※本記事は、株式会社ビーブレイクシステムズ の有価証券報告書(第23期、自 2024年7月1日 至 2025年6月30日、2025年9月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ビーブレイクシステムズってどんな会社?
クラウドERP「MA-EYES」を主力とし、企業の基幹業務システム開発やIT人材派遣を展開するシステム開発会社です。
■(1) 会社概要
同社は2002年に設立され、2010年に主力となる自社ERP「MA-EYES」のクラウド提供を開始しました。2017年に東京証券取引所マザーズ市場へ上場し、2022年の市場区分見直しに伴いグロース市場へ移行しました。現在もクラウドERPおよびシステムインテグレーションを軸に事業を展開しています。
2025年6月30日現在、連結子会社を持たない単体企業であり、従業員数は150名です。筆頭株主は創業者で代表取締役社長の白岩次郎氏(持株比率39.96%)です。第2位は個人株主、第3位は取締役の個人が名を連ねており、経営陣が大株主として安定的な基盤を持っています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 白岩 次郎 | 39.96% |
| 各務 正人 | 9.73% |
| 上川 伸彦 | 8.31% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長は白岩次郎氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 白岩 次郎 | 代表取締役社長 | 東海銀行(現三菱UFJ銀行)、SAPジャパンを経て、2002年に同社を設立し代表取締役に就任。創業以来、トップとして経営を牽引。2002年7月より現職。 |
| 上川 伸彦 | 取締役開発部長 | 日立製作所を経て、2002年の同社設立に参画し取締役に就任。開発部門を統括。2002年7月より現職。 |
| 高橋 明 | 取締役営業部長 | 日興証券(現SMBC日興証券)を経て、2002年に同社入社。2003年に取締役に就任し、営業部門を統括。2003年8月より現職。 |
| 熊田 圭一郎 | 取締役管理部長 | 東海銀行(現三菱UFJ銀行)を経て、2007年に同社入社し管理部長に就任。2016年に取締役に就任し、管理部門を統括。2016年9月より現職。 |
社外取締役は、諏訪由枝(諏訪公認会計士事務所所長)、伊藤修久(合同会社ブリコラ代表社員)、本田宗哉(本田宗哉法律事務所所長)、成願隆史(公認会計士成願隆史事務所所長)です。
2. 事業内容
同社は、「パッケージ事業」および「システムインテグレーション事業」を展開しています。
■(1) パッケージ事業
企業の基幹業務システムを開発し、エンドユーザーに直接、またはシステムインテグレーターを介して販売しています。主力製品はクラウドERP「MA-EYES」で、サービス業向けの「Vシリーズ」や広告業向けの「Aシリーズ」などを提供しています。企業の「所有から使用へ」というIT環境の変化に対応し、クラウドファーストの視点でサービスを展開しています。
収益は、システム導入時に受領する対価(フロー型売上)と、継続利用に伴う対価(ストック型売上)で構成されています。運営はビーブレイクシステムズが行っています。
■(2) システムインテグレーション事業
主に顧客企業先に常駐し、Java言語に特化したシステム開発を行っています。また、自社開発の「J-Fusion」を用いた受託開発や、IT人材の派遣も行っています。長年の継続的な取引関係により、受注の波が小さく安定した事業基盤となっています。
収益は、システムインテグレーター経由での受託開発費や、人材派遣による対価などから得ています。運営はビーブレイクシステムズが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は11億円台から13億円台へと緩やかに成長してきましたが、第23期は微減となりました。利益面では、経常利益率が10%前後で推移していましたが、第23期は8.1%に低下し、当期純利益も減少しています。全体として堅実な黒字経営を続けていますが、直近では踊り場を迎えています。
| 項目 | 2021年6月期 | 2022年6月期 | 2023年6月期 | 2024年6月期 | 2025年6月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 12億円 | 13億円 | 14億円 | 14億円 | 14億円 |
| 経常利益 | 1.2億円 | 1.5億円 | 1.8億円 | 1.5億円 | 1.1億円 |
| 利益率(%) | 10.3% | 12.2% | 12.8% | 10.9% | 8.1% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 0.9億円 | 1.2億円 | 1.4億円 | 1.4億円 | 0.9億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期比で微減となり、売上原価の増加に伴い売上総利益および利益率が低下しました。営業利益率は前期の10.9%から8.0%へと低下しており、収益性がやや圧迫されている状況です。
| 項目 | 2024年6月期 | 2025年6月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 14億円 | 14億円 |
| 売上総利益 | 7億円 | 6億円 |
| 売上総利益率(%) | 47.4% | 46.7% |
| 営業利益 | 2億円 | 1億円 |
| 営業利益率(%) | 10.9% | 8.0% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が1.6億円(構成比30%)、研究開発費が1.3億円(同25%)を占めています。売上原価においては、労務費が5.3億円(構成比72%)と大半を占めており、人件費と将来への投資である研究開発費が主なコスト要因となっています。
■(3) セグメント収益
パッケージ事業は、既存ユーザーからの追加開発案件が減少したことなどにより減収減益となりました。一方、システムインテグレーション事業は、堅調なIT需要を背景にエンジニアをシフトさせたことで増収増益となり、パッケージ事業の落ち込みを一部補完する形となりました。
| 区分 | 売上(2024年6月期) | 売上(2025年6月期) | 利益(2024年6月期) | 利益(2025年6月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| パッケージ事業 | 8.0億円 | 7.3億円 | 3.9億円 | 3.2億円 | 44.4% |
| システムインテグレーション事業 | 5.9億円 | 6.5億円 | 1.4億円 | 1.5億円 | 23.7% |
| 調整額 | - | - | -3.7億円 | -3.7億円 | - |
| 連結(合計) | 14億円 | 14億円 | 2億円 | 1億円 | 8.0% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
| 項目 | 2024年6月期 | 2025年6月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 2.4億円 | 1.1億円 |
| 投資CF | -0.4億円 | -14.9億円 |
| 財務CF | -0.2億円 | -0.2億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は5.5%で市場平均(グロース市場平均2.9%)を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は74.8%で市場平均(グロース非製造業平均43.3%)を大きく上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は、「世界が認めるシステム構築の仕組を世に広め、社会の発展に貢献する」という理念を掲げています。この理念のもと、ドイツのSAP社のシステムコンサルタントであった創業者らによって設立され、現在は自社パッケージの開発・導入やシステムインテグレーション事業を通じて、社会への貢献を目指しています。
■(2) 企業文化
同社は「ITで経営の今を変える、未来を変える」というコンセプトメッセージを掲げています。また、人材こそが最大の資産であり、ビジョンと理念を共有できる社員の獲得と育成が重要であるとの認識を持っています。性別や国籍、社歴にかかわらず、能力や人格で評価する方針をとっており、ワークライフバランスのとれた職場環境の実現にも取り組んでいます。
■(3) 経営計画・目標
同社は、具体的な数値目標を含む中期経営計画などは公表していませんが、クラウドERP市場の拡大を見据え、売上高および利益の拡大を目指しています。特に、生産性向上の社会的要請やDXの流れを受け、ERP導入市場が拡大すると予想しており、これらの需要を取り込むことで事業成長を図る方針です。
■(4) 成長戦略と重点施策
今後の成長戦略として、主力製品「MA-EYES」の機能拡張・改善や、新業種向け機能の開発、次世代版の開発を掲げています。また、マーケティング強化や全国拡販によるパッケージ事業の拡大、およびシステムインテグレーション事業におけるフリーランス活用や既存取引の深耕を重点施策としています。さらに、優秀なエンジニアやプロジェクトマネージャーの確保・育成にも注力し、組織体制の強化を図っています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は人材を最大の資産と位置づけ、優秀なエンジニア、プロジェクトリーダー、プロジェクトマネージャーの確保および育成を最重要課題の一つとしています。採用および教育への投資を継続し、ビジョンと理念を共有できる社員の獲得に注力しています。また、従業員が働きやすい環境整備や人事制度の構築を進めることで、人材の定着を図る方針です。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年6月期 | 32.8歳 | 8.0年 | 5,081,000円 |
※平均年間給与は賞与および基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は、公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、新規採用者に占める女性比率(10%)、月平均残業時間(3.3時間)、男性の育児休業取得率(100%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 技術革新による影響
同社はJavaおよびオープンソースソフトウェアの技術に特化しています。技術革新によりこれらの技術への需要が減少した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。対策として、社内での技術レポート提出推奨などにより最新動向を把握し、優秀な人材の確保・教育を通じて環境変化に迅速に対応できる体制づくりに努めています。
■(2) 特定のERP製品への高い依存度
同社の製品はERPに特化しており、事業規模が比較的小さい現状では、ERP製品の販売が売上の一定割合を占めています。市場競争力の低下等により計画通りの受注ができない場合、業績に影響が出る可能性があります。対策として、単価の低いSaaS版の拡販で顧客数を増やしストック売上を拡大するとともに、システムインテグレーション事業でのリソース活用も進めています。
■(3) 経済・市場動向の影響
主要顧客は企業であり、国内景気や顧客企業の基幹システム投資動向が悪化した場合、業績に影響が及ぶ可能性があります。対策として、パッケージの対応業種・機能の拡充やSaaS版の拡販による顧客分散を図っています。また、パッケージ需要減退時にはシステムインテグレーション事業へリソースをシフトするなど、柔軟な対応に努めています。



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