※本記事は、フィーチャ株式会社 の有価証券報告書(第20期、自 2024年7月1日 至 2025年6月30日、2025年9月30日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. フィーチャってどんな会社?
同社は、画像認識ソフトウェアの開発を行い、モビリティやDX分野にソリューションを提供する企業です。
■(1) 会社概要
2005年にクワンター・ビュー有限会社として設立され、当初はレンズ検査装置事業を行っていましたが、2012年に画像認識ソフトウェア開発事業を開始しました。2015年に現在の社名へ変更し、2020年に東証マザーズ(現・グロース)へ上場しました。2023年にはボッシュと資本業務提携契約を締結しています。
同社グループの連結従業員数は31名、単体では30名です。筆頭株主は代表取締役社長CEO兼CTOの曹暉氏で、第2位は同氏の親族とみられる個人株主、第3位は個人株主です。なお、第4位には資本業務提携先のボッシュが名を連ねています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 曹 暉 | 21.32% |
| 王 潞 | 15.37% |
| 脇 健一郎 | 10.36% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性5名、女性1名の計6名で構成され、女性役員比率は16.7%です。代表取締役社長CEO兼CTOは曹暉氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 曹 暉 | 代表取締役社長CEO兼CTO | 理化学研究所、豊田中央研究所を経て、2012年に同社入社。2017年に代表取締役CTOに就任し、2023年より現職。 |
| 立花 嵩大 | 取締役CFO | 有限責任あずさ監査法人を経て、2018年に同社入社。管理部長、執行役員CFOを経て、2021年より現職。 |
社外取締役は、Friedrich Wagner(元ボッシュ株式会社Executive Vice President)です。
2. 事業内容
同社グループは、「画像認識ソフトウェア開発事業」および「その他」事業を展開しています。
■画像認識ソフトウェア開発事業
車載カメラやドライブレコーダー向けに、歩行者や車両等を検知するADAS(先進運転支援システム)やDMS(ドライバー監視システム)用の組み込みソフトウェアを開発・提供しています。また、AI文字認識エンジン「AI-OCR」などのDXソリューションも展開し、企業の業務効率化を支援しています。主な顧客は自動車メーカーや部品メーカーです。
収益は主に、顧客製品へのソフトウェア実装やカスタマイズに対する「受託開発収入」と、製品の量産や利用開始後に発生する数量・使用量に応じた「ライセンス収入」から成り立っています。運営は主に同社が行っていますが、中国における研究開発等は連結子会社の北京飞澈科技有限公司が担っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は拡大傾向にあり、第20期には約5.0億円に達しました。一方、利益面では、先行投資や為替の影響、減損損失の計上などにより赤字計上が続いており、収益化に向けたフェーズにあると言えます。
| 項目 | 2021年6月期 | 2022年6月期 | 2023年6月期 | 2024年6月期 | 2025年6月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 2.6億円 | 3.8億円 | 3.9億円 | 4.9億円 | 5.0億円 |
| 経常利益 | -0.6億円 | 0.3億円 | -0.3億円 | -0.0億円 | -0.1億円 |
| 利益率(%) | -24.0% | 7.0% | -6.5% | -0.6% | -2.2% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -0.6億円 | 0.3億円 | -0.3億円 | -0.1億円 | -0.4億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間では売上高は微増しましたが、売上原価の増加により売上総利益は減少しました。販管費は抑制傾向にあるものの、営業損失は拡大しています。
| 項目 | 2024年6月期 | 2025年6月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 4.9億円 | 5.0億円 |
| 売上総利益 | 3.3億円 | 3.2億円 |
| 売上総利益率(%) | 67.0% | 63.8% |
| 営業利益 | -0.0億円 | -0.1億円 |
| 営業利益率(%) | -0.7% | -1.9% |
販売費及び一般管理費のうち、研究開発費が1.2億円(構成比38%)、役員報酬が0.5億円(同16%)を占めています。同社は研究開発への投資を重視していることが伺えます。
■(3) セグメント収益
同社は単一セグメントですが、受託開発収入が増加した一方、ライセンス収入が減少しました。全体としては微増収となっています。
| 区分 | 売上(2024年6月期) | 売上(2025年6月期) |
|---|---|---|
| 画像認識ソフトウェア開発事業 | 4.9億円 | 5.0億円 |
| 連結(合計) | 4.9億円 | 5.0億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社は、大手自動車メーカーとの共同開発案件の開始により受託開発収入が増加した一方、ライセンス収入はボリュームディスカウントの適用により減少しました。営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純損失を計上したものの、減損損失の計上や売上債権及び契約資産の減少などにより増加しました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出がありました。財務活動によるキャッシュ・フローの増減はありませんでした。
| 項目 | 2024年6月期 | 2025年6月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -0.2億円 | 0.2億円 |
| 投資CF | -0.1億円 | -0.1億円 |
| 財務CF | 1.9億円 | 0.0億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「Make Things Intelligent」をミッションに掲げ、「あらゆるモノのインテリジェント化を目指し、スマート社会の安全や快適、効率に貢献する」という経営理念のもと、実用性に優れ、かつ高性能なソフトウェアを提供することを通じて、企業価値の最大化を図るとしています。
■(2) 企業文化
同社グループは、「社会に対する行動」および「誠実・健全な企業活動」を行動規範として定めています。これらを経営の基本理念として事業展開を行い、コンプライアンスの遵守やリスク管理の徹底を図りながら、社会からの信頼獲得を目指す企業文化を醸成しています。
■(3) 経営計画・目標
同社グループは、売上高、営業利益およびROE(株主資本利益率)を重要な経営指標と位置づけ、持続的な事業拡大と企業価値の向上を図る方針です。具体的な数値目標として、2026年6月期の売上高5.4億円、営業利益0.2億円を予想しています。
* 2026年6月期 売上高:540,894千円
* 2026年6月期 営業利益:17,421千円
■(4) 成長戦略と重点施策
今後の成長に向けて、開発体制、営業体制、内部管理体制の強化を重点施策としています。特に、主力事業のMobility Solutionsに加え、DX-AI Solutionsの拡大を成長の柱とし、生成AIや大規模言語モデル(LLM)の活用を推進します。また、モビリティ分野で培った技術の横展開やパートナー協業の拡大を通じて、持続的な売上拡大を目指しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、従業員を事業成長を支える重要な存在と捉え、性別や国籍等を問わず多様な人材が活躍できる職場環境の構築に取り組んでいます。また、従業員の意思を尊重した適材適所の配属や、業務量の可視化による長時間労働の防止などを通じて、働きがいのある環境づくりと個々の能力向上を目指しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均とほぼ同じ水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年6月期 | 34.7歳 | 3.7年 | 6,171,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は小規模な組織体制であるため、重要性も加味したうえで目標値等は定めていないとし、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 特定顧客への依存度について
同社グループの売上高は特定の主要顧客に依存しており、第20期における売上高上位3社に対する売上高比率は67.0%を占めています。主要顧客との取引関係や自動車業界の動向に変化が生じた場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 技術動向について
同社グループの事業分野であるディープラーニング等の技術革新は急速に進んでいます。技術革新が想定通りに進まない場合や、競合技術の出現等により製品の競争力を確保できない場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 特定人物への依存について
代表取締役社長CEO兼CTOの曹暉氏は、経営戦略や開発戦略において専門的な知識と重要な役割を担っています。組織体制の強化を進めていますが、同氏が退任した場合には、事業や業績に影響を及ぼす可能性があります。



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