グリーンズ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

グリーンズ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード・名証プレミア上場。米国発「コンフォートホテル」等の運営を行うホテルオペレーターです。2025年6月期は、インバウンド需要の獲得や客室単価向上、新規出店効果により、売上高は前期比21.2%増、営業利益は同25.6%増と大幅な増収増益を達成しました。


※本記事は、株式会社グリーンズ の有価証券報告書(第62期、自 2024年7月1日 至 2025年6月30日、2025年9月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. グリーンズってどんな会社?


米国発祥の「コンフォートホテル」などのチョイスブランドと、地域密着型のオリジナルブランドを展開するホテル運営会社です。

(1) 会社概要


1957年に駅前旅館「新四日市ホテル」として創業し、1964年に法人化しました。2003年に米国チョイスホテルズインターナショナル社とマスターフランチャイズ契約を締結し、「コンフォート」ブランドの展開を加速させました。2017年に東証・名証二部へ上場し、翌2018年に一部指定を経て、2022年にスタンダード・プレミア市場へ移行しました。

同社の連結従業員数は857名、単体では823名です。大株主構成は、筆頭株主が新緑、第2位がTMとなっており、第3位には社長の村木雄哉氏が名を連ねています。

氏名 持株比率
新緑 18.21%
TM 12.38%
村木 雄哉 8.36%

(2) 経営陣


同社の役員は男性5名、女性2名、計7名で構成され、女性役員比率は28.6%です。代表取締役社長は村木雄哉氏が務めています。社外取締役比率は28.6%です。

氏名 役職 主な経歴
村木 雄哉 代表取締役社長 1996年富士屋ホテル入社。1997年同社入社。常務、専務、チョイスホテルズジャパン社長等を経て2018年より現職。
清水 謙二 専務取締役経営統括本部本部長 TOTO、KPMG FAS等を経て2017年同社入社。事業企画本部本部長等を経て2025年より現職。
伊藤 孝彦 常務取締役 ワイ・インターナショナル社長、アルペン執行役員等を経て2020年同社入社。チョイスホテルズジャパン社長も兼任し2023年より現職。
鈴木 直子 取締役人事総務本部本部長 ロック・フィールド、エルモ社等を経て2013年同社入社。人事本部本部長等を経て2025年より現職。
松井 清 取締役監査等委員 1980年同社入社。社長、会長を経て2023年より現職。


社外取締役は、土田繁(公認会計士・税理士・公認会計士土田会計事務所所長)、檜山洋子(弁護士・ヒヤマ・クボタ法律事務所代表)です。

2. 事業内容


同社グループは、「ホテル事業」の単一セグメントで事業を展開しており、ブランド別に「チョイスブランド」「オリジナルブランド」および「その他の事業」に区分されています。

(1) チョイスブランド


米国チョイスホテルズインターナショナル社発の「コンフォート」ブランドを中心に、宿泊特化型ホテルを全国展開しています。ビジネス客や観光客を主な顧客とし、駅前立地を中心とした利便性の高い宿泊サービスを提供しています。

収益は主に宿泊客からの宿泊料収入です。運営は、日本での独占的使用権を持つ連結子会社のチョイスホテルズジャパンがマーケティング等を担い、同社がホテル運営を行っています。

(2) オリジナルブランド


「ホテルエコノ」「グリーンホテル」など、地域特性に合わせた多様なホテルを展開しています。宿泊特化型から宴会場・レストラン併設型まで幅広い業態を持ち、ビジネス、観光、地元企業の宴会需要などに対応しています。

収益は宿泊料に加え、レストランや宴会場の利用料が含まれます。運営は主に同社が行い、M&Aや運営受託による展開も進めています。

(3) その他の事業


運営ホテルに併設するテナント(飲食店やコンビニエンスストア等)への賃貸事業および不動産管理事業を行っています。

収益はテナントからの賃料収入等です。運営は同社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の推移を見ると、コロナ禍の影響を受けた時期からV字回復を遂げています。特に2023年6月期以降は黒字化し、直近の2025年6月期には売上高が約500億円規模に達し、経常利益も過去最高水準を更新するなど、顕著な成長トレンドにあります。

項目 2021年6月期 2022年6月期 2023年6月期 2024年6月期 2025年6月期
売上高 157億円 254億円 364億円 410億円 496億円
経常利益 -83億円 -20億円 35億円 48億円 58億円
利益率(%) -53.1% -7.9% 9.6% 11.8% 11.8%
当期利益(親会社所有者帰属) -87億円 -22億円 42億円 49億円 53億円

(2) 損益計算書


売上高の大幅な増加に伴い、各段階利益も増加しています。売上総利益率は約33%前後で推移しており、安定した収益性を維持しています。営業利益率も12%台と高い水準を確保しており、効率的な運営が行われていることがうかがえます。

項目 2024年6月期 2025年6月期
売上高 410億円 496億円
売上総利益 134億円 165億円
売上総利益率(%) 32.8% 33.1%
営業利益 50億円 63億円
営業利益率(%) 12.3% 12.7%


販売費及び一般管理費のうち、販売手数料が53億円(構成比53%)、給料及び賞与が14億円(同14%)を占めています。売上原価については、経費(賃借料等)が216億円(構成比65%)、労務費が56億円(同17%)を占めています。

(3) セグメント収益


ブランド別に見ると、主力のチョイスブランドが新規出店やインバウンド需要の獲得により大幅な増収となりました。オリジナルブランドも客室単価の向上により堅調に推移しています。

区分 売上(2024年6月期) 売上(2025年6月期)
チョイスブランド 345億円 431億円
オリジナルブランド及びその他の事業 65億円 65億円
連結(合計) 410億円 496億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


本業の儲けを示す営業CFはプラス、将来への投資を示す投資CFはマイナス、借入返済等を示す財務CFはマイナスであり、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業型の「健全型」です。

項目 2024年6月期 2025年6月期
営業CF 60億円 71億円
投資CF -17億円 -10億円
財務CF -34億円 -38億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は58.4%で市場平均を大幅に上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は34.6%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、2030年の未来を見据え、経営ビジョンとして「TRY! NEXT JOURNEY ~新たな旅に踏み出そう~」を掲げています。また、創業以来のスローガンである「おもてなしと生活文化の創造」のもと、事業を通じた地域社会への貢献を企業活動の根幹としています。

(2) 企業文化


「環境にも人にも優しいホスピタリティあふれる企業」を目指すCSR宣言を策定しています。また、社員が心がけるべき行動基準として「Greens Criteria」を導入し、「旅の楽しさを体現する(専門性)」「新しいことにチャレンジし続ける(自発性)」「感動をあたえる(CS追求)」などを重視する風土があります。

(3) 経営計画・目標


中期経営計画「GREENS SUSTAINABLE JOURNEY 2028」を策定し、将来のポートフォリオ拡大による持続的成長を目指しています。2028年6月期の数値目標として以下を掲げています。
* 売上高:600億円
* 営業利益:70億円
* ROE:20%以上

(4) 成長戦略と重点施策


需要をとらえた出店加速、レジャーブランド等のビジネスモデル確立、人材投資を基本方針としています。特に、高まる宿泊需要に対応するため、新規店舗の開発・開業を推進し、2026年6月期には水戸市、札幌市、千歳市での開業を計画しています。また、人的資本経営として、チームワークとプロフェッショナリズムが両立する組織構築を目指しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「Greens Criteria」を体現する人材の育成に注力しており、階層別研修や資格取得支援制度を整備しています。また、ダイバーシティ推進のため、勤務地選択制度やトラベラー制度(旅をしながら働く制度)などを導入し、多様な人材が活躍できる柔軟な働き方を支援しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年6月期 38.9歳 6.9年 5,124,213円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 15.9%
男性育児休業取得率 50.0%
男女賃金差異(全労働者) 80.5%
男女賃金差異(正規) 84.0%
男女賃金差異(非正規) 86.8%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、公的資格新規取得件数(335件)、障がい者雇用率(3.17%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 売上高の状況に係るリスク


国内景気や個人消費の動向、訪日外国人客数の増減、競合ホテルや民泊との競争激化などが業績に影響を与える可能性があります。また、ホテル事業は季節変動があり、冬季には売上や利益が減少する傾向があります。

(2) 業務運営上のリスク


法令違反や事故等による風評被害、食中毒や食品管理の問題、個人情報の漏洩などが信用やブランドイメージを毀損するリスクがあります。また、人材不足や人件費の高騰、光熱費や食材価格の上昇がコスト増につながる可能性があります。

(3) M&Aに係るリスク


成長戦略の一環としてM&Aを推進していますが、適切な対象企業の選定や統合が想定通りに進まない場合、期待した効果が得られない可能性があります。また、資金調達や許認可取得の制約により買収が実行できないリスクもあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。