ココルポート 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ココルポート 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証グロース市場に上場し、障害者向けの就労移行支援や自立訓練などの指定障害福祉サービス事業を展開しています。直近の業績は売上高64億円(前期比10.9%増)、経常利益8.0億円(同11.0%増)と増収増益で推移しており、事業所数の拡大に伴い成長を続けています。


※本記事は、株式会社ココルポート の有価証券報告書(第14期、自 2024年7月1日 至 2025年6月30日、2025年9月19日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ココルポートってどんな会社?


障害のある方の就労や自立を支援する「指定障害福祉サービス」を首都圏中心に展開する企業です。

(1) 会社概要


2012年1月に設立し、同年4月に神奈川県川崎市に最初の就労移行支援事業所を開設しました。その後、首都圏を中心に拠点を拡大し、2018年には就労定着支援サービス、2020年には自立訓練(生活訓練)サービスを開始しました。2023年3月に東京証券取引所グロース市場へ上場を果たし、2024年4月にはリワーク専門の自立訓練サービスを開始するなど、多角的な支援体制を構築しています。

同社の単体従業員数は791名です。筆頭株主は株式会社A&Cコーポレーション、第2位は株式会社KRACであり、いずれも法人株主となっています。第3位も法人株主の株式会社アレジアンスが名を連ねており、上位株主は安定的な保有を行っている構造が見受けられます。

氏名 持株比率
株式会社A&Cコーポレーション 10.36%
株式会社KRAC 8.26%
株式会社アレジアンス 6.34%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性2名、計10名で構成され、女性役員比率は20.0%です。代表取締役社長は佐原敦矢氏が務めています。社外取締役比率は42.9%です。

氏名 役職 主な経歴
佐原 敦矢 代表取締役社長 リクルート入社後、グループ各社で要職を歴任。2017年に同社入社、2018年より現職。
岩元 勝志 取締役管理本部本部長兼人事総務部部長 リクルート人材センター入社。2018年に同社入社、管理本部本部長などを経て現職。
長尾 吉祐 取締役総合支援事業本部本部長 リクルート入社後、ジョブダイレクト社長などを歴任。2018年に同社入社、2025年より現職。
金光 雅志 取締役総合支援事業本部就労移行支援4部部長兼カレッジ推進部2部部長兼リワーク推進部部長 関西リクルート人材センター入社。リクルートキャリア部長等を経て2024年同社入社。2025年より現職。
高橋 龍徳 取締役 監査法人トーマツ出身。日比谷総合会計事務所代表パートナー。2020年より現職。


社外取締役は、高橋龍徳(公認会計士・税理士)、香月壯一(元ぐるなび常務取締役)、清水恒美(元電通そらり社長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「指定障害福祉サービス事業」の単一セグメントですが、サービス内容により「就労移行支援・就労定着支援・指定計画相談支援サービス」「自立訓練(生活訓練)サービス」および「その他」事業を展開しています。

就労移行支援・就労定着支援・指定計画相談支援サービス


障害のある方に対し、就労に向けたトレーニングや就職後の職場定着支援を提供しています。利用者の障害種別や個性に合わせた個別支援を行い、一般企業への就職をサポートします。また、計画相談支援として福祉サービス利用の計画作成も行っています。

収益源は、サービスの対価として行政(国民健康保険団体連合会)および利用者から受領する訓練等給付費が主となります。運営は主にココルポートが行っています。

自立訓練(生活訓練)サービス


障害のある方が自立した日常生活や社会生活を送れるよう、生活能力の維持・向上のための訓練や助言を行います。社会的な自立を目指す「Cocorport College」や、休職者の復職を支援するリワーク専門の「Cocorport Rework」を展開しています。

収益源は、就労移行支援と同様に、行政および利用者から受領する自立訓練給付費等です。運営はココルポートが行っています。

その他


上記報告セグメントに含まれない事業として、その他のサービスを展開しています。

収益源は当該サービスに関連する収入ですが、事業規模としては限定的です。運営はココルポートが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高、利益ともに順調な拡大傾向にあります。事業所数の増加に伴い売上高が伸長し、それに伴って利益額も増加しており、高い利益率を維持しながら成長を続けています。

項目 2021年6月期 2022年6月期 2023年6月期 2024年6月期 2025年6月期
売上収益(または売上高) 33億円 42億円 51億円 58億円 64億円
税引前利益 / 経常利益 / 営業利益 2.7億円 3.7億円 6.0億円 7.2億円 8.0億円
利益率(%) 8.2% 8.9% 11.7% 12.5% 12.5%
当期利益(親会社所有者帰属) 2.0億円 2.6億円 4.5億円 5.3億円 5.6億円

(2) 損益計算書


売上高の増加に対し、売上総利益も増加基調にあります。営業利益率も改善傾向にあり、効率的な事業運営が進んでいることが窺えます。

項目 2024年6月期 2025年6月期
売上高 58億円 64億円
売上総利益 17億円 18億円
売上総利益率(%) 29.2% 28.3%
営業利益 7.0億円 7.7億円
営業利益率(%) 12.2% 12.1%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が3.2億円(構成比31%)、広告宣伝費が1.5億円(同15%)を占めています。また、売上原価においては労務費が32億円(売上原価の69%)と最も大きな割合を占めており、労働集約的な事業特性を示しています。

(3) セグメント収益


主力の就労移行支援等は堅調に推移し、自立訓練サービスも大きく伸長しています。全体として増収基調を維持しています。

区分 売上(2024年6月期) 売上(2025年6月期)
就労移行支援・就労定着支援・指定計画相談支援サービス 49億円 52億円
自立訓練(生活訓練)サービス 9.0億円 12億円
その他 0.0億円 0.0億円
連結(合計) 58億円 64億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

ココルポートは、事業運営に必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としています。

営業活動によるキャッシュ・フローは、事業拡大に伴う売上高の増加により、堅調に推移しています。投資活動によるキャッシュ・フローは、主に設備投資等に充当されています。財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入の活用等により、安定的な資金調達を行っています。

項目 2024年6月期 2025年6月期
営業CF 5.6億円 6.0億円
投資CF -1.0億円 -1.6億円
財務CF -0.2億円 0.1億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は、「私たちは一人ひとりの可能性を信じ、自分らしさと笑顔あふれる社会を共創します。」という理念を掲げています。障害のある方々が生き生きと働き続けられるように、一人ひとりに適した支援(個別支援)を提供することを経営の基本方針としています。

(2) 企業文化


理念を実現するための行動指針として「Cocorport11(ココルポートイレブン)」を定めています。また、人事ポリシーとして「CocorportHR7」を掲げ、「開かれた制度」「公平な取り扱い」「多様性に応える」などの7つの項目に基づき、人材育成や社内環境の整備を推進しています。

(3) 経営計画・目標


持続的な成長と企業価値向上のため、売上高および経常利益を重要な経営指標と位置付けています。これらを達成するための非財務指標として、事業所数、利用者数、就職者数、定着者数を重視し、それぞれの課題に取り組んでいます。

(4) 成長戦略と重点施策


今後は、ドミナント展開による経営資源の効率化と、非就労フェーズの障害者も含めた幅広い受け入れによるターゲットの差別化を推進します。特に、「Cocorport College」の卒業生が就労移行支援事業所へ通所するシナジー効果や、リワーク専門サービス「Cocorport Rework」の拡大による復職支援ニーズへの対応を強化していく方針です。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


高品質なサービス提供のため、人材の「採用と育成」に経営資源を重点的に配分しています。理念に共感し、行動指針を体現できる人材を採用するとともに、研修制度の充実や人事ポリシーに基づく公平な評価制度、働きやすい社内環境の整備を推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年6月期 36.1歳 3.4年 4,080,000円


※平均年間給与は、各種インセンティブ及び基準外賃金を含んでおります。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 52.6%
男性育児休業取得率 90.0%
男女賃金差異(全労働者) 90.3%
男女賃金差異(正規雇用) 90.0%
男女賃金差異(非正規) 98.5%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 法的規制等について


同社事業は障害者総合支援法等の適用を受け、報酬額も公的に定められています。法改正や報酬改定により事業環境が変化する可能性があります。また、事業所ごとに指定を受けて運営しており、法令違反等により指定取消しや営業停止となった場合、業績に重大な影響を与える可能性があります。

(2) 競合について


指定障害福祉サービス業界では、サービス提供エリアにおける競争環境が激化する兆しがあります。同社は独自のノウハウやドミナント展開で優位性を確保していますが、競合他社の事業拡大や新規参入等により優位性が損なわれた場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 特定サービスへの依存について


同社の主力サービスは就労移行支援サービスであり、売上高の多くを占めています。新規事業の自立訓練サービスの拡大を進め構成比の分散を図っていますが、主力サービスの事業所に指定取消しや営業停止が発生した場合、業績に大きな影響を与える可能性があります。

(4) 個人情報保護について


利用者等の個人情報を多数保有しているため、情報管理を重要課題としています。プライバシーマークの取得やセキュリティ対策を行っていますが、万が一情報漏洩が発生した場合、社会的信用の失墜により業績に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。