※本記事は、Zenken株式会社 の有価証券報告書(2025年6月期、2024年7月1日 ~ 2025年6月30日、2025年9月24日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
Zenkenは、WEBマーケティング事業を主軸に、海外人材の紹介や教育事業、不動産賃貸事業を展開しています。グローバル・インバウンドを視野に入れた多角的な事業展開が特徴です。
単体従業員数は448名、連結従業員数は466名です。セグメントはマーケティング、海外人材、不動産の3つです。
主な国内グループ会社は、(連結子会社)(海外人材)などです。
国内においてはZenkenが生産・販売を一手に担い、海外1社の連結子会社を通じてグローバルに事業を展開しています。
過去には、株式会社サイシードの売却に伴う連結除外があり、売上高等の減少に影響しました。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
Zenkenは、多様な人材がそれぞれの能力を最大限に活かせる環境づくりに注力しています。従業員の成長を促し、柔軟な働き方を支援する制度を導入することで、働きがいのある職場を目指していることがうかがえます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は、従業員の平均年齢が比較的若く、平均勤続年数も一定の期間を示しています。これは、キャリアの初期から中期にかけて活躍する人材が多く、継続的に経験を積める環境があることを示唆しています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 4,859,000円 |
| 平均勤続年数 | 6.5年 |
| 平均年齢 | 36.3歳 |
| 単体従業員数 | 448人 |
| 連結従業員数 | 466人 |
| 単体のグループ内比率 | 96.1% |
退職給付制度に関する記載はありません。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
Zenkenは「そこにない未来を創る」をパーパスに掲げ、社会課題の解決を目指す上で「人」を原動力と捉えています。多様なバックグラウンドを持つ人材の採用・育成と、働きやすい社内環境の整備に力を入れています。
具体的には、ダイバーシティ&インクルージョンを推進し、子育て支援としてベビーシッター券の配布や、本社移転による部署間のコミュニケーション活性化に取り組んでいます。また、社員の成長を促すため、法人向け生成AI「ChatGPT Enterprise」を全正社員に導入し、AI活用スキルの向上を図っています。次世代経営幹部の育成を目的とした「Junior Board(疑似役員)制度」も実施しており、人事業務のDX化を通じて適材適所の配置を促進しています。
働く環境の整備としては、2024年7月に時差出勤制度とリモート勤務を導入し、柔軟な働き方を実現しています。さらに、「健康経営優良法人2025(大規模法人部門)」に3期連続で認定されており、従業員が主体となる「健康経営推進隊」が様々なイベントを企画・実施しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、提出会社単体のデータを示します。「パート・有期労働者」は、当事業年度において対象者がおりません。労働者の男女の賃金の差異は、男性の賃金に対する女性の賃金の割合を示しています。この差は、等級別人数構成の差によるものです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 24.4% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 66.7% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 78.8% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 82.9% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 63.7% |
多様性・登用
上記はいずれも単体実績・目標です。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職(シニアマネジャー以上)比率 | 24.4% |
人材育成・エンゲージメント
上記はいずれも単体実績・目標です。有給休暇取得率は、年次有給休暇付与日が毎年4月であるため、2024年4月~2025年3月の実績にて集計しています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 有給休暇取得率 | 74.6% |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
Zenkenは、WEBマーケティング事業を主軸とする「マーケティング」セグメント、海外人材の紹介や教育を行う「海外人材」セグメント、そして保有不動産の賃貸事業を行う「不動産」セグメントの3つの事業を展開しています。同社グループは、これら多様な事業を通じて収益を上げています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、グローバル・インバウンド(日本国内における国際化)を視野に入れ、多角的な事業を展開しています。主力はWEBマーケティング事業で、ニッチな商品やサービスの集客に特化したメディアの制作・運用を通じて、クライアント企業のニーズに合致するユーザーをマッチングさせることに強みを持っています。また、海外のIT人材や介護人材を日本企業に紹介する人材事業や、語学研修・教育、留学斡旋などの教育事業も手掛けています。
マーケティングセグメント
このセグメントでは、主に「WEBマーケティング事業」として、顧客のWEB検索市場におけるマーケティング戦略を支援しています。ニッチな商品・サービスに特化した専門メディアの制作・運用を通じた集客支援が中心です。
収益は、専門メディアの新規公開や運用による集客支援から得ています。前期と比べて売上高は減少しましたが、費用の見直しにより利益は改善しています。
海外人材セグメント
このセグメントは、人材事業と教育事業から構成されています。人材事業では、IT・介護業界向けの海外人材紹介や、美容業界に特化した求人メディア「美プロ」の運営などを行っています。教育事業では、法人向け語学研修、留学斡旋、日本語教育などを提供しています。
収益は、海外IT人材や介護人材の紹介、および語学研修や日本語教育プログラムの提供から得ています。前期と比べて売上高は増加し、セグメント損失から利益へと転換しました。
不動産セグメント
このセグメントでは、「全研プラザ」や「Zenken Plaza Ⅱ」といった自社保有不動産の賃貸事業を主に行っています。高稼働率を維持していることが特徴です。
収益は、保有不動産の賃貸から得ています。前期と比べて売上高、利益ともに増加しています。
同社グループの事業は主に日本国内に集中しており、本邦以外の外部顧客への売上高や有形固定資産は確認できません。特定の顧客への収益集中もありません。
| セグメント | 売上高(2024年6月期) | 売上高(2025年6月期) |
|---|---|---|
| マーケティング | 38.2億円 | 37.1億円 |
| 海外人材 | 13.4億円 | 13.6億円 |
| 不動産 | 4.7億円 | 4.7億円 |
| その他の事業セグメント | 1百万円 | 1百万円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの直近5期間の業績を見ると、売上高は変動が見られます。経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益も同様に推移しています
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
Zenkenは、本業で安定した資金を生み出し、財務基盤を堅固にしています。手元資金も厚く、事業活動を安定的に継続できる状態です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの自己資本比率は85.4%と、プライム市場平均と比較して非常に高い水準にあります。これは強固な財務基盤を示しており、事業の安定性につながります。ROE(自己資本利益率)は2.8%となっており、プライム市場平均を下回っています。
現金及び預金は43.1億円と潤沢であり、不測の事態にも対応できる手元資金を確保しています。これらの財務状況は、従業員の雇用や給与の安定性にも寄与する要素です。
| 指標 | 2024年6月期(前期) | 2025年6月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 122億円 | 124億円 |
| 自己資本比率 | 85.6% | 85.4% |
| ROE(自己資本利益率) | 2.0% | 2.8% |
| 現金及び預金 | 36.1億円 | 43.1億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローを見ると、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローは6.1億円の資金獲得となりました。これは税金等調整前当期純利益の増加や売上債権の減少があったものの、法人税等の支払額が増加したことによるものです。前期と比較すると減少しています。
投資活動によるキャッシュフローは2.8億円の資金獲得となり、前期の資金支出からプラスに転換しました。これは主に敷金及び保証金の回収による収入があったためです。財務活動によるキャッシュフローは1.9億円の資金支出となり、配当金の支払いなどが主な要因となっていますが、前期と比較して支出幅は縮小しています。
これらの結果、フリーキャッシュフローは8.9億円の資金獲得となり、前期から大幅に増加しました。本業で安定的に資金を生み出し、投資活動でも資金を回収していることから、事業の安定性と将来に向けた資金余力がある状態を示しています。これは、従業員の雇用や給与の安定性にもつながる財務状況です。
| 項目 | 2024年6月期(前期) | 2025年6月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 6.8億円 | 6.1億円 |
| 投資CF | △5.2億円 | 2.8億円 |
| 財務CF | △5.0億円 | △1.9億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 1.6億円 | 8.9億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、主力のマーケティングセグメントが売上高の約7割を占めており、特定事業への高い依存度に関するリスクを認識しています。事業環境の変化に対応できない場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、事業を展開するインターネット広告市場では競争激化が予測されており、競合他社のサービス改善や新たなビジネスモデルの出現により、競争力が低下するリスクがあります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、優秀な人材の採用と育成に係るリスクを認識しています。事業拡大に必要な人材の継続的な確保と育成が最重要課題であり、採用活動の遅れや幹部人材の社外流出は業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
Zenkenは「そこにない未来を創る」をパーパスに掲げ、社会課題の解決を目指す企業です。同社グループの企業文化と、今後の方向性について紹介します。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
Zenkenは、「そこにない未来を創る」をパーパス(企業目的)として掲げています。同社グループは、国内外の社会課題の中でも特に「日本の少子高齢化による生産年齢人口の減少」を最重要課題と捉え、その解決に貢献する事業活動を推進しています。1975年の創業以来培ってきたリソースとノウハウを活かし、マーケティング事業と海外人材事業を軸としたソリューションを提供することで、持続可能な社会の創出を目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
Zenkenは、「そこにない未来を創る」というパーパスのもと、持続的な価値創造と企業価値向上を目指しています。同社グループは、社会課題解決の原動力は「人」であるとの考えから、多様な人材の尊重と働きがいの向上を重視しています。具体的には、「クライアントファーストであれ」を掲げ、国籍や性別、キャリア、価値観など多様な個性を活かすダイバーシティ&インクルージョンを推進しています。全ての従業員が尊重し合い、能力を最大限に発揮できる環境を整えることで、新たな発想や価値の創造に繋げていくことを大切にしています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
Zenkenが優先的に対処すべき課題の一つは、優秀な人材の採用と育成です。事業拡大と経営強化を実現するため、多様なバックグラウンドを持つ人材を継続的に確保し、育成することを最重要課題としています。主体性を持って決断し、課題解決の立役者となれる人材の採用・育成に加え、多様な人材がそれぞれの特性や能力を最大限に活かせる社内環境の整備にも取り組んでいます。また、事業構造の転換も重要な課題であり、収益源の多様化を進めることで、外部環境の変化に対応できる体制を強化しています。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
Zenkenは、株主総会、取締役会、監査役会、会計監査人、そして内部監査室を設置し、各機関の相互連携を通じて経営の健全性、効率性、透明性を確保する体制を採用しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社は、筆頭株主である吉澤信男氏をはじめ、代表取締役社長の林順之亮氏とその資産管理会社である株式会社ICが上位株主として名を連ねています。これにより、特定の株主グループが同社の経営に一定の影響力を持つ資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 吉 澤 信 男 | 46.55% |
| 株 式 会 社 I C | 5.75% |
| 林 順 之 亮 | 5.66% |
| 松 島 征 吾 | 2.70% |
| 水 元 公 仁 | 2.68% |
株式会社ICは、同社代表取締役社長である林順之亮氏がその株式を100%保有する資産管理会社であり、同社株式に係る同氏の共同保有者であります。
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は9名(男性8名・女性1名)で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は林順之亮氏が務めています。社外取締役比率は16.7%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 林 順之亮 | 代表取締役社長 | 1997年4月株式会社アントレ設立代表取締役、2006年1月同社入社、2014年6月同社代表取締役社長より現職。 |
| 松島 征吾 | 取締役バリュークリエイション本部長 | 2005年6月同社入社、2016年5月同社取締役eマーケティング事業本部長、2025年7月同社取締役バリュークリエイション本部長より現職。 |
| 本村 丹努琉 | 取締役グローバルニッチトップ事業本部長 | 2009年5月同社入社、2023年10月同社取締役eマーケティング事業本部長、2025年7月同社取締役グローバルニッチトップ事業本部長より現職。 |
| 上奥 由和 | 取締役グローバル教育事業本部長 | 2005年2月同社入社、2019年9月同社取締役リンゲージ事業本部長、2023年10月同社取締役グローバル教育事業本部長より現職。 |
| 業天 邦明 | 取締役管理本部長 | 2005年12月監査法人トーマツ(現 有限責任監査法人トーマツ)、2019年1月同社入社経理部長、2024年9月同社取締役管理本部長より現職。 |
社外取締役は、渡辺紀子氏(ハイドリック&ストラグルズジャパン合同会社パートナー)です。
同社は監査役会設置会社であり、社外取締役は取締役会に出席し、客観的かつ専門的な視点から経営への助言を行うことで、取締役の職務執行を監督しています。社外監査役は、取締役会に出席し、監査役監査方針・監査計画等に基づいて取締役の職務執行状況を監査しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の役員報酬は、株主総会で定められた報酬限度額の範囲内で決定されています。個別の取締役報酬は、代表取締役社長が各役員の職務内容や実績を勘案して決定しており、監査役の報酬は監査役の協議により決定されています。報酬の種類は固定報酬のみであり、業績連動報酬や退職慰労金は支給されていません。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 6名 | 1.1億円 | 18.5百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 6百万円 | 6.2百万円 |
| 社外役員 | 6名 | 12百万円 | 2.0百万円 |
なお、人数は事業年度中に報酬の支給対象となった人数であり、期中に退任した役員を含みます。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。
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