※本記事は、株式会社ジィ・シィ企画 の有価証券報告書(第30期、自 2024年7月1日 至 2025年6月30日、2025年9月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ジィ・シィ企画ってどんな会社?
クレジットカード等のキャッシュレス決済システムを開発し、ASPサービスや端末とともに提供する企業です。
■(1) 会社概要
1995年に千葉県佐倉市で設立され、1999年にカード決済システムパッケージの販売を開始しました。2002年には決済ASPサービスの提供を始め、ストックビジネスを展開しています。2021年に東京証券取引所マザーズ(現グロース)へ上場を果たしました。直近では2024年に株式会社トランザクション・メディア・ネットワークスと資本業務提携契約を締結し、関係を強化しています。
従業員数は単体で117名です(連結子会社なし)。筆頭株主は資本業務提携先であり決済サービス等を展開するトランザクション・メディア・ネットワークスで、第2位は株式会社コミューン、第3位は株式会社アイネットです。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| トランザクション・メディア・ネットワークス | 20.26% |
| コミューン | 16.33% |
| アイネット | 6.38% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性10名、女性1名の計11名で構成され、女性役員比率は9.0%です。代表取締役社長は髙木洋介氏が務めています。社外取締役比率は42.9%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 金子 哲司 | 取締役会長 | 1974年堀切バネ製作所入社。セイコーシステムを経て1995年に同社(当時は有限会社)を設立し社長就任。2019年より現職。 |
| 髙木 洋介 | 代表取締役社長 | 2000年同社入社。システムソリューション営業部長、ペイメントビジネス本部長などを歴任。2024年9月社長就任。2025年7月よりペイメントソリューション本部長を兼務。 |
| 丸山 英幸 | 代表取締役副社長経営管理本部長 | 1999年ハッシュシステム設立社長。2003年同社入社。営業部副部長、カスタマーサービス部長、経営企画部長等を経て2024年9月より現職。パーパスブランディング部長兼務。 |
| 金澤 憲一 | 取締役ペイメントビジネス本部長 | 都築ソフトウェア、富士ソフトを経て2018年同社入社。インテグレーション本部長などを経て2024年7月より現職。 |
社外取締役は、西田光志(元TIS代表取締役)、日下部進(元QUADRAC社長)、大高敦(トランザクション・メディア・ネットワークス社長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「ペイメントインテグレーション事業」および「ペイメントサービス事業」を展開しています。
■(1) ペイメントインテグレーション事業
カード会社加盟店向けに決済処理システムを提供する事業です。基本機能として決済パッケージソフトウェア「CARD CREWシリーズ」をライセンス提供するほか、顧客の要望に応じたカスタマイズ開発や、対面販売に必要な決済端末の販売を行っています。
収益は、パッケージのライセンス販売、システム開発受託、決済端末の販売などから得ており、需要により売上が変動するフロー収益モデルです。運営はジィ・シィ企画が行っています。
■(2) ペイメントサービス事業
クラウド型の決済ASPサービスや保守運用サービスを提供する事業です。同社のデータセンターを利用し、決済処理に必要なソフトウェア、回線、サーバー、保守・運用までをワンストップで提供します。また、マルチ決済端末のサブスクリプションサービスも展開しています。
収益は、決済ASPサービスの月額利用料、保守運用サービスの月額費用、サブスクリプションサービスの利用料など、継続的に発生するストック収益が中心です。運営はジィ・シィ企画が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は増加傾向にありますが、利益面では変動が見られます。特に直近の第30期は、売上高が過去最高水準に達した一方で、経常損益および当期純損益は赤字となりました。利益率はマイナス圏で推移しています。
| 項目 | 2021年6月期 | 2022年6月期 | 2023年6月期 | 2024年6月期 | 2025年6月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 21億円 | 16億円 | 15億円 | 17億円 | 18億円 |
| 経常利益 | 2億円 | -0.8億円 | -3億円 | 0.4億円 | -1億円 |
| 利益率(%) | 9.2% | -5.2% | -19.2% | 2.6% | -6.3% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 1億円 | -0.9億円 | -8億円 | 0.7億円 | -1億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は増加しましたが、売上原価の増加率がそれを上回ったため、売上総利益は減少しました。また、販売費及び一般管理費も増加しており、営業損益は赤字に転落しました。
| 項目 | 2024年6月期 | 2025年6月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 17億円 | 18億円 |
| 売上総利益 | 7億円 | 6億円 |
| 売上総利益率(%) | 37.6% | 31.6% |
| 営業利益 | 0.6億円 | -0.8億円 |
| 営業利益率(%) | 3.4% | -4.3% |
販売費及び一般管理費のうち、給与手当が1.8億円(構成比27%)、役員報酬が1.1億円(同17%)を占めています。また、研究開発費が前期の0.2億円から0.7億円へと大幅に増加しました。
■(3) セグメント収益
ペイメントインテグレーション事業は減収となり、商品評価損の計上や研究開発投資により損失を計上しました。一方、ペイメントサービス事業はストック収益が堅調で増収となりましたが、サブスクリプション関連の原価計上等により利益は減少しました。
| 区分 | 売上(2024年6月期) | 売上(2025年6月期) | 利益(2024年6月期) | 利益(2025年6月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| ペイメントインテグレーション事業 | 8億円 | 7億円 | 0.8億円 | -0.6億円 | -8.3% |
| ペイメントサービス事業 | 10億円 | 11億円 | 0.6億円 | 0.4億円 | 3.7% |
| 調整額 | - | - | -0.8億円 | -0.6億円 | - |
| 連結(合計) | 17億円 | 18億円 | 0.6億円 | -0.8億円 | -4.3% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
ジィ・シィ企画は、長期借入れによる資金調達を積極的に行い、財務基盤の強化を図っています。
営業活動では、大型案件の増加に伴う売上債権の増加や、決済端末部分のリース投資資産計上が影響し、資金が流出しました。投資活動では、サーバー機器の購入や自社利用ソフトウェアの開発を中心に、設備投資や無形資産の取得により資金が支出されました。財務活動では、長期借入れにより多額の資金を獲得し、借入金の返済や手数料の支払いを行いました。これらの活動の結果、当事業年度末の資金は増加しました。
| 項目 | 2024年6月期 | 2025年6月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 0.6億円 | -2億円 |
| 投資CF | -2億円 | -2億円 |
| 財務CF | 1億円 | 5億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は、「社会に貢献する企業として、高品質の商品とサービスの提供により、顧客満足度を高め、社員一人一人が高いモラルを維持し、社会にとってなくてはならない会社となる。」を経営理念として掲げています。先進的で創造性溢れる技術に挑戦し、成長・発展する企業を目指しています。
■(2) 企業文化
同社は、高品質なサービスの企画・開発力が競争力の源泉であると認識しており、社員一人一人が高いモラルを維持することを重視しています。また、先進的で創造性溢れる技術への挑戦を掲げ、変化する決済環境に柔軟に対応できる体制構築を目指しています。
■(3) 経営計画・目標
同社は持続的な成長と企業価値向上を図るため、以下の指標を重視しています。
* 売上高
* 売上高営業利益率
* ペイメントサービス事業売上の成長率
また、ペイメントサービス事業の継続的成長のため、エンドユーザーの契約数および月額平均単価も重視しています。
■(4) 成長戦略と重点施策
利用者の導入が容易で低コストなクラウド型決済ASPサービスの拡充に努め、ストックビジネスであるペイメントサービス事業の売上を伸長させる戦略です。また、国際ブランド決済ネットワーク接続資格の活用や、マルチ決済端末のサブスクリプションサービスの展開により、収益基盤の強化を図ります。
* ペイメントインテグレーション事業:コンタクトレス決済など多様化する決済手段への対応や、独自標準決済端末の開発・展開を進めます。
* ペイメントサービス事業:国際ブランド接続によるトランザクションフィービジネス化、決済手段拡張、サブスクリプションサービスの小規模店への展開などを推進します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
高品質なサービスの企画・開発力を競争力の源泉と捉え、優秀な人材の獲得と育成を重視しています。積極的な採用活動に加え、従業員が働きやすい環境整備、人事制度の構築、人材育成のための研修などを実施し、組織体制の強化を図る方針です。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年6月期 | 42.3歳 | 8.4年 | 5,335,000円 |
※平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 25.0% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 58.0% |
| 男女賃金差異(正規) | 80.7% |
| 男女賃金差異(非正規) | 35.5% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 価格競争について
顧客からの価格低減圧力は依然として強く、競争激化の傾向は当面続くと見込まれています。同社は付加価値の高いサービスの提供や、国際ブランド接続によるコスト低減などで対応していますが、競合との価格競争により、業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 市場環境について
情報サービス産業は景気動向の影響を受けやすく、経済情勢の悪化等により顧客のIT投資が減少した場合、同社の事業活動や業績に影響が出る可能性があります。また、一部製品の輸入等を外貨建てで行っているため、為替相場の変動により原価率が上昇するリスクもあります。
■(3) 売上高の計上時期について
ペイメントインテグレーション事業では、大型開発案件などで顧客の方針変更や仕様変更により納入時期がずれ込む場合があります。これにより売上計上のタイミングが翌期になり、計画通りに売上を計上できず、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(4) 情報セキュリティに関するリスク
クレジットカード情報を取り扱うため、国際規格の認証取得や対策強化を行っていますが、万一情報の紛失や漏洩が発生した場合、社会的信用の低下や損害賠償等により、経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、PCI DSSの資格更新ができない場合も事業に影響が出る恐れがあります。



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