※本記事は、株式会社スマートバリュー の有価証券報告書(2025年6月期、2024年7月1日 ~ 2025年6月30日、2025年9月25日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
スマートバリューは、「スマート&テクノロジーで歴史に残る社会システムを創る!」というミッションを掲げ、クラウドソリューション事業を展開しています。同社グループは、デジタルガバメント、モビリティ・サービス、スマートベニューの3つのセグメントで多岐にわたるサービスを提供しています。
単体従業員数は105名、連結従業員数は197名です。セグメントはデジタルガバメント、モビリティ・サービス、スマートベニューの3つです。
主な国内グループ会社は、ノースディテール、ストークス、One Bright KOBEなどです。
同社グループは、2025年6月30日付でデジタルガバメント事業の一部を譲渡し、2024年7月31日付でカーソリューション事業におけるリース車両向け物販事業を譲渡しました。また、2025年4月にはGLION ARENA KOBEを開業し、スマートベニュー事業を強化しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
スマートバリューは、デジタルガバメントやモビリティ・サービスといった社会課題解決型の事業を展開しており、従業員のワーク・ライフ・バランスを重視した働き方を推進しています。多様な人材が活躍できる環境づくりに力を入れ、持続的な成長を目指している会社です。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は、従業員の成長を中長期的に支援する人材育成方針を掲げており、社内でのキャリアチェンジを可能とする社内公募制度も設けています。平均勤続年数や平均年齢からは、比較的若い人材が活躍し、キャリアを築いている傾向がうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 4,591,000円 |
| 平均勤続年数 | 4年1ヶ月 |
| 平均年齢 | 35歳11ヶ月 |
| 単体従業員数 | 105人 |
| 連結従業員数 | 197人 |
| 単体のグループ内比率 | 53.3% |
同社は確定拠出制度として特定退職金共済制度に加入しています。この制度は、会社が拠出した資金を従業員が運用する形式です。なお、退職一時金の有無や支給条件、従業員ごとの会社拠出額などは、有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、「社会の公器として永続する事業主体になる。そして変わりゆく時代を創造する主体者となる。」という目的を掲げ、社会課題解決型の事業を通じてサステナビリティを実践しています。持続的な成長のため、性別・国籍・年齢・新卒・中途採用を問わず多様な人材を採用し、育成に力を入れています。
人材育成では、従業員の成長を中長期に支援するため、各種研修の受講や資格取得の支援制度を設けています。また、多様な人材が活躍できるよう、社内でのキャリアチェンジを可能とする社内公募制度も導入しています。
社内環境整備においては、「働きやすい環境づくりを推進することで、ワーク・ライフ・バランスを実現し、結果、生産性向上に繋がる」という考えのもと、2013年から子育て支援に積極的に取り組んでいます。2017年からは「SMART WORK」プロジェクトを立ち上げ、多様な働き方への対応、子育て支援の強化、介護や不妊治療との両立支援など、職場環境の改善を進めています。さらに、DE&I(Diversity, Equity & Inclusion)を推進し、全員がお互いを尊重し合い、個々の能力が発揮できる環境整備を目指しています。女性活躍推進企業「えるぼし」の3つ星、子育てサポート企業「くるみん」の5回目の認定も取得しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体のデータを示します。連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、提出会社単体のデータを示します。男女賃金差異は、女性活躍推進法に基づく公表義務の対象項目として選択しておらず、公表されていません。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 30.8% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 42.9% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
スマートバリューは、クラウドソリューション事業を主軸に、社会システムを創造することを目指す企業です。デジタルガバメント、モビリティ・サービス、スマートベニューの3つのセグメントで事業を展開しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、クラウドソリューション事業を通じて、社会のデジタル化とスマート化を推進しています。自治体向けのクラウドサービスから、モビリティ分野のIoTプラットフォーム、さらには大規模アリーナの運営まで、多岐にわたるサービスを提供しています。収益は、これらのサービス提供やプラットフォーム利用料、施設利用料、協賛金などから得ています。
デジタルガバメント
このセグメントでは、自治体向けCLOUD SUITE「ガブクラ」を提供し、オープンガバメントの社会実装を推進しています。Webサイトの作成運用CMS「SMART L-Gov」や、住民と自治体をオンラインで繋ぐ「GaaS」などで構成され、持続的なまちづくりを支援しています。新規案件獲得や既存顧客の深耕に注力していますが、競争環境の激化や先行投資により、前期に比べて収益は微増にとどまりました。運営は、同社およびノースディテールが行っています。
モビリティ・サービス
自動車産業の変革期において、コネクティッドカーサービス「CiEMSシリーズ」や、クルマのデータ利活用を推進するプラットフォーム、カーシェアリング支援プラットフォーム「Kuruma Base」などを提供しています。当連結会計年度においては、収益性が悪化していたリース車両向け物販事業を譲渡したことで、収益性は改善されたものの、セグメント売上高は前期から減少しました。運営は、同社およびノースディテールが行っています。
スマートベニュー
このセグメントは、2025年4月に開業した「GLION ARENA KOBE」を軸に、スタジアム・アリーナ改革とスマートベニューの概念に基づいた新たな市場創造を目指しています。神戸アリーナの開業やICT基盤構築、プロバスケットボールクラブの運営を通じて、神戸のまちづくりに貢献しています。大口協賛の獲得により大幅な増収となりましたが、開業時のオペレーションコスト増大や費用増加、一部貸館事業のキャンセルにより減益となりました。運営は、One Bright KOBEおよびストークスが行っています。
同社グループは、本邦以外の外部顧客への売上高はなく、国内市場に特化しています。また、特定の顧客への売上高が連結損益計算書の10%以上を占める相手先はありません。
| セグメント | 売上高(2024年6月期) | 売上高(2025年6月期) |
|---|---|---|
| デジタルガバメント | 17.1億円 | 17.4億円 |
| スマートベニュー | 6.4億円 | 15.2億円 |
| モビリティ・サービス | 14.6億円 | 11.0億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの売上高は、直近5年間で増加傾向にあります。一方で、経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益は変動が大きく、損失を計上する期もありました。当連結会計年度においては、売上高は増加し、親会社株主に帰属する当期純利益は黒字に転換しています。これは、事業譲渡益を特別利益に計上したことが主な要因となっています。営業活動によるキャッシュ・フローは増加しており、本業による資金創出力は改善傾向にあります。
| 項目 | 2021年6月期 | 2022年6月期 | 2023年6月期 | 2024年6月期 | 2025年6月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 34.5億円 | 38.1億円 | 38.7億円 | 38.1億円 | 43.6億円 |
| 経常利益 | △5.8億円 | 8百万円 | △76百万円 | △3.1億円 | △7.3億円 |
| 経常利益率 | △16.8% | 0.2% | △2.0% | △8.2% | △16.8% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | △14.1億円 | 1百万円 | △49百万円 | △3.5億円 | 9.2億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | △140.54 | 0.11 | △4.80 | △33.57 | 88.15 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高(連結)は、前期から増加しています。これは、売上高の増加と連結従業員数の減少が影響していると考えられます。一方で、従業員1人あたり営業利益(連結)は前期から減少しており、営業損失の拡大が影響している状況です。事業譲渡に伴う従業員数の変動や、スマートベニューセグメントにおけるアリーナ開業に伴う先行投資やコスト増大が、これらの指標に影響を与えている可能性があります。
| 指標 | 2024年6月期 | 2025年6月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 13.6百万円 | 22.1百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | △1.1百万円 | △2.2百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループは、本業の収益性には課題が見られるものの、キャッシュフローは増加傾向を示しています。財務基盤と資金の流れから、現在の経営状況を読み解きます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの自己資本比率は10.2%であり、前期の41.8%から減少しています。これはプライム市場の非製造業平均と比較して低い水準です。ROE(自己資本利益率)は43.3%と前期の△18.3%から大幅に改善しています。手元資金である現金及び預金は41.3億円と前期から増加しており、資金の流動性は確保されている状況です。
| 指標 | 2024年6月期(前期) | 2025年6月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 21.6億円 | 30.0億円 |
| 自己資本比率 | 41.8% | 10.2% |
| ROE(自己資本利益率) | △18.3% | 43.3% |
| 現金及び預金 | 17.3億円 | 41.3億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループの当期の営業活動によるキャッシュフローは4.6億円の増加となり、前期の0.3億円の増加から大幅に増加しました。これは主に税金等調整前当期純利益や契約負債の増加、事業譲渡益の調整によるものです。投資活動によるキャッシュフローは8.9億円の増加となり、前期の3.5億円の増加からさらに増加しました。これは事業譲渡による収入が主な要因となっています。
その結果、本業と投資活動を合わせたフリーキャッシュフローは13.5億円の増加となりました。財務活動によるキャッシュフローも10.5億円の増加となり、長期借入れによる収入が主な要因です。これらの状況は、事業再編に伴う資金流入と新たな資金調達により、同社グループの資金が全体として増加していることを示しています。今後の事業展開や雇用・給与の安定性にも影響を与える可能性があります。
| 項目 | 2024年6月期(前期) | 2025年6月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 0.3億円 | 4.6億円 |
| 投資CF | 3.5億円 | 8.9億円 |
| 財務CF | 1.1億円 | 10.5億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 3.8億円 | 13.5億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、クラウドソリューション事業において競合他社の存在や新たな参入事業者の登場により競争が激化するリスクを認識しています。また、人口減少や景気低迷による顧客の投資意欲低下も、新規顧客開拓や受注減少に影響を与える可能性があります。
さらに、新規事業であるスマートベニュー領域は既存事業よりもリスクが高いと認識されており、安定して収益を生み出すまでに一定の時間がかかることが予想されています。事業戦略の見直しや再編、新規事業への参入において期待する効果が十分に得られない場合、減損損失の計上等により業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、今後の事業拡大に伴い優秀な人材の採用と社内教育を積極的に進める方針です。しかし、予想を上回る人材の流出や求める人材が確保できない場合、業績や事業展開に悪影響を及ぼす可能性があります。また、人材の増強や教育に伴う固定費の増加も利益減少につながるリスクとして挙げられています。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
スマートバリューグループは、「スマート&テクノロジーで歴史に残る社会システムを創る!」という明確なビジョンを掲げ、社会課題解決と企業価値の継続的な拡大を目指しています。多様な働き方を推進し、社員一人ひとりの成長と幸福を追求する企業風土が特徴です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは「スマート&テクノロジーで歴史に残る社会システムを創る!」ことを標榜し、事業成長と競合他社との差別化、収益性向上を通じて企業価値の継続的な拡大を図る方針です。中長期的には2028年の創業100年までの方針として「Moonshot Vision 2028」を定めています。
既存クラウドサービスの拡充を図りつつ、リアルなまちをデジタルとコミュニティの力で未来の社会システム(スマートシティ)の創造を目指して推進しています。また、まちづくりを担う主体者として、ツール提供に留まるSaaS事業者からさらに変化を進めることを目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは「社会の公器として永続する事業主体になる。そして変わりゆく時代を創造する主体者となる。」という目的を持ち、サステナビリティの実践自体を企業目的に掲げています。全員がお互いを尊重し合い、寄り添い、個々の能力が発揮できる環境を整備することで、信頼を前提としたコミュニティを育むことを目指しています。
「未来に残るバリュー」を生み出し続けるため、DE&I(Diversity, Equity & Inclusion)を推進しています。「働きやすい環境づくり」を重視し、ワーク・ライフ・バランスの実現と生産性向上を目指しています。2017年からは「SMART WORK」プロジェクトで、多様な働き方への対応や子育て支援の強化、介護や不妊治療との両立支援など、職場環境の改善に取り組んでいます。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、人的資本への投資と働く環境の整備を優先的に対処すべき課題と認識しています。人材採用・育成・人事評価体系の整備運用、技術的研修、社員幸福度の追求、遠隔地採用を含めた多様な働き方への対応に注力しています。
また、管理職層の充実も急務であり、より高いスキルと人間的魅力に富む管理職層の登用を目指しています。内部管理体制の強化も重要な課題であり、内部統制システムの適正な維持、財務報告や業務全般における適正なプロセスの整備と運用を徹底しています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
スマートバリューは、経営における監督と執行の分離を明確にし、監督機能の強化と業務執行のスピードアップを図るため、指名委員会等設置会社に移行しています。取締役会は社外取締役が過半数を占める構成となっています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
スマートバリューの株主構成を見ると、創業家とみられる個人株主が上位に名を連ねています。特に筆頭株主と第2位の株主は同姓であり、代表執行役社長も上位株主の一人であることから、創業家が同社の経営に大きな影響力を持っていることがうかがえます。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 渋谷 一正 | 20.57% |
| 渋谷 順 | 11.63% |
| ウイングアーク1st | 7.99% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は9名(男性8名・女性1名)で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表執行役社長は渋谷順氏が務めています。社外取締役比率は83.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 渋谷 順 | 代表執行役社長 | 1982年菱和商工入社、1985年株式会社堺電機製作所(現:同社)入社。同社専務取締役、代表取締役社長を歴任し、2020年9月より代表執行役社長を務める。関連会社の代表取締役や社外取締役も兼任。 |
社外取締役は、北條明宏氏(北條公認会計士・税理士事務所代表・監査委員長)、松本直人氏(Team Local Capital代表取締役・指名委員・報酬委員)、赤崎雄作氏(弁護士法人中央総合法律事務所パートナー・指名委員・報酬委員)、松川奈央氏(北浜中央法律事務所パートナー・指名委員・報酬委員・監査委員)、永島竜貴氏(会計事務所メルディアップ代表・監査委員)です。
同社は指名委員会等設置会社であり、取締役会は社外取締役が過半数を占める構成です。これにより、透明性、客観性の高い監督機能を発揮し、経営における監督と執行の分離を明確にしています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
スマートバリューの役員報酬は、主に基本報酬と業績連動型株式報酬で構成されています。固定報酬が91%、業績連動報酬が9%の構成比を想定しており、基本報酬は役職や職務内容、業績などを総合的に勘案して金銭で支払われます。業績連動型株式報酬は、当期営業利益の目標達成時に応じて同社株式が交付される仕組みです。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 執行役 | 5名 | 78百万円 | 15.6百万円 |
| 社外役員 | 6名 | 20百万円 | 3.4百万円 |
なお、取締役兼務執行役の報酬については、執行役に含めて記載されています。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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