証券取引所プライム市場に上場し、医療機器販売と介護・福祉事業を展開する企業です。医療機器の販売だけでなく、保守メンテナンスや業務効率化システム等も提供しています。直近の業績は、手術関連製品の販売増加などにより売上、利益ともに前年を上回る増収増益となっています。


※本記事は、メディアスホールディングス株式会社の有価証券報告書(第16期、自 2024年7月1日 至 2025年6月30日、2025年9月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. メディアスホールディングスってどんな会社?


同社は医療機器や介護福祉機器の販売・レンタルを行うとともに、病院の業務最適化を支援するソリューション事業を展開しています。

(1) 会社概要


2009年7月にメディアスホールディングスの前身が設立され、同月に上場しました。その後、2010年7月に栗原医療器械店、2018年7月にミタスなどを子会社化して事業規模を拡大しています。直近では2024年4月にマコト医科精機を子会社化し、2025年3月には物流機能を強化する新会社を設立しました。

同社の従業員数は連結で2,614名、単体で93名です。筆頭株主はエム・ケーおよびM’sで、第3位のイケヤを含め、上位株主は同社役員が代表や取締役を兼務する法人等で占められています。

氏名 持株比率
エム・ケー 9.80%
M’s 9.80%
イケヤ 7.80%

(2) 経営陣


同社の役員は男性14名、女性1名の計15名で構成され、女性役員比率は6.7%です。代表取締役社長執行役員は池谷保彦氏が務めており、社外取締役比率は46.7%となっています。

氏名 役職 主な経歴
池谷保彦 代表取締役社長執行役員 1978年6月協和医科器械入社。同社代表取締役社長を経て、2009年7月に同社代表取締役社長に就任し現在に至る。
宮地修平 取締役専務執行役員プレジデント統括本部長 1998年4月東芝メディカルシステムズ入社。ミタス代表取締役社長等を経て、2017年9月に同社取締役に就任し、2023年7月より現職。
芥川浩之 取締役専務執行役員コーポレート統括本部長 1991年11月協和医科器械入社。同社管理本部長兼経理部長等を経て、2014年9月に同社取締役に就任し、2023年7月より現職。
栗原勝 取締役専務執行役員 1990年4月栗原医療器械店入社。ボストン・サイエンティフィックジャパン等を経て、2010年9月に同社取締役に就任し、2017年9月より現職。
住吉進也 取締役専務執行役員 1985年3月協和医科器械入社。2022年9月に同社代表取締役社長および同社取締役専務執行役員に就任し、現在に至る。
古木壽幸 取締役常務執行役員 1992年3月協和医科器械入社。メディアスソリューション代表取締役社長を経て、2021年9月に同社取締役に就任し、2023年9月より現職。


社外取締役は、武内秀明(武内法律事務所代表)、越後純子(渥美坂井法律事務所・外国法共同事業)、桑原和明(桑原税理士事務所代表)、工藤浩(工藤コンサルティング事務所代表)、舩山範雄(公共財団法人川崎市国際交流協会会長)、渡部昭彦(PMIパートナーズアドバイザー)、横幕才(ホリスター相談役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「医療機器販売事業」および「介護・福祉事業」を展開しています。

医療機器販売事業


国内の医療機器メーカーや代理店から仕入れた医療機器(備品や消耗品)を、国内の病院などの医療施設に対して販売しています。また、販売した医療機器の修理やアフターサービス、保守契約に基づくメンテナンスなども提供しており、同社グループの基幹事業となっています。

医療施設から機器の販売代金や保守メンテナンスの対価を受け取るモデルです。加えて、医療材料の購買や在庫管理を最適化するソフトウェアのサービス利用料も収益源となっています。事業の運営は主に栗原医療器械店、協和医科器械、アルバース、ミタスなどの連結子会社が行っています。

介護・福祉事業


国内の介護福祉機器メーカーや代理店などから仕入れた介護福祉機器を、国内の病院やリハビリ施設、介護施設などに向けて販売およびレンタルしています。備品や消耗品をはじめ、一般の個人向けの提供にも対応しており、幅広いニーズに応える事業を展開しています。

医療施設や介護施設、一般個人から介護福祉機器の販売代金やレンタル利用料を受け取ることで収益を得ています。事業の運営は、栗原医療器械店のライフケア事業本部、協和医科器械のベネッセレ事業部、ミタスのライフケア事業部といった連結子会社がそれぞれ担当しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、高齢化に伴う医療機器需要の増加などを背景に、売上高は一貫して拡大を続けています。一方、利益面では償還価格の下落や競争激化、システム関連の投資費用増加などが影響し、利益率はやや低下傾向にありましたが、当期は増収効果により経常利益が増加に転じています。

項目 2021年6月期 2022年6月期 2023年6月期 2024年6月期 2025年6月期
売上高 2133億円 2266億円 2391億円 2598億円 2887億円
経常利益 32億円 28億円 24億円 18億円 24億円
利益率(%) 1.5% 1.2% 1.0% 0.7% 0.8%
当期利益(親会社所有者帰属) 7億円 9億円 10億円 6億円 5億円

(2) 損益計算書


売上高は前期比で大きく増加し、それに伴い売上総利益も拡大しています。売上総利益率はほぼ同水準を維持しつつ、増収効果によって営業利益も前期から伸びており、本業での稼ぐ力を着実に高めていることがうかがえます。

項目 2024年6月期 2025年6月期
売上高 2598億円 2887億円
売上総利益 311億円 344億円
売上総利益率(%) 12.0% 11.9%
営業利益 13億円 19億円
営業利益率(%) 0.5% 0.6%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が5億円(構成比26%)、業務委託費が3億円(同17%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力である医療機器販売事業は、整形外科や循環器領域での症例数増加や新規顧客の獲得により売上高が順調に推移しています。また、介護・福祉事業においても備品や消耗品の販売が底堅く推移しており、両セグメントともに前期を上回る実績を残しています。

区分 売上(2024年6月期) 売上(2025年6月期)
医療機器販売事業 2540億円 2827億円
介護・福祉事業 58億円 60億円
連結(合計) 2598億円 2887億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業キャッシュ・フローがプラス、投資キャッシュ・フローと財務キャッシュ・フローがマイナスとなっており、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業である「健全型」に該当します。

項目 2024年6月期 2025年6月期
営業CF 19億円 70億円
投資CF -27億円 -25億円
財務CF 40億円 -35億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は6.8%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は18.1%で、いずれも市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「地域医療への貢献」を経営理念に掲げ、迅速かつ適切で安定した医療機器の供給や、地域に適応した付加価値の高いサービスの提供を通じて、人々の健康と豊かな生活に貢献することを目指しています。利潤の追求のみならず、持続可能な社会の実現へ貢献するという社会的価値の向上も重視して経営を行っています。

(2) 企業文化


同社グループは、医療に携わる企業として「正義と利益のどちらかを取らなければならない状況に遭遇したら、迷わず正義を取れ」を企業活動の基本姿勢としています。高い倫理観とコンプライアンス意識を重視し、透明性や健全性の高い経営体制を構築することで、社会や顧客から最も信頼される存在となる文化を醸成しています。

(3) 経営計画・目標


変化する経営環境の中で、独自のサービス提案強化やM&Aによる企業規模の拡大を通じて安定的な成長を目指し、業界におけるリーディングカンパニーとなることを経営目標としています。収益性や効率性を高めることで利益を拡大し、中長期的には資本効率を示す指標であるROEの向上を目標に設定しています。

* 自己資本当期純利益率(ROE)の中長期的目標:8.0%以上を維持

(4) 成長戦略と重点施策


既存エリアでの業容拡大に加え、継続的なM&Aやアライアンスを推進することで事業規模を拡大し、市場シェアの向上を図る方針です。同時に、グループ内の連携を強化してノウハウを共有し、日本最大級の医療材料データベース「ASOURCE DATABASE」などの各種ソリューションツールを活用して生産性向上を進めます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


持続的な成長の基盤は従業員であるとの認識のもと、全員が高いモチベーションを持ち、長く安心して働ける職場環境や教育制度の整備を進めています。社内環境整備方針として「C&I(チェンジ&イノベーション)活動」を展開し、ワークスタイルの見直しや、変化に対応して価値を創造できるリーダー人材の育成に取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年6月期 40.0歳 5.0年 6,484,922円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 14.8%
男性育児休業取得率 50.0%
男女賃金差異(全労働者) -
男女賃金差異(正規雇用労働者) -
男女賃金差異(パート・有期労働者) -


※同社は公表義務の対象ではないため、有報には男女賃金差異の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 医療政策や償還価格改定


政府による診療報酬改定や償還価格の下落が、販売価格や利益率の低下につながるリスクがあります。また、医療機関の機能分化によって販売先が集約され、業界内の競争がさらに激化することで、同社グループの収益に影響を及ぼす可能性があります。

(2) M&Aによる企業規模拡大


事業拡大のために継続的なM&Aを推進していますが、買収後に予測通りの収益が得られない場合には「のれん」の減損損失が発生するおそれがあります。さらに、企業文化の融合やシステムの統合が円滑に進まない場合、想定したシナジー効果が発揮されないリスクが存在します。

(3) システム投資と新規事業


ソリューションビジネスなどの新規事業展開や、基幹システムの構築・強化に多額の先行投資を行っています。しかし、医療現場のニーズと合致しない場合やシステムの運用が想定通りに進まない場合には、業務効率が低下し、投資額を回収できなくなる可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。