Genky DrugStores 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

Genky DrugStores 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

同社は東証プライム市場に上場し、北陸・東海地方を中心にドラッグストアチェーンを展開する企業です。「近所で生活費が節約できるお店」をコンセプトに、食品の構成比が高い店舗運営を行っています。直近の業績は、売上高2,008億円、経常利益99億円で、積極的な新規出店により増収増益を達成しています。


※本記事は、Genky DrugStores株式会社 の有価証券報告書(第8期、自 2024年6月21日 至 2025年6月20日、2025年9月10日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. Genky DrugStoresってどんな会社?


北陸・東海地方でドミナント戦略を展開するドラッグストアチェーンです。徹底したローコスト運営と食品強化が特徴です。

(1) 会社概要


同社の創業は1988年、現代表の藤永賢一氏が開業した「ゲンキーつくしの店」に始まります。1990年に法人化し、2017年に単独株式移転により持株会社である同社を設立、東証一部(現プライム)に上場しました。2019年には食品製造を担う子会社を設立し、製販一体の体制を強化しています。2022年には東証の市場区分見直しに伴いプライム市場へ移行しました。

同社グループの従業員数は連結で1,841名(単体なし)です。大株主構成は、筆頭株主がフジナガインターナショナルキャピタルズ有限会社、第2位が日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口)となっています。

氏名 持株比率
フジナガインターナショナルキャピタルズ有限会社 38.12%
日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口) 10.13%
BBH FOR FIDELITY LOW-PRICED STOCK FUND(常任代理人 三菱UFJ銀行) 6.26%

(2) 経営陣


同社の役員は男性5名、女性3名、計8名で構成され、女性役員比率は37.5%です。代表取締役社長は藤永賢一氏が務めています。社外取締役比率は37.5%です。

氏名 役職 主な経歴
藤永 賢一 代表取締役社長 1988年個人創業、1990年ゲンキー社長就任。2017年より現職。
吉岡 伸洋 取締役副社長商品部門担当 1995年ゲンキー入社。商品部長、店舗運営部長等を歴任し、2019年より現職。
山形 浩幸 取締役店舗開発部門担当 1998年ゲンキー入社。店舗開発部長、管理本部長等を歴任。2022年ゲンキー不動産社長就任。2018年より現職。
小林 佑次 取締役人事本部本部長 2002年ゲンキー入社。化粧品事業部長、商品部チーフマーチャンダイザー等を歴任し、2020年より現職。
中川 竜 取締役店舗運営部門担当 2006年ゲンキー入社。商品部H&B部部長、店舗運営部長を歴任し、2024年より現職。


社外取締役は、吉川奈奈(弁護士)、佐々木智世(税理士・社会保険労務士)、竹田美保(三谷不動産取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「医薬品、化粧品、雑貨、食品等の小売業」および「その他」事業を展開しています。

(1) ドラッグストア事業


同社グループは、「近所で生活費が節約できるお店」をコンセプトに、北陸・東海地方を中心にドラッグストアチェーンを展開しています。主力フォーマットは、標準化された売場面積300坪の「R店(レギュラー店)」です。医薬品や化粧品だけでなく、青果や精肉などの生鮮食品を含む生活必需品を幅広く取り扱っています。

収益は、一般消費者への商品販売による対価です。自社開発のプライベートブランド(PB)商品や、自社プロセスセンターを活用した生鮮食品の提供により、低価格と収益性の両立を図っています。運営は主に連結子会社であるゲンキー株式会社が行っており、食品製造はゲンキー食品株式会社が担っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


2021年6月期から2025年6月期までの業績を見ると、売上高は一貫して増加傾向にあり、事業規模が拡大しています。利益面でも、経常利益は安定して推移しており、直近では利益率も向上しています。積極的な出店を継続しながらも、収益性を維持・向上させていることが読み取れます。

項目 2021年6月期 2022年6月期 2023年6月期 2024年6月期 2025年6月期
売上高 1,424億円 1,546億円 1,691億円 1,849億円 2,008億円
経常利益 66億円 61億円 71億円 93億円 99億円
利益率(%) 4.6% 3.9% 4.2% 5.0% 4.9%
当期利益(親会社所有者帰属) 48億円 44億円 48億円 63億円 71億円

(2) 損益計算書


売上高の増加に伴い、売上総利益、営業利益ともに増加しています。売上総利益率は20%台を維持しており、営業利益率も改善傾向にあります。増収効果が利益増に直結する効率的な経営が行われていることが分かります。

項目 2024年6月期 2025年6月期
売上高 1,849億円 2,008億円
売上総利益 376億円 409億円
売上総利益率(%) 20.4% 20.4%
営業利益 90億円 97億円
営業利益率(%) 4.9% 4.8%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当・賞与が107億円(構成比34.1%)、減価償却費が58億円(同18.6%)、地代家賃が47億円(同14.9%)を占めています。

(3) セグメント収益


同社は単一セグメントですが、商品区分別の売上高を見ると、食品が全体の約7割を占めており、前期比でも大きく伸長しています。これは生活必需品としての食品強化策が奏功していることを示しています。一方、大型店の売上は減少しており、主力フォーマットであるR店へのシフトが鮮明です。

区分 売上(2024年6月期) 売上(2025年6月期)
食品 1,278億円 1,414億円
雑貨 228億円 235億円
化粧品 177億円 188億円
医薬品 153億円 156億円
その他 13億円 14億円
連結(合計) 1,849億円 2,008億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社は「積極型」です。営業活動で得た資金と借入金を原資に、積極的な出店投資を行っている状態です。

項目 2024年6月期 2025年6月期
営業CF 133億円 126億円
投資CF -106億円 -156億円
財務CF -21億円 33億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は14.2%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は41.8%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「われわれは、熱意を持って日本国の国家と国民に信頼されるチェーンストアを創り、地域の人々の生活向上に貢献します。」という企業理念を掲げています。この理念のもと、「近所で生活費が節約できるお店」をコンセプトに、圧倒的な安さを追求し、地域社会のインフラとして貢献することを目指しています。

(2) 企業文化


同社は「何でも揃うお店」を目指し、医薬品や化粧品だけでなく生活必需品を幅広く取り揃えることを重視しています。特に、地域シェアを高めるための「ドミナントエリア構築」や、自社物流拠点を活かした「ローコストオペレーションの追求」を推進しており、効率性と低価格実現に向けた徹底した姿勢が企業文化として根付いています。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、財務健全性を示す指標として、自己資本比率を重視しています。また、ドミナントエリア構築による地域シェアの拡大を目指しており、人口の少ない商圏においても収益が成り立つビジネスモデルの深耕に取り組んでいます。具体的な数値目標としてのKPI等は、今回の有価証券報告書には記載されていません。

(4) 成長戦略と重点施策


同社は、完全標準化された300坪のR店(レギュラー店)の出店によるドミナントエリア構築を最優先課題としています。自社競合をいとわない集中出店や、競合の少ない地方過疎地への出店を進め、地域シェア拡大を目指します。また、低価格PB商品の開発強化や自社プロセスセンターを活用した生鮮食品・惣菜の品揃え強化により、利便性を向上させます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、性別、年齢、国籍等に関わらず、人材要件に合致した人材を適所登用することで多様性を確保する方針です。特に、医薬品販売資格者等の計画的な確保・育成を重要課題としています。教育専門部署「ゲンキー大学」を設置し、階層別研修を提供するとともに、挑戦する姿勢を評価し、成果をキャリアや報酬に反映する人事制度を構築しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社は純粋持株会社であり、提出会社の従業員数が0名のため、平均年間給与等のデータはありません。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 -
男性育児休業取得率 75.0%
男女賃金差異(全労働者) 65.6%
男女賃金差異(正規雇用) 87.0%
男女賃金差異(非正規雇用) 116.8%


※管理職に占める女性労働者の割合については、女性活躍推進法の公表項目として選択していないため、記載を省略しております。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 法的規制について


医薬品医療機器等法に基づき、医薬品販売には許可や届出が必要です。法改正により登録販売者制度の導入やネット販売解禁などが進み、異業種参入による競争激化が業績に影響する可能性があります。また、大規模小売店舗立地法等の出店規制により、計画通りの出店が困難になる場合もリスク要因となります。

(2) 資格者の確保について


医薬品販売には薬剤師や登録販売者の配置が義務付けられています。同社は社内教育等で育成に努めていますが、必要な有資格者を確保できない場合や試験合格者数が計画を下回った場合、出店計画の遅れや店舗運営に支障をきたし、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(3) 情報セキュリティについて


顧客や取引先、従業員の個人情報等を多数保有しています。社内ルールによる管理を徹底していますが、万が一情報漏洩が発生した場合、社会的信用の失墜や損害賠償請求等により、業績に影響を与える可能性があります。

(4) 出店政策について


300坪のR店を主力フォーマットとして出店を進めていますが、条件に合致する物件が確保できず出店計画が未達となる可能性があります。また、ドミナント戦略において十分な店舗網が形成されるまでは物流等のコスト効率が発揮されないリスクや、店舗間距離が近すぎることによる自社競合(カニバリゼーション)が発生するリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。