※本記事は、株式会社マーケットエンタープライズ の有価証券報告書(2025年6月期、2024年7月1日 ~ 2025年6月30日、2025年9月26日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
マーケットエンタープライズは、「持続可能な社会を実現する最適化商社」をビジョンに掲げ、インターネットを通じて最適な消費の選択肢を提供しています。2006年の設立以来、ネット型リユース事業を主軸に、メディア事業、モバイル通信事業の3つのセグメントを展開しています。
単体従業員数は336名、連結従業員数は394名です。セグメントはネット型リユース事業、メディア事業、モバイル通信事業の3つです。
主な国内グループ会社は、MEモバイル(モバイル・通信事業)、MEトレーディング(ネット型・リユース事業)、UMM(メディア・事業)などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
マーケットエンタープライズは、リユース事業をコアに持続可能な社会の実現を目指す企業です。若手社員が多く活躍しており、個人の成長を重視した人事制度や多様な働き方を支援する環境が特徴です。社員の働きがい向上に向けた取り組みも積極的に行われています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は、平均勤続年数が比較的短く、平均年齢も若年層に集中している傾向があります。これは、多くの若手社員が活躍し、活発な人材流動性があることを示しています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 4,263,000円 |
| 平均勤続年数 | 3.8年 |
| 平均年齢 | 31.4歳 |
| 単体従業員数 | 336人 |
| 連結従業員数 | 394人 |
| 単体のグループ内比率 | 85.3% |
なお、退職給付制度に関する記載はありません。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
マーケットエンタープライズは、「市場を革新し、新しい価値を創造すること」をパーパスに掲げ、「持続可能な社会を実現する最適化商社」という長期ビジョンと密接に結びついた人材戦略を展開しています。従業員一人ひとりの能力と成長が企業の成長に直結するという考え方を重視し、ダイバーシティ&インクルージョンを意識した人事制度を構築・運用しています。
具体的には、事業領域の拡大を支える多様な主体性や働き方を受容し、市場創出をミッションとした異動や任命が行いやすい制度を基本方針としています。社員は「マネジメント」または「スペシャリスト」といったライン別のキャリア設計を選択できる役割等級制度が導入されており、独自の育成研修プログラムを通じて共通の思考や言語の土台を形成しています。若手社員が多い組織構造に鑑み、新入社員のオンボーディングやキャリア支援として集合研修や人事面談を積極的に提供しています。中途入社者向けには企業理念の浸透を目的としたオフライン研修も実施されています。
また、次世代を担う経営幹部候補者の育成を重要な経営課題と位置づけ、選抜された人材には社内育成施策に加え、外部講師を招いたプログラムや外部機関の経営者育成研修への参加機会を提供しています。研修で得た学びを実務に結びつけるため、経営会議や重要プロジェクトへの参画機会も積極的に設けています。社員の働きがいを向上させるための人事制度改革として、2025年7月より年間休日を拡充し、若手社員を中心に給与のベースアップを実施しました。地域手当の均一化も図り、人材の流動性を高め、社員一人ひとりがより活躍できる環境構築を目指しています。組織の課題を可視化するためエンゲージメントサーベイを継続的に実施しており、企業理念や長期ビジョン、行動指針を重視する企業文化を大切にしています。タレントマネジメントシステムを導入し、適切な人材配置や採用、育成に活用することで組織全体のパフォーマンス向上を図っています。社内報「MEWS!」の発行や社内SNSの活用、キックオフミーティングの開催など、多様な社員の相互理解を深めるコミュニケーション施策も実施されています。さらに、生成AIプロジェクトを発足し、業務効率化や生産性向上を目指しており、2025年5月には業務利用率が95%を超え、年間で78,000時間以上の削減が見込まれています。人事評価制度はコンピテンシー評価とMBOを基に、行動指針に基づく行動目標の達成度を評価し、社員の成長促進と報酬への反映を行っています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データを示します。管理職に占める女性の割合は、女性活躍推進法に基づく情報公開項目として選択しておらず、記載を省略しています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 男性労働者の育児休業取得率 | 50.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 54.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 82.5% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 74.3% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
マーケットエンタープライズは、「持続可能な社会を実現する最適化商社」をビジョンに掲げ、インターネットを通じて最適な消費の選択肢を提供する事業を展開しています。個人や法人向けに、中古品の買取・販売、情報メディアの運営、モバイル通信サービスの提供を行っています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、「ネット型リユース事業」「メディア事業」「モバイル通信事業」の3つのセグメントで事業を展開しています。多様な消費行動に対応し、インターネットに特化したサービスを提供することで収益を上げています。
ネット型リユース事業
この事業では、販売店舗を持たずインターネットに特化し、中古品の買取と販売を行っています。主力サービスは総合買取サイト「高く売れるドットコム」で、一般家電から趣味嗜好品、農機具まで幅広い商材を取り扱っています。買い取った商品は「ReRe」の屋号で主要なインターネットマーケットプレイスや自社ECサイトで販売しており、農機具は海外向けECサイト「FARMMART」でも販売しています。
また、消費者と全国の加盟リユースショップをマッチングするプラットフォーム「おいくら」も運営しており、地方自治体との連携も進めています。
収益は、中古品の買取・販売およびプラットフォーム利用料から得ています。
メディア事業
この事業では、通信関連、リユース関連、消費関連など、消費者の関心が高い分野に特化したインターネットメディアを運営しています。「iPhone格安SIM通信」や「高く売れるドットコムMAGAZINE」、「Motorz」など10のメディアを通じて、賢い消費に役立つ情報を提供しています。
収益は、記事からの送客に伴う成果報酬を主な源泉としています。
モバイル通信事業
この事業では、連結子会社のMEモバイルが、高速無線通信サービス「カシモ WiMAX」を展開しています。低価格でシンプルなモバイルWi-Fiルーターサービスを主力として提供しています。
収益は、新規回線獲得による収入と、契約期間中に月ごとに計上される安定的な収入から得ています。当連結会計年度においては、株式会社セレクトネットワークへの販売高が同社グループの総販売実績の14.5%を占めています。
| セグメント | 売上高(2024年6月期) | 売上高(2025年6月期) |
|---|---|---|
| ネット型リユース事業 | 110億円 | 125億円 |
| モバイル通信事業 | 74.0億円 | 118億円 |
| メディア事業 | 5.8億円 | 4.6億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの売上高は、過去5年間で増加傾向にあります。特に当連結会計年度は前期から大きく伸長しました。経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益は変動がありましたが、当連結会計年度は前期の損失から大幅に改善し、黒字に転換しています。
当連結会計年度の経常利益には、デリバティブ解約益の計上も影響しています。
| 項目 | 2021年6月期 | 2022年6月期 | 2023年6月期 | 2024年6月期 | 2025年6月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 109億円 | 120億円 | 153億円 | 190億円 | 248億円 |
| 経常利益 | 33百万円 | △3.3億円 | 2.8億円 | 40百万円 | 6.8億円 |
| 経常利益率 | 0.3% | △2.7% | 1.8% | 0.2% | 2.8% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | △40百万円 | △4.0億円 | 2.9億円 | △4.8億円 | 4.8億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | △7.63 | △76.29 | 54.56 | △89.35 | 90.75 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高(連結)は、前期から当期にかけて増加しています。また、従業員1人あたり営業利益(連結)も前期から大きく向上しました。これらの指標の改善は、同社グループの事業規模拡大と生産性向上の取り組みが進展していることを示しています。
| 指標 | 2024年6月期 | 2025年6月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 43.9百万円 | 62.9百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 0.7百万円 | 1.6百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
マーケットエンタープライズグループの財務状況は、本業で安定した資金を生み出し、将来に向けた投資も行いつつ、手元資金を確保している状態です。これは、事業の成長と財務の健全性を両立させながら、経営基盤を強化していることを示しています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの自己資本比率はプライム市場の非製造業平均と比較してやや低い水準ですが、ROE(自己資本利益率)はプライム市場平均を大きく上回っています。手元資金である現金及び預金は増加傾向にあり、事業運営に必要な流動性を確保している状況です。これらの財務指標は、同社グループが成長を追求しつつも、一定の財務安定性を維持していることを示しています。
| 指標 | 2024年6月期(前期) | 2025年6月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 13.1億円 | 19.1億円 |
| 自己資本比率 | 16.5% | 21.8% |
| ROE(自己資本利益率) | △42.7% | 43.3% |
| 現金及び預金 | 14.9億円 | 17.1億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは4.8億円の資金増加となりました。これは主に税金等調整前当期純利益の計上、棚卸資産の減少、仕入債務の増加があった一方で、売上債権の増加があったことによるものです。投資活動によるキャッシュ・フローは△51百万円の資金減少となり、本社移転に関わる有形固定資産の取得による支出やメディア事業再編に関わる事業譲受による支出があった一方で、デリバティブ解約による収入がありました。財務活動によるキャッシュ・フローは△2.0億円の資金減少となり、短期借入金の減少やリース債務の返済による支出などがありました。
これらの結果、フリーキャッシュ・フローは4.3億円のプラスとなっており、同社グループは本業で得た資金を成長投資に充てつつ、手元資金も確保している状態です。これは、事業の成長と財務の健全性を両立させながら、安定した事業運営を行っていることを示しています。
| 項目 | 2024年6月期(前期) | 2025年6月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | △4.2億円 | 4.8億円 |
| 投資CF | △2.3億円 | △51百万円 |
| 財務CF | 5.0億円 | △2.0億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △6.5億円 | 4.3億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループのネット型リユース事業の売上の過半数は、LINEヤフー株式会社が運営する「Yahoo!オークション」を通じたものとなっています。同社による「Yahoo!オークション」サービスの廃止等、現段階において予見されていない事象が発生した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、リユース業界はフリマアプリの台頭など新規参入が目立っており、業界内における競争が激化した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループにおいて、優秀な人材の確保、育成及び定着は今後の継続的な成長を実現させるための重要課題です。求める人材を計画通りに確保できなかった場合や、育成した役職員が社外に流出した場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
マーケットエンタープライズは、「持続可能な社会を実現する最適化商社」をビジョンに掲げ、リユース事業を核に事業を展開しています。WinWinの関係を築き、商売を心から楽しむ主体者集団であることを企業理念としています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、「WinWinの関係が築ける商売を展開し、商売を心から楽しむ主体者集団で在り続ける」という企業理念を掲げています。ビジョンとしては、「持続可能な社会を実現する最適化商社」を目指しています。同社のパーパスは社名に由来し、市場を革新し、新しい価値を創造することを目指すことを示しています。多様化する消費行動に対応し、最適な消費の選択肢を提供することで、サーキュラーエコノミー(循環型経済)の発展に貢献することを目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、社員一人ひとりが「企業理念」「長期ビジョン」「行動指針」を重視し行動する企業文化を大切にしています。人事制度設計においては、ダイバーシティ&インクルージョンを意識し、多様な主体性・働き方・幸せを受容することを基本方針としています。市場創出をミッションとした異動や任命が行いやすく、個々人に成長や研修の機会を提供し、パフォーマンスを適切に評価する制度を構築しています。
また、「ME 10Core Values」として、「Speed(速度)」「Change & Challenge(変化と挑戦)」「Input & Output(学びと行動)」「Priority(優先順位)」「Continuous Outcome(継続的成果)」「Responsibility(責任感)」「Key Communication(本質的議論)」「Team Work(共創)」「Creativity(発想)」「Long-term thinking(長期思考)」を掲げています。これらは企業文化の醸成や社員の行動の一貫性を保つための基盤となっています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、今後のさらなる事業拡大を目指すために、優秀な人材の確保・育成と組織体制の強化を重要な課題と認識しています。社員の給与水準の向上や教育研修体制の整備、社内コミュニケーションの活性化、福利厚生の充実等を通じて、人材の定着と能力の底上げに取り組んでいます。
また、経営管理体制の強化も重要な課題であり、事業運営における生産性向上のための各種業務のデジタルシフトや業績管理手法の刷新を進めています。コーポレートガバナンス・コードへの適合状況の確認や内部統制に資する業務プロセスの整備・運用を通じて、透明性が高く健全な経営管理体制の構築を目指しています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
マーケットエンタープライズは監査役会設置会社であり、取締役会と監査役会、経営会議を通じて企業統治体制を構築しています。取締役会は社外取締役を含み、経営の意思決定と監督を行っています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
マーケットエンタープライズの筆頭株主はWWGです。代表取締役社長である小林泰士氏や専務取締役の加茂知之氏も上位株主として名を連ねており、創業家や関連会社が上位に並ぶ資本構成となっています。特定の株主グループが経営に影響力を持つ傾向が見られます。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| WWG | 38.77% |
| 小林 泰士 | 10.08% |
| 加茂 知之 | 9.81% |
| BNYM SA/NV FOR BNYM FOR BNYM GCM CLIENT ACCTS M ILM FE | 1.45% |
| 丸尾 光兵 | 1.31% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は9名(男性7名・女性2名)で構成され、女性役員比率は22.0%です。代表取締役社長は小林泰士氏が務めています。社外取締役比率は20.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 小林 泰士 | 代表取締役社長 | 2004年11月同社創業、2006年7月同社設立 代表取締役社長より現職。 |
| 加茂 知之 | 専務取締役 | 2004年11月同社創業、2006年7月同社設立 取締役、2013年7月同社専務取締役より現職。 |
| 今村 健一 | 常務取締役管理本部長 | 2012年12月同社入社 管理本部長、2023年7月同社常務取締役管理本部長より現職。 |
| 原田 典子 | 取締役 | 2015年3月AI CROSS株式会社設立 代表取締役、2024年9月同社取締役より現職。 |
社外取締役は、寺田航平氏(寺田倉庫代表取締役社長・GO株式会社取締役)、原田典子氏(AI CROSS代表取締役・株式会社アスコット取締役)です。
マーケットエンタープライズは監査役会設置会社です。社外取締役2名、社外監査役4名を選任しており、社外役員は経営の透明性確保と監督機能の強化に貢献しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
マーケットエンタープライズの役員報酬は、取締役については代表取締役社長が、監査役については監査役会が協議により決定する方針です。株主総会で定められた報酬総額の範囲内で運用されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 3名 | 78百万円 | 26.0百万円 |
| 社外役員 | 7名 | 32百万円 | 4.5百万円 |
なお、人数は事業年度中に報酬の支給対象となった人数であり、期中に退任した役員を含みます。また、総額には期中に退任した役員の報酬が含まれます。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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