※本記事は、アクシスコンサルティング株式会社 の有価証券報告書(第24期、自 2024年7月1日 至 2025年6月30日、2025年9月22日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. アクシスコンサルティングってどんな会社?
ハイエンド人材領域に特化し、人材紹介とスキルシェアの複合サービスにより企業の課題解決を支援する企業です。
■(1) 会社概要
2002年にアクモスのグループ会社として設立され、ハイエンド人材紹介を開始しました。2009年のMBOによる独立を経て、2016年にスキルシェアサービス「フリーコンサルBiz(現AXIS Solutions)」を開始しました。2023年に東証グロース市場へ上場し、2024年には子会社のケンブリッジ・リサーチ研究所を吸収合併しました。
同社(単体)の従業員数は138名です。筆頭株主は同社代表取締役会長CEOの資産管理会社である株式会社創で、第2位は創業者の山尾幸弘氏です。第3位は資産管理業務を行う信託銀行です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 株式会社創 | 37.96% |
| 山尾幸弘 | 26.20% |
| 日本カストディ銀行 | 4.26% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性1名、計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長COOは伊藤文隆氏が務めています。社外取締役比率は37.5%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 山尾 幸弘 | 代表取締役会長CEO | 味の素ゼネラルフーヅ、イムカを経て、2002年同社設立。同社代表取締役社長を経て、2024年より現職。 |
| 伊藤 文隆 | 代表取締役社長COO | パール楽器製造、ワークスサポートを経て、2008年同社入社。常務取締役経営戦略本部長などを歴任し、2024年より現職。 |
| 荒木田 誠 | 取締役CCAO | 日債銀総合システム、デロイトトーマツコンサルティングを経て、2003年同社入社。HC本部長などを経て、2025年より現職。 |
| 所 芳正 | 取締役会長補佐兼コーポレート本部管掌 | ブリヂストン、ロイター・ジャパン、日本オラクル常勤監査役、大塚家具上席執行役員財務部長などを経て、2024年より現職。 |
| 坂本 安東 | 取締役(常勤監査等委員) | 日嘉商事、三菱商事、三菱商事テクノス、JCMS(現同社)取締役を経て、2021年より現職。 |
社外取締役は、大友良浩(はる総合法律事務所パートナー)、野間自子(三宅坂総合法律事務所パートナー)、高野寧績(養和監査法人代表社員)です。
2. 事業内容
同社グループは、「人材紹介」および「スキルシェア」サービスを展開しています。
■(1) 人材紹介
コンサルティングファームや事業会社に対し、ハイエンド人材(正社員)の採用支援サービスを提供しています。特にコンサルティングファームにおけるマネージャー以上の採用支援に強みを持つほか、事業会社へのコンサルタント経験者の採用支援も行っています。
企業側から、人材の入社決定時に紹介手数料を受け取る収益モデルです。運営は主に同社が行っています。
■(2) スキルシェア
独立したフリーランスコンサルタントによる課題解決プロジェクト「AXIS Solutions」や、スポットコンサルサービス「AXIS Advisors」を提供しています。戦略やDX領域の実績あるコンサルタントをデータベース化し、企業のニーズに合わせてマッチングします。
企業側から業務委託料を受け取る収益モデルです。運営は主に同社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近4期間の推移を見ると、売上高は35億円から53億円へと順調に拡大しています。一方、利益面では第23期に経常利益8.3億円を記録しましたが、直近の第24期は人員増強に伴う人件費増等により2.2億円へと減少しています。当期利益も同様の傾向を示しています。
| 項目 | 2022年6月期 | 2023年6月期 | 2024年6月期 | 2025年6月期 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 35億円 | 43億円 | 47億円 | 53億円 |
| 経常利益 | 4.9億円 | 6.4億円 | 8.3億円 | 2.2億円 |
| 利益率(%) | 14.0% | 14.8% | 17.8% | 4.2% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 2.7億円 | 4.0億円 | 3.7億円 | 3.2億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期の47億円から当期は53億円へ増加し、売上総利益も増加しました。一方で、販売費及び一般管理費が増加したことにより、営業利益率は前期の10.6%から当期は4.0%へと低下しています。
| 項目 | 2024年6月期 | 2025年6月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 47億円 | 53億円 |
| 売上総利益 | 26億円 | 29億円 |
| 売上総利益率(%) | 55.5% | 54.2% |
| 営業利益 | 5.0億円 | 2.1億円 |
| 営業利益率(%) | 10.6% | 4.0% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が8.2億円(構成比31%)、賞与が3.2億円(同12%)、広告宣伝費が2.0億円(同8%)を占めています。売上原価は業務委託費等が中心で、売上原価合計に対する構成比は記載がありませんが、経費が売上原価の99.6%を占めています。
■(3) セグメント収益
人材紹介は大手コンサルファームの若手採用減の影響を受けましたが、マネージャー以上の案件確保により高単価を維持しました。スキルシェアは「AXIS Solutions」が好調で、稼働人数が増加し大幅な増収となりました。
| 区分 | 売上(2024年6月期) | 売上(2025年6月期) |
|---|---|---|
| 人材紹介 | - | 28億円 |
| スキルシェア | - | 25億円 |
| 合計 | 47億円 | 53億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社は「勝負型」のキャッシュ・フロー状態にあります。本業の営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスとなる一方で、財務活動で資金を調達し、投資を行っています。
| 項目 | 2024年6月期 | 2025年6月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 4.5億円 | -1.8億円 |
| 投資CF | -2.5億円 | -1.4億円 |
| 財務CF | -0.8億円 | 3.0億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は10.2%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は73.5%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「人が活きる、人を活かす。~人的資本の最大化・最適化・再配置~」をミッションとし、「事業を通じて、新しい価値を創造し、すべての人が活き活きと働く社会創りをめざします。」をビジョンとして掲げています。また、コーポレートステートメント「あらゆる課題は、人で解決する。」のもと、課題解決と価値創造のパートナーとして寄り添うことを目指しています。
■(2) 企業文化
「ハイエンド人材をあまねく活用できる世界の実現」に向け、5つの人的投資コンセプトを掲げています。「自ら当社のファンになる」「社外にファンを獲得する」「顧客貢献力を向上する」「創造性と挑戦意欲を醸成する」「パフォーマンス発揮を促す環境を作る」を重視し、「成果と対価」の考えのもと、社員の挑戦を応援する仕組みや環境づくりを推進しています。
■(3) 経営計画・目標
独自のポジショニングを強固にするため、売上高と営業利益を重要な経営指標と位置づけています。また、各サービスの成長指標として、人材紹介「AXIS Agent」においては「入社決定人数」、スキルシェア「AXIS Solutions」においては「フリーコンサルタントの稼働人数」を重視し、事業の継続的発展を目指しています。
■(4) 成長戦略と重点施策
人材紹介を事業会社向けに拡大し、スキルシェアを第3の柱として成長させることで複利的成長を図る基本戦略を掲げています。具体的には、「現役コンサルタント登録シェア拡大」「事業会社向けサービスの強化」「自社社員とフリーランスによるハイブリッドなコンサルティング」「ポータルの開発」「積極採用と生産性の向上」に取り組む方針です。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
人材を資源より資本と捉え、「ハイエンド人材をあまねく活用できる世界の実現」を目指しています。自らが同社のファンとなり能動的に行動できる人材の輩出、クライアントへの価値提供力の習得、デジタル技術を活用した顧客貢献力の向上、創造性と挑戦意欲の醸成を重視し、それらを支える柔軟な働き方や環境整備に投資しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均を大きく上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年6月期 | 35.4歳 | 2.5年 | 8,248,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」等の規定による公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、エンゲージメントサーベイ(73ポイント)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 登録者数・取引先企業数
人材紹介及びスキルシェア事業において、登録者の確保は極めて重要です。労働人口の減少や労働市場の変化により、企業ニーズを満たす人材を確保できない場合、成約数の減少を通じて業績に影響を与える可能性があります。同社は広告宣伝による認知度向上に努めています。
■(2) 特定の取引先への依存
主要顧客であるコンサルティングファームとの取引が多く、当事業年度の販売実績の最上位先であるPwCコンサルティング合同会社への依存度は25.2%となっています。主要取引先の方針変更や業績不振が生じた場合、事業活動に影響を及ぼす可能性があります。事業会社向けサービスの拡大により依存度の低下を図っています。
■(3) 経済状況変動・景気変動
国内景気の減速やそれに伴う企業の採用意欲の低下は、同社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。ハイエンド人材領域に特化し、多様な業界での取引先開拓を進めることでリスク軽減を図っていますが、需要変動の影響を受ける可能性があります。
■(4) 転職サイト運営企業の利活用
同社は自社サイトに加え、他社が運営する転職サイトを活用して求職者を支援しています。他社サイトが停止または廃止された場合、支援可能な求職者数が減少し、業績に影響を与える可能性があります。自社サイトへの登録促進などにより対策を講じています。



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