#記事タイトル:ロジザード転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態
※本記事は、ロジザード株式会社 の有価証券報告書(第25期、自 2024年7月1日 至 2025年6月30日、2025年9月22日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ロジザードってどんな会社?
クラウド型の倉庫在庫管理システム(WMS)および店舗在庫管理システムの提供を主力とし、物流現場の効率化を支援する企業です。
■(1) 会社概要
2001年に設立し、倉庫在庫管理システム「ロジザード PLUS」の販売を開始しました。2012年には後継となる「ロジザード ZERO」をリリースし、クラウドWMSの先駆けとして成長。2018年に東証マザーズへ上場を果たしました。その後、2019年に店舗在庫管理システム「ロジザードZERO-STORE」を投入し、2022年の市場区分見直しに伴い東証グロース市場へ移行しています。
同社(単体)の従業員数は134名です。筆頭株主はITコンサルティング事業を行うフューチャー、第2位は創業社長の金澤茂則氏、第3位は資産管理会社とみられる創歩人ホールディングスです。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| フューチャー | 27.70% |
| 金澤 茂則 | 11.22% |
| 創歩人ホールディングス | 5.11% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性5名、女性1名の計6名で構成され、女性役員比率は16.7%です。代表取締役社長は金澤茂則氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 金澤 茂則 | 取締役社長(代表取締役) | 1990年株式会社福田屋洋服店入社。2001年有限会社ロジザード(現同社)設立、代表取締役社長就任。2016年中国子会社執行董事などを経て現職。 |
| 三浦 英彦 | 取締役管理本部長 | 1985年株式会社日本リース入社。日本GMACコマーシャルモーゲージ、パシフィックホールディングス等を経て2011年同社入社。2024年7月より現職。 |
| 亀田 尚克 | 取締役営業部長 | 1997年蝶理株式会社入社。CRC総合研究所(現伊藤忠テクノソリューションズ)を経て2006年同社入社。2020年9月より現職。 |
社外取締役は、滝澤玲(元日立システムズエンジニアリングサービス取締役)、緒方美樹(みしま税理士法人代表社員)、渡辺彰敏(渡辺総合法律事務所代表)です。
2. 事業内容
同社は、「在庫管理システム事業」および「その他」事業を展開しています。
■(1) クラウドサービス
倉庫在庫管理システム「ロジザード ZERO」や店舗在庫管理システム「ロジザードZERO-STORE」などを提供しています。物流現場や店舗での正確な在庫管理、誤出荷防止、業務効率化を支援し、ハンディターミナルのレンタルも行っています。
収益は、顧客である荷主や3PL企業、小売業者から受け取る月額システム利用料、サポート料、および端末機器のレンタル料から構成されます。運営は主にロジザードが行っています。
■(2) 開発・導入サービス
クラウドサービスの導入を支援するため、顧客ごとの業務フローに合わせた画面や帳票、インターフェイスのカスタマイズ開発、および利用開始時の設定サポートなどを提供しています。
収益は、顧客からの要望に基づくカスタマイズ開発や導入支援に対する対価として、請負契約等に基づき料金を受け取ります。運営は主にロジザードが行っています。
■(3) 機器販売サービス
在庫管理システムに関連して倉庫などで利用されるバーコードプリンター、アクセスポイント等のハードウェア機器や、ラベルなどのサプライ品を販売しています。
収益は、機器やサプライ品を購入する顧客からの販売代金となります。運営は主にロジザードが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
2021年6月期から2025年6月期にかけて、売上高は17億円から22億円へと拡大傾向にあります。経常利益も3.3億円から4.1億円へと増加しており、利益率も10%台後半を維持しています。特に直近の2025年6月期は増収増益となり、堅調な成長を示しています。
| 項目 | 2021年6月期 | 2022年6月期 | 2023年6月期 | 2024年6月期 | 2025年6月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 17億円 | 18億円 | 19億円 | 20億円 | 22億円 |
| 経常利益 | 3.3億円 | 3.7億円 | 2.6億円 | 3.5億円 | 4.1億円 |
| 利益率(%) | 19.8% | 20.7% | 14.1% | 17.5% | 18.8% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 2.2億円 | 2.4億円 | 1.8億円 | 2.5億円 | 2.8億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間の業績を比較すると、売上高の増加に伴い売上総利益が増加しています。利益率の高いクラウドサービスの伸長が寄与し、営業利益率も改善傾向にあります。増収効果がコスト増を吸収し、利益拡大を実現している構造が見て取れます。
| 項目 | 2024年6月期 | 2025年6月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 20億円 | 22億円 |
| 売上総利益 | 11億円 | 12億円 |
| 売上総利益率(%) | 54.5% | 55.5% |
| 営業利益 | 3.5億円 | 4.1億円 |
| 営業利益率(%) | 17.5% | 18.7% |
販売費及び一般管理費のうち、給与手当が2.8億円(構成比34.9%)、支払手数料が1.3億円(同16.6%)を占めています。売上原価においては、経費が6.5億円(売上原価合計に対し67.4%)、労務費が6.2億円(同64.0%)となっています。
■(3) セグメント収益
クラウドサービスは新規顧客獲得により増収となりました。開発・導入サービスも大型案件等の受注により増収となりましたが、工数増により利益率は低下傾向です。機器販売サービスは前期の大型案件の反動で減収となりました。全体としては主力サービスの好調が業績を牽引しています。
| 区分 | 売上(2024年6月期) | 売上(2025年6月期) |
|---|---|---|
| クラウドサービス | 16億円 | 17億円 |
| 開発・導入サービス | 3.2億円 | 3.7億円 |
| 機器販売サービス | 1.0億円 | 0.9億円 |
| 連結(合計) | 20億円 | 22億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業CFがプラスで、投資CFと財務CFがマイナスの「健全型」です。本業で稼いだ現金を元手に、将来のための投資や株主還元を行いつつ、手元資金も積み増している安定した財務状態です。
| 項目 | 2024年6月期 | 2025年6月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 3.5億円 | 4.4億円 |
| 投資CF | △2.3億円 | △2.2億円 |
| 財務CF | △0.4億円 | △0.5億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は13.8%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は84.5%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「創造と革新の物流ITサービス」を経営理念に掲げています。社会における存在意義を「ITサービスにより安全な物流環境を実現させること」と定め、物流現場の労働力不足やシステムの老朽化といった課題に対し、安定したSaaS型システムの提供や自動化技術との連携を通じて解決に取り組んでいます。
■(2) 企業文化
「知恵と知識を共有する世界に開かれた情報システムを作ろう」などの社是を掲げ、顧客第一の姿勢を重視しています。「出荷絶対」「不断至上」「服務光速」といった社訓に基づき、顧客の作業を止めないことや迅速なサービス提供を徹底する文化があります。また、「本質求道」として顧客要求の本質を追求し、製品に反映させる姿勢を大切にしています。
■(3) 経営計画・目標
同社は、クラウドサービスの継続的な拡大による企業価値向上を目標としています。2026年6月期の業績目標として、以下の数値を掲げています。
* 売上高:24億4000万円(前期比12.1%増)
* 経常利益:3億5600万円(前期比13.0%減)
* 経常利益率:14.6%
■(4) 成長戦略と重点施策
物流業界の人手不足や2025年の崖問題に対応するため、物流ロボットやRFIDとの連携、他社システムとのデータ連携を強化しています。また、実店舗とECを融合するOMO支援サービスの提供や、企業のDX推進支援にも注力しています。販売面ではWebマーケティングとオフライン活動を組み合わせ、新規顧客獲得とアップセルを図ります。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
物流領域に精通した専門性の高い人材の確保を重視し、採用と育成への投資を行っています。新人事制度の運用により、スキルや経験を一元管理し、キャリア形成支援と適材適所の配置を推進しています。また、合理的な評価に基づく報酬体系の整備やベースアップ、福利厚生の向上を通じて、従業員のエンゲージメント向上と定着を図っています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均とほぼ同じ水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年6月期 | 39.8歳 | 6.8年 | 6,437,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 10.5% |
| 男性育児休業取得率 | 50.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 78.5% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 78.5% |
| 男女賃金差異(非正規) | -% |
※男女賃金差異(非正規)は、対象となる労働者がいないため記載を省略しています。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性社員比率(31.8%)、育児休業取得率(50.0%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 技術革新への対応
AIなどのIT技術やインターネット関連技術の変化が激しい環境にあり、新技術や新サービスの開発・導入への対応が遅れた場合、競争力が低下し、同社の事業及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 競合他社との競争
在庫管理システム市場への参入障壁は必ずしも高くなく、資金力やブランド力を持つ大手企業を含む競合他社の参入により価格競争が激化したり、より魅力的なサービスが提供されたりした場合、同社の業績に影響が出る可能性があります。
■(3) システム障害の発生
クラウドサービスの提供において、アクセス集中、ハードウェア等の不具合、人為的ミス、サイバー攻撃などによりシステム障害が発生する可能性があります。サービス提供に支障が生じた場合、信用の失墜や損害賠償等により業績に影響を及ぼすリスクがあります。



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