チャーム・ケア・コーポレーション 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

チャーム・ケア・コーポレーション 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証プライム上場の介護事業会社。有料老人ホーム「チャーム」「チャームスイート」等を首都圏・近畿圏で展開しています。直近の連結業績は、売上高467億円(前期比2.4%減)、経常利益40億円(同30.8%減)、当期純利益36億円(同17.2%減)と、主力事業は堅調ながら不動産事業の影響で減収減益となりました。


※本記事は、株式会社チャーム・ケア・コーポレーション の有価証券報告書(第41期、自 2024年7月1日 至 2025年6月30日、2025年9月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. チャーム・ケア・コーポレーションってどんな会社?


近畿・首都圏を中心に有料老人ホームを展開する介護事業者です。高価格帯ブランドの拡充を進めています。

(1) 会社概要


1984年に前身となる企業を設立後、2005年に介護付有料老人ホーム第1号を開設しました。2012年にJASDAQへ上場し、2018年には東証一部(現プライム市場)へ指定替えを果たしました。主力ブランド「チャーム」に加え、高価格帯の「チャームプレミア」シリーズを展開し、M&Aによる規模拡大も積極的に進めています。

連結従業員数は2,261名、単体では1,994名です。筆頭株主は資産管理会社の株式会社エス・ティー・ケーで、第2位は創業者の下村隆彦氏です。創業家および資産管理会社が主要株主となっており、安定的な株主構成となっています。

氏名 持株比率
株式会社エス・ティー・ケー 29.39%
下村 隆彦 16.23%
株式会社日本カストディ銀行(信託口) 10.82%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性1名の計10名で構成され、女性役員比率は10.0%です。代表取締役会長兼CEOは下村隆彦氏、代表取締役社長兼COOは小梶史朗氏が務めています。社外取締役比率は30.0%です。

氏名 役職 主な経歴
下村 隆彦 代表取締役会長兼CEO 下村建設株式会社代表取締役等を経て、2004年チャーム・ケア・コーポレーション代表取締役社長に就任。2024年10月より現職。
小梶 史朗 代表取締役社長兼COO 2004年同社入社。事業本部副本部長、首都圏事業部長、DX推進室長等を歴任。2024年10月より現職。
前田 好彦 取締役執行役員 株式会社大和銀行(現りそな銀行)入行後、関西みらいフィナンシャルグループ執行役員等を経て、2023年同社執行役員。2023年9月より現職。
横山 滋樹 取締役執行役員業務管理室長 2004年同社入社。2019年業務管理室長。2023年9月より取締役執行役員。株式会社ライク代表取締役社長を兼務。


社外取締役は、山澤倶和(元阪神高速道路社長)、西門賢治(グリーンホスピタルサプライ専務取締役)、田中公子(元シミックホールディングス執行役員)です。

2. 事業内容


同社グループは、「介護事業」「不動産事業」および「その他」事業を展開しています。

**介護事業**
首都圏および近畿圏において、介護付有料老人ホームおよび住宅型有料老人ホームの運営を行っています。「チャームプレミア」「チャームスイート」「チャーム」などのブランドで展開し、入居者への介護サービス提供を行います。
主な収益源は、入居者からの月額利用料および介護保険法に基づく介護報酬です。運営は主に同社が行うほか、連結子会社の株式会社ライク、CMケア株式会社もそれぞれの運営施設を担当しています。

**不動産事業**
主に有料老人ホーム等のヘルスケア物件を対象とした不動産開発事業を行っています。土地の仕入れから建物の建築・開発を行い、投資家や事業者へ販売することで収益を得ます。
収益源は、開発した不動産の売却代金です。運営は同社が行っています。

**その他事業**
介護業界向けの人材派遣・人材紹介事業、訪問看護事業、入居者紹介事業などを展開しています。
収益源は、派遣先や紹介先からの手数料収入および訪問看護サービスの利用料です。運営は主に株式会社グッドパートナーズおよびチャームシニアリビング株式会社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は拡大傾向にありましたが、当期は微減となりました。経常利益と当期利益は前期まで増加を続けていましたが、当期は減益に転じています。利益率は高い水準を維持していましたが、当期は低下しました。

項目 2021年6月期 2022年6月期 2023年6月期 2024年6月期 2025年6月期
売上高 230億円 291億円 379億円 478億円 467億円
経常利益 23億円 25億円 46億円 58億円 40億円
利益率(%) 10.1% 8.6% 12.2% 12.2% 8.6%
当期利益(親会社所有者帰属) 16億円 23億円 33億円 43億円 36億円

(2) 損益計算書


減収減益となりました。売上高は微減ですが、売上原価の減少幅が小さく、売上総利益が減少しています。営業利益および営業利益率も低下しており、利益率の悪化が見られます。

項目 2024年6月期 2025年6月期
売上高 478億円 467億円
売上総利益 83億円 72億円
売上総利益率(%) 17.4% 15.5%
営業利益 54億円 38億円
営業利益率(%) 11.3% 8.2%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当が4億円(構成比13%)、支払手数料が8億円(同24%)、租税公課が9億円(同26%)を占めています。

(3) セグメント収益


介護事業は、M&Aや新規開設により増収増益となり、順調に推移しています。一方、不動産事業は物件売却の減少や建築費上昇の影響で大幅な減収減益となりました。その他事業は増収増益で推移しています。

区分 売上(2024年6月期) 売上(2025年6月期) 利益(2024年6月期) 利益(2025年6月期) 利益率
介護事業 334億円 391億円 44億円 48億円 12.3%
不動産事業 131億円 56億円 19億円 0.7億円 1.2%
その他事業 14億円 20億円 0.9億円 1億円 6.3%
調整額 -5億円 -6億円 -10億円 -12億円 -
連結(合計) 478億円 467億円 54億円 38億円 8.2%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

項目 2024年6月期 2025年6月期
営業CF 105億円 37億円
投資CF -17億円 -85億円
財務CF -30億円 13億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は14.9%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は39.4%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「高齢者生活サービスを中心として、お客様お一人おひとりの価値観を大切にし、お客様にあった魅力的な生活を提案します。」を企業理念として掲げています。「豊かで実りある高齢社会」づくりに貢献することを使命とし、顧客に魅力的な介護サービスを提供することを目指しています。

(2) 企業文化


同社は「お客様への約束」「社会への約束」「従業員への約束」からなる企業行動基準を定めています。情報開示や法令遵守を通じて社会からの信頼獲得を目指すと同時に、従業員に対してはチャレンジする機会とやりがいのある職場環境を提供することを重視しています。

(3) 経営計画・目標


中期目標として、積極的な事業投資と安定した業績成長の両立を目指し、以下の数値を掲げています。

* 連結売上高:1,000億円
* 連結経常利益:100億円

(4) 成長戦略と重点施策


介護ニーズが高まる首都圏および近畿圏の都市部において、アッパーミドルから富裕層をターゲットとした高価格帯ブランド「チャームプレミア」「チャームプレミアグラン」シリーズの開設に注力しています。また、M&Aによる規模拡大や、介護事業以外の周辺事業・新規事業の創出にも取り組んでいます。

* 有料老人ホームの新規開設数の確保・増大
* IT機器やAI導入による業務効率化と労働力確保
* 事業構想室による新規事業創設とM&Aの推進

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


労働力不足に対応するため、新卒採用の強化や処遇改善、キャリアパス制度の運営に注力しています。介護業界における「処遇No.1」を目指し、ベースアップや賞与の一部月給化を実施しています。また、多様な人材の活躍を推進し、IT活用による業務効率化で働きやすい環境づくりを進めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年6月期 43.4歳 4.1年 468万円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 25.7%
男性育児休業取得率 57.1%
男女賃金差異(全労働者) 67.0%
男女賃金差異(正規) 86.4%
男女賃金差異(非正規) 78.7%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性従業員比率(73.2%)、離職率(17.7%)、中途採用比率(86.5%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 介護保険制度の改正リスク

主力事業である介護付有料老人ホームは、介護保険法に基づく指定を受けて運営されています。介護報酬の改定や人員基準等の法改正が行われた場合、収益性が変動する可能性があります。報酬引き下げ等の不利な改正は経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 人材確保と人件費の上昇

介護業界全体で労働力不足が課題となっており、必要な人員の確保が困難になるリスクがあります。人材獲得競争の激化により採用コストや人件費が増加した場合、利益を圧迫する可能性があります。また、人員基準を満たせない場合は運営に支障をきたす恐れがあります。

(3) 特定事業への依存

同社グループの事業は施設介護事業に集中しています。在宅介護への政策転換などにより施設介護の需要動向が変化した場合や、制度変更により事業環境が大きく変わった場合、業績に重要な影響を与える可能性があります。

(4) 競合の激化

高齢化に伴う市場拡大を見込んで異業種からの参入や同業他社の事業拡大が続いています。競争激化により入居率の低下や価格競争が生じた場合、または好立地の物件確保が困難になった場合、同社の成長や収益性に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。