Birdman 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

Birdman 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証グロース上場。企業のブランド価値向上を支援するMX事業と、エンタメ領域のEX事業を展開。第13期は売上が前期比約85%減の3.2億円と大幅に縮小し、営業赤字・最終赤字が継続しています。新株予約権行使等により債務超過は解消しましたが、継続企業の前提に重要な不確実性が認められます。


※本記事は、株式会社Birdman の有価証券報告書(第13期、自 2024年7月1日 至 2025年6月30日、2025年9月29日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. Birdmanってどんな会社?


マーケティングとエンターテインメントの領域で、クリエイティブとテクノロジーを駆使した事業を展開する企業です。

(1) 会社概要


2012年にセールスプロモーションを目的としてエードットを設立し、2019年に東証マザーズへ上場しました。その後、2021年1月に子会社6社を吸収合併し、同年2月に現社名であるBirdmanへ商号変更を行っています。2021年9月にはエンターテインメント領域への拡張を目的にEX事業を新設し、事業ポートフォリオの変革を進めてきました。

2025年6月30日時点で、連結従業員数は11名、単体従業員数は11名です。筆頭株主は投資事業等を行うネクスタ(匿名組合口)で、第2位は個人の伊藤繁三氏、第3位は経営コンサルティング等を行うアベCとなっています。

氏名 持株比率
ネクスタ(匿名組合口) 24.37%
伊藤 繁三 12.23%
アベC 8.56%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性1名の計7名で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役社長は吉川元宏氏が務めています。社外取締役比率は57.1%です。

氏名 役職 主な経歴
吉川 元宏 代表取締役社長 ペガソス・エレクトラ代表取締役、海帆代表取締役社長を経て、2024年6月より同社顧問。2025年8月より現職。
國松  晃 取締役 海帆代表取締役社長、SSS代表取締役会長を経て、2024年9月より同社社外取締役(監査等委員)。2025年9月より現職。
和光 幸希 取締役 2019年よりインフルエンサーマーケティング及び映像制作等のプロデュース事業を開始。2025年9月より現職。


社外取締役は、水谷準一(元海帆取締役管理本部長)、刈谷龍太(弁護士法人C-LiA代表社員)、増元大輔(リアライズ取締役)、青木健一郎(Btree代表取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「MX事業」および「EX事業」を展開しています。

MX事業


企業のブランド価値や商品・サービスの認知度向上を図るため、SP(セールスプロモーション)、PR、クリエイティブなどのマーケティングソリューションを提供しています。デジタル戦略の立案から実行、イベント企画、広告制作などをワンストップで手掛け、顧客企業の課題解決を支援します。

収益は、顧客企業から受け取る企画費、制作費、運営費などの業務委託料が主な源泉です。案件ごとに利益管理を行い、各サービスの提供を通じて対価を得ています。運営は主にBirdmanが行っています。

EX事業


エンターテインメント業界のアップデートを目指し、アーティストのマネジメントやプロデュース、イベントの企画・制作・運営を行っています。クリエイティブやデジタル技術を活用し、新たなエンタメの形を創出することを目的に事業を展開しています。

収益は、コンサートやイベントのチケット収入、グッズ販売収入、ファンクラブ会費などが主な源泉です。運営はBirdmanおよび連結子会社のLIVE-adが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


第11期から第13期にかけて、売上高は44.8億円から3.2億円へと激減しており、事業規模が急速に縮小しています。損益面では、第11期は僅かな黒字を確保していましたが、第12期以降は巨額の赤字に転落しました。第13期も売上の減少に伴い赤字が継続しており、厳しい経営状況が続いています。

項目 2023年6月期 2024年6月期 2025年6月期
売上高 44.8億円 20.9億円 3.2億円
経常利益 0.4億円 -20.2億円 -6.8億円
利益率(%) 1.0% -96.9% -214.5%
当期利益(親会社所有者帰属) 0.0億円 -30.4億円 -7.2億円

(2) 損益計算書


売上高は前期の20.9億円から当期は3.2億円へと約85%減少しました。売上総利益は前期のマイナスから当期は0.2億円のプラスに転じましたが、金額規模は小さいままです。販管費の負担が重く、営業損失は5.6億円を計上しており、収益構造の改善が急務の状況です。

項目 2024年6月期 2025年6月期
売上高 20.9億円 3.2億円
売上総利益 -4.5億円 0.2億円
売上総利益率(%) -21.5% 5.8%
営業利益 -18.4億円 -5.6億円
営業利益率(%) -88.2% -175.9%


販売費及び一般管理費のうち、業務委託費が1.1億円(構成比19%)、給与手当が0.8億円(同14%)を占めています。

(3) セグメント収益


MX事業は人員見直しや資金不足による受注減が響き、売上が大幅に減少しました。EX事業は前年の巨額損失を受け、事業の全面的見直しと契約解除等を行った結果、売上がほぼ消失しました。両セグメントともにセグメント損失を計上しています。

区分 売上(2024年6月期) 売上(2025年6月期) 利益(2024年6月期) 利益(2025年6月期) 利益率
MX事業 12.0億円 3.2億円 1.0億円 -0.4億円 -12.9%
EX事業 8.9億円 0.0億円 -16.5億円 -2.3億円 -5737.8%
連結(合計) 20.9億円 3.2億円 -18.4億円 -5.6億円 -175.9%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

同社グループは、事業運営に必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。営業活動によるキャッシュ・フローは、事業活動から生み出される資金の状況を示しています。投資活動によるキャッシュ・フローは、設備投資や有価証券の取得・売却等による資金の増減を表します。財務活動によるキャッシュ・フローは、借入や返済、株式の発行等による資金の増減を示しています。

項目 2024年6月期 2025年6月期
営業CF -21.2億円 -3.0億円
投資CF 0.5億円 0.2億円
財務CF 9.9億円 18.9億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「夢を応援する社会をつくる」ことをミッションとして掲げています。「日本を代表するプロデュースカンパニー」となることを目標に、MX事業(マーケティング・トランスフォーメーション)およびEX事業(エンターテインメント・トランスフォーメーション)の2事業を展開し、社会やクライアント、ファンの期待に応えることを目指しています。

(2) 企業文化


既成概念を打ち破るクリエイティブと、それを実現するデジタル・テクノロジーを重視する文化があります。マーケティング領域ではワンストップでのソリューション提供を強みとし、エンタメ領域では新進気鋭のアーティストやクリエイターと連携しながら、新しいエンターテインメントの形を創出することを目指しています。顧客の潜在的なニーズを引き出し、迅速な対応とコストメリットを創出する体制を構築しています。

(3) 経営計画・目標


安定的な事業成長を通じた企業価値向上を重視し、「(売上高-外注費)/売上高」で算定される利益率を経営の重点指標としています。事業拡大による売上成長に加え、案件ごとの利益率向上やクリエイターの稼働管理徹底、イベントの収益性改善を通じて、この指標の向上を図る方針です。具体的な数値目標については記載がありません。

(4) 成長戦略と重点施策


上場維持基準への適合と継続企業の前提に関する疑義の解消に向け、収益力の抜本的改善と財務健全化を最優先課題としています。MX事業ではデジタルマーケティング領域の拡張やエンタメを組み込んだ提案力を強化し、EX事業ではリスクをコントロールしながら、デジタル知見を活かしたファン拡大やアライアンス推進に取り組みます。また、新株予約権行使による資金調達を進め、財務基盤の安定化を図ります。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


人材を重要な資本と位置付け、年齢・学歴・性別・国籍にとらわれない能力本位の採用を進めています。多様な人材が活躍できるよう、柔軟な働き方の提供や人事制度の構築に取り組んでいます。また、意欲と能力のある従業員が平等に活躍し、管理職へ登用される機会が得られる環境づくりを目指しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年6月期 36.6歳 2.5年 6,791,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社および連結子会社は「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」等の規定による公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 継続企業の前提に関する重要事象等


同社グループは売上の著しい減少と赤字継続により、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる事象が存在しています。前期の債務超過は新株予約権行使等により解消しましたが、手元資金が不足しており、資金繰りが不透明な状況です。収益力の改善と新たな資金調達の成否が、事業継続上の重要な不確実性となっています。

(2) 景気の変動


企業の広告宣伝・広報関連予算は景気動向の影響を受けやすく、景況感が悪化した場合、同社グループの受注減少につながる可能性があります。売上の多くがこうした予算に依存しているため、短期的な不況にも耐えうる財務体質の強化を目指しています。

(3) 特定の取引先への依存


成長過程において、大型案件の受注等により特定の取引先への依存度が高まる傾向があります。主要顧客の方針変更や取引縮小が発生した場合、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。これに対し、新規顧客の獲得を進めることでリスク分散を図っています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。