Genky DrugStores 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

Genky DrugStores 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

Genky DrugStoresは東京証券取引所プライム市場に上場しており、医薬品、化粧品、生活必需品や生鮮食品等の小売を行うドラッグストア事業を展開しています。積極的な新規出店や生活必需品の低価格化、品揃え強化等の戦略が奏功し、直近の連結決算では売上高と利益がともに増加する増収増益を達成しています。


※本記事は、Genky DrugStores株式会社の有価証券報告書(第9期、自 2025年6月21日 至 2026年6月20日、2026年9月9日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準はJapan GAAPです。

1. Genky DrugStoresってどんな会社?


同社は、医薬品や生活必需品、生鮮食品を低価格で提供するドラッグストアチェーンを展開しています。

■(1) 会社概要


同社は1988年に創業者が個人でドラッグストアを開業したことから始まりました。1990年にゲンキーを設立して事業を拡大し、2011年に東京証券取引所市場第一部へ上場しました。その後、2017年に単独株式移転により現在の同社が設立され上場しています。近年は食品製造や物流事業の会社も設立しています。

同社グループの連結従業員数は1,973名です。筆頭株主は創業者一族の資産管理会社とみられるフジナガインターナショナルキャピタルズ有限会社で、第2位は資産管理業務を行う信託銀行、第3位は海外の機関投資家となっています。

氏名 持株比率
フジナガインターナショナルキャピタルズ有限会社 37.98%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 8.32%
BBH FOR FIDELITY LOW-PRICED STOCK FUND(常任代理人三菱UFJ銀行) 5.71%

■(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性2名の計8名で構成され、女性役員比率は25.0%です。代表取締役社長は藤永賢一氏が務めています。役員8名のうち社外取締役は3名です。

氏名 役職 主な経歴
藤永賢一 代表取締役社長 1988年に個人でゲンキーつくしの店を開業。1990年にゲンキーを設立し代表取締役社長に就任。2017年12月より現職。
吉岡伸洋 取締役副社長商品部門担当 1995年にゲンキーに入社。同社総務部長や店舗運営部長などを経て2009年に取締役副社長に就任。2019年7月より現職。
山形浩幸 取締役店舗開発部門担当 1998年にゲンキーに入社。同社店舗開発部長や管理本部長などを歴任し、2005年に取締役に就任。2018年8月より現職。
小林佑次 取締役人事本部本部長 2002年にゲンキーに入社。同社化粧品事業部長等を経て、2018年に人事本部本部長に就任。2020年9月より現職。
中川竜 取締役店舗運営部門担当 2006年にゲンキーに入社。同社店舗運営部長等を歴任し、2024年1月に取締役に就任。2024年9月より現職。


社外取締役は、吉川奈奈(杉原・きっかわ法律事務所執務)、佐々木智世(佐々木智世税理士事務所開設)、石橋勇一(石橋勇一公認会計士事務所開設)です。

2. 事業内容


同社グループは、ドラッグストア事業の単一セグメントで事業を展開しています。

■(1) ドラッグストア事業


同社グループは、医薬品、化粧品、雑貨、食品等の小売業を行っています。「近所で生活費が節約できるお店」をコンセプトに生活必需品を幅広く取り揃え、青果や精肉等の生鮮食品の取扱いも強化したドラッグストアを多店舗展開しています。主力フォーマットとして300坪の店舗を出店し、ドミナントエリアを構築しています。

主な収益源は、一般消費者に対する店舗での商品販売を通じた代金の受領です。圧倒的な安さを追求し、自社の物流拠点や食品製造拠点を活かしたローコストオペレーションによって収益を確保しています。事業の運営は、子会社であるゲンキー、ゲンキー食品、ゲンキー不動産、ゲンキーロジスティクスを通じて行われています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

■(1) 業績推移


同社の業績は過去5期間にわたり、一貫して売上高の拡大を続けています。積極的な新規出店等により事業規模が拡大し、売上高と経常利益はともに右肩上がりの成長を記録しています。利益率も順調に改善しており、ローコストオペレーションの追求が安定した収益基盤の構築に寄与していることが伺えます。

項目 2022年6月期 2023年6月期 2024年6月期 2025年6月期 2026年6月期
売上高 1546億円 1691億円 1849億円 2008億円 2206億円
経常利益 61億円 71億円 93億円 99億円 112億円
利益率(%) 3.9% 4.2% 5.0% 4.9% 5.1%
当期利益(親会社所有者帰属) 4億円 7億円 4億円 4億円 4億円

■(2) 損益計算書


売上高は前期から約1割増加し、それに伴い売上総利益および営業利益も順調に拡大しています。売上総利益率は安定した水準を維持しており、営業利益率も改善傾向にあります。継続的な規模の拡大とともに、利益をしっかり確保できる収益構造が定着しています。

項目 2025年6月期 2026年6月期
売上高 2008億円 2206億円
売上総利益 409億円 449億円
売上総利益率(%) 20.4% 20.4%
営業利益 97億円 110億円
営業利益率(%) 4.8% 5.0%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当・賞与が111億円(構成比33%)、減価償却費が66億円(同20%)、地代家賃が51億円(同15%)を占めています。

■(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社は営業活動で得た利益を元に、積極的な投資を継続するとともに、さらなる成長に向けて資金調達も行う積極型のキャッシュ・フローを示しています。企業の収益力を測るROEは13.8%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は42.0%であり、いずれも市場平均を上回っています。

項目 2025年6月期 2026年6月期
営業CF 126億円 170億円
投資CF -156億円 -203億円
財務CF 33億円 49億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

■(1) 経営理念


「われわれは、熱意を持って日本国の国家と国民に信頼されるチェーンストアを創り、地域の人々の生活向上に貢献します。」という企業理念のもと、地域社会のインフラとして、社会の持続可能な発展への貢献と企業価値の向上を目指すことを基本方針としています。日常生活シーンを支える生活必需品総合ストアを目指しています。

■(2) 企業文化


同社は、組織に不足するスキルや専門性の獲得を社員に促すにあたり、挑戦する姿勢そのものを称える企業文化の醸成を重視しています。性別や年齢、国籍、障がい等に関わらず、求められる人材要件に合致した人材を適所に登用する多様性の確保を図り、急速に変化し続ける事業環境に対応できる組織体制を構築しています。

■(3) 経営計画・目標


同社は、財務健全性を示す指標として「自己資本比率」を重視しています。また、今後の出店政策として、主力フォーマットである完全標準化された300坪のレギュラータイプ店舗(R店)を中心に出店していく計画です。個別店舗の採算を重視しつつ、集中出店によってドミナントエリアを形成し、地域シェアを高めることを目標としています。

■(4) 成長戦略と重点施策


同社は、「近所で生活費が節約できるお店」をコンセプトに、圧倒的な安さの追求と生鮮食品の取扱い強化を推進しています。人口の少ない商圏でも収益が成り立つビジネスモデルを深耕し、競合の少ない地方過疎地への出店も進めています。

* 完全標準化された300坪のR店の出店によるドミナントエリア構築
* 低価格販売を実現するための健全な収益管理とローコスト経営の深耕
* 医薬品販売資格者をはじめとする計画的かつ継続的な人材の確保並びに育成

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

■(1) 人材戦略・方針


同社は、経営戦略の遂行に必要な人材スキルポートフォリオを重視した採用・育成・登用を優先する方針です。女性や外国人、中途採用者も適材と判断すれば積極的に登用しています。人材育成にあたっては、教育を専門とする部署である「ゲンキー大学」を設置し、階層別の研修等幅広い教育プログラムを提供しています。

■(2) 給与水準・報酬設計


同社グループ(主要子会社)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年6月期 29.3歳 4.6年 400万円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

■(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 7.8%
男性育児休業取得率 80.0%
男女賃金差異(全労働者) 66.4%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 84.6%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 118.4%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

■(1) 医薬品・出店等に関する法的規制


同社は医薬品等の販売や店舗出店にあたり、各種法令による規制や許可・届出を受けています。法改正による一般用医薬品のインターネット販売解禁等の規制緩和は他業種からの新規参入を招き、競争が激化することで業績に影響を及ぼす可能性があります。

■(2) 医薬品販売資格者の確保


同社は出店計画の推進に不可欠な薬剤師や登録販売者といった医薬品販売資格者の確保・育成に努めています。しかし、社内育成や外部からの採用が想定通りに進まず、十分な資格者を確保できない場合、今後の出店計画に支障をきたす可能性があります。

■(3) ドミナント出店政策による自社競合とコスト増


同社は特定地域に店舗を集中させるドミナント出店政策を推進しています。しかし、店舗間で距離が近すぎる場合には自社競合が発生する恐れがあり、逆に出店が分散化した場合には物流コストや広告宣伝費が嵩み、収益を圧迫する可能性があります。

■(4) プライベートブランド商品の安全性


同社は医薬品や食品等のプライベートブランド商品の開発・販売や生鮮食品の製造を行っています。商品の品質管理には細心の注意を払っていますが、万一、商品に起因する事故や食中毒等の衛生問題が発生した場合、ブランドイメージの低下につながるリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。