ユニバーサル園芸社 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ユニバーサル園芸社 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ユニバーサル園芸社はスタンダード市場に上場する、レンタルグリーンや園芸関連商品の販売を行う企業です。オフィスや商業施設へのグリーン提供を主力とし、海外展開や小売事業のM&Aも積極的に推進しています。2025年6月期の業績は、売上高21.6%増、経常利益5.3%増の増収増益となりました。


※本記事は、株式会社ユニバーサル園芸社 の有価証券報告書(第52期、自 2024年7月1日 至 2025年6月30日、2025年9月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ユニバーサル園芸社ってどんな会社?


同社は、オフィスや商業施設向けのレンタルグリーン事業を中核に、園芸商品の卸売・小売、造園事業などを展開する「グリーンビジネス」のパイオニア企業です。

(1) 会社概要


1968年にユニバース園芸として創業し、1974年に法人化されました。2012年にJASDAQ(現スタンダード)へ上場を果たし、信用力を背景に事業を拡大しています。2015年には米国Rolling Greens, Inc.を子会社化して海外へ本格進出し、2023年にはフラワーデザインで著名なNicolai Bergmannをグループに迎えるなど、積極的なM&Aにより事業領域を広げています。

同社グループ(連結)の従業員数は953名、同社(単体)では431名です。大株主の構成は、筆頭株主が創業者の親族であるカーン園子氏、第2位が代表取締役会長の森坂拓実氏、第3位も親族の森坂優子氏となっており、創業家が主要な株式を保有する安定的な株主構成となっています。

氏名 持株比率
カーン園子 15.82%
森坂拓実 12.75%
森坂優子 11.55%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性1名、計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長は安部豪氏が務めています。社外取締役比率は25.0%です。

氏名 役職 主な経歴
安部豪 代表取締役社長 1999年同社入社。内部監査室長、経営企画室長、管理本部長などを歴任。Rolling Greens, Inc.副社長等を経て、2021年より現職。
森坂拓実 代表取締役会長 1968年ユニバース園芸創業。1974年同社設立とともに社長就任。海外子会社や関連会社のトップを兼務し、2021年より現職。
西川道広 常務取締役関東事業本部長 1988年同社入社。大阪本社営業サービス課リーダー、取締役関西事業本部長などを経て、2015年より現職。グループ各社の社長も兼務。
片岡義雄 取締役関西事業本部長 1989年同社入社。関西第1事業部統轄リーダー、関東事業本部長などを経て、2014年より現職。高島屋植物園等の社長も兼務。
平田草介 取締役グループ会社事業本部長 1996年同社入社。上海子会社総経理、経営企画室長などを経て、2024年より現職。Nicolai Bergmann取締役等を兼務。
池原健一郎 取締役常勤監査等委員 1989年同社入社。神戸支店リーダー、内部監査室長、監査役を経て、2021年より現職。


社外取締役は、井関新吾(井関公認会計士事務所所長)、北村百合子(グローバル法律事務所弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「グリーン事業」、「卸売事業」、「小売事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) グリーン事業

オフィス、商業施設、ホテル等に対し、観葉植物やアートフラワー等のレンタル・メンテナンスを行うほか、造園・植栽管理、イベント装飾などを提供しています。エリア別に「関東」「関西」「海外」として管理されています。

主な収益源は、顧客から毎月受け取るレンタル料やメンテナンス料、および園芸関連商品の販売代金です。運営は同社およびRolling Greens, Inc.(米国)、上海寰球園芸産品租賃有限公司(中国)、MIRAGE GREEN (SINGAPORE) Pte. Ltd.などが行っています。

(2) 卸売事業

観葉植物、造花、エクステリア用石材などを、ホームセンターや園芸専門店、工務店等に向けて販売しています。海外から輸入した造花や石材の取り扱いも行っています。

主な収益は、販売先からの商品代金です。運営は同社および株式会社ビバ工芸、株式会社高島屋植物園が行っています。

(3) 小売事業

「ザ・ファーム」等の園芸専門店や、フラワーショップを運営し、個人顧客向けに植物や園芸資材、ギフト商品等を販売しています。また、インターネットによる通信販売も展開しています。

主な収益は、店舗およびECサイトでの一般消費者からの商品販売代金です。運営は同社、株式会社花守花の座、園芸ネット株式会社、株式会社改良園、Nicolai Bergmann株式会社などが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


2021年6月期から2025年6月期までの5期間において、売上高は着実な右肩上がりで推移しており、特に直近の2025年6月期には200億円を突破しました。経常利益も順調に増加傾向にあり、利益率も12%以上を維持する高収益体質を示しています。

項目 2021年6月期 2022年6月期 2023年6月期 2024年6月期 2025年6月期
売上高 96億円 116億円 138億円 169億円 205億円
経常利益 13億円 20億円 22億円 25億円 26億円
利益率(%) 14.0% 16.9% 15.8% 14.9% 12.9%
当期利益(親会社所有者帰属) 6億円 13億円 12億円 15億円 18億円

(2) 損益計算書


売上高の大幅な増加に伴い、売上総利益も増加していますが、売上原価率の上昇等により利益率はやや低下傾向にあります。それでも営業利益率は10%台後半を維持しており、本業でしっかりと利益を稼ぐ構造となっています。

項目 2024年6月期 2025年6月期
売上高 169億円 205億円
売上総利益 104億円 128億円
売上総利益率(%) 61.7% 62.5%
営業利益 24億円 27億円
営業利益率(%) 14.1% 12.9%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が46億円(構成比45%)と最も大きく、次いでのれん償却額が3億円(同3%)となっています。労働集約型のビジネスモデルであるため人件費の比重が高くなっています。売上原価については商品や材料費等が主となります。

(3) セグメント収益


全セグメントで増収となりました。主力のグリーン事業は関東・関西ともに好調で、海外エリアも大幅な増収となっています。小売事業はM&A効果もあり売上が急拡大していますが、利益率は他のセグメントと比較して低めの水準です。

区分 売上(2024年6月期) 売上(2025年6月期) 利益(2024年6月期) 利益(2025年6月期) 利益率
関東エリア(グリーン) 58億円 68億円 13億円 15億円 21.7%
関西エリア(グリーン) 26億円 30億円 6億円 8億円 26.9%
海外エリア(グリーン) 30億円 37億円 2億円 1億円 3.0%
卸売事業 10億円 10億円 1億円 1億円 11.6%
小売事業 45億円 60億円 0.5億円 1億円 1.6%
連結(合計) 169億円 205億円 24億円 27億円 12.9%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


本業で稼いだ資金(営業CFプラス)の一部を投資や借入返済に充てている「健全型」のキャッシュ・フロー状態です。

項目 2024年6月期 2025年6月期
営業CF 21億円 26億円
投資CF -18億円 -17億円
財務CF -14億円 -5億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は14.2%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は78.7%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「日本一の総合園芸会社にすること」を目標の一つとして掲げています。また、適正利益と適正成長率を維持し財務体質が良いこと、将来の展望があること、よき社風であることを目指し、社員が誇りを持てる立派な会社作りを行うことを基本方針としています。

(2) 企業文化


同社は「社員が誇りのもてる立派な会社作り」「日本の優秀なモデル会社の一つに成る」ことを重視しています。植物を中心とした事業活動を通じて快適な環境と潤いを提供し、人々の健康と環境作りに貢献するという価値観を持っており、サステナビリティへの取り組みも重要な経営課題と位置付けています。

(3) 経営計画・目標


同社は「世界一の園芸会社」となるため、2024年6月期を初年度とする中期経営計画を策定しています。持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指し、以下の数値目標を掲げています。

* 2028年6月期に売上高300億円
* 2028年6月期に当期純利益30億円

(4) 成長戦略と重点施策


顧客サービスレベルの向上と専門化により同業他社との差別化を図り、事業規模の拡大を目指しています。具体的には、グリーン事業における新規顧客獲得、M&Aによる事業基盤の拡大、ネット通販やカフェ等の小売事業への投資を強化する方針です。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


労働集約型産業であるため、園芸の専門分野における質の高い技量や商品知識を持つ人材の確保と育成を重視しています。定期採用を中心に環境貢献意識の高い人材を採用し、社内で独自の研修や人事育成制度を運用することで、社員の定着と能力向上を図っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年6月期 31.8歳 6.7年 4,193,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 26.1%
男性育児休業取得率 0.0%
男女賃金差異(全労働者) 51.4%
男女賃金差異(正規雇用) 74.5%
男女賃金差異(非正規) 110.5%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、採用した労働者に占める女性労働者の割合(65%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 景気の低迷に伴うリスク

レンタルグリーン事業は同社の中核であり収益性が高い事業ですが、景気悪化により企業の倒産や休業、経費削減が進むと、新規契約の減少や解約が発生し、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) 天候不順に伴うリスク

小売事業や造園事業において、春季・秋季の需要期に悪天候が続くと客足が鈍るほか、商品である植物が傷んだり枯死したりする恐れがあります。これらは販売機会の損失やコスト増につながり、経営成績に影響を与える可能性があります。

(3) 慣習の変遷に伴うリスク

お中元、お歳暮、母の日などの季節イベントや贈答慣習は時代の変化により見直される傾向があります。市場の縮小や代替商品の普及により、レンタルグリーンやギフト関連の需要が低下した場合、売上が減少する可能性があります。

(4) 燃料及び原料価格の上昇に伴うリスク

事業活動において車両や温室の加温に燃料を使用するため、原油価格の高騰はコスト増要因となります。また、鉢カバー等の石油化学製品や植物自体の仕入価格上昇分を十分に価格転嫁できない場合、利益を圧迫する可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。