※本記事は、株式会社JDSC の有価証券報告書(2025年6月期、2024年7月1日 ~ 2025年6月30日、2025年9月24日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
JDSCは「UPGRADE JAPAN」をミッションに掲げ、AIでデータの真価を解き放ち産業の常識を塗り替えることを目指しています。データサイエンスや機械学習、AIといった最先端技術を社会に実装し、個社課題の改善だけでなく産業全体の改革やSDGs達成に貢献しています。
単体従業員数は124名、連結従業員数は163名です。セグメントはAIソリューション事業、フィナンシャル・アドバイザリー事業、マーケティング支援事業の3つです。
主な国内グループ会社は、(連結子会社)メールカスタマーセンターなどです。
前連結会計年度の第2四半期にメールカスタマーセンターを連結子会社化したことにより、同社グループの売上高は大きく増加しました。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
JDSCは、データサイエンスとAI技術を社会に実装することを目指す企業です。専門性の高い分野で事業を展開しており、従業員の育成や働きやすい環境づくりにも力を入れています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、平均勤続年数が短めであり、平均年齢も比較的若い傾向が見られます。これは、新しい技術分野で事業を展開する企業によく見られる特徴であり、活発な人材の流動性や成長意欲の高い人材が集まっている可能性を示唆しています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 9,606,000円 |
| 平均勤続年数 | 1.6年 |
| 平均年齢 | 36.3歳 |
| 単体従業員数 | 124人 |
| 連結従業員数 | 163人 |
| 単体のグループ内比率 | 76.1% |
退職給付制度は確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)を採用しています。この制度は、同社の連結子会社であるメールカスタマーセンター株式会社に適用されており、退職金規程に基づく退職一時金制度があります。ただし支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは「UPGRADE JAPAN」をミッションに掲げ、「AIでデータの真価を解き放ち産業の常識を塗り替える」というヴィジョンを実現するため、データサイエンスや機械学習、AIといった最先端技術の社会実装を目指しています。この実現には、技術面とビジネス面双方に優れた人材の確保と育成が重要な課題であると認識しています。
人材育成においては、インターンや社員紹介制度の促進、優秀な人材が報われる給与制度、資格取得や学術支援制度の充実を図っています。また、性別、国籍、年齢等の属性に制限を設けず、多様な人材の確保と育成を進める方針です。社内環境整備としては、エンゲージメント調査を通じて魅力的な職場環境を目指し、従業員の定着を促進しています。書籍購入制度やセミナー・講座受講、資格取得といった自己研鑽活動費用の会社負担制度も設け、従業員の成長意欲に応える環境づくりに努めています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社及び連結子会社は、女性活躍推進法および育児介護休業法の規定による公表義務の対象ではないため、法定開示データは記載を省略しています。
任意開示
同社グループでは、小規模な組織体制であるため、管理職の構成割合や人数の目標値等は定めていません。ただし、ミッション実現と事業成長加速のためには多様な意見を反映することが重要であるとの認識のもと、女性や中途採用者の管理職への登用を推進しています。2023年7月には女性執行役員が1名選任されており、今後も能力と実績に基づき積極的に登用を進める方針です。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
JDSCは、AIとデータサイエンスの技術を社会に実装し、産業全体の変革を目指す企業です。同社グループは、AIソリューション、フィナンシャル・アドバイザリー、マーケティング支援の3つの事業を展開しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
JDSCグループは、「UPGRADE JAPAN」をミッションに掲げ、AIとデータサイエンスの最先端技術を社会に実装することで産業の常識を塗り替えることを目指しています。個社課題の解決に留まらず、産業共通課題の解決やSDGs達成に貢献するIX(Industrial Transformation)を推進しています。
同社グループの収益モデルは、共同研究開発や初期導入フェーズでの準委任型役務提供による非継続的な収益と、AIソリューション導入後の運用保守料、サービス利用料、ライセンス利用料、コンソーシアム会費等による継続的な収益の両方から構成されています。外部顧客への売上高の90%以上が日本国内であり、特定の外部顧客への売上高が連結売上高の10%未満であるため、地域や顧客への収益集中は見られません。
AIソリューション事業
各産業の大手企業に対し、データサイエンス、機械学習、AI技術を提供し、社会実装を目指す事業です。共同研究開発を通じて産業共通課題を解決するAI関連サービスやソリューションを創出し、自社プロダクトとして幅広く提供しています。
収益は、共同研究開発や初期導入フェーズでの役務提供、および導入後の運用保守料やライセンス利用料などから得ています。前期から売上高が大きく増加しています。
フィナンシャル・アドバイザリー事業
企業買収や資金調達などのファイナンス領域の知見を活用し、大手企業やスタートアップを支援することで社会変革をもたらすことを目指す事業です。
収益は、ファイナンス戦略アドバイザリーやスタートアップの資金調達助言などの案件執行から得ています。前期から売上高が大きく増加しています。
マーケティング支援事業
ダイレクトメールの企画、制作、発送代行などのマーケティングサービスを提供し、DX推進やAI活用により高付加価値化を推進することで顧客企業のダイレクトマーケティング課題解決を目指す事業です。
収益は、紙のダイレクトメール発送代行業務や、クロスセルによる新規案件の受注から得ています。前期から売上高が大きく増加しており、同社グループの売上高の大部分を占める主要な事業となっています。
| セグメント | 売上高(2024年6月期) | 売上高(2025年6月期) |
|---|---|---|
| マーケティング支援事業 | 144億円 | 199億円 |
| AIソリューション事業 | 19.0億円 | 28.3億円 |
| フィナンシャル・アドバイザリー事業 | 1.6億円 | 3.5億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの売上高は、直近3期で大きく成長する傾向にあります。特に当連結会計年度は、前連結会計年度と比較して大幅な増収となりました。利益面では、前連結会計年度に経常損失および親会社株主に帰属する当期純損失を計上しましたが、当連結会計年度では経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益ともに黒字に転換し、大きく改善しています。これは、AIソリューション事業の拡大や連結子会社の通年寄与によるものです。
| 項目 | 2021年6月期 | 2022年6月期 | 2023年6月期 | 2024年6月期 | 2025年6月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | - | - | 19.4億円 | 165億円 | 231億円 |
| 経常利益 | - | - | 24百万円 | △12百万円 | 5.2億円 |
| 経常利益率 | - | - | 1.3% | △0.1% | 2.3% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | - | - | 1百万円 | △2.8億円 | 3.5億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | - | - | 0.09 | △21.03 | 25.34 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高は、当連結会計年度に前期から増加しています。また、従業員1人あたり営業利益も前期から大幅に増加しており、生産性が大きく向上している傾向が見られます。これは、売上高の増加が従業員数の増加を上回るペースで進んだことや、利益率の改善が影響していると考えられます。これらの指標の改善は、同社グループの事業運営の効率化が進んでいることを示しています。
| 指標 | 2024年6月期(前期) | 2025年6月期(当期) |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 132.7百万円 | 141.4百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 0.4百万円 | 3.6百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
JDSCグループは、積極的な事業拡大と成長投資を進める中で、財務基盤の強化にも取り組んでいます。本業で得た資金を将来の成長に再投資するフェーズにあることがうかがえます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
JDSCグループの純資産は前期から増加し、自己資本比率も向上しています。これは財務基盤が着実に強化されていることを示しています。プライム市場の非製造業平均と比較しても、自己資本比率は高い水準にあります。
また、手元資金である現金及び預金も前期から増加しており、事業運営における資金の安定性が確保されている状況です。これらの財務状況は、入社後の雇用や給与の安定性にもつながる要素であると言えます。
| 指標 | 2024年6月期(前期) | 2025年6月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 33.6億円 | 39.0億円 |
| 自己資本比率 | 43.3% | 47.4% |
| ROE(自己資本利益率) | - | 9.8% |
| 現金及び預金 | 23.0億円 | 27.8億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益の計上と売上債権の減少により、前期の支出から獲得へと大きく増加しました。これは本業で安定的に資金を生み出せるようになったことを示しています。
投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の取得による支出があったものの、前期に比べて支出が大幅に減少しました。財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出が主な要因となり、前期の収入から支出へと転じています。結果として、事業活動と投資活動を合わせたフリーキャッシュ・フローは前期のマイナスからプラスに転換しており、本業で得た資金で投資を賄い、余剰資金を生み出せる体制へと移行していることがうかがえます。
| 項目 | 2024年6月期(前期) | 2025年6月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | △7.1億円 | 8.9億円 |
| 投資CF | △17.5億円 | △1.1億円 |
| 財務CF | 16.2億円 | △3.0億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △24.7億円 | 7.8億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、AIソリューション市場の急速な鈍化や、競争優位性が発揮されない場合に成長ペースが市場拡大と相関しない可能性があると認識しています。また、特定の取引先に対する売上比率が上位3社で全体の28.8%を占めており、取引内容に変更が生じた場合には事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、持続的な高成長を続けるために優秀な人材の確保・育成が必要不可欠であると認識しています。求める水準に合致する人材の確保及び育成が計画どおりに進まない場合、事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
JDSCは、データサイエンスとAIの最先端技術を社会に実装し、日本の産業を革新することを目指しています。多様なステークホルダーからの信頼を基盤に、持続的な成長と新たな価値創造を追求する企業文化が特徴です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは「UPGRADE JAPAN」をミッションに掲げ、「AIでデータの真価を解き放ち産業の常識を塗り替える」というヴィジョンを実現することを目指しています。データサイエンスや機械学習、AIといった最先端技術を社会に実装し、各産業のパートナー企業と共同で研究開発を進めています。産業全体に共通する課題を解決するAI関連サービスやソリューションを多数創出し、中長期的にはグローバル展開も見据えています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、新たなAIソリューション開発とプロダクトの産業横展開の双方を実現するAI企業として事業を展開しています。顧客との連携を通じた製品開発・価値提供を重視し、単一の産業や用途に制限されず、労働集約的ではないビジネスモデルを競争優位性としています。また、企業買収や資金調達といったファイナンス領域の知見もユニークな特長です。
ミッションとヴィジョン実現のため、ステークホルダーからの信頼を不可欠とし、コーポレート・ガバナンス体制の充実・強化に努めています。優れた人材の確保と育成を重視し、女性や中途採用者の管理職への登用を推進しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、優秀な人材の確保と育成を重点テーマとしています。データサイエンティストやエンジニア、コンサルタント、プロジェクトマネジャーが在籍し、ビジネス、データサイエンス、エンジニアリングの三位一体の人材体制を維持するため、横断型人材を育成する制度・施策を実施しています。
また、東京大学との連携を通じた技術力の更なる強化にも注力しています。グループ全体の内部管理体制の強化や子会社管理の強化も重要な課題であり、中長期的にはグローバル展開も見据えています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
JDSCは、株主総会、取締役会、監査役会を設置する機関設計を採用しています。取締役会は社外取締役を含む構成となっており、監査役会は全員が社外監査役で構成されています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
JDSCの筆頭株主は代表取締役である加藤聡志氏です。その他、特定金外信託受託者であるSMBC信託銀行や、個人株主が上位に名を連ねています。創業者が筆頭株主として経営を支える資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 加藤 聡志 | 29.28% |
| 特定金外信託受託者 SMBC信託銀行 | 13.01% |
| 淵 高晴 | 7.65% |
| SCSK | 3.07% |
| SBI証券 | 2.74% |
なお、発行済株式(自己株式を除く。)の総数に対する所有株式数の割合は、小数点以下第3位を四捨五入しています。
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は8名(男性8名・女性0名)で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は加藤聡志氏が務めています。社外取締役比率は40.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 加藤 聡志 | 代表取締役 | 2004年4月プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン株式会社入社。2008年9月マッキンゼー・アンド・カンパニー・インコーポレイテッド・ジャパン入社。2013年12月一般社団法人日本データサイエンス研究所設立代表理事就任。2018年7月株式会社日本データサイエンス研究所(現同社)設立、代表取締役社長就任より現職。 |
| 作井 英陽 | 取締役 | 2013年4月UBS証券株式会社入社。2015年5月メリルリンチ日本証券株式会社(現BofA証券株式会社)入社。2018年12月株式会社Azit入社。2020年3月同社入社CFO就任。2025年4月同社取締役就任より現職。 |
| 吉井 勇人 | 取締役 | 2012年6月アクセンチュア株式会社入社。2020年3月同社入社。2022年8月執行役員就任。2023年4月同社取締役就任より現職。 |
社外取締役は、出路貴規氏(スパークス・グループグループ執行役員)、田中謙司氏(東京大学大学院工学系研究科教授)です。
同社は監査役会設置会社であり、株主総会、取締役会、監査役会を設置しています。監査役会は全員が社外監査役で構成されており、独立した視点からのチェック機能が強化されています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
JDSCの役員報酬は、株主総会で決議された範囲内で、経営環境や業績、個々の職責を考慮して決定されています。報酬体系は固定報酬と業績連動報酬を基本としています。また、中長期的な企業価値向上を目指し、2023年9月以降に就任する取締役には譲渡制限付株式報酬も導入されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 4名 | 57百万円 | 14.4百万円 |
| 社外取締役 | 1名 | 6百万円 | 5.5百万円 |
| 社外監査役 | 3名 | 12百万円 | 4.0百万円 |
同社の役員報酬等の総額は74.9百万円であり、対象となる役員の合計人数は8名です。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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