ブレインパッド 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ブレインパッド 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ブレインパッドはプライム市場に上場するデータ活用支援のリーディングカンパニーです。企業のDXや経営改善を支援するプロフェッショナルサービスと、自社プロダクトの提供を主軸としています。直近の業績は売上高118億円(前期比11.5%増)、経常利益16億円(同19.7%増)と増収増益で推移しています。


※本記事は、株式会社ブレインパッド の有価証券報告書(第22期、自 2024年7月1日 至 2025年6月30日、2025年9月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ブレインパッドってどんな会社?


データ活用の促進を通じて持続可能な未来をつくることを目指し、企業のビジネス創造と経営改善を支援しています。

(1) 会社概要


2004年に設立され、データマイニング業務の受託を開始しました。2006年にはレコメンドエンジン「Rtoaster」の提供を開始しています。2011年に東京証券取引所マザーズ市場へ上場し、2013年に同市場第一部へ変更しました。2022年の市場区分見直しに伴い、現在はプライム市場に上場しています。

同社グループの従業員数は連結で589名、単体で564名です。筆頭株主は日本マスタートラスト信託銀行(信託口)で、第2位はディシプリン、第3位は創業者の佐藤清之輔氏となっています。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口) 12.00%
ディシプリン 11.27%
佐藤 清之輔 8.10%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長社長執行役員 CEOは関口 朋宏氏が務めています。なお、取締役8名のうち5名が社外取締役であり、社外取締役比率は62.5%です。

氏名 役職 主な経歴
関口 朋宏 代表取締役社長社長執行役員 CEO アクセンチュアを経て2017年に同社入社。AIビジネス本部長、ビジネス統括本部長などを歴任し、2023年7月より現職。
高橋 隆史 取締役会長Co-Founder 日本サン・マイクロシステムズ等を経て2004年に同社を設立し代表取締役社長に就任。2023年7月より現職。
佐藤 清之輔 取締役Co-Founder 日本電気等を経て2004年に同社を設立し営業部長に就任。代表取締役社長、会長を経て2023年7月より現職。


社外取締役は、佐野 哲哉(グローウィン・パートナーズ代表取締役)、石井 隆一(クオンタムリープ・グロース・イニシアティブ代表取締役社長)、谷口 卓(元JBアドバンスト・テクノロジー代表取締役社長)、大久保 和孝(元新日本有限責任監査法人シニアパートナー)、牛島 真希子(Jones Day法律事務所オブカウンセル弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「プロフェッショナルサービス事業」および「プロダクト事業」を展開しています。

プロフェッショナルサービス事業


データ分析やシステム開発を含むコンサルティング、人的支援を通じて、顧客企業のデータ活用を支援しています。金融・小売・メーカー・サービスなど幅広い業種を対象に、データ活用のコンセプトデザインから運用による成果創出までをトータルにサポートします。

収益は、顧客企業からのコンサルティング料やシステム開発費、人的支援に対する対価として受け取ります。運営は主にブレインパッドが行っています。

プロダクト事業


自社製および他社製プロダクトの提供を通じて、顧客企業のデータ活用支援を行っています。主な自社製品にはレコメンドエンジン「Rtoaster」やマッチングエンジン「Conomi」などがあり、他社製品として「Brandwatch」などを取り扱っています。

収益は、プロダクトのライセンス料や利用料などを顧客企業から受け取ります。運営はブレインパッドおよび連結子会社のTimeTechnologiesが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


2022年6月期は連結財務諸表を作成していないためデータがありませんが、その他の期間では売上高、利益ともに増加傾向にあります。特に直近の2025年6月期は売上高118億円、経常利益16億円と過去最高水準を更新しており、利益率も13.8%と高い水準を維持しています。

項目 2021年6月期 2022年6月期 2023年6月期 2024年6月期 2025年6月期
売上高 71億円 - 98億円 106億円 118億円
経常利益 9億円 - 8億円 14億円 16億円
利益率(%) 12.4% - 7.7% 12.9% 13.8%
当期利益(親会社所有者帰属) 5億円 - 5億円 9億円 10億円

(2) 損益計算書


売上高は前期の106億円から118億円へ増加しました。これに伴い売上総利益も47億円から56億円へ増加し、売上総利益率は44.5%から48.0%へ上昇しています。営業利益も13億円から16億円へと順調に拡大しており、収益性が向上しています。

項目 2024年6月期 2025年6月期
売上高 106億円 118億円
売上総利益 47億円 56億円
売上総利益率(%) 44.5% 48.0%
営業利益 13億円 16億円
営業利益率(%) 12.8% 13.4%


販売費及び一般管理費のうち、給与及び手当が13億円(構成比32%)、賞与引当金繰入額が2億円(同4%)を占めています。

(3) セグメント収益


プロフェッショナルサービス事業は、既存案件の拡大や新規開拓により売上が増加し、プロジェクト収支の改善も進んだことで増収増益となりました。プロダクト事業も、「Ligla」の成長や大型案件の受注により売上が増加し、コスト最適化の効果で利益も拡大しています。

区分 売上(2024年6月期) 売上(2025年6月期) 利益(2024年6月期) 利益(2025年6月期) 利益率
プロフェッショナルサービス事業 74億円 83億円 29億円 36億円 42.8%
プロダクト事業 32億円 34億円 8億円 9億円 25.3%
調整額 - 0億円 -23億円 -29億円 -
連結(合計) 106億円 118億円 13億円 16億円 13.4%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

項目 2024年6月期 2025年6月期
営業CF 15億円 14億円
投資CF -3億円 -4億円
財務CF -4億円 -9億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は18.8%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は76.7%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「データ活用の促進を通じて持続可能な未来をつくる」を普遍的なPurpose(パーパス)に掲げています。データ活用によるサステナブルな社会を創ることを目指し、社会課題の解決に貢献していくことを存在意義としています。

(2) 企業文化


Purposeを実現するためのVisionとして「息を吸うようにデータが活用される社会をつくる」を掲げ、さらにMissionとして「技術と人材のサプライチェーンを再構築し、国際競争力のある豊かな日本の再生に貢献する」を設定しています。データ活用のプロフェッショナルとして、ビジネスにイノベーションをもたらすことを重視しています。

(3) 経営計画・目標


2024年6月期から2026年6月期までの中期経営計画において、期間を「構造改革期」と位置づけ、高利益体質への転換を図っています。最終年度である2026年6月期の財務目標として以下を掲げています。

* 連結売上高:140億円超
* 連結EBITDAマージン:16%超
* ROE:20%(中期経営計画期間中)

(4) 成長戦略と重点施策


中期経営計画の達成に向け、プロフェッショナルサービス事業ではAIを活用した生産性改革や内製化支援モデルの高度化を推進します。プロダクト事業では新製品やAIエージェント事業の早期収益化に注力します。また、M&Aによる非連続的な成長も目指しており、アクティブコアの子会社化などを公表しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


人事戦略ストーリー「BrainPad HR Synapse Initiative」を策定し、「データ分析力」「哲学的思考力」「実践力」を兼ね備えた経営人材の輩出を目指しています。共生型キャリア開発や柔軟な人材配置、理念浸透、共感的コミュニケーションなどを主軸に、人材育成と社内環境整備を推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年6月期 35.2歳 4.1年 7,610,000円


※平均年間給与は基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
管理職に占める女性労働者の割合 12.4%
男性労働者の育児休業取得率 83.3%
労働者の男女の賃金の差異(全労働者) 78.0%
労働者の男女の賃金の差異(正規雇用) 80.4%
労働者の男女の賃金の差異(非正規雇用) 35.5%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、エンゲージメントサーベイ回答率(92%)、全体スコア(72)、仕事への真摯さ(72)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 人材の確保と育成


事業拡大には優秀な人材の確保が不可欠ですが、採用競争の激化により必要な人材を十分に確保できない可能性があります。また、採用した人材の教育が進まない場合や、重要な人材が流出した場合には、プロジェクトの品質低下や業績目標の未達につながる恐れがあります。

(2) 情報セキュリティリスク


事業において個人情報を含む機密情報を取り扱っているため、情報の流出事故が発生した場合、損害賠償請求や社会的信用の失墜により、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。これに対し、ISMSやプライバシーマークの認証維持などを通じて管理体制を強化しています。

(3) プロダクト事業の競争環境


プロダクト事業においては、競合製品の台頭やデジタルマーケティング市場の変化により競争力が低下するリスクがあります。また、ブラウザ仕様の変更等によりCookieデータの取得が困難になった場合、主力製品のサービス価値が低下し、売上が減少する可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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