【平均年収578万円】HPCシステムズ 転職ガイド:知っておきたい給与と業績(2025年6月期)

【平均年収578万円】HPCシステムズ 転職ガイド:知っておきたい給与と業績(2025年6月期)

HPCシステムズは、科学技術計算用コンピュータ事業と産業用コンピュータ事業を展開しています。直近期は売上高が小幅に伸び、利益は大幅に増加する増収増益となりました。


目次

※本記事は、HPCシステムズ株式会社 の有価証券報告書(2025年6月期、2024年7月1日 ~ 2025年6月30日、2025年9月29日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。

1. 企業概要:どんな会社?


HPCシステムズは、科学技術計算用コンピュータ事業(HPC事業)と産業用コンピュータ事業(CTO事業)の2つの事業を展開しています。研究者や開発者の課題解決に貢献するため、人とコンピューティングの力を融合させたソリューションを提供しています。

単体従業員数は120名、連結従業員数は123名です。事業セグメントはHPC事業とCTO事業の2つです。

HPCシステムズは、産業用コンピュータの製造を国内工場(千葉県匝瑳市)で行い、部品の調達から組立、検査、出荷、品質管理、サポートまでを一貫して実施しています。

2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?


HPCシステムズは、従業員の平均年齢や勤続年数から、比較的落ち着いた環境でキャリアを築ける可能性を示しています。同社グループは、人材を重要な「人財」と捉え、育成や働きやすい環境づくりに力を入れています。

■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢


HPCシステムズでは、平均勤続年数が比較的長く、従業員の定着傾向が見られます。平均年齢も40代半ばであり、経験豊富な人材が活躍していることがうかがえます。

項目 数値
平均年間給与 5,780,000円
平均勤続年数 8.7年
平均年齢 44.6歳
単体従業員数 120人
連結従業員数 123人
単体のグループ内比率 97.6%


同社は退職給付制度として、確定拠出年金制度(会社が拠出した資金を従業員が運用する)を採用しています。この制度は国内を対象としています。

なお、退職一時金の有無や支給条件、従業員ごとの会社拠出額などは、有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。

■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方


HPCシステムズグループは、人材に関する意識を高める目的で「人財」という言葉を用いています。2021年3月にはESG委員会を設置し、サステナビリティに関わる諸課題をマネジメントし、企業価値向上につなげる方針です。

同社グループは「人財グランドデザイン」を策定し、人財育成方針と社内環境整備方針を定めています。これらは「人財育成プロセス・研修」「心身の健康と働きやすい職場づくり」「研究者の確保と定着」の3つのカテゴリに分類されています。

具体的には、ビジネススキルの底上げや階層別研修、公的資格取得支援を通じて人財育成を推進しています。また、リモート勤務の適正運用、健康増進イベント、社員エンゲージメント醸成のためのコミュニケーション促進など、働きやすい職場づくりにも注力しています。研究者の確保と定着に向けては、働きながらの学位取得支援や大学・研究機関等からの研究者採用も行っています。

■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標


有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。

法定開示


提出会社単体のデータを示します。連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、記載を省略しています。労働者の男女の賃金の差異の主たる要因は、男女の管理職比率の差異によるものです。パート・有期労働者の男女賃金差異は開示されていません。

指標 数値
管理職に占める女性労働者の割合 11.5%
男性労働者の育児休業取得率 100.0%
労働者の男女の賃金の差異(全労働者) 71.7%
労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) 71.7%

人財育成プロセス・研修

指標 数値
ビジネススキルテスト受験率 78%
eラーニング研修受講率 100%
階層別研修(経営層)集合研修参加率 100%
階層別研修(マネージャー層)集合研修参加率 83%

心身の健康と働きやすい職場づくり

指標 数値
本社部門オフィス出勤率 55%
ストレスチェック受験率 98%
健康増進イベント施策件数 年2回
安全衛生教育啓発活動回数 1回
社内報の発行 年12回
離職率 7.3%

研究者の確保と定着

指標 数値
指導を含めた働きながらの学位取得支援(社会人博士課程)実績 0名
大学・研究機関等からの研究者採用実績 1名

3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?


HPCシステムズは、科学技術計算用コンピュータ事業(HPC事業)と産業用コンピュータ事業(CTO事業)の二つの柱でビジネスを展開しています。同社グループは「人とコンピューティングの力で世界平和に貢献する」という経営理念のもと、研究者や開発者が抱える課題に対し、知恵とコンピューティングを通じて共に取り組むことを目指しています。

■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか


同社グループは、専門的な知見が求められる科学技術計算用コンピュータと、安定的で信頼性の高い製品供給が求められる産業用コンピュータの分野で事業を展開しています。顧客の多様なニーズに応えるため、最適なシステムをワンストップで提供できる体制を構築しています。

HPC事業

HPC事業は、科学技術計算用コンピュータに関連するソリューションを提供しています。高性能コンピュータを駆使して科学技術の問題を解決する計算科学の分野で、特にライフサイエンスとマテリアルサイエンス分野に強みを持っています。システム販売のほか、ソフトウェアプログラムの開発・販売、受託計算・研究開発支援、導入後のサポートまでを一貫して提供しています。

収益は、科学技術計算用高性能コンピュータのシステム販売、オリジナルソフトウェアプログラムの開発・販売、計算科学をテーマとするセミナーの開催、科学技術計算の受託や技術支援、プログラム高速化サービスなどから得ています。当連結会計年度の売上は減少しましたが、利益は増加しました。

CTO事業

CTO事業は、顧客企業の注文仕様に応じた産業用コンピュータの開発、製造、販売を行っています。同社グループの産業用コンピュータは、組込コンピュータとして各種製造装置や工作機械、医療機器、インフラシステムなど、さまざまな産業分野で活用されています。高い処理性能に加え、耐環境性、頑健性、長期安定供給、きめ細やかな保守サービスが強みです。

収益は、顧客企業の製品システムや装置に組み込まれるカスタム仕様の産業用コンピュータの販売から得ています。部品の長期安定調達力と品揃えを充実させ、販売パートナーとの関係強化により取引先の拡充を図っています。当連結会計年度の売上、利益ともに増加しました。

同社グループは、国内の外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の大部分を占めており、国内市場が中心となっています。特定の顧客への収益集中は見られません。一方で、円安の進行による輸入コストの上昇は、同社グループの経営に影響を与える要因の一つとなっています。

セグメント 売上高(2024年6月期) 売上高(2025年6月期)
HPC事業 47.3億円 45.7億円
CTO事業 22.2億円 25.0億円

■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移


同社グループの当連結会計年度における売上高は増加し、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益も大幅に増加しました。売上高は小幅な伸びとなりましたが、営業利益は案件ごとの管理徹底や販売管理費の抑制により、大きく増加する結果となりました。

項目 2021年6月期 2022年6月期 2023年6月期 2024年6月期 2025年6月期
売上高 - - - 69.5億円 70.6億円
経常利益 - - - 4.3億円 6.4億円
経常利益率 - - - 6.1% 9.1%
親会社株主に帰属する当期純利益 - - - 3.0億円 4.2億円
1株当たり当期純利益(円) - - - 69.66 101.59

■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る


同社グループの従業員1人あたりの売上高は前期から増加しており、従業員1人あたりの営業利益も前期から増加しています。これらの指標の改善は、同社グループ全体の生産性が向上している傾向を示しています。

指標 2024年6月期 2025年6月期
従業員1人あたり売上高(連結) 54.7百万円 57.4百万円
従業員1人あたり営業利益(連結) 3.4百万円 5.2百万円

4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?


HPCシステムズは、財務の安定性において堅実な状況を示しています。本業で得た資金を適切に運用し、将来に向けた投資も行っています。

■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み


HPCシステムズの財務基盤は、自己資本比率とROEのいずれも高い水準にあります。自己資本比率は当期で57.5%となり、プライム市場の平均と比較しても高い水準を維持しています。ROE(自己資本利益率)も16.7%と、プライム市場平均を上回る水準です。

手元資金である現金及び預金も増加傾向にあり、事業運営の安定性を示す要素となっています。これらの財務指標は、同社グループが安定した経営基盤を築いていることを示しており、従業員の雇用や給与の安定性にもつながるものと考えられます。

指標 2024年6月期(前期) 2025年6月期(当期)
純資産 24.9億円 26.0億円
自己資本比率 52.2% 57.5%
ROE(自己資本利益率) 12.5% 16.7%
現金及び預金 18.3億円 20.8億円

■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ


HPCシステムズのキャッシュフローを見ると、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローは当期に13.4億円の収入となりました。これは税金等調整前当期純利益に加え、売上債権や棚卸資産の減少、仕入債務の増加などが主な要因です。前期と比較すると減少していますが、引き続き事業活動で資金を生み出しています。

投資活動によるキャッシュフローは、有形固定資産や無形固定資産の取得、定期預金の増加などにより△0.6億円の支出となりました。これは将来に向けた事業基盤の強化や設備投資を行っていることを示しています。財務活動によるキャッシュフローは、短期借入金および長期借入金の返済、自己株式の取得などにより△10.4億円の支出となりました。

これらの結果、事業活動で得た資金が投資活動の支出を上回り、自由に使える資金であるフリーキャッシュフローは12.8億円のプラスとなっています。同社グループは本業で安定的に資金を生み出し、健全な財務運営を行っていることがうかがえます。これは、従業員の雇用や給与の安定性にもつながる要素です。

項目 2024年6月期(前期) 2025年6月期(当期)
営業CF 40.8億円 13.4億円
投資CF △0.1億円 △0.6億円
財務CF △33.6億円 △10.4億円
フリーCF(営業CF+投資CF) 40.7億円 12.8億円

■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント

① 継続企業の前提に関するリスク

継続企業の前提に関する特記事項はありません。

② 事業構造・収益性に関するリスク

同社グループは、景気動向や産業動向の変動による影響を受ける可能性があります。顧客の研究開発投資や設備投資需要が縮小した場合、売上が減少するリスクがあります。また、製品の大部分を海外から購入しているため、カントリーリスクや為替レートの大幅な変動が仕入れに影響を及ぼす可能性があります。

③ 人材・組織に関するリスク

同社グループは小規模な組織であり、今後の事業拡大や業務内容の多様化に対応するため、人員の増強や内部管理体制の充実を図る方針です。これらの施策が適切に進まなかった場合、業績や事業展開に影響を与える可能性があります。

④ 雇用安定性・リストラ

解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。

5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?


HPCシステムズは、「人とコンピューティングの力で世界平和に貢献する」という経営理念を掲げています。研究者や開発者に寄り添い、課題解決を通じて未来を創造することを目指す企業文化が特徴です。

■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか


HPCシステムズは、「人とコンピューティングの力で世界平和に貢献する」を経営理念としています。同社グループは「人の創造力とコンピューティングを融合させ未来をつくる企業になる」というビジョンを掲げています。人類の難題に挑戦する研究者や開発者に寄り添い、「研究者には研究する力、開発者には製品を開発する力を提供すること」をミッションとしています。製品やサービスを組み合わせるだけでなく、付加価値を追加し最適化したソリューションを提供することで、この役割を果たしていく方針です。

■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー


同社グループは、顧客志向を徹底し、顧客の実現したいことや課題解決のために「S3 as a Service」(Sキューブソリューション as a Service)という独自のソリューションサービス戦略を展開しています。継続的な成長の原資として「人財」を最も重要な経営資源と認識しており、優秀な社員の確保と成長機会の提供を重視しています。従業員の意欲と能力向上を図るため、目標管理制度の導入や適正な評価、研修の実施、資格取得の推奨・補助を行う方針です。サステナビリティに関する取り組みとして「人財グランドデザイン」を策定し、人財育成方針と社内環境整備方針を定めています。

■(3) 経営課題と今後の重点テーマ


同社グループは、成長分野への対応として、AIやエッジコンピューティングといった最先端のコンピューティング技術を常に捕捉し、新しい技術の研究・獲得、社内共有を通じて新たなサービス開発へと結びつける必要があります。優秀な人財の確保と従業員の意欲・能力向上も重要な課題です。継続的な雇用、成長機会の提供、事業規模拡大のための人財獲得、目標管理制度を通じた評価の適正化、研修や資格取得支援による能力向上に取り組む方針です。また、事業規模に応じた内部管理体制の充実とコーポレート・ガバナンスの強化、そして認知度の向上も重点テーマとしています。

6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?


HPCシステムズは監査役会制度を採用しており、経営の効率性と透明性を重視しています。取締役会は取締役9名で構成され、うち3名が社外取締役です。また、監査役会は監査役3名で構成され、うち2名が社外監査役となっています。

■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か


HPCシステムズの株主構成を見ると、特定の事業会社や機関投資家が上位に名を連ねています。筆頭株主は菱洋エレクトロであり、その関連会社である日本マスタートラスト信託銀行(退職給付信託口・菱洋エレクトロ株式会社口)も上位株主です。ナラサキ産業も主要な株主の一つとなっています。

株主名 持株比率
菱洋エレクトロ 7.34%
日本マスタートラスト信託銀行(退職給付信託口・菱洋エレクトロ株式会社口) 7.01%
ナラサキ産業 6.72%


なお、2025年2月7日付で公衆の縦覧に供されている大量保有報告書の変更報告書において、アセットマネジメントOneが2025年1月31日現在で132,400株(株券等保有割合3.03%)を所有している旨が記載されているものの、同社として実質所有株式数の確認ができないため、上記「大株主の状況」は2025年6月30日現在の株主名簿上の所有株式数に基づき記載されています。

■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか


同社の役員は8名(男性7名・女性1名)で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役は小野鉄平氏が務めています。社外取締役比率は60.0%です。

氏名 役職 主な経歴
小野 鉄平 代表取締役 2000年State Street Bank and Trust Company入行。2004年精傑電子科技股份有限公司設立。2006年プロサイド株式会社入社、同年同社設立により移籍。2007年同社代表取締役。2015年同社代表取締役より現職。
下川 健司 取締役管理部長 1991年株式会社タダノ入社。2001年監査法人トーマツ入所。2006年株式会社PTP入社。2009年同社入社。2018年同社取締役管理部長より現職。


社外取締役は、古屋和彦氏(元富士フイルムホールディングス取締役執行役員)、小野元孝氏(元アズワン常務取締役)、森葉子氏(元ブックオフグループホールディングス取締役)です。

同社は監査役会制度を採用しており、独立性の高い社外監査役の選任を行っています。社外取締役および社外監査役は、高い専門性や見識を有することで、経営の透明性確保とコーポレート・ガバナンス体制の強化に貢献しています。

■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計


同社の役員報酬は、取締役(社外取締役を除く)の場合、固定報酬、業績連動報酬である役員賞与、および株式報酬で構成されています。社外取締役と監査役の報酬は、独立した立場からの監督機能を重視し、固定報酬のみとなっています。取締役の報酬比率の目安は、固定報酬65%、役員賞与30%、株式報酬5%です。報酬の決定は、報酬委員会の答申結果をもとに取締役会の決議により行われています。

区分 人数 総額 1人あたり平均
取締役(社外除く) 6名 99百万円 16.5百万円
監査役(社外除く) 1名 10百万円 10.0百万円
社外役員 5名 30百万円 6.1百万円


役員報酬の総額は139.6百万円で、対象となる役員の合計人数は12名です。

※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。