※本記事は、株式会社ユーザーローカル の有価証券報告書(2026年6月期、2025年7月1日 ~ 2026年6月30日、2026年9月16日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
ユーザーローカルは、「ビッグデータ×人工知能で世界を進化させる」という経営理念のもと、ビッグデータやAIを活用したプラットフォームサービスをSaaS形態で提供しています。顧客企業の意思決定や業務効率化を支援しており、総合デジタルマーケティングツール「User Insight」や法人向け生成AIツール「ユーザーローカル ChatAI」などを展開しています。
単体従業員数は121名です。同社の事業セグメントはデータクラウド事業の単一です。
ユーザーローカルは、Webサイト運営支援の「User Insight」、ソーシャルメディア運用支援の「Social Insight」、問い合わせ対応業務支援の「Support Chatbot」、法人向け生成AIプラットフォームの「ユーザーローカル ChatAI」といったSaaS型サービスを自社で開発・提供しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
株式会社ユーザーローカルは、ビッグデータと人工知能を核とした事業を展開しており、若く活気のある人材が活躍する環境が特徴です。社員一人ひとりの能力開発と働きやすい環境づくりに力を入れ、持続的な成長を目指しています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は、平均年齢が比較的若く、平均勤続年数も短めであることから、新しい人材が積極的に加わり、組織が常に変化・成長している傾向がうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 6,514,000円 |
| 平均勤続年数 | 4.8年 |
| 平均年齢 | 28.7歳 |
| 単体従業員数 | 121人 |
なお、退職給付制度に関する記載はありません。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社は「ビッグデータ×人工知能で世界を進化させる」という経営理念を掲げ、AIを誰もが使えるものにし、デジタル化の恩恵を享受できる社会を目指しています。この実現に向け、人材を企業価値向上の源泉と認識し、持続的な企業経営のために重要であると考えています。多様な価値観や専門性を持つ社員が最大限に能力を発揮できるよう、社員教育や能力開発に注力するとともに、働きやすい環境を整備することが持続的な成長における重要テーマです。
従業員の給与その他の給付は、個々の役割、職責、成果、市場水準の変動を総合的に勘案して決定されます。個々のスキルや能力を人事評価に反映させるとともに、市場の需要、経済環境の変化、職務の重要度や責任範囲を総合的に勘案し、適正な処遇水準を決定しています。外部環境の変動を適宜処遇へ反映させることで、競争力のある水準の維持に努めています。
同社は、社員の能力開発を経営における重要テーマと位置づけ、ビジョンである経営理念や行動規範である5つのバリューに基づいて事業を牽引する次世代リーダーの育成を目指しています。また、高齢化社会やAI・ロボット導入による社会構造の変化に対応し、社会ニーズに合わせた従業員のアンラーニングやリスキリングにも取り組んでいます。
従業員のエンゲージメント向上施策として、譲渡制限付株式付与制度を導入し、資産形成支援と会社への帰属意識醸成を図っています。働きやすい環境の整備にも注力しており、ストレスチェックの結果では健康リスクが全国平均と比較して低い状態です。多様な研修制度も実施しており、新入社員研修、セキュリティ研修、コンプライアンス研修、マネージャー育成研修、各種IT研修などがあります。その他、勉強会支援や書籍購入費負担の制度も設けています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。男性労働者の育児休業取得率は、育児介護休業法に基づく公表義務の対象ではないため、記載を省略しています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 23.8% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) | 66.1% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(正規雇用労働者) | 88.6% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(パート・有期労働者) | 127.6% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
株式会社ユーザーローカルは、ビッグデータと人工知能(AI)を活用したプラットフォームサービスを提供し、顧客企業の意思決定や業務効率化を支援しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社は「ビッグデータ×人工知能で世界を進化させる」という経営理念のもと、SaaS(Software as a Service)形態でサービスを開発・提供しています。主力サービスは、総合デジタルマーケティングツール「User Insight」、ソーシャルメディア解析ツール「Social Insight」、問い合わせ対応業務支援ツール「Support Chatbot」、法人向け生成AIツール「ユーザーローカル ChatAI」などです。
これらのサービスは、蓄積したビッグデータとAIによる機械学習により、利用者数が増加するにつれてAIの精度や解析能力が向上する特徴があります。同社は、顧客企業にとって導入しやすく、かつ低価格でサービスを提供することを目指しています。
具体的には、「User Insight」はWebサイトの運営を総合的に支援し、生成AIによるコンテンツ作成、ヒートマップを用いたユーザー行動分析、Web接客機能などを提供しています。「Social Insight」はソーシャルメディアの運用を支援し、クチコミ傾聴分析やSNSアカウント分析、投稿管理機能を通じてソーシャルマーケティングをサポートします。生成AIと連携した文章作成支援も行っています。
「Support Chatbot」は社内外からの問い合わせ対応に特化し、チャットボットによる自動回答で業務コスト削減に貢献します。AIによる回答精度の向上や生成AIとの連携も特徴です。「ユーザーローカル ChatAI」は法人向け生成AI活用プラットフォームであり、セキュアな環境で複数の大規模言語モデル(LLM)を活用できます。PDFやWordデータとの連携、議事録の文字おこし、画像生成、利用状況分析ダッシュボード機能などを提供しています。
同社は、自社AIアルゴリズムの拡充、既存サービスへのAIアルゴリズム実装、AIサービスの新規開発に重点的に取り組んでいます。営業活動では、販売人員の増員や営業管理体制、カスタマーサクセス体制の強化により、新規取引先の開拓を進めています。同社の売上高は本邦の外部顧客へのものが90%を超えており、特定の相手先への販売実績が総販売実績の10%を上回ることはありません。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
直近の事業年度において、同社は堅調な増収を達成しました。売上高は前期から増加しています。
利益面では、AIサービスの提供拡大に伴う通信費などのコスト増加があったものの、増収がこれを上回り、営業利益、経常利益、当期純利益ともに前期から増加しています。
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
1人あたりの収益性および生産性に関する具体的な数値は開示されていません。したがって、これらの指標に基づく詳細な分析はできません。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社は、強固な財務基盤と安定したキャッシュフローを維持しています。本業で着実に資金を創出し、将来に向けた投資も継続している状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社の財務基盤は、高い自己資本比率と潤沢な手元資金によって安定しています。自己資本比率はプライム市場平均(製造業46.8%・非製造業24.2%)と比較して高い水準にあり、財務の健全性を示しています。また、ROEもプライム市場平均(9.4%)を上回る水準で推移しており、効率的な経営が行われていることがうかがえます。
| 指標 | 2025年6月期(前期) | 2026年6月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 87.0億円 | 94.5億円 |
| 自己資本比率 | 87.2% | 84.5% |
| ROE(自己資本利益率) | - | 18.0% |
| 現金及び預金 | 85.5億円 | 97.5億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社のキャッシュフローは、本業で安定的に資金を創出し、その資金を成長投資に充てている状況を示しています。営業活動によるキャッシュ・フローは前期から増加しており、本業で稼ぐ力が堅調に推移しています。投資活動によるキャッシュ・フローは当期に収入超過となっており、前期の支出超過から転換しました。
財務活動によるキャッシュ・フローは自己株式の取得や配当金の支払いにより支出が継続しています。フリーキャッシュ・フローは当期もプラスを維持しており、事業活動と投資活動を通じて自由に使える資金を創出していることがわかります。この状況は、同社が安定した事業運営を継続しつつ、将来の成長に向けた余力も確保していることを示しています。
| 項目 | 2025年6月期(前期) | 2026年6月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 18.1億円 | 22.4億円 |
| 投資CF | △2.6億円 | 0.4億円 |
| 財務CF | △6.8億円 | △10.7億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 15.5億円 | 22.8億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社は、景気低迷期において顧客業績の悪化に伴う利用者数減少のリスクを認識しています。また、SNS等のインターネットサービス運営者の方針転換や法的規制の強化により、情報取得に制限が加わる可能性も指摘されています。顧客ニーズの変化や技術革新により、競合他社がより良いサービスを提供した場合、顧客離れが生じるリスクもあります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社は、事業規模の拡大に伴い、人材確保・維持に関するリスクを認識しています。インターネット関連ビジネスにおける人材の流動性が高いため、計画どおりの人員が確保できない場合や既存人員が退職する可能性があるとされています。これは、事業拡大の制約要因となり、成長戦略に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
ユーザーローカルは、「ビッグデータ×人工知能で世界を進化させる」という経営理念のもと、データ分析と人工知能の技術を駆使し、社会の課題解決に取り組んでいます。誰もが自動化・効率化の恩恵を受けられる社会の実現を目指し、サービスの創出を進めている会社です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
ユーザーローカルは、「ビッグデータ×人工知能で世界を進化させる」という経営理念を掲げています。データ分析と人工知能の技術を活用し、様々な課題を解決することを目指しています。
これにより、誰もが自動化・効率化のメリットを受けられる社会を実現し、世界を進化させるためのサービス創出に取り組んでいます。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社は、「ビッグデータ×人工知能で世界を進化させる」という理念のもと、AIをより身近で誰もが使えるものにし、デジタル化の恩恵を享受できる社会を目指しています。常にユーザーの視点に立ち、技術者だけでなく誰もが使いやすく汎用性が高い、データをリアルタイムに活用できるサービス提供を大切にしています。
企業活動を通じて、データとAI技術を活用し、新しい価値を創造することに貢献していく方針です。未上場時からガバナンスの強化と充実に取り組んでおり、持続的に取り組むべき重点課題として「格差の解消」「人材の育成」「テクノロジーによる社会課題の解決」「情報管理の安全性・信頼性」の4つのマテリアリティを設定しています。
人材を企業価値向上の源泉と認識し、多様な価値観や専門性を持った社員が最大限に能力を発揮できるよう、社員教育や能力開発、働きやすい環境整備に注力しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社は、事業の安定的・継続的成長のため、優秀な人材の確保と育成を重要な課題と認識しています。特にAIエンジニアやデータサイエンティストの採用・育成、既存人材の能力・技術の向上に力を入れています。
長期的なキャリアパスを見据えた研修制度の充実や教育体制の整備を進める方針です。また、さらなる業容拡大に向けて内部管理体制の強化も重要な課題であり、業務運営の効率化やリスク管理のための体制整備に努めています。
システムの安定稼働と継続利用のため、セキュリティの継続的な向上にも取り組んでおり、ISO/IEC 27001およびISO/IEC 27017のISMS認証を取得し、全社員に情報管理に関する研修を実施しています。加えて、認知度及びブランド力の向上も課題としており、広告宣伝活動による積極的な販売促進活動に取り組む方針です。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
同社は監査等委員会設置会社であり、取締役会は取締役9名で構成されています。これにより、経営の監督機能強化と意思決定の迅速化を図っています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社の筆頭株主は代表取締役社長である伊藤将雄氏です。経営陣が上位株主として名を連ねており、同社の経営に強い影響力を持つ資本構成となっています。また、信託銀行も上位株主として名を連ねています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 伊藤 将雄 | 38.59% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 7.47% |
| 渡邊 和行 | 4.83% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 3.02% |
| 三上 俊輔 | 2.12% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は9名(男性8名・女性1名)で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は伊藤将雄氏が務めています。社外取締役比率は55.6%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 伊藤 将雄 | 代表取締役 社長 | 1997年4月 株式会社日経BP入社、2000年4月 楽天株式会社入社、2002年4月 みんなの就職株式会社代表取締役、2005年9月 有限会社ユーザーローカル設立、2007年8月 同社代表取締役社長より現職。 |
| 渡邊 和行 | 取締役 COO コーポレートセールス部長 | 2006年4月 楽天株式会社入社、2008年12月 同社入社、2010年10月 同社コーポレートセールス部長、2014年9月 同社取締役COOより現職。 |
| 岩本 大輔 | 取締役 CFO 管理部長 | 2006年4月 楽天株式会社入社、2014年4月 メタウォーター株式会社入社、2015年10月 同社入社管理部長、2016年1月 同社取締役CFOより現職。 |
| 本郷 寛 | 取締役 | 2013年4月 同社入社、2020年7月 同社執行役員、2025年9月 同社取締役より現職。 |
社外取締役は、松崎良太氏(サードギア株式会社代表取締役)、伊藤拓氏(弁護士法人御堂筋法律事務所社員)、渡辺智美氏(元EY新日本有限責任監査法人・監査等委員)、中村賀一氏(株式会社エンバイオ・ホールディングス代表取締役・監査等委員)、田中裕幸氏(田中法律会計税務事務所開設・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社です。取締役9名のうち5名が社外取締役であり、外部からの経営監視機能の強化と意思決定の迅速化を図る体制となっています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の役員報酬は、固定報酬である基本報酬と、インセンティブとしての自社株式からなる非金銭報酬で構成されています。基本報酬に重きを置いた報酬体系であり、非金銭報酬は不定期に支給される方針です。監査等委員である取締役の報酬は、金銭報酬と譲渡制限株式の付与により構成されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 4名 | 88百万円 | 22.1百万円 |
| 社外役員 | 5名 | 23百万円 | 4.6百万円 |
同社の役員報酬総額は1.1億円であり、対象となる役員は合計9名です。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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