※本記事は、日本リビング保証株式会社 の有価証券報告書(第16期、自 2023年7月1日 至 2024年6月30日、2024年9月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 日本リビング保証ってどんな会社?
住宅設備や再エネ機器の保証サービスを軸に、業務効率化DXや金融サービスも展開する企業です。
■(1) 会社概要
2009年に設立し、住宅設備の延長保証サービスを開始しました。2018年に東証マザーズへ上場を果たし、2022年の市場区分見直しに伴い東証グロースへ移行しています。2021年には子会社リビングファイナンスを設立するなど事業を拡大し、2024年11月には経営統合に伴いSolvvyへ商号変更予定です。
現在の従業員数は連結236名、単体236名です。筆頭株主は代表取締役社長の安達慶高氏で、第2位は代表取締役会長の荒川拓也氏、第3位は取締役の吉川淳史氏となっており、経営陣が主要株主として名を連ねています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 安達 慶高 | 13.53% |
| 荒川 拓也 | 12.68% |
| 吉川 淳史 | 6.54% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性10名、女性1名の計11名で構成され、女性役員比率は9.1%です。代表取締役社長は安達慶高氏です。社外取締役比率は約29%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 安達 慶高 | 取締役社長(代表取締役) | 三和銀行(現三菱UFJ銀行)、マーシュ・ジャパンを経て、2013年より現職。リビングポイント代表取締役も兼任。 |
| 荒川 拓也 | 取締役会長(代表取締役) | 日本火災海上保険(現損害保険ジャパン)、マーシュ・ジャパン等を経て、2009年より現職。 |
| 城戸 美代子 | 取締役業務運営本部 本部長 | CBSソニーグループ、テレマーケティング・ジャパン等を経て、2017年より現職。 |
| 吉川 淳史 | 取締役管理本部 本部長 | 日本震災パートナーズ等を経て、2017年より現職。リビングファイナンス代表取締役も兼任。 |
| 加藤 航介 | 取締役経営本部 副本部長 | 日本生命保険を経て、2022年より現職。 |
社外取締役は、中川藤雄(弁護士)、西尾直紀(メディアシーク代表取締役社長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「HomeworthTech事業」、「ExtendTech事業」および「その他」事業を展開しています。
■(1) HomeworthTech事業
住宅事業者に対し、住宅設備・建物の長期保証や検査補修サービスを提供しています。また、ポイント制度やアプリ、電子マネーなどのデジタルサービスを通じて、住宅事業者のアフターサービスDXやストックビジネス化を支援しています。
収益は主に、住宅事業者から一括して受け取る保証料や、検査補修サービスの業務委託料、システム利用料などからなります。保証料は保証期間にわたり収益認識されます。運営は主に日本リビング保証、リビングポイント、リビングファイナンスが行っています。
■(2) ExtendTech事業
住宅領域で培ったノウハウを応用し、太陽光発電・蓄電システム、EV充電設備などの再生可能エネルギー領域や、教育ICT機器(タブレット等)、家電領域向けに保証サービスや保守・管理業務を提供しています。
収益は主に、事業者から受け取る保証料や業務受託料からなります。特に再生可能エネルギー領域では、長期保証ニーズに対応したサービスを展開しています。運営は主に日本リビング保証が行っています。
■(3) その他事業
上記セグメントに含まれない新規事業として、ビジネスマッチングや決済等を行うプラットフォーム事業を展開しています。
収益はプラットフォーム利用に伴う手数料などが該当します。中長期的な成長基盤を作るための事業として位置づけられています。運営は主に日本リビング保証が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は5期連続で増加傾向にあり、特に直近では大幅な成長を遂げています。経常利益も順調に拡大しており、利益率も20%台後半の高い水準を維持しています。当期純利益も増加基調にあり、事業規模の拡大とともに収益性も向上していることが読み取れます。
| 項目 | 2020年6月期 | 2021年6月期 | 2022年6月期 | 2023年6月期 | 2024年6月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 20億円 | 26億円 | 33億円 | 39億円 | 54億円 |
| 経常利益 | 3億円 | 5億円 | 8億円 | 10億円 | 15億円 |
| 利益率(%) | 14.6% | 17.5% | 23.2% | 26.1% | 28.2% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 1.9億円 | 2.8億円 | 5.7億円 | 7億円 | 9.3億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の大幅な増加に伴い、売上総利益も拡大しています。売上総利益率は70%台と非常に高い水準を維持しています。営業利益についても増益となっており、高い収益性を確保しながら事業規模を拡大させている様子がうかがえます。
| 項目 | 2023年6月期 | 2024年6月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 39億円 | 54億円 |
| 売上総利益 | 28億円 | 40億円 |
| 売上総利益率(%) | 71.1% | 74.7% |
| 営業利益 | 7億円 | 12億円 |
| 営業利益率(%) | 18.9% | 23.1% |
販売費及び一般管理費のうち、給料手当及び賞与が10億円(構成比36%)、賞与引当金繰入額が2.4億円(同9%)を占めています。人材への投資が販管費の主要な部分を占めていることが分かります。
■(3) セグメント収益
HomeworthTech事業は契約獲得が堅調で増収増益となりました。ExtendTech事業は再生可能エネルギー領域の伸長や教育ICT領域の拡大により、売上高・利益ともに大幅に増加しました。
| 区分 | 売上(2023年6月期) | 売上(2024年6月期) | 利益(2023年6月期) | 利益(2024年6月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| HomeworthTech事業 | 23億円 | 30億円 | 1.2億円 | 1.5億円 | 4.9% |
| ExtendTech事業 | 16億円 | 23億円 | 6.6億円 | 12億円 | 49.8% |
| その他 | 0.4億円 | 0.6億円 | -0.4億円 | -0.6億円 | -93.6% |
| 連結(合計) | 39億円 | 54億円 | 7億円 | 12億円 | 23.1% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社グループは、事業運営に必要な資金の流動性と源泉を安定的に確保することを基本方針としており、役務提供前に収受する対価を運転資金として自己資金で賄っております。
営業活動によるキャッシュ・フローは、主に携帯電話向け情報サービス提供やアプリケーション配信・販売による対価の収受が中心となります。投資活動によるキャッシュ・フローは、事業拡大やサービス提供に必要な設備投資等に関連します。財務活動によるキャッシュ・フローは、資金調達や返済等、財務基盤の維持・強化に関わる活動を示します。
| 項目 | 2023年6月期 | 2024年6月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 19億円 | 9億円 |
| 投資CF | -19億円 | -21億円 |
| 財務CF | 8億円 | 2億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「Solve with idea, Solve with you.」というタグラインを掲げています。ストックビジネスコンサルティングを提供し、顧客企業の事業活性化および収益化を支援することを目指しています。顧客が抱える課題に対し、共創パートナーとして新たな解決策を提案することを経営の基本方針としています。
■(2) 企業文化
様々な課題に対して豊富なアイデアで対応し、「ともに考え、ともに解決すること」を使命・アイデンティティとしています。クライアントの共創パートナーとして事業を展開し、独自のSAaaS(Smart Assurance as a Service)メソッドを通じて、顧客のストックビジネス創出を支援する姿勢を重視しています。
■(3) 経営計画・目標
2027年6月期において売上・利益ともにおおよそ倍増させる計画を設定しています。また、中期計画以降の長期的成長に向け、新たな中核事業としてLifeTech事業やFinTech事業の開発を推進することを掲げています。
■(4) 成長戦略と重点施策
独自のSAaaSメソッドを強化し、保証・デジタルマーケティング・システムコンサルティング等のソリューションを拡充します。また、既存事業で得た利益を新たな保証領域やSaaS、FinTech等の新規事業開発へ積極的に投資する方針です。
* SAaaSメソッドの強化(保証、マーケティング、システム等の連携)
* 新規事業の創出(新たな保証領域、SaaS、FinTech)
* 人材の採用・育成(デジタル企画・開発や戦略コンサルタント人材の拡充)
* 業務系IT基盤の整備・強化(デジタル戦略推進本部の立ち上げ)
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
中期経営計画の実現に向け、法人営業人材やデジタル企画開発人材の採用・育成を強化しています。年齢・性別・国籍によらない採用や、全社員へのITパスポート取得義務付けによるDX推進を行っています。また、働きやすい職場環境の整備や健康経営の推進により、社員のウェルビーイング向上に努めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2024年6月期 | 34.2歳 | 2.5年 | 5,248,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 10.5% |
| 男性育児休業取得率 | - |
| 男女賃金差異(全労働者) | - |
| 男女賃金差異(正規) | - |
| 男女賃金差異(非正規) | - |
※同社は公表項目として選択していない、または公表義務の対象ではないため、有報には男性育児休業取得率および男女賃金差異の記載がありません。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、全社員へのITパスポート取得率(72%)、2025年6月期末までの目標取得率(100%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 外部経営環境による影響
主力事業である住宅関連の保証サービスは、新築着工件数やリフォーム市場の動向の影響を受けます。また、再生可能エネルギー関連の保証事務受託業務は、当該機器の需要や国の施策の影響を受けやすく、市場環境が悪化した場合は経営成績に影響を与える可能性があります。
■(2) 競合の激化
保証サービス業界は法規制が少なく参入障壁が比較的低いため、競争が激化しています。他社の新規参入や類似サービスの展開により収益性が低下したり、同社グループの独自性が失われたりする場合、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 損害保険会社との契約関係
保証サービスの提供に伴う将来のリスクを担保するため、損害保険会社と保険契約を締結しています。想定を超える故障発生による保険料の上昇や、提携関係にある損害保険会社との提携解消などが生じた場合、コスト増加や顧客開拓への影響により、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
■(4) システム障害のリスク
顧客との契約管理等において多数のシステムを保有しており、事業運営上、ITシステムへの依存度が高いです。自然災害やサイバー攻撃等によりシステム障害が発生した場合、業務に支障をきたし、経営成績や財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。



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