やまみ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

やまみ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード上場。豆腐、厚揚げ、油揚げ等の製造販売を行う食品メーカー。主力製品を西日本から関東まで広域に展開する。2025年6月期の業績は、売上高211億円(前期比10.9%増)、経常利益17億円(同16.8%減)と増収減益で着地した。


※本記事は、株式会社やまみ の有価証券報告書(第51期、自 2024年7月1日 至 2025年6月30日、2025年9月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. やまみってどんな会社?

豆腐、厚揚げ、油揚げ等の大豆加工食品の製造販売を主力とする食品メーカー。

(1) 会社概要

1975年に野菜のパック詰めを行う有限会社として設立され、1978年に豆腐製造販売へ参入しました。2000年に株式会社へ改組し、2016年に東証JASDAQへ上場。2019年に東証一部へ市場変更し、現在は東証スタンダード市場に上場しています。近年は富士山麓工場を新設し、関東地方への展開を強化しています。

従業員数は256名です。筆頭株主は創業家資産管理会社のやまみホールディングスで、第2位は資産管理業務を行う信託銀行、第3位は社長の山名徹氏です。

氏名 持株比率
やまみホールディングス 34.48%
日本カストディ銀行(信託口) 13.97%
山名 徹 12.16%

(2) 経営陣

同社の役員は男性8名、女性1名、計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は山名徹氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。

氏名 役職 主な経歴
山名 徹 代表取締役社長 ドン・キホーテを経て2007年入社。関西工場長、常務取締役製造本部長等を経て、2021年より現職。
山名 清 代表取締役会長 三協青果を経て1993年入社。2000年に社長就任。2021年より現職。
池田 隆幸 常務取締役営業本部長 エスビー食品、メロディアンを経て2005年入社。2016年より現職。


社外取締役は、七川雅仁(公認会計士・税理士)、後藤和之(住創代表取締役)、佐々木公江(社会保険労務士)です。

2. 事業内容

同社グループは、「豆腐等製造販売事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) 豆腐等製造販売事業

豆腐、厚揚げ、油揚げなどの大豆製品を製造し、小売業や卸売業へ販売しています。主要製品には、充填豆腐、木綿・絹ごし豆腐、厚揚げ、油揚げなどがあり、衛生管理の徹底された工場で製造されています。近年はカット済み製品などの高付加価値商品にも注力しています。

収益は、スーパーマーケットや問屋などの顧客への製品販売代金として受け取ります。運営は主にやまみが行っており、本社工場(広島県)、関西工場(滋賀県)、富士山麓工場(静岡県)の各拠点で製造を行い、九州から関東までの広域に製品を供給しています。

3. 業績・財務状況

同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移

直近5期間の業績は、売上高が着実に拡大しています。利益面では、原材料価格や物流費の高騰などの影響を受けつつも、一定の利益率を維持しています。特に売上高は工場の新設や増設効果により成長トレンドにあります。

項目 2021年6月期 2022年6月期 2023年6月期 2024年6月期 2025年6月期
売上高 136億円 138億円 162億円 190億円 211億円
経常利益 7.5億円 9.0億円 10.6億円 20.8億円 17.3億円
利益率 5.5% 6.5% 6.6% 10.9% 8.2%
当期利益(親会社所有者帰属) 5.1億円 6.1億円 8.0億円 14.8億円 15.0億円

(2) 損益計算書

直近2期間の損益構成を見ると、売上高は増加していますが、原価率の上昇等により営業利益は減少しました。売上総利益は微減となり、利益率も低下しています。

項目 2024年6月期 2025年6月期
売上高 190億円 211億円
売上総利益 45億円 43億円
売上総利益率 23.4% 20.5%
営業利益 21億円 17億円
営業利益率 10.9% 8.2%


販売費及び一般管理費のうち、荷造運賃が19億円(構成比73%)、給料及び賞与が2億円(同8%)を占めています。売上原価においては、材料費が58%、経費が29%、労務費が13%を占めています。

(3) セグメント収益

同社は単一セグメントですが、工場別の売上高を開示しています。全ての工場で増収となっており、特に関東市場向けの富士山麓工場の伸びが顕著です。

区分 売上(2024年6月期) 売上(2025年6月期)
本社工場 92億円 98億円
関西工場 69億円 75億円
富士山麓工場 29億円 38億円
連結(合計) 190億円 211億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

営業活動で得た資金を借入金の返済や設備投資に充当しており、健全な財務活動が行われています(健全型)。

項目 2024年6月期 2025年6月期
営業CF 29億円 28億円
投資CF -16億円 -22億円
財務CF -8億円 -5億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は15.1%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は65.3%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略

同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念

同社は、大豆食品の提供を通じて人々の健康と社会に貢献することを企業理念としています。全てのステークホルダーに満足してもらうことを目指し、社員一人ひとりが能力を高め、より良い生活を送れるよう、創造的で闊達な仕事を実践することを方針としています。

(2) 企業文化

食に対する安全衛生管理を最優先事項とし、消費者への安全・安心の提供を徹底する文化があります。また、製造プロセスの機械化や自動化を積極的に推進し、効率性と品質の両立を追求する姿勢が定着しています。社員に対しては、研修等による学習機会や実践の場を提供し、やり甲斐のある職場作りを目指しています。

(3) 経営計画・目標

投資価値のある企業を目指し、企業価値向上のために「売上高」および「営業利益率」を重要な経営指標として位置づけています。具体的な数値目標は設定していませんが、これらの指標の向上を通じて持続的な成長を図る方針です。

(4) 成長戦略と重点施策

関東地方への本格的な供給拡大を成長の柱としています。富士山麓工場を拠点とした積極的な営業活動に加え、カット済み豆腐など付加価値の高い製品の販売比率を高め、販売単価の上昇を目指しています。また、食品安全衛生への取り組みや人材の確保・育成も継続的な課題として掲げています。

5. 働く環境

同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針

事業拡大に伴い、新卒および中途採用を強化し、マネジメント力の向上を図っています。職場環境の改善や人事制度を通じたモチベーション向上に取り組み、従業員の定着率を高める方針です。また、女性の管理職登用や外国人人材の活用など、多様な人材が活躍できる環境整備を進めています。

(2) 給与水準・報酬設計

同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年6月期 38.5歳 5.1年 4,834,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示

同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 5.3%
男性育児休業取得率 25.0%
男女賃金差異(全労働者) 71.2%
男女賃金差異(正規) 78.4%
男女賃金差異(非正規) 89.2%

6. 事業等のリスク

事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 食品の安全性リスク

食の安全を最優先とし、各工場で国際規格FSSC22000を取得していますが、異物混入や表示ミスなどの問題が発生する可能性は完全には排除できません。万が一問題が生じた場合、製品回収や社会的信用の低下により、業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

(2) 原材料価格の変動リスク

主原料である大豆の価格は、作付面積や天候、為替変動等の影響を受けます。輸入制限等の事態が発生するリスクもあります。仕入価格の平準化等の対策を行っていますが、想定を超える価格高騰が起きた場合、業績に悪影響を与える可能性があります。

(3) 物流コストの上昇リスク

製品は重量がありチルド配送が必要なため、物流費の負担が大きくなる傾向があります。配送ルートの効率化等を進めていますが、燃料価格の高騰や人手不足による運賃上昇が続いた場合、利益を圧迫する要因となります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。