※本記事は、ナガオカ の有価証券報告書(第21期、自 2024年7月1日 至 2025年6月30日、2025年9月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ナガオカってどんな会社?
水関連事業とエネルギー関連事業を展開し、独自技術のスクリーン製品でグローバルに事業を行う企業です。
■(1) 会社概要
1934年に永岡金網工業所として創業し、スクリーン技術を磨いてきました。2004年に民事再生手続を経て新たにナガオカスクリーンとして設立され、事業を承継しました。2015年にJASDAQ(スタンダード)へ上場を果たし、2017年にはハマダが親会社となりました。2022年の市場区分見直しに伴い東証スタンダード市場へ移行し、同年には矢澤フェロマイトを完全子会社化しています。
2025年6月30日時点の連結従業員数は223名、単体では93名です。筆頭株主は親会社のハマダグループで、第2位は通信・OA機器販売などを手掛ける事業会社の光通信、第3位は同社代表取締役社長の梅津泰久氏です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| ハマダグループ | 52.64% |
| 光通信 | 2.31% |
| 梅津 泰久 | 1.72% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性0名の計8名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は梅津泰久氏が務めています。社外取締役比率は25.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 梅津 泰久 | 代表取締役社長 | 1984年伊藤忠商事入社。日本アジア投資を経て、2017年より現職。 |
| 楯本 智也 | 常務取締役管理本部長 | 1985年磯じまん入社。WDBホールディングス取締役管理本部長などを経て、2024年より現職。 |
| 石田 知孝 | 取締役 | 1994年旧ナガオカ入社。生産本部長、エネルギー事業本部長などを歴任し、2024年より現職。 |
| 青木 尚人 | 取締役水事業本部長 | 1993年そごう入社。荏原製作所(現水ing)を経て、2024年より現職。 |
| 大西 誠一郎 | 取締役エネルギー事業本部長 | 1990年三菱商事入社。ケーオージージャパン代表取締役などを経て、2024年より現職。 |
社外取締役は、中井康之(堂島法律事務所代表パートナー)、菊池健太郎(菊池健太郎公認会計士事務所所長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「水関連事業」および「エネルギー関連事業」を展開しています。
■(1) 水関連事業
地下水取水用スクリーン、超高速無薬注生物処理装置「ケミレス」、海水取水システム「ハイシス」等の製造・販売・施工を行っています。また、浄水場等で使用される水処理設備の設計から製作、工事の施工まで、一連の水処理プラント工事も手掛けます。生活用水や工業用水、農業用水など幅広い用途で利用されています。
収益は、自治体や民間企業等からの製品販売代金や工事代金等から得ています。運営は主にナガオカが行い、海外では那賀設備(大連)、NAGAOKA VIETNAMが製造等を担っています。また、国内では子会社の矢澤フェロマイトが水処理プラント工事等を請け負っています。
■(2) エネルギー関連事業
石油精製、石油化学、肥料プラント等の反応塔内部で使用される「スクリーン・インターナル」の製造・販売を行っています。この製品は、触媒をサポートし、原料の流れを均一に保つ役割を果たしており、高温・高圧・高腐食といった過酷な環境下での耐久性が求められる重要機器です。
収益は、プラントエンジニアリング会社や石油会社、プロセス・オーナー等からの製品販売代金から得ています。運営はナガオカが行い、製造拠点として中国の那賀設備(大連)が重要な役割を担っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は60億円台から90億円台へと拡大傾向にありますが、直近の2025年6月期は減収となりました。利益面では、経常利益が10億円前後から18億円まで伸長したものの、直近では15億円へと減少しています。利益率は15%以上の高い水準を維持しています。
| 項目 | 2021年6月期 | 2022年6月期 | 2023年6月期 | 2024年6月期 | 2025年6月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 63億円 | 63億円 | 81億円 | 95億円 | 89億円 |
| 経常利益 | 9億円 | 10億円 | 14億円 | 18億円 | 15億円 |
| 利益率(%) | 15.0% | 15.7% | 16.6% | 19.2% | 16.9% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 8億円 | 8億円 | 9億円 | 12億円 | 10億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間を比較すると、売上高は減少しましたが、売上総利益率は39.3%から41.2%へと改善しました。一方で、営業利益は減益となり、営業利益率は17.7%から17.0%へ低下しています。
| 項目 | 2024年6月期 | 2025年6月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 95億円 | 89億円 |
| 売上総利益 | 37億円 | 37億円 |
| 売上総利益率(%) | 39.3% | 41.2% |
| 営業利益 | 17億円 | 15億円 |
| 営業利益率(%) | 17.7% | 17.0% |
販売費及び一般管理費のうち、給料手当が4.5億円(構成比21%)、役員賞与が0.9億円(同4%)を占めています。
■(3) セグメント収益
エネルギー関連事業は、中国経済の低迷等の影響で新設プラント向けが減少し減収減益となりましたが、利益率は改善しています。水関連事業は、国内の浄水場等の設備更新需要などで増収となりましたが、人員増強等の経費増加により減益となりました。
| 区分 | 売上(2024年6月期) | 売上(2025年6月期) | 利益(2024年6月期) | 利益(2025年6月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| エネルギー関連事業 | 66億円 | 58億円 | 20億円 | 19億円 | 32.4% |
| 水関連事業 | 29億円 | 31億円 | 4億円 | 4億円 | 11.3% |
| 調整額 | - | - | -7億円 | -7億円 | - |
| 連結(合計) | 95億円 | 89億円 | 17億円 | 15億円 | 17.0% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
| 項目 | 2024年6月期 | 2025年6月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 23億円 | 5億円 |
| 投資CF | -2億円 | -1億円 |
| 財務CF | -18億円 | -3億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は13.4%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は74.9%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「限りある資源『水』『石油』の明日のため、技術の革新と開発で未来に貢献すること」を企業理念としています。環境負荷の小さい浄水装置や取水装置、石油精製装置の開発・改良・製造を通じて、社会や顧客からの期待に応え、信頼を高めることを経営の基本方針としています。
■(2) 企業文化
「顧客満足の向上」、「働き甲斐のある社風」、「技術革新と開発力による社会貢献」、「コンプライアンス経営の徹底」を経営姿勢として掲げています。これらを実践することで、ステークホルダーから評価される企業となることを目指しています。
■(3) 経営計画・目標
中期経営計画「FLIGHT PLAN: TRANSFORM 2027」を策定し、2027年6月期を最終年度とする目標を掲げています。
* 売上高:160億円
* 親会社株主に帰属する当期純利益:16億円
■(4) 成長戦略と重点施策
中期経営計画に基づき、事業構造の改革を推進して持続可能な成長を目指しています。水関連事業では、上水道以外の領域への参入や海外市場開拓、M&Aによる業容拡大を進め、総合水処理企業への転換を図ります。エネルギー関連事業では、市場・製造拠点の最適化や製品ラインナップ拡充に取り組みます。
* 戦略投資(成長投資、事業投資、新規投資)の実施
* 人的資本の強化(人材増強、育成)
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「国籍、性別、年齢不問」を掲げ、多様な価値観を有する人材の採用を行っています。人事制度の変革や若手社員の積極的な登用、新卒・キャリア採用の推進により組織の新陳代謝を促進し、従業員のスキルアップや資格取得を支援する制度の活用などを通じて、組織力の向上に取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年6月期 | 43.8歳 | 7.7年 | 7,528,410円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社および連結子会社は女性活躍推進法等の公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 海外事業のリスク
同社グループの売上の過半は海外が占めており、相手国の経済動向、政治状況、治安悪化、感染症発生などの影響を受ける可能性があります。また、商慣行の違い等により代金回収が遅延するリスクもあり、これらが顕在化した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) プロジェクトに係るリスク
エネルギー関連事業等では長期かつ大規模なプロジェクトとなる場合があり、資材価格高騰など不測の事態によりコストが増加する可能性があります。また、顧客によるプラント建設の延期・中止や、同社の責任による遅延・瑕疵が発生した場合、損害賠償や受注への悪影響が生じ、業績に影響を与える可能性があります。
■(3) 為替レートの変動
外貨建取引を行っているため、為替変動リスクが存在します。為替予約等によるヘッジを行っていますが、急激な変動があった場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。



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