ファインズ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ファインズ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証グロース上場の動画制作・配信プラットフォーム企業です。主力サービス「Videoクラウド」を通じ、中小企業のマーケティングDXを支援しています。直近の業績は売上高27億円(前期比2.7%減)、当期純利益2.3億円(前期比2.2%減)と、営業力強化等の課題により減収減益となりました。


※本記事は、株式会社ファインズ の有価証券報告書(第7期、自 2024年7月1日 至 2025年6月30日、2025年9月29日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ファインズってどんな会社?


同社は、動画配信プラットフォーム「Videoクラウド」を主軸に、中小企業のDXを推進するマーケティング支援企業です。

(1) 会社概要


2009年に前身となる企業が設立され、モバイルサイト制作などを開始しました。2015年に動画事業へ参入し、2019年にはMBO(マネジメント・バイ・アウト)の一環として現在の法人が設立され、旧法人を吸収合併しました。同年、「Videoクラウド」の提供を開始し、主力事業へと成長させました。2022年9月に東京証券取引所グロース市場へ上場を果たしています。

同社(単体)の従業員数は256名です。筆頭株主は創業者で社長の三輪幸将氏(47.34%)で、第2位は事業会社である光通信(7.58%)、第3位は証券会社のSBI証券(5.50%)となっています。

氏名 持株比率
三輪 幸将 47.34%
光通信 7.58%
株式会社SBI証券 5.50%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性0名、女性比率0.0%です。
代表取締役社長は三輪幸将氏です。
取締役6名のうち2名が社外取締役で、社外取締役比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
三輪 幸将 代表取締役社長 2008年フリーセル入社、2011年旧ファインズ入社。2018年同社代表取締役社長に就任。2019年より現職。
赤池 直樹 取締役執行役員 2011年ワイズビジョン入社。2013年旧ファインズ入社。経営管理本部長を経て2022年より現職。
佐藤 翔太 取締役執行役員 2012年旧ファインズ入社。カスタマーリレーション本部長を経て2024年より現職。
土屋 政紀 取締役執行役員 1991年富士通ビジネスシステム入社。ブロードリーフ等を経て2025年より現職。


社外取締役は、市野澤剛士(弁護士)、白木政宏(ジェイ・コミュニケーション代表取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「Videoクラウド事業」および「その他」事業を展開しています。

Videoクラウド事業


中小企業や個人事業主向けに、動画制作および動画配信プラットフォーム「Videoクラウド」を提供しています。「Videoクラウド」は、動画の視聴データや行動データを計測・分析し、マーケティングDXを支援するサービスです。また、マーケティングデータの管理・活用を支援する「Raise」や、営業支援ツール等の周辺ソリューションも展開しています。

主な収益源は、顧客からの動画制作料(フロー収益)および「Videoクラウド」等のシステム利用料(ストック収益)です。企画から制作、配信、分析までを一気通貫でサポートしています。運営は主にファインズが行っています。

その他


報告セグメントに含まれない事業として、店舗向けの予約管理システムなどを提供する「店舗クラウド事業」が含まれます。

これらのサービスは、主に店舗や中小企業事業者に対して提供されており、システム利用料等を収益としています。運営はファインズが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は2023年6月期の29億円をピークに、その後は27億円台で推移しており、成長が鈍化しています。経常利益も2023年6月期に7.4億円を記録しましたが、直近2期は3億円台での推移となりました。利益率は一時25%を超えましたが、現在は12%台で安定しています。

項目 2021年6月期 2022年6月期 2023年6月期 2024年6月期 2025年6月期
売上高 22.0億円 26.0億円 29.1億円 27.6億円 26.9億円
経常利益 3.8億円 6.0億円 7.4億円 3.4億円 3.5億円
利益率(%) 17.4% 23.2% 25.5% 12.4% 12.9%
当期利益(親会社所有者帰属) 2.6億円 4.2億円 5.1億円 2.4億円 2.3億円

(2) 損益計算書


直近2期間を比較すると、売上高は微減し、売上総利益率も約82%から約80%へ低下しました。一方で、販売費及び一般管理費を抑制したことにより、営業利益は3.3億円と同水準を維持しています。コストコントロールにより利益水準を保っている状況です。

項目 2024年6月期 2025年6月期
売上高 28億円 27億円
売上総利益 23億円 21億円
売上総利益率(%) 81.7% 79.7%
営業利益 3.3億円 3.3億円
営業利益率(%) 11.9% 12.4%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が9.2億円(構成比50.7%)と過半を占めています。同社は労働集約的な側面があり、人件費が主要なコスト要因となっています。

(3) セグメント収益


主力のVideoクラウド事業は、セールスコンサルタント数の減少などにより獲得が伸び悩み、減収となりました。その他(店舗クラウド事業)も減収傾向にあります。全体として売上の減少が見られますが、Videoクラウド事業が売上の大半を占める構造に変わりはありません。

区分 売上(2024年6月期) 売上(2025年6月期)
Videoクラウド事業 27億円 26億円
その他 0.9億円 0.7億円
連結(合計) 28億円 27億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業キャッシュ・フローはプラスを維持しており、本業で現金を稼ぐ力はあります。投資キャッシュ・フローと財務キャッシュ・フローはマイナスであり、獲得した資金を借入金の返済や自己株式の取得などに充てています。全体として、手元資金で投資や財務活動を賄う健全な財務状態と言えます。

項目 2024年6月期 2025年6月期
営業CF 1.5億円 2.8億円
投資CF -1.4億円 -0.2億円
財務CF 0.2億円 -0.6億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は11.2%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は79.4%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は、「企業と地域社会の未来に、テクノロジーの追い風を。」をパーパスとして掲げています。テクノロジーを活用した支援によって、企業や地域社会の挑戦を後押しし、笑顔あふれる地域社会の実現に貢献することを目指しています。顧客の生産性改善のため、「付加価値の向上」と「業務の効率化」の両輪をサポートし、DXを推進しています。

(2) 企業文化


同社は、これまでの経営理念である「誰からも必要とされる会社になる」という想いを大切にしています。顧客、従業員、株主、取引先企業、地域社会といった全てのステークホルダーに対し、一人でも多くの人に喜びや感動、幸せを分かち合うことを目指しています。また、パーパス経営に長期的に取り組み、地域社会との共創を重視する姿勢を持っています。

(3) 経営計画・目標


同社は、「すべての中小企業のDXをサポートする」を新しいミッションとする中期経営計画(2024年6月期~2026年6月期)を策定しています。客観的な経営指標として、以下の項目を重視しています。

* Videoクラウド及びRaise関連サービスのアクティブな契約件数
* フロー契約件数
* フロー契約単価
* ストック契約単価
* 解約率

(4) 成長戦略と重点施策


中小企業のDX推進に向け、「教育体制の強化」「ソリューションの拡大」「収益基盤の強化」の3つを戦略の柱としています。人事制度の刷新や研修による従業員の生産性向上を図るとともに、動画だけでなくDX市場全体のトレンドを捉えた新サービスを展開します。また、ストック収益の拡大に注力し、安定した収益ポートフォリオの構築を目指します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


事業拡大に向け、経営理念に共感できる優秀な人材の採用と育成を重視しています。特にDXコンサルティングができる人材の確保が重要であると認識しており、新卒・中途採用を継続的に行っています。また、組織や人事制度の刷新、研修制度の導入を通じて従業員のエンゲージメントを高め、自己成長を促進させるサイクルを構築する方針です。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年6月期 28.8歳 2.9年 4,560,747円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、労働者の一月当たりの平均残業時間(20.2時間)、有給休暇取得率(75.7%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 景況感及び市場環境の変化


原材料価格の高騰や金利上昇による景気下振れが、顧客である中小企業の投資意欲を減退させる可能性があります。また、動画制作やDX市場の成長が鈍化した場合、同社の業績に影響を及ぼすリスクがあります。

(2) 競合他社との競争


動画配信プラットフォームやマーケティング支援の分野には多数の競合が存在し、新規参入も予想されます。市場シェア争いやサービスの模倣リスクがあり、競争優位性が低下した場合、業績に悪影響を与える可能性があります。

(3) 特定事業への依存


売上の90%以上をVideoクラウド事業が占めており、同事業への依存度が高い構造です。顧客数の減少や市場縮小により同事業の売上が減少した場合、全社の業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。