※本記事は、株式会社ブロードバンドセキュリティ の有価証券報告書(2025年6月期、2024年7月1日 ~ 2025年6月30日、2025年9月19日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
ブロードバンドセキュリティは、企業の情報漏えいリスクから顧客を守るセキュリティサービスを主要事業としています。セキュリティ監査・コンサルティング、脆弱性診断、情報漏えいIT対策の3つのサービス区分を展開し、大企業や官公庁を主な顧客としています。
単体従業員数は239名です。同社はセキュリティサービス事業の単一セグメントで事業を展開しています。
ブロードバンドセキュリティは、企業の情報漏えい対策を目的としたセキュリティサービスを、直販および代理店経由で大企業や官公庁に提供しています。
当事業年度は、営業戦略を総合ソリューション提案の充実へと転換し、監査・コンサルティング営業を強化することで、商談規模の拡大を図っています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
ブロードバンドセキュリティは、サイバーセキュリティという専門性の高い分野で事業を展開しています。同社は、従業員の成長と働きがいを重視し、独自の育成プログラムや福利厚生制度を通じて、長期的なキャリア形成を支援する環境を整えているようです。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、平均年齢と平均勤続年数から、従業員が一定期間にわたってキャリアを築いている傾向が見られます。専門性の高いサイバーセキュリティ分野において、経験を積んだ人材が定着し、安定して業務に取り組める環境がうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 7,449,127円 |
| 平均勤続年数 | 7.57年 |
| 平均年齢 | 42.03歳 |
| 単体従業員数 | 239人 |
同社は確定給付型の退職給付制度を採用しています(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる制度です)。この制度は、在外支店においては所在地国の法律に基づき、簡便法により従業員の退職給付引当金を計上しています。
なお、退職一時金の有無や支給条件、従業員ごとの会社拠出額などは、有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
ブロードバンドセキュリティは、「Vision 2030」の実現に向けて、経営戦略「Action 2024」と連動した人材戦略を推進しています。サイバーセキュリティ事業における価値創造の源泉を人的資本の拡充と位置付け、従業員への投資を強化しています。
主な取り組みとして、専門性と多様性を重視した新卒・中途採用による適材適所の配置を行っています。また、東北セキュリティ診断センターを中核とした長期的な人材育成に力を入れており、2019年からは所定労働時間の一部を学習や資格取得に充てる「みらい時間」を導入し、従業員のスキルアップを支援しています。資格取得に関しては、学習時間の確保、試験費用の補助、報奨金制度も運用されています。
ダイバーシティの推進にも注力し、外国籍人材、女性、中途採用者など多様な人材の活躍を支援しています。さらに、株式給付信託(J-ESOP)によるインセンティブや資産形成支援、各種福利厚生の充実、法定を上回る介護・育児休暇制度の整備を通じて、従業員のウェルビーイング向上に取り組んでいます。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。男性労働者の育児休業取得率および労働者の男女の賃金の差異は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく公表義務の対象項目として選択しておらず、公表されていません。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職割合 | 19.2% |
指標及び目標
同社は、2025年6月30日現在の実績と、2030年3月末までの5か年行動計画に基づく目標を以下の通り開示しています。
| 指標 | 目標 | 実績 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 新卒入社者数 | 2030年までに60名 | 2024年 7名 2025年 3名 |
- |
| 女性労働者比率 | - | 26.4% | 従業員全体に占める女性比率(業界平均18.9%) |
| 採用比率における女性の割合 | 25% | 16.1% | 年度内採用者に占める女性比率 |
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 12.6% | 19.2% | 管理職全体に占める女性比率(業界平均19.2%) |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
ブロードバンドセキュリティは、企業の情報漏えいリスクから守るためのセキュリティサービスを主要な事業として展開しています。大企業や官公庁を中心に、安全なネットワーク社会の実現を支援しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社は、企業の情報漏えい予防や防止、セキュリティ機器の遠隔監視、マルウェア検知によるネットワーク遮断など、多岐にわたるセキュリティサービスを提供しています。サービスは「セキュリティ監査・コンサルティングサービス」、「脆弱性診断サービス」、「情報漏えいIT対策サービス」の3つに分類されます。
収益は、セキュリティ機器の販売や海外セキュリティソフト会社からのライセンス提供、そして各種セキュリティサービスの提供から得ています。営業は直販と代理店経由の二つの形態で行われています。同社は上流工程のコンサルティングから脆弱性診断、セキュリティの監視・運用まで、フルラインアップでサービスを提供できる体制を強みとしています。
直近の販売実績を見ると、情報漏えいIT対策サービスが最も大きな割合を占めており、次いで脆弱性診断サービス、セキュリティ監査・コンサルティングサービスが続いています。同社は国内の外部顧客への売上高が損益計算書の売上高の90%を超えており、国内市場に注力していることがうかがえます。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社の直近の業績は、売上高、営業利益、経常利益、当期純利益のいずれも前期と比較して減少となりました。これは、期初に営業戦略を総合ソリューション提案へと転換した結果、案件のクロージングや精査に想定よりも時間を要したため、売上計上が遅れたことが主な要因です。
しかしながら、この営業戦略の転換により、顧客への提案内容はより総合的なものとなり、商談規模も拡大しています。将来的な事業成長に向けた基盤を構築できたものと考えており、期末の受注残高は過去最高を記録しています。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社の財務状況は、事業活動を通じて得られる資金と、それをどのように投資・運用しているかによって、安定性や将来の成長性が示されます。自己資本の厚みや手元資金の状況、キャッシュフローの動きから、現在の財務基盤を把握することができます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社の自己資本比率は当期に55.5%となり、前期の50.1%から上昇しています。これは、プライム市場の製造業平均46.8%と比較して高い水準を示しており、財務基盤の安定性がうかがえます。ROE(自己資本利益率)は当期に6.8%となり、前期の22.1%から減少しました。プライム市場平均の9.4%を下回る水準となっています。手元資金である現金及び預金は当期に14.3億円となり、前期の19.2億円から減少しています。
| 指標 | 2024年6月期(前期) | 2025年6月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産合計 | 20.7億円 | 21.1億円 |
| 自己資本比率 | 50.1% | 55.5% |
| ROE(自己資本利益率) | 22.1% | 6.8% |
| 現金及び預金 | 19.2億円 | 14.3億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
当期の営業活動によるキャッシュ・フローは1.0億円の収入となりました。これは、税引前当期純利益の計上や減価償却費の計上などによるものです。投資活動によるキャッシュ・フローは3.0億円の支出となり、投資有価証券の取得やその他の投資による支出が主な要因です。財務活動によるキャッシュ・フローは2.8億円の支出となり、短期借入金の返済による支出が主な内容です。これらの結果、フリーキャッシュ・フローは2.0億円のマイナスとなりました。本業で得た資金を上回る投資を行っている状況であり、将来に向けた投資を積極的に進めていることが示されています。
| 項目 | 2024年6月期(前期) | 2025年6月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 9.0億円 | 1.0億円 |
| 投資CF | △2.3億円 | △3.0億円 |
| 財務CF | △1.2億円 | △2.8億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 6.7億円 | △2.0億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社は情報セキュリティ市場の低価格化の進展をリスクとして認識しています。また、セキュリティ事業に特化しているため、経済環境の悪化などにより需要が低迷した場合に経営成績に大きな影響を与える可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社は、今後の企業成長には人材の確保・育成が不可欠であると認識しています。ITエンジニア、特にセキュリティのノウハウを持ったエンジニアの確保が容易ではないことをリスクとして挙げています。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
ブロードバンドセキュリティは、「便利で安全なネットワーク社会を創造する」というビジョンを掲げ、セキュリティと利便性の両立に貢献することを目指しています。同社は、顧客の安全・安心を最優先に、持続的な成長と企業価値の向上を追求する企業風土を大切にしています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
ブロードバンドセキュリティは、設立当初から「便利で安全なネットワーク社会を創造する」というビジョンを掲げています。これは、セキュリティと利便性がトレードオフの関係にある中で、「便利でありながら安全を担保できるようなネットワーク社会の創造に貢献しよう」という強い決意が込められたものです。
同社は、このビジョンに基づき、情報セキュリティ市場の拡大に対応しながら、顧客の多様なニーズに応えることを目指しています。収益性の向上に重点を置き、売上高営業利益率の向上を経営上の目標としています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
ブロードバンドセキュリティは、スキルを持った人員によるサービス提供を徹底することを重要な戦略の一つとしています。サイバーセキュリティ事業における価値創造の源泉を人的資本の拡充にあると位置づけ、人材への積極的な投資を行っています。
同社は、サステナビリティへの対応を重要な経営課題と捉え、環境負荷の低減、お客さまの安全・安心の確保、責任あるイノベーションの推進、公正な取引・競争の徹底、人権尊重と多様性の確保に取り組んでいます。従業員の健康・安全およびエンゲージメント向上にも注力し、多様な経験・技能・属性を尊重するダイバーシティの推進も行っています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
ブロードバンドセキュリティは、企業価値の向上を目指し、いくつかの経営課題に優先的に対処しています。サービス品質の向上を継続的に図り、障害が発生しないための体制構築を進めています。
また、情報セキュリティに対する新たな脅威や顧客ニーズの多様化に対応するため、新サービスの開発に努め、市場における差別化を図っています。具体的には、クラウドモデルでのサービス提供や、デジタルフォレンジック、PCI DSS準拠支援サービス、緊急対応サービスの態勢拡大に取り組んでいます。
さらに、ストック型サービスにおける契約解除防止のため、顧客満足度調査や新サービスの案内、顧客キーマンとのコミュニケーション強化を通じて、既存顧客フォロー体制を構築しています。人材の確保と育成も重要な課題であり、積極的な採用活動と社内人材のフォローアップ体制整備により、全体のレベルアップを図っています。ガバナンス体制の強化も進め、内部統制システムの整備を通じて経営の透明性、健全性、遵法性の確保を目指しています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
ブロードバンドセキュリティは監査役会設置会社であり、取締役会と監査役会を設置しています。取締役会は経営の基本方針や重要事項を決定し、業務執行を監督する役割を担っています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
ブロードバンドセキュリティは、複数の事業会社や投資会社に支えられた資本構成となっています。筆頭株主はグローバルセキュリティエキスパートであり、同社とは資本業務提携契約を締結し、サイバーセキュリティ事業における相互取引も行っています。また、主要株主であるIDホールディングスや兼松エレクトロニクスとも事業上の関係があります。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| グローバルセキュリティエキスパート | 22.62% |
| IDホールディングス | 21.57% |
| SBIインキュベーション | 15.63% |
| 兼松エレクトロニクス | 9.83% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 2.43% |
なお、前事業年度末において主要株主であったSBI FinTech Solutionsは、当事業年度末現在では主要株主ではなくなり、IDホールディングスが新たに主要株主となりました。
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は11名(男性10名・女性1名)で構成され、女性役員比率は9.0%です。代表取締役社長は滝澤貴志氏が務めています。社外取締役比率は36.4%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 滝澤 貴志 | 代表取締役社長 | 2004年4月同社入社、営業本部エンタープライズ営業部長、ASPサービス部長、管理部長、マネジメントサービス本部長、内部監査室長、管理本部長を歴任。2021年9月より現職。 |
| 田仲 克己 | 専務取締役 (事業統括) | 2004年4月同社入社、SQAT事業部長、MS事業部副部長、営業本部長、セキュリティエンジニアリング本部長を歴任。2025年7月より現職。 |
| 岡田 俊弘 | 常務取締役 (営業本部管掌) | 2004年4月同社入社、営業本部xSP営業部長、マネジメントサービス事業部長、東日本営業本部長、高度情報セキュリティサービス本部部長を歴任。2024年9月より現職。 |
| 谷 直樹 | 取締役 (セキュリティサービス本部、マネジメントサービス本部、情報セキュリティプロフェッショナルサービス本部管掌) | 2016年7月同社入社、マネジメントサービス本部サービス企画部長、管理本部人事・総務サービス部長、管理本部長を歴任。2025年7月より現職。 |
| 齊藤 義人 | 取締役 (セキュリティサービス本部長) | 2012年2月同社入社、セキュリティエンジニアリングサービス本部診断サービス部長、セキュリティサービス副本部長、セキュリティサービス本部長を歴任。2025年9月より現職。 |
| 青柳 史郎 (戸籍上の氏名 鱸 史郎) | 取締役 | 2012年3月グローバルセキュリティエキスパート入社、事業開発部長、執行役員営業本部長、取締役経営企画本部長を経て、2018年4月より同社代表取締役社長。2024年9月より現職。 |
社外取締役は、田中喜一氏(サービス&セキュリティ監査役)、青柳史郎氏(グローバルセキュリティエキスパート代表取締役社長)、竹原智子氏(インフォメーション・ディベロプメント取締役兼常務執行役員)、大内拓也氏(兼松エレクトロニクス上席執行役員)、上野宣氏(トライコーダ代表取締役)です。
同社は監査役会設置会社であり、社外取締役による取締役会の監督機能と社外監査役による独立した立場からの監査を通じて、外部からの経営監視機能が確保されています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
ブロードバンドセキュリティの役員報酬は、固定報酬である基本報酬と譲渡制限付株式報酬で構成されています。取締役の基本報酬は株主総会で承認された総額限度内で、役位等を考慮し取締役会で審議され代表取締役が決定します。監査役の報酬は株主総会で決議された総額限度内で、監査役の協議により決定されます。譲渡制限付株式報酬制度も導入されており、企業価値向上へのインセンティブと株主との価値共有を目的としています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 8名 | 1.2億円 | 15.4百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 9百万円 | 9.0百万円 |
| 社外役員 | 4名 | 20百万円 | 4.9百万円 |
なお、無報酬の社外取締役1名は報酬等の対象から除かれています。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。