※本記事は、株式会社クレステック の有価証券報告書(2025年6月期、2024年7月1日 ~ 2025年6月30日、2025年9月25日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
クレステックグループは、ドキュメント事業とソリューション事業を展開しています。新製品の取扱説明書や修理マニュアルなどのテクニカルドキュメンテーション制作を中心に、市場調査から販促支援、梱包設計まで一貫したサービスを提供しています。
単体従業員数は300名、連結従業員数は1,364名です。セグメントは日本、中国地域、東南アジア/南アジア地域、欧米地域の4つです。
主な国内グループ会社は、パセイジ(ドキュメント事業)、エイチエムインベストメント(株式の保有)などです。
同社グループは、新中期経営計画「CR Challenge 27」のもと、新規企業の連携やM&Aを推進し、新事業領域の拡大に挑戦しています。また、フィリピンでは事業再編を進めています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
クレステックは、グローバルな事業展開を通じて、多様な人材が活躍できる環境づくりに注力しています。従業員の定着を重視しつつ、ワークライフバランスを意識した柔軟な働き方も推進している点が特徴です。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員の平均勤続年数が長く、比較的安定した人材構成が見られます。平均年齢も40代半ばであり、経験豊富な人材が多数在籍している傾向があります。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,115,000円 |
| 平均勤続年数 | 15.3年 |
| 平均年齢 | 44.9歳 |
| 単体従業員数 | 300人 |
| 連結従業員数 | 1,364人 |
| 単体のグループ内比率 | 22.0% |
同社グループは、確定給付型と確定拠出型の退職給付制度を設けています。これらの制度は国内および海外のグループ会社に適用されています。
退職一時金制度もありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。なお、確定給付型の退職給付債務は16.2億円、年金資産は10.7億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、新中期経営計画「CR Challenge 27」において“グローバル化に向けた新たな挑戦”を基本方針として掲げています。この目標達成に向け、人材の育成と確保を重要な経営戦略と位置付けています。
具体的には、グローバルおよびマネジメント人材が挑戦しやすい職場環境の整備に取り組んでいます。性別、年齢、国籍等による制限を設けず、女性・外国人・中途採用者の管理職への積極的な登用を進めています。
また、ワークライフバランスを意識した在宅勤務や時差出勤の導入など、多様な働き方を支援する社内環境の整備にも力を入れています。次なる10年を見据えた組織改編や次世代のマネジメント層が活躍できる機会創出を通じて、個人の能力が最大限に発揮できる適材適所の人材配置を目指しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、提出会社単体のデータを示します。労働者の男女の賃金の差異については、男女における等級別人数構成の割合や平均年齢の差異が主な要因であり、制度上における男女差は生じていません。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 26.0% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 0.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 69.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 78.4% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 57.4% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
株式会社クレステックは、企業の新製品に付随する取扱説明書や修理マニュアルなどのテクニカルドキュメンテーションの制作を中核事業としています。ライティングからイラスト作成、データ組版、翻訳、印刷まで一貫して手掛けており、顧客企業の製品開発から販売までをサポートする幅広いサービスを提供しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、ドキュメント事業とソリューション事業を展開しており、特にテクニカルドキュメンテーションに強みを持っています。顧客の新製品開発段階から関与し、専門的な技術情報を分かりやすく表現することで、製品の安全かつ円滑な利用を支援しています。デジタル製品、輸送機器、情報機器、一般家電、医療機器、産業機器など多岐にわたる製品群に対応しています。
また、ドキュメント制作の周辺業務として、市場動向調査、各国の法令確認、販促支援、パッケージの梱包設計、緩衝材の調達、アクセサリー関連のアッセンブリー対応など、「川上」から「川下」まで一貫したサポートを提供しています。さらに、ドキュメント制作の効率化を目的とした原稿作成支援ソフトや翻訳支援ソフト、データ管理システムなどの開発・販売も行い、顧客自身でのドキュメント開発を支援するビジネスも展開しています。
同社グループは、創業時から海外展開を重視しており、10か国に15社18拠点を配置するグローバルネットワークを構築しています。これにより、海外に販売拠点を持つ顧客に対し、部材供給や販促活動支援を通じて、国内と同等の品質でサービスを提供できることが特徴です。
収益は主に以下の地域セグメントから得ています。
日本
国内では、顧客企業の新製品投入の延期や開発案件の絞り込みの影響を受けつつも、輸送機器関連や電器関連など主要顧客との取引は徐々に回復しています。収益は、テクニカルドキュメンテーションサービスや周辺業務の提供から得ています。
中国地域
中国地域では、米国の関税政策発動前の駆け込み需要はあったものの、中国経済の停滞や医薬入札制度の変更により、日系メーカーや外資医薬品メーカーとの取引が低調に推移しました。収益は、テクニカルドキュメンテーションサービスやプロモーション関連の取引から得ています。
東南アジア/南アジア地域
東南アジア/南アジア地域では、フィリピンでの事業再編による取引減少がありましたが、収益性は改善しています。インドネシアでは医薬品関連や生活用品・ヘルスケア用品の新規取引が堅調で、インドでは生産活動の回復により取引が増加しています。収益は、テクニカルドキュメンテーションサービスや部材供給、販促支援から得ています。エプソングループが主要な顧客となっています。
欧米地域
欧米地域では、米国で輸送機器メーカーとの取引が堅調に推移し、新規案件や大型印刷案件の受注がありました。欧州では玩具系電器メーカーや輸送機器メーカーとの取引が拡大しています。収益は、テクニカルドキュメンテーションサービスや印刷案件の受注から得ています。
| セグメント | 売上高(2024年6月期) | 売上高(2025年6月期) |
|---|---|---|
| 東南アジア/南アジア地域 | 70.4億円 | 67.1億円 |
| 日本 | 52.9億円 | 54.7億円 |
| 中国地域 | 44.4億円 | 42.9億円 |
| 欧米地域 | 22.9億円 | 23.1億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの過去5期間の業績は、売上高、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益ともに変動が見られます。直近の連結会計年度では、売上高は前期から減少しましたが、営業利益は原価改善により増加しました。しかし、為替差損の発生により経常利益は減少し、親会社株主に帰属する当期純利益も減少する結果となりました。
| 項目 | 2021年6月期 | 2022年6月期 | 2023年6月期 | 2024年6月期 | 2025年6月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 172億円 | 186億円 | 213億円 | 191億円 | 188億円 |
| 経常利益 | 10.7億円 | 14.2億円 | 16.2億円 | 12.9億円 | 11.6億円 |
| 経常利益率 | 6.2% | 7.6% | 7.6% | 6.8% | 6.2% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 4.5億円 | 8.4億円 | 8.5億円 | 9.1億円 | 7.4億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 147.98 | 271.01 | 276.42 | 295.48 | 240.15 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高(連結)は、前期から横ばいとなっています。一方で、従業員1人あたり営業利益(連結)は前期から増加しており、従業員一人あたりの利益創出効率が向上している傾向が見られます。
| 指標 | 2024年6月期(前期) | 2025年6月期(当期) |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 13.8百万円 | 13.8百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 0.9百万円 | 1.0百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
クレステックは、本業で安定的に資金を生み出し、将来に向けた投資も行っています。その上で、手元資金を確保しており、財務基盤は安定している状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、自己資本比率が前期から増加し、安定した水準を維持しています。ROE(自己資本利益率)は前期から減少しましたが、プライム市場平均に近い水準となっています。手元資金も十分に確保されており、事業運営における資金の安定性がうかがえます。このような財務状況は、入社後の雇用や給与の安定性にも関わる重要な要素です。
| 指標 | 2024年6月期(前期) | 2025年6月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 92.3億円 | 89.3億円 |
| 自己資本比率 | 41.4% | 44.7% |
| ROE(自己資本利益率) | 12.1% | 9.1% |
| 現金及び預金 | 56.8億円 | 55.3億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローを見ると、本業の営業活動では、税金等調整前当期純利益や減価償却費、棚卸資産の減少を主な要因として、当期も安定的に資金を生み出しています。しかし、前期に比べて営業活動による資金の収入は減少しました。投資活動では、有形固定資産の取得による支出が主な要因となり、引き続き資金を投じていますが、その支出額は前期よりも減少しています。財務活動では、長期借入金の返済や短期借入金の純減額、配当金の支払額が主な要因となり、前期よりも支出が増加しました。結果として、事業活動と投資活動を合わせたフリーキャッシュフローはプラスを維持しており、本業で稼いだ資金で投資を賄えている状況です。このキャッシュフローの状況は、同社グループが安定した事業運営を継続し、将来に向けた投資も行いつつ、財務的な健全性を保っていることを示しており、雇用や給与の安定性にもつながる傾向にあると言えます。
| 項目 | 2024年6月期(前期) | 2025年6月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 24.9億円 | 19.8億円 |
| 投資CF | △6.9億円 | △3.0億円 |
| 財務CF | △13.8億円 | △14.5億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 17.9億円 | 16.8億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、マニュアル制作業界の縮小傾向や海外メーカーの拡大による競争激化、ローカルメーカーのQCD向上による優位性の低下といった競合他社による転注リスクを認識しています。また、取扱説明書のペーパーレス化やデジタル製品市場の縮小、オフィスでのDX化に伴う複合機やプリンター市場の縮小による影響も事業リスクとして挙げています。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、持続的な成長のために優秀な人材の確保・育成を最重要項目の一つと捉えており、計画通りに人材を確保・育成できない場合、業績に影響を与える可能性があると認識しています。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
クレステックは「情報創造企業」として、世界の人とヒト、人とモノを繋ぐコミュニケーションを創造し、社会に貢献することを目指しています。グローバルな視点での事業展開と、持続可能な社会の実現への貢献を重視している会社です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、「情報の創造と提供により安心して暮らせる社会に貢献する」ことを企業としての目標に掲げています。また、「グローバル社会から尊敬される人間を目指す」ことを社員の目標としています。
「情報創造企業」として、人とヒト、人とモノを繋ぐコミュニケーションを創造することで、世界中の人々に感動と喜びを創出し、楽しく安心して暮らせる社会の構築を目指しています。
新中期経営計画「CR Challenge 27」では、「グローバル化に向けた新たな挑戦」を基本方針としています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、社員が「グローバル社会から尊敬される人間」となることを目指しています。
「GLOBAL COMMUNICATIONS」をテーマに、言葉の障壁を越えて誰もが不自由なくコミュニケーションできる社会の構築に貢献することを重視しています。
「サステナブルな社会を目指して!」をスローガンに掲げ、グローバルな視点で地球環境の保全や持続可能な社会の実現に貢献する取り組みを進めています。
多様性を重視し、性別、年齢、国籍等による制限を設けず、中途採用者や女性が活躍できる社内環境の整備に努めています。個人の能力が最大限に発揮できる「全体最適」を意識し、グローバル人材やマネジメント人材が挑戦しやすい職場環境の整備に取り組んでいます。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、グローバルネットワークを活用した取引拡大とサポート体制の強化を重点課題としています。
「ONE STOP GLOBAL SOLUTION」をスローガンに、グローバルで全領域の業務をサポートできる体制を強化し、幅広い事業分野での持続的成長を目指しています。
専門的な技術の確立と人材の育成も重要視しており、テクニカルライターや翻訳ディレクターの育成、英語教育、海外交流などを通じて、グローバル社会で活躍できる人材を育成しています。
国内では、デジタル化に対応した次世代マニュアル作成や生成AI、XR技術を活用したソリューション提供、他社との業務提携やM&Aを推進しています。
さらに、サステナブルな社会の構築を目指し、言葉の障壁を越えた情報提供や循環型社会の構築に取り組んでいます。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
クレステックは、監査等委員会設置会社として、取締役会の監督機能の強化と迅速な意思決定を両立するガバナンス体制を構築しています。監査等委員である取締役が取締役会における議決権を持つことで、経営の健全性と透明性の確保に努めています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
クレステックの筆頭株主はクレステック従業員持株会であり、従業員による安定的な資本構成が特徴です。その他、個人株主や中小企業投資育成会社、生命保険会社などが上位株主として名を連ねています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| クレステック従業員持株会 | 11.43% |
| 髙林 彰 | 10.25% |
| 名古屋中小企業投資育成 | 10.11% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は6名(男性6名・女性0名)で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長執行役員は栗沢威臣氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 栗沢 威臣 | 代表取締役 社長執行役員 | 1997年10月 同社入社、2010年9月 同社執行役員、2023年9月 同社取締役執行役員、2024年7月 同社代表取締役社長執行役員より現職。 |
| 冨永 尚志 | 取締役 専務執行役員 国内事業担当役員兼 国内子会社統括部長 | 1996年6月 同社入社、2007年12月 同社執行役員、2010年11月 同社取締役常務執行役員 国内事業本部長、2024年7月 同社取締役専務執行役員 国内事業担当役員兼国内子会社統括部長より現職。 |
| 三輪 雅人 | 取締役 専務執行役員 財務担当役員 | 2005年2月 同社入社、2011年7月 同社執行役員、2012年7月 同社取締役執行役員管理部長、2024年7月 同社取締役専務執行役員 財務担当役員より現職。 |
社外取締役は、竹澤隆国氏(竹澤公認会計士事務所所長)、佐藤雅秀氏(佐藤雅秀公認会計士事務所所長)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、監査等委員である取締役が取締役会における議決権を持つことで、取締役会の監督機能を高めています。社外取締役は客観的な視点から公平・公正な意見を提供し、コーポレート・ガバナンスの強化に貢献しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の役員報酬は、固定報酬と業績連動報酬で構成されています。業績連動報酬は連結営業利益の目標達成度に応じて決定され、持続的な企業価値向上へのインセンティブ付けが図られています。監査等委員である取締役の報酬は、業務執行から独立した立場での監督機能が求められるため、固定報酬のみで構成されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 5名 | 1.1億円 | 21.6百万円 |
| 監査等委員(社外除く) | 1名 | 7百万円 | 7.4百万円 |
| 社外役員 | 2名 | 5百万円 | 2.4百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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