※本記事は、株式会社システムサポートホールディングス の有価証券報告書(第46期、自 2024年7月1日 至 2025年6月30日、2025年9月19日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. システムサポートホールディングスってどんな会社?
クラウドシステムの導入支援やERPパッケージの活用支援、システム受託開発を行う独立系SIerです。
■(1) 会社概要
1980年に石川県金沢市で設立され、2005年に建築業向け管理システム「建て役者」の販売を開始しました。2018年に東証マザーズへ上場し、翌年には市場第一部へ変更、2022年の市場区分見直しに伴いプライム市場へ移行しました。2025年1月には持株会社体制へ移行し、現在の商号に変更しています。
同社グループの連結従業員数は1,712名、単体では52名です。大株主は、筆頭株主が一般社団法人小清水基金、第2位は資産管理業務を行う信託銀行、第3位は従業員持株会となっており、創業家関連と従業員による保有比率が高い構成です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 一般社団法人小清水基金 | 13.52% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 9.64% |
| システムサポート従業員持株会 | 6.32% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性3名の計10名で構成され、女性役員比率は30.0%です。代表取締役社長は小清水良次氏です。社外取締役比率は40.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 小清水 良次 | 取締役社長(代表取締役) | ロイヤルホールディングスを経て1980年に入社。1994年より社長を務め、グループ各社の代表を兼任。2025年の持株会社化に伴い現職。 |
| 鈴木 憲二 | 専務取締役 | リクルートホールディングス等を経て2006年に入社。東京支社長、常務等を経て2016年より専務。T4C会長等を兼任。 |
| 能登 満 | 専務取締役 | 北陸コンピューターサービスを経て1982年に入社。常務等を経て2012年より専務。海外子会社CFOやアクロスソリューションズ社長を兼任。 |
| 森田 直幸 | 取締役管理本部長 | 1987年に入社。2009年に取締役就任。2017年より管理本部長としてグループの管理部門を統括。 |
| 東 祥貴 | 取締役 | ティ・エス・ピーを経て1995年に入社。アウトソーシング事業部長、執行役員金沢支社長等を経て2024年より取締役。 |
| 高井 健司 | 取締役(常勤監査等委員) | ロイヤルホールディングスを経て1990年に入社。名古屋支社長やグループ各社監査役を経て2016年より現職。 |
社外取締役は、麻生小夜(弁護士)、坂本裕子(特定社会保険労務士)、早川喜子(公認会計士)、興津俊昭(元ホテル日航金沢社長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「クラウドインテグレーション事業」「システムインテグレーション事業」「アウトソーシング事業」「プロダクト事業」「海外事業」を展開しています。
**(1) クラウドインテグレーション事業**
Microsoft Azure、AWS、Google Cloud、ServiceNowなどのクラウドサービスについて、導入支援や移行、ライセンス再販を行います。
収益は、顧客企業からの技術支援料やライセンス販売手数料等から構成されます。運営は主にシステムサポートが行っています。
**(2) システムインテグレーション事業**
システムのコンサルティング、設計、開発、運用保守に加え、SAP等のERP導入支援やインフラ構築を行います。
収益は、顧客からのシステム開発受託料や技術支援料等から構成されます。運営はシステムサポート、イーネットソリューションズ、T4C、STSメディック、STSデジタル、コミュニケーション・プランニング等が担っています。
**(3) アウトソーシング事業**
データセンターサービスや、ニアショア拠点でのシステム運用保守、データ分析・入力サービスを提供しています。
収益は、データセンターの利用料や運用保守サービスの委託料等から構成されます。運営は主にシステムサポート、イーネットソリューションズが行っています。
**(4) プロダクト事業**
建築業向け工事情報管理システム「建て役者」やシフト管理システム「SHIFTEE」などの自社製品を開発・販売しています。
収益は、製品のライセンス料やカスタマイズ費用、利用料等から構成されます。運営はシステムサポート、アクロスソリューションズ、STSメディック等が行っています。
**(5) 海外事業**
米国およびカナダにおいて、システムインテグレーションや給与・会計業務のアウトソーシング、人材紹介などを展開しています。
収益は、現地顧客からの業務委託料や紹介手数料等から構成されます。運営はSTS Innovation, Inc.およびSTS Innovation Canada Inc.が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は5期連続で増加しており、直近の2025年6月期には269億円に達しました。経常利益も順調に伸長し、利益率も6%台から8%台へと改善傾向にあります。当期利益についても増加基調を維持しており、全体として成長トレンドが継続しています。
| 項目 | 2021年6月期 | 2022年6月期 | 2023年6月期 | 2024年6月期 | 2025年6月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 144億円 | 162億円 | 193億円 | 220億円 | 269億円 |
| 経常利益 | 10億円 | 12億円 | 15億円 | 17億円 | 22億円 |
| 利益率(%) | 6.6% | 7.3% | 7.6% | 7.9% | 8.3% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 5億円 | 6億円 | 7億円 | 9億円 | 9億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の大幅な増加に伴い、売上総利益も順調に拡大しています。売上総利益率、営業利益率ともに前期から改善しており、収益性が向上しています。事業規模の拡大と利益率の改善が同時に進んでいることが読み取れます。
| 項目 | 2024年6月期 | 2025年6月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 220億円 | 269億円 |
| 売上総利益 | 61億円 | 75億円 |
| 売上総利益率(%) | 27.7% | 27.9% |
| 営業利益 | 17億円 | 22億円 |
| 営業利益率(%) | 7.6% | 8.2% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が19億円(構成比37%)を占めています。売上原価については、外注費や労務費が主な構成要素となっています。
■(3) セグメント収益
クラウドインテグレーション事業は、ServiceNowやAWS等の需要増により大幅な増収増益となりました。システムインテグレーション事業はERP分野が堅調で増収となり、利益率も改善しています。海外事業は事業譲受により規模が拡大しました。一方、アウトソーシング事業は費用増により減益となりました。
| 区分 | 売上(2024年6月期) | 売上(2025年6月期) | 利益(2024年6月期) | 利益(2025年6月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| クラウドインテグレーション | 72億円 | 97億円 | 12億円 | 15億円 | 15.9% |
| システムインテグレーション | 118億円 | 134億円 | 0.1億円 | 1億円 | 0.9% |
| アウトソーシング | 20億円 | 24億円 | 3億円 | 2億円 | 9.7% |
| プロダクト | 8億円 | 9億円 | 2億円 | 2億円 | 27.1% |
| 海外 | 2億円 | 5億円 | 0.6億円 | 1億円 | 21.1% |
| 連結(合計) | 220億円 | 269億円 | 17億円 | 22億円 | 8.2% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は26.3%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は44.1%で市場平均を上回っています。
| 項目 | 2024年6月期 | 2025年6月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 15億円 | 24億円 |
| 投資CF | -4億円 | -8億円 |
| 財務CF | -5億円 | -0.0億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「社会への貢献」「顧客サービス向上」「価値の共有」を経営理念として掲げています。情報技術を通じて豊かな社会の発展に貢献し、顧客ニーズへの対応とベストソリューションの提供により信頼関係を築き、株主や社員と価値を分かち合うことを目指しています。
■(2) 企業文化
「至誠と創造」を社是として掲げています。社員一人ひとりが顧客や株主を含む全てのステークホルダーに対して誠実に接すること、そして独立系のシステムインテグレーターとして自由な発想を持ち、新たな価値を創造していくことを重視する文化があります。
■(3) 経営計画・目標
2026年6月期から2028年6月期までの中期経営計画ローリングプランを策定し、「成長と更なるイノベーションの創出」をテーマに掲げています。2028年6月期の数値目標として以下を設定しています。
* 売上高:401億円以上
* 営業利益:35億円以上
* 売上高営業利益率:8.8%以上
■(4) 成長戦略と重点施策
「顧客・社会のDX推進の基盤となるサービスの拡充」「多様な人材の成長と活躍」「サステナビリティ経営の強化」を基本方針としています。特にクラウドインテグレーション事業への注力、AI関連サービスの事業化、新規事業への挑戦、プロジェクトマネジメント強化による品質・生産性の向上を重点施策として推進しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
優秀な技術者を確保するため、積極的な採用活動や資格取得によるブランディング、働きやすい環境の整備を進めています。また、高度な専門技術を持つ人材育成のため、資格取得の推進やマネジメント能力強化の教育投資を行い、競合他社との差別化と新たな価値創出を目指しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年6月期 | 42.9歳 | 11.7年 | 6,777,864円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 15.0% |
| 男性育児休業取得率 | 50.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 70.8% |
| 男女賃金差異(正規) | 75.1% |
| 男女賃金差異(非正規) | 23.9% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、全従業員における女性比率(30.4%)、有給休暇取得率(75.1%)、従業員一人当たり研修時間(114時間/年)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) システム開発の契約形態と採算性
請負契約におけるプロジェクト管理に支障が出た場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、案件の大型化・複雑化に伴い、仕様変更や工数増加により計画通りの品質確保や納期遵守が困難となり、不採算案件が発生するリスクがあります。
■(2) 人材確保・育成
高度な技術力を持つシステムエンジニアの確保・育成が重要課題です。労働力需給の逼迫により必要な人材を確保できない場合、失注や受注規模縮小に繋がる可能性があります。また、長時間労働に起因する健康問題や生産性低下のリスクもあります。
■(3) パートナーとの連携体制
事業運営において協力会社との連携が重要であり、外注費の割合は約4割を占めています。技術力の高いパートナーを適正に確保できない場合や関係が悪化した場合、プロジェクト遂行やサービス提供に支障が生じる可能性があります。



上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。