プラッツ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

プラッツ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

プラッツは東証スタンダードおよび福証Q-Boardに上場する企業で、医療介護用電動ベッドの製造・販売を主要事業としています。直近の業績は、主力市場での営業強化や子会社化の効果により、売上高が64億円から84億円へ大幅に伸長し、利益面でも増益となるなど、増収増益基調で推移しています。


※本記事は、株式会社プラッツ の有価証券報告書(第33期、自 2024年7月1日 至 2025年6月30日、2025年9月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. プラッツってどんな会社?


同社は医療介護用電動ベッド及びマットレス等の周辺機器の企画・開発・販売を行うメーカーです。

(1) 会社概要


1992年に有限会社九州和研として設立され、1995年に現在の商号へ変更しました。1997年に介護用電動ベッドの販売を開始し、主力事業の基盤を築きました。2015年には東証マザーズおよび福証Q-Boardへ株式を上場を果たしました。その後、2025年3月に東証スタンダード市場へ市場区分を変更しています。

連結従業員数は149名、単体では108名です。筆頭株主は創業家資産管理会社と思われるEKSで、第2位は事業提携先であるVietnam Precision Industrial CO.,LTD.、第3位は資産管理業務を行う信託銀行です。

氏名 持株比率
EKS 15.53%
Vietnam Precision Industrial CO.,LTD. 8.01%
日本カストディ銀行(信託E口) 4.79%

(2) 経営陣


同社の役員は男性11名、女性0名の計11名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は河内谷忠弘氏が務めています。社外取締役比率は約36.4%です。

氏名 役職 主な経歴
河内谷忠弘 取締役社長(代表取締役) 1991年山善入社。2004年同社入社。管理本部長、人事総務部長、営業統括部長などを歴任し、2023年7月より現職。
福山明利 取締役会長 1983年山善入社。1992年に同社の前身である九州和研を設立し代表取締役社長に就任。2023年7月より現職。
城雅宏 取締役副会長 1985年山善入社。2004年同社入社。常務取締役、代表取締役副社長、代表取締役社長を経て、2023年7月より現職。
古賀愼弥 専務取締役 1994年九州松下電器(現パナソニックシステムネットワークス)入社。2009年同社入社。商品本部長などを経て、2023年7月より現職。
近藤勲 常務取締役 1997年住友銀行(現三井住友銀行)入行。2005年同社入社。管理統括部長などを経て、2023年7月より現職。
山口勝也 常務取締役在宅営業部長 1999年同社入社。東日本営業部長、営業部長などを歴任し、2025年7月より現職。
吹上豪志 取締役(常勤監査等委員) 1990年大日本印刷入社。2000年同社入社。営業部部長、内部監査室長などを経て、2024年9月より現職。


社外取締役は、八田正昭(福岡銀行元支店長)、川邊康晴(西銀経営情報サービス元社長)、廣瀬隆明(広瀬公認会計士事務所所長)、柴田祐二(柴田祐二公認会計士事務所所長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「福祉用具流通市場」「医療・高齢者施設市場」「家具・寝具流通市場」「海外市場」において事業を展開しています。

(1) 福祉用具流通市場


在宅介護向けの電動ベッド「ヨカロ」「ミオレットⅢ」などを提供しています。主な顧客は、介護保険制度下の指定を受けた福祉用具貸与事業者やレンタル卸業者です。

収益は、福祉用具貸与事業者やレンタル卸業者への製品販売によって得ています。運営は主に同社が行っています。

(2) 医療・高齢者施設市場


病院や高齢者施設向けの電動ベッド「P300シリーズ」「アーデル」などを提供しています。施設運営者のニーズに応じた機能を持つ製品を展開し、医療機器・施設設備販売会社等を通じて販売されます。

収益は、医療・高齢者施設への設備販売を行う販売会社への製品販売によって得ています。運営は主に同社が行っています。

(3) 家具・寝具流通市場


一般家庭向けのベッドやマットレスを提供しています。介護保険制度とは直接関連がなく、家具店や通信販売向けの卸売が中心です。

収益は、家具店、家具問屋、寝具問屋等への製品販売によって得ています。運営は主に同社および子会社のやまと産業が行っています。

(4) 海外市場


中国を中心とした東アジア地域向けに、現地のニーズに合わせた仕様のベッドを提供しています。

収益は、現地の販売代理店等への製品販売によって得ています。運営は主に同社および子会社の富若慈(上海)貿易有限公司が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は増加傾向にあり、特に直近の期では大幅な増収を達成しています。利益面では、原材料価格高騰などの影響を受けつつも、直近では経常利益、当期純利益ともに回復し、増益基調となっています。

項目 2021年6月期 2022年6月期 2023年6月期 2024年6月期 2025年6月期
売上高 70億円 64億円 63億円 64億円 84億円
経常利益 9億円 4億円 0.3億円 2億円 2億円
利益率(%) 12.4% 6.2% 0.4% 2.9% 2.8%
当期利益(親会社所有者帰属) 3億円 3億円 2億円 0.4億円 1億円

(2) 損益計算書


売上高の大幅な増加に伴い、売上総利益も拡大しています。営業利益率も改善傾向にあり、収益性が向上しています。

項目 2024年6月期 2025年6月期
売上高 64億円 84億円
売上総利益 19億円 25億円
売上総利益率(%) 29.7% 29.9%
営業利益 0.4億円 2億円
営業利益率(%) 0.6% 2.2%


販売費及び一般管理費のうち、給与及び賞与が6億円(構成比26%)、運賃が3億円(同13%)を占めています。売上原価に関しては、詳細な内訳データはありません。

(3) セグメント収益


全セグメントで増収となっており、特に家具・寝具流通市場は子会社化の影響で大きく売上が増加しました。主力市場である福祉用具流通市場も堅調に推移しています。

区分 売上(2024年6月期) 売上(2025年6月期)
福祉用具流通市場 18億円 21億円
医療・高齢者施設市場 0.5億円 15億円
家具・寝具流通市場 1億円 2億円
海外市場 44億円 47億円
連結(合計) 64億円 84億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

プラッツは、医療介護用電動ベッド事業を中心に、売上高は前期比31.9%増と堅調に成長しています。営業活動によるキャッシュ・フローは増加し、事業活動から潤沢な資金を生み出しています。一方で、将来の成長に向けた設備投資や有価証券への投資により、投資活動によるキャッシュ・フローは減少しています。財務活動では、借入やリースバックによる資金調達と、借入金の返済や自己株式の取得、配当金の支払いなどを行っています。

項目 2024年6月期 2025年6月期
営業CF 4億円 2億円
投資CF 1億円 -4億円
財務CF -5億円 -1億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は、「医療介護、健康福祉、ベッド業界に対し、高品質・高機能・低価格をテーマにした製品作りに徹し、お客様に満足と喜びを感じてもらうことを最大の目標に恒久的に社会に貢献するものである。」という企業理念を掲げています。

(2) 企業文化


同社は、企業価値の向上には人材の確保とスキル向上が不可欠であると考えています。そのため、積極的な人材育成と教育制度の充実、および適切な人材登用を重視する文化を持っています。また、新規事業などのイノベーションを促進するための人的資本戦略の策定にも取り組んでいます。

(3) 経営計画・目標


同社は、経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標として、ROE(自己資本利益率)を意識した経営を行っています。中期経営計画においては、ROEの目標値を4.7%として掲げています。

(4) 成長戦略と重点施策


同社は、国内市場の拡大、製造機能の強化、海外市場の拡大を重点施策としています。国内では医療・高齢者施設市場への注力や新分野への製品展開を図り、製造面では生産拠点の見直しや開発購買機能の強化を進めています。海外では、特に中国市場における合弁事業の推進により展開スピードを加速させる方針です。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、少子高齢化による人材不足を背景に、優秀な人材の確保と生産性の向上を重要な経営課題と認識しています。従業員が高いモチベーションを持ち、働きがいを感じられる職場環境の整備に取り組むとともに、人事評価制度や人材育成プログラムの見直しを進めることで、企業基盤の強化を図っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年6月期 39.6歳 8.1年 6,322,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 0.0%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 66.3%
男女賃金差異(正規) 73.6%
男女賃金差異(非正規) 46.5%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、有給取得率(59.5%)、育児休業取得率(100.0%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 介護保険制度の改正


主要取引先であるレンタル卸業者等の事業は、介護保険法等の公的サービスに依存しています。5年ごとの制度改正や3年ごとの報酬改定により、取引先の収益環境が変化した場合、同社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 商品の欠陥リスク


製品の品質管理には注力していますが、欠陥が全く発生しない保証はありません。大規模なリコールが発生した場合、多額のコスト負担やブランドイメージの毀損が生じ、業績に悪影響を与える可能性があります。

(3) 為替変動の影響


部品や商品の輸出入を行っているため、為替相場の変動リスクがあります。特に米ドルの変動は業績に影響を与える可能性があり、円安は調達コストの増加要因となります。デリバティブ取引等でリスクヘッジを行っていますが、完全に回避できるとは限りません。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。