※本記事は、ジャパンクラフトホールディングス株式会社 の有価証券報告書(第4期、自 2024年7月1日 至 2025年6月30日、2025年9月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ジャパンクラフトホールディングスってどんな会社?
手芸専門店の運営や手芸関連書籍の出版、教室運営などを展開する企業グループの持株会社です。
■(1) 会社概要
同グループの中核である藤久は1961年に設立され、1983年に「手芸センタートーカイ」1号店を開店しました。その後、2022年1月に単独株式移転により持株会社である同社が設立され、東京証券取引所等に上場しました。同年7月には日本ヴォーグ社およびヴォーグ学園を完全子会社化し、手芸小売だけでなく出版・教育事業も包含する体制へと移行しています。
現在の従業員数は連結で247名です。大株主の状況を見ると、筆頭株主は同社と業務資本提携を行う投資業の合同会社であり、第2位は資産管理会社と推察される法人、第3位は個人株主となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 合同会社ルビィ | 33.37% |
| GOTO 株式会社 | 9.04% |
| 後 藤 薫 徳 | 8.70% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性4名、女性1名の計5名で構成され、女性役員比率は20.0%です。代表取締役社長は堀孝子氏が務めています。社外取締役比率は40.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 堀 孝子 | 代表取締役社長 | 東京銀行(現三菱UFJ銀行)入行後、ホテルニュー王子社長や夢展望社長などを歴任。2024年6月より現職。 |
| 後藤 邦仁 | 取締役 | セイコーエプソンを経て藤久に入社。同社社長室長、取締役を経て2022年1月より現職。藤久執行役員を兼任。 |
| 永安 吉太郎 | 取締役(常勤監査等委員) | 1990年藤久入社。店舗運営部長補、経営企画室長、取締役等を経て2022年9月より現職。 |
社外取締役は、西江章(元関東信越国税局長)、福海照久(税理士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「小売事業」「出版・教育事業」を展開しています。
■(1) 小売事業
手芸専門店「クラフトハートトーカイ」を中心とした店舗網を展開し、手芸用品や生活雑貨等の販売を行っています。また、ECモールサイトでの販売も手がけています。
店舗での商品販売や会員制度に係る年会費などが主な収益源です。運営は主に子会社の藤久が行っています。
■(2) 出版・教育事業
手芸に関連する書籍の出版を行うほか、店舗やカルチャースクール、オンライン等でハンドメイドに関する教室事業を展開しています。
書籍の販売代金や、スクールの受講料などが主な収益源です。出版事業は日本ヴォーグ社が、教育事業はヴォーグ学園がそれぞれ運営を行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
2022年6月期から2025年6月期までの業績推移を見ると、売上高は減少傾向にあります。利益面では、経常損失が続いていましたが、直近の2025年6月期において経常利益が黒字化しました。当期純損失も赤字幅が縮小しています。
| 項目 | 2022年6月期 | 2023年6月期 | 2024年6月期 | 2025年6月期 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 157億円 | 170億円 | 154億円 | 140億円 |
| 経常利益 | -22億円 | -21億円 | -17億円 | 0.0億円 |
| 利益率(%) | -13.7% | -12.6% | -10.8% | 0.0% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -27億円 | -33億円 | -21億円 | -3億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間の業績を比較すると、売上高は減少しましたが、売上総利益率は向上しています。販売費及び一般管理費の大幅な削減により、営業損益は前期の赤字から当期は黒字へと転換しました。
| 項目 | 2024年6月期 | 2025年6月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 154億円 | 140億円 |
| 売上総利益 | 83億円 | 81億円 |
| 売上総利益率(%) | 54.0% | 57.4% |
| 営業利益 | -16億円 | 0.7億円 |
| 営業利益率(%) | -10.3% | 0.5% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び賞与が25億円(構成比31%)、地代家賃が16億円(同21%)を占めています。売上原価においては商品仕入が主要な構成要素です。
■(3) セグメント収益
小売事業は不採算店舗の閉鎖等により減収となりましたが、営業損益は黒字化しました。出版・教育事業は微減収となり、営業利益は確保しています。
| 区分 | 売上(2024年6月期) | 売上(2025年6月期) | 利益(2024年6月期) | 利益(2025年6月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 小売事業 | 122億円 | 109億円 | -12億円 | 3億円 | 2.9% |
| 出版・教育事業 | 32億円 | 31億円 | -0.7億円 | 0.5億円 | 1.5% |
| 連結(合計) | 154億円 | 140億円 | -16億円 | 0.7億円 | 0.5% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
ジャパンクラフトホールディングスは、資本構成の変更により欠損填補を実施しました。
営業活動では、仕入債務や未払金の減少等により資金を使用しました。投資活動では、有形・無形固定資産の取得により資金を使用しました。財務活動では、長期借入れや株式発行による収入がありましたが、長期借入金の返済等もありました。
| 項目 | 2024年6月期 | 2025年6月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -15億円 | -5.0億円 |
| 投資CF | -0.6億円 | -2.3億円 |
| 財務CF | 14億円 | 11億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「『手づくり』を通して豊かな心を育み幸せを紡ぐ企業グループへ」を経営理念として掲げています。「ハンドメイド」の企画・販売を通じて、日々の生活における「やすらぎ」や「ゆとり」、そして「手芸の喜びと感動」を顧客に提供し、心豊かな暮らしの実現を提案する感動創造企業として社会貢献を目指しています。
■(2) 企業文化
同社グループは、社会構造がデジタル化する中で、人が求める「心癒されるもの」や「自己実現」に応えることを重視しています。人の価値観が「モノからコトへ、コトからココロへ」と変化する中で、顧客と地域社会に貢献するための努力を重ねる姿勢を大切にしています。また、サステナビリティ基本方針において、多様な価値観の尊重や働き甲斐のある職場の実現を掲げています。
■(3) 経営計画・目標
同社グループは、2028年6月期を最終年度とする中期経営計画を策定し、継続的に利益を出せる企業体質の確立を目指しています。
* 2026年6月期:売上高145億98百万円、営業利益3億34百万円
* 2027年6月期:売上高155億円、営業利益6億80百万円
* 2028年6月期:売上高166億40百万円、営業利益11億20百万円
■(4) 成長戦略と重点施策
今後の成長に向けて、店舗網の再編やEC強化、商品戦略による事業力の強化、およびM&A・アライアンスの推進によるサービス拡充を掲げています。また、人材強化や財務戦略、DX推進を通じて経営体質を強化し、持続的な事業価値向上を図る方針です。特にBtoB事業の拡大や、IPコンテンツを活用した商品開発などに注力しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社グループは、性別・国籍・年齢等を問わず多様な人材の採用・登用を推進しています。自ら考え主体的に行動できる人材の育成を目指し、専門分野での適性を活かせる環境整備やスキルの向上を促進しています。また、地域限定社員制度や高齢者雇用制度などを設け、柔軟な働き方の実現にも取り組んでいます。
■(2) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 17.0% |
| 男性育児休業取得率 | - |
| 男女賃金差異(全労働者) | 48.1% |
| 男女賃金差異(正規) | 63.7% |
| 男女賃金差異(非正規) | 86.9% |
※男性育児休業取得率については、該当者がいなかった等の理由によりデータがありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 自社企画商品に関するリスク
同社グループは独自性強化のため自社企画・開発に注力していますが、これらの企画・開発の進捗状況や販売状況によっては、業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 出版市場の動向に関するリスク
手芸関連書籍の出版を行っていますが、出版市場では紙媒体の販売減少や書店の閉店が続いています。また、原材料費の高騰などの市況変化もあり、これらが急激に変動した場合、グループの業績に悪影響を与える可能性があります。
■(3) 店舗展開と賃借物件への依存
手芸専門店をチェーン展開していますが、出店ニーズに合う物件確保の可否や不採算店舗の状況により業績が左右される可能性があります。また、店舗の大半は賃借物件であり、貸主の都合による退店や、差入保証金の回収不能リスクも存在します。



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