ノエビアホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ノエビアホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

同社は東証プライム市場に上場し、化粧品・トイレタリー・医薬品・食品の製造販売等を展開する企業グループです。当連結会計年度の業績は、売上高が647億円(前期比1.4%増)、経常利益が118億円(同1.6%増)と増収増益で推移し、親会社株主に帰属する当期純利益は過去最高を更新しました。


※本記事は、株式会社ノエビアホールディングス の有価証券報告書(第15期、自 2024年10月1日 至 2025年9月30日、2025年12月8日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ノエビアホールディングスってどんな会社?


化粧品、医薬・食品事業を中核とし、対面販売やセルフ販売など多様なチャネルを持つ企業グループです。

(1) 会社概要


1964年、大倉昊氏がジェイ・エイチ・オークラ・エンド・コンパニーを創業し、航空機関連部品等の輸入を開始しました。1978年にノエビアへ商号変更し、化粧品の製造販売を本格化。2002年に常盤薬品工業を子会社化して医薬品事業へ参入し、2004年にはジャスダック証券取引所に上場しました。2011年に単独株式移転により持株会社である同社を設立し、翌2012年に東証一部へ指定替えを行っています。2022年の市場区分見直しに伴い、プライム市場へ移行しました。

同社グループの連結従業員数は1,354名、提出会社(単体)の従業員数は49名です。筆頭株主は資産管理会社とみられるエヌ・アイ・アイ、第2位は代表取締役社長の大倉俊氏、第3位は信託銀行の信託口となっています。

氏名 持株比率
エヌ・アイ・アイ 36.25%
大倉 俊 10.83%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 6.14%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性7名の計16名で構成され、女性役員比率は43.8%です。代表取締役社長は大倉俊氏が務めています。社外取締役比率は43.8%です。

氏名 役職 主な経歴
大倉 昊 代表取締役会長 1964年ジェイ・エイチ・オークラ・エンド・コンパニー創業。1978年ノエビア代表取締役社長、2011年同社代表取締役退任後、ノエビアホールディングス代表取締役会長より現職。
大倉 俊 代表取締役社長 1990年ノエビア入社。取締役営業本部副本部長、常務取締役経営企画室長等を経て、2009年同社代表取締役社長に就任。2011年よりノエビアホールディングス代表取締役社長より現職。
吉田 一幸 常務取締役 1982年ノエビア入社。取締役経営企画部長等を経て、2011年ノエビアホールディングス取締役上席執行役員。2021年常務取締役管理部門統括責任役員などを歴任し現職。
海田 安夫 取締役 1978年ノエビア入社。取締役上席執行役員生産物流本部長等を経て、2011年同社代表取締役社長。2024年ノエビア代表取締役会長、2025年同社取締役会長より現職。
中野 正隆 取締役 1978年ノエビア入社。ノブ代表取締役社長、サナ代表取締役社長を経て、2010年常盤薬品工業代表取締役社長。2022年同社会長、2025年同社取締役会長より現職。
大倉 健 取締役 2020年三井住友銀行入行。2021年ノエビアホールディングス入社、執行役員内部監査部門統括責任役員を経て、2023年取締役より現職。


社外取締役は、土田亮(法律事務所フロンティア・ロー弁護士)、木南麻浦(きなみ法律事務所弁護士)、阿部絵美麻(宮益坂ザ・ファーム法律会計事務所弁護士)、石光真理(みかん法律事務所弁護士)、黒田はるひ(本間合同法律事務所弁護士)、金ヶ崎絵美(十条王子法律事務所弁護士)、冨田茉莉(城山タワー法律事務所弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「化粧品事業」「医薬・食品事業」および「その他の事業」を展開しています。

化粧品事業


カウンセリング化粧品、セルフ化粧品、OEM事業を展開しています。カウンセリング化粧品は対面販売を行い、レッスン型サロンも展開。セルフ化粧品は「なめらか本舗」「エクセル」「ノブ」等のブランドを持ち、ドラッグストアや医療機関を通じて販売しています。

収益は、販売代理店や卸売業者への製品販売による対価が中心です。運営は主に、国内ではノエビア、常盤薬品工業、ボナンザ等が担い、海外ではノエビア ユーエスエー インクなどが各地域での販売を行っています。

医薬・食品事業


一般用医薬品、医薬部外品、食品の製造販売を行っています。「南天のど飴」や機能性ドリンク「眠眠打破」シリーズなどの知名度高い製品群を有し、ドラッグストアや配置薬販売ルートを通じて提供しています。

収益は、卸売業者や販売代理店への製品販売による対価が中心です。運営は主に、常盤薬品工業が製造販売を行い、常盤メディカルサービスが配置薬等の仕入販売を担っています。

その他の事業


アパレル・ボディファッションの販売、航空運送事業、航空機操縦訓練事業などを行っています。アパレル関連はトータルファッションを提案し、航空関連では運航受託やハンドリング、訓練サービスなどを提供しています。

収益は、アパレル製品の販売代金、航空運送や訓練サービスの提供対価などです。運営は、国内ではノエビア、ノエビアアビエーション、日本フライトセーフティ、海外ではノエビア アビエーション インクなどが担っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は第11期の513億円から第15期の647億円へと拡大傾向にあります。経常利益も90億円から118億円へと増加し、高い利益率を維持しています。特に第15期は親会社株主に帰属する当期純利益が80億円となり、安定した成長を続けています。

項目 2021年9月期 2022年9月期 2023年9月期 2024年9月期 2025年9月期
売上高 513億円 611億円 626億円 638億円 647億円
経常利益 90億円 104億円 113億円 116億円 118億円
利益率(%) 17.5% 17.0% 18.1% 18.2% 18.2%
当期利益(親会社所有者帰属) 64億円 76億円 77億円 80億円 80億円

(2) 損益計算書


売上高は前期比で増加し、売上総利益も微増となりました。営業利益は前期の114億円から111億円へ若干減少しましたが、営業利益率は17.1%と引き続き高い水準を維持しています。

項目 2024年9月期 2025年9月期
売上高 638億円 647億円
売上総利益 432億円 433億円
売上総利益率(%) 67.6% 66.9%
営業利益 114億円 111億円
営業利益率(%) 17.9% 17.1%


販売費及び一般管理費のうち、販売手数料が81億円(構成比25%)、給料手当及び賞与が65億円(同20%)を占めています。売上原価は214億円で、売上高に対する原価率は33.1%です。

(3) セグメント収益


化粧品事業は売上高が増加し、利益も微増となりました。医薬・食品事業は売上高が増加したものの、利益は減少しています。その他の事業も売上高は増加しましたが、減益となりました。全体として、主力の化粧品事業が安定した収益を支えています。

区分 売上(2024年9月期) 売上(2025年9月期) 利益(2024年9月期) 利益(2025年9月期) 利益率
化粧品事業 498億円 505億円 122億円 123億円 24.3%
医薬・食品事業 114億円 115億円 12億円 10億円 8.5%
その他の事業 26億円 27億円 3億円 3億円 11.3%
調整額 -3億円 -3億円 -24億円 -25億円 -
連結(合計) 638億円 647億円 114億円 111億円 17.1%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業活動で獲得した現金を、配当金の支払いや自社株買いなどの財務活動に充当しつつ、必要な設備投資も行っている健全型です。

項目 2024年9月期 2025年9月期
営業CF 91億円 79億円
投資CF 15億円 -24億円
財務CF -77億円 -79億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は15.0%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は70.3%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「グループ各事業の持続可能な経営による節度ある成長の実現」を中長期的な戦略のテーマとして掲げています。雇用や所得環境の改善による緩やかな景気回復が見込まれる一方、物価上昇リスク等の不透明な状況下において、この戦略テーマに基づいた経営を推進しています。

(2) 企業文化


同社グループは「ノエビアグループ基本方針」として、お客さま・お取引先さま、株主、社員、社会、環境に対する5つの責任を果たすことを定めています。また「ノエビアグループ行動規範」に基づき、法令遵守や人権尊重などについて、役員および従業員一人ひとりが会社の代表であるとの自覚と責任を持って行動することを重視しています。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、企業価値の最大化と収益性の向上を実現するため、以下の指標を重要な経営指標として掲げています。

* 売上高
* 営業利益
* 自己資本当期純利益率(ROE)

(4) 成長戦略と重点施策


中長期的な戦略テーマの達成に向け、日本市場でのイノベーションと持続的利益創出、ブランド価値の向上、人材・組織の多様化加速、研究開発・生産・物流の多様化加速による競争力強化、変化に対応できる経営の推進という5つの方針を実行しています。特に化粧品、医薬・食品事業市場における変化や多様化への対応を優先課題としています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


常に変化する環境下で社員が持続的に力を発揮できるよう、育児休業制度の利用推進や退職者再雇用制度等による職場環境の整備を進めています。また、キャリアアップの機会提供を通じて社員の成長を促すため、女性管理職登用の推進、役職者への登用支援、非管理職の活躍支援といった取り組みを行っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年9月期 43.9歳 8.8年 8,026,058円

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 22.7%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 61.8%
男女賃金差異(正規) 70.6%
男女賃金差異(非正規) 53.4%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、管理職の男女比率目標(管理職の男女比率を2040年9月30日までに同率(5:5)にする)、男性労働者の育児休業取得率目標(2030年9月30日までに100%取得を目指す)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 販売制度に関するリスク


化粧品事業のカウンセリング化粧品は、販売代理店を通じた委託販売を行っており、特定商取引法の規制を受けています。法改正等による販売方法の見直しが必要となった場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、主力商品の販売キャンペーンである「スキンケアフェア」の状況も業績への影響要因となります。

(2) 景気変動リスク


同社グループが主に取り扱う化粧品は嗜好性が高く、個人消費動向等の景気変動の影響を受けやすい性質があります。予測し得ない景気変動により個人消費が低迷した場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。これに対し、販売データに基づいた需要予測による生産計画の策定等の対策を講じています。

(3) 環境および気候変動リスク


化粧品および医薬・食品事業は、気候変動等による消費行動の変化や規制・制度の変更の影響を受ける可能性があります。また、滋賀工場や三重工場などの主要拠点が自然災害等の影響を受けた場合、生産停止や復旧費用の発生が想定されます。これらの課題に対し、環境負荷低減委員会を中心とした対策やBCP体制の整備を進めています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。