※本記事は、株式会社エフオン の有価証券報告書(第29期、自 2024年7月1日 至 2025年6月30日、2025年9月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. エフオンってどんな会社?
省エネルギー支援サービスと木質バイオマス発電を軸に、エネルギーの効率利用と創出を両輪で展開する企業です。
■(1) 会社概要
1997年に日本初のESCO(Energy Service Company)事業専業会社として設立されました。2005年に東京証券取引所マザーズに上場し、2006年には福島県白河市にて木質バイオマス発電所の運転を開始しました。2016年に現在の「エフオン」へ商号変更し、2023年に東京証券取引所スタンダード市場へ移行しています。
連結従業員数は284名、単体では30名です。筆頭株主はその他の関係会社として事業上の繋がりも深い日本テクノで、第2位は資産管理業務を行う信託銀行です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本テクノ | 32.58% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 8.72% |
| UH5 | 7.40% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性9名、女性3名の計12名で構成され、女性役員比率は25.0%です。代表取締役社長は島﨑 知格氏が務めています。取締役9名のうち3名が社外取締役であり、社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 島﨑 知格 | 代表取締役社長 | 三菱証券(現三菱UFJモルガン・スタンレー証券)を経て2005年に入社。2006年に取締役就任後、2008年より現職。 |
| 小池 久士 | 常務取締役 | 共立メンテナンスを経て2006年に入社。経理部長、財務経理部長、管理本部長を歴任し、2013年より管理部門管掌として現職。 |
| 藤井 康太朗 | 常務取締役 | ヴェリア・ラボラトリーズ取締役副社長等を経て2016年に入社。エフバイオス執行役員、同社電力事業部長等を歴任し、2025年9月より現職。 |
| 須藤 博 | 取締役 | 協和木材を経て2017年にエフバイオス入社。同社山林事業部長として実績を積み、2021年より取締役を兼務。2023年9月より現職。 |
| 松尾 康行 | 取締役 | 第一電路工業を経て2006年にエフバイオス入社。日田事業所長などを歴任し、2022年より取締役を兼務。2023年9月より現職。 |
| 小菅 喜生 | 取締役 | 松下電器産業(現パナソニック)等を経て2018年にエフバイオス入社。燃料事業部長などを務め、2025年9月より現職。 |
社外取締役は、佐古 麻衣子(弁護士)、松村 映子(事業家創造取締役)、青木 想(Loveable代表取締役社長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「省エネルギー支援サービス事業」「グリーンエナジー事業」「電力小売事業」を展開しています。
■(1) 省エネルギー支援サービス事業
企業等の顧客設備に対し、省エネルギー診断から対策設備の設計・施工、運用までを一貫して支援するサービスです。顧客のエネルギー使用実態を調査し、削減計画の策定や設備改善を行うことで、コスト削減と環境負荷低減を実現します。
収益は、顧客から受け取る省エネルギー設備の設計・施工対価や、運用管理・コンサルティング料などから構成されます。運営は主に同社が行っています。
■(2) グリーンエナジー事業
木質バイオマスを燃料とした再生可能エネルギー発電所の開発、建設、運営を行う事業です。間伐材や建築廃材などを活用した発電を行い、山林経営による燃料の安定確保や地域経済の活性化にも取り組んでいます。
収益は、FIT(固定価格買取制度)やFIP(フィードインプレミアム制度)に基づき、発電した電力を電力会社等へ販売することで得ています。運営は、エフオン日田、エフオン白河などの各事業子会社や、燃料供給・運営を担うエフバイオスが行っています。
■(3) 電力小売事業
自社グループの木質バイオマス発電所等で発電された環境負荷の低い電力を、需要家へ供給する事業です。電力需給の最適化を図り、再エネ価値を付加した電力プランなどを提供しています。
収益は、電力を供給する顧客(法人等)から受け取る電気料金です。運営は主に同社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は130億円台から170億円台へと推移しており、直近数年は170億円規模で安定しています。利益面では、前期に燃料価格高騰等の影響で利益率が低下しましたが、当期は回復傾向にあります。
| 項目 | 2021年6月期 | 2022年6月期 | 2023年6月期 | 2024年6月期 | 2025年6月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 131億円 | 133億円 | 169億円 | 175億円 | 176億円 |
| 経常利益 | 24億円 | 12億円 | 13億円 | 3億円 | 11億円 |
| 利益率(%) | 18.2% | 8.9% | 7.6% | 2.0% | 6.3% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 12億円 | 5億円 | 3億円 | 6億円 | 6億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は横ばいですが、売上原価の減少等により売上総利益が増加し、利益率が改善しています。販売費及び一般管理費は微増に留まり、結果として営業利益は大きく伸長しました。
| 項目 | 2024年6月期 | 2025年6月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 175億円 | 176億円 |
| 売上総利益 | 15億円 | 22億円 |
| 売上総利益率(%) | 8.5% | 12.6% |
| 営業利益 | 6億円 | 13億円 |
| 営業利益率(%) | 3.4% | 7.5% |
販売費及び一般管理費のうち、地代家賃が2億円(構成比21%)、役員報酬が2億円(同19%)を占めています。
■(3) セグメント収益
主力のグリーンエナジー事業は減収となったものの、燃料調達の改善等により利益は倍増しました。電力小売事業は販売契約の獲得により大幅な増収増益を達成しました。省エネルギー支援サービス事業は堅調に推移しています。
| 区分 | 売上(2024年6月期) | 売上(2025年6月期) | 利益(2024年6月期) | 利益(2025年6月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 省エネルギー支援サービス事業 | 2億円 | 2億円 | 1億円 | 0億円 | 18.6% |
| グリーンエナジー事業 | 151億円 | 139億円 | 6億円 | 12億円 | 8.8% |
| 電力小売事業 | 22億円 | 35億円 | 0億円 | 1億円 | 3.7% |
| 連結(合計) | 175億円 | 176億円 | 6億円 | 13億円 | 7.5% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社は、電力事業の拡大に伴い負債が増加したものの、借入金の返済により全体では負債を減少させています。営業活動では、利益の増加や事業拡大に伴う売上債権の増減、設備の償却などが主な要因となり、資金収入を得ています。一方、投資活動では、事業拡大のための土地や設備の取得により資金を使用しています。財務活動では、発電所建設資金に係る長期借入金の返済により、資金が使用されています。
| 項目 | 2024年6月期 | 2025年6月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 26億円 | 30億円 |
| 投資CF | -6億円 | -7億円 |
| 財務CF | -7億円 | -21億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「エネルギーの黒子であろう」という企業理念のもと、「人のための省エネ、人々のための再エネ」をベースコンセプトとしています。効率的なエネルギー利用と自然由来のエネルギー供給を通じ、温暖化ガスの削減や自然環境との両立を目指し、持続的な社会の実現に貢献することを経営の基本方針としています。
■(2) 企業文化
「サステナビリティ方針」として、資源・エネルギーの利用と供給の両面から合理性と安全を追求し、持続可能な地球環境の実現に貢献することを掲げています。また、地域と産業の持続的発展、人と地球環境の未来への貢献、事業運営基盤の強化をマテリアリティ(重要課題)として特定し、組織全体で取り組む文化があります。
■(3) 経営計画・目標
2026年6月期の業績目標として、以下の数値を掲げています。グループ全体での収益最大化を目指し、連結での売上高および営業利益率を重要な経営指標として位置づけています。
* 連結売上高:195億円
* 連結営業利益:17.6億円
* 連結経常利益:16.0億円
* 親会社株主に帰属する当期純利益:10.7億円
■(4) 成長戦略と重点施策
主力であるグリーンエナジー事業と電力小売事業の飛躍のため、木質バイオマス発電所の安定的な高稼働と、環境付加価値を含む電力販売の拡充を推進しています。また、燃料確保の観点から山林経営に着手し、機械化による効率化と収益性確保を目指しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
専門的な人員の確保と育成を重要事項とし、現場実践を重視した教育を行っています。階層別研修や技術技能検定を実施し、技術継承と能力開発を推進しています。また、ダイバーシティ&インクルージョンの推進や健康経営により、社員の定着率向上と働きがいのある職場環境の実現を目指しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均(598万円)をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年6月期 | 46.0歳 | 6.6年 | 6,619,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 40.0% |
| 男性育児休業取得率 | - |
| 男女賃金差異(全労働者) | 70.3% |
| 男女賃金差異(正規) | 59.6% |
| 男女賃金差異(非正規) | - |
※男性育児休業取得率および男女賃金差異(非正規)については、該当する従業員が在籍していないため記載がありません。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、男性育休取得人数(5人)、研修受講人数(延べ400人)、育児休業復帰率(100%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 木質バイオマス燃料の調達リスク
発電所の運営には安定的な燃料確保が不可欠ですが、自然災害や燃料価格の高騰により、燃料製造会社からの供給が中断したりコストが増加したりする可能性があります。また、燃料の品質が規格を満たさない場合、設備損傷のリスクもあり、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) FIT制度および電力市場価格の変動リスク
同社の発電事業はFIT制度に基づいていますが、新設発電所の買取価格等は制度変更の影響を受ける可能性があります。また、FIP制度へ移行した発電所や電力小売事業においては、市場価格や先物取引価格の変動が業績および財政状態に影響を与える可能性があります。
■(3) 自然災害および設備トラブルのリスク
木質バイオマス発電所や山林などの事業用資産が、自然災害や事故、人為的ミス等により損害を受ける可能性があります。これにより事業運営に支障が生じたり、復旧費用が発生したりすることで、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。



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