※本記事は、株式会社Fusic の有価証券報告書(2025年6月期、2024年7月1日 ~ 2025年6月30日、2025年9月24日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
Fusicは、テクノロジーカンパニーとして、クラウドやAI、IoT等の技術を活用し、クライアントのシステム開発や技術コンサルティングを通じてDX推進を支援しています。同社は「DX事業」の単一セグメントで事業を展開しています。
単体従業員数は120名です。セグメントはDX事業の1つです。
Fusicは、クラウド環境構築やシステム開発、IoTによるデータ収集、AIによるデータ分析など、多様なデジタルテクノロジーを横断的に組み合わせて提供するクロステクノロジーサービスを主軸としています。また、システム及びクラウド環境の保守運用を行うMSPサービス、360度評価ツール「360」や学校向け連絡サービス「sigfy」といったプロダクトサービスも展開しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
FusicはIT業界でDX推進を支援するテクノロジーカンパニーであり、技術革新が速い環境で事業を展開しています。そのため、常に新しい技術を取り入れ、社員の成長を重視する文化が特徴です。柔軟な働き方を支援しつつ、対面でのコミュニケーションも大切にするバランスの取れた環境がうかがえます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、平均勤続年数と平均年齢から、比較的若手社員が中心となって活躍している傾向が見られます。業務拡大に伴う積極的な採用も進められており、組織の成長とともに新たな人材が加わっている状況です。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,982,000円 |
| 平均勤続年数 | 4.4年 |
| 平均年齢 | 33.4歳 |
| 単体従業員数 | 120人 |
退職給付制度に関する記載はありません。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社はテクノロジーカンパニーとして、DX推進を通じて社会課題の解決に貢献し、事業を拡大しています。事業活動の中心を「人」と捉え、「自立」「個性」「協働」を求める人材像として掲げ、一人ひとりの成長と組織の成長の連動を目指しています。
競争力の源泉である「新技術に取り組む土壌」「技術結合力」「展開力」を維持・向上するため、OJT教育や勉強会、ナレッジ共有システムの導入など、新技術探求を奨励する仕組みを整備しています。特に生成AIやAIエージェントの活用を全社で推進し、AI-Nativeなシステム開発による効率化や業務自動化に取り組んでいます。
また、「個性をかき集めて、驚きの角度から世の中をアップデートしつづける」というVisionに基づき、多様な人材が活躍できる風土を醸成しています。社員の自己実現を促進するワークショップや、熱意・好奇心を重視した採用活動も行われています。働きやすい環境づくりとして、リモートワークやコアタイムなしのフルフレックス、時短勤務制度、育休取得推進、奨学金返済支援制度を導入し、社員のワークライフバランスを支援しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。女性の職業生活における活躍の推進に関する法律および育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の規定に基づき算出されています。非正規雇用労働者の男女賃金差異は、男性の対象者がいないため算出されていません。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 16.7% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 100.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 75.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 77.6% |
個性の尊重と多様性の拡充
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 年代別 20代 | 32.5% |
| 年代別 30代 | 47.5% |
| 年代別 40代 | 18.3% |
| 年代別 50代 | 1.7% |
| 年代別 60代以上 | 0.0% |
| 男女別 男性 | 72.5% |
| 男女別 女性 | 27.5% |
| 外国籍社員の割合 | 5.0% |
| 女性の管理職比率 | 16.7% |
| 男女賃金格差 | 75.0% |
働きやすい環境づくり
女性の育休取得率の「―」については、女性の対象者がいないため算出できないことを示しております。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| リファラル採用の占める割合 | 3.7% |
| 入社3年以内離職率 新卒 | 28.6% |
| 入社3年以内離職率 中途 | 15.6% |
| 育休取得率 男性 | 100.0% |
| 育休取得率 女性 | - |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
株式会社Fusicは、テクノロジーカンパニーとして、クラウドやAI、IoTなどの先進技術を活用し、クライアントのデジタルトランスフォーメーション(DX)推進を支援する事業を展開しています。同社は、クライアントのシステム開発や技術コンサルティングを通じて、DXの各段階に応じた幅広い支援を提供しています。特定の技術に特化せず、多様な技術群を組み合わせて最適なソリューションを提供できる点が強みです。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社の事業は「DX事業」の単一セグメントですが、サービス別の分類として「クロステクノロジーサービス」「MSPサービス」「その他サービス」を展開しています。
「クロステクノロジーサービス」では、クラウド環境構築、システム開発、IoTを活用したデータ収集、AIによるデータ分析など、多様なデジタルテクノロジーを横断的に組み合わせて提供しています。クライアントの経営課題解決や業務効率化、新規ビジネス創出に貢献しており、大手インフラ等の大口顧客に対する顧客深耕が進み、顧客平均単価が上昇したことで売上が伸長しました。
「MSPサービス」は、システムおよびクラウド環境の保守運用、ならびにパブリッククラウド(AWS)の再販売を行うサービスです。安定的な収益基盤を形成するビジネスモデルであり、円安やクラウド利用コスト最適化提案の影響を受けました。
「その他サービス」では、汎用性の高い自社プロダクトを提供しており、360度評価ツール「360(さんろくまる)」と学校向け連絡サービス「sigfy(シグフィー)」を展開しています。これらのプロダクトは導入企業・自治体数の増加や大型案件の受注により、売上が大きく伸長しました。
同社の販売実績では、特定の相手先への販売が一定の割合を占めています。本邦の外部顧客への売上高が損益計算書の売上高の90%を超えるため、海外売上高の記載は省略されています。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
当事業年度の売上高は前期から増加しました。売上総利益、営業利益、経常利益、当期純利益もそれぞれ前期から増加しており、全ての利益項目で伸長する傾向を示しています。
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社の単体従業員数は120名であり、前期末から増加しています。従業員の平均年齢は33.4歳、平均勤続年数は4.4年となっています。平均年間給与は5,982千円です。管理職に占める女性労働者の割合は16.7%であり、男性労働者の育児休業取得率は100%となっています。労働者の男女の賃金の差異は、全労働者で75.0%、正規雇用労働者で77.6%です。
| 指標 | 2024年6月期(前期) | 2025年6月期(当期) |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | - | - |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社は本業で安定した資金を生み出しつつ、将来に向けた投資も行っています。財務基盤の厚みと資金の流れから、同社の現在地を確認できます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社の純資産は当期に増加し、自己資本比率も前期から上昇しています。これは財務基盤が強化されていることを示しています。ROE(自己資本利益率)も前期から上昇しており、効率的な経営が行われている状況です。手元資金も潤沢にあり、不測の事態にも対応できる体制が整っています。
| 指標 | 2024年6月期(前期) | 2025年6月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 9.7億円 | 11.4億円 |
| 自己資本比率 | 67.3% | 72.4% |
| ROE(自己資本利益率) | 16.0% | 17.1% |
| 現金及び現金同等物 | 7.8億円 | 7.9億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社の当期の営業活動によるキャッシュ・フローは1.3億円の収入となり、前期の57百万円から増加しています。これは主に税引前当期純利益の増加や棚卸資産の減少によるものです。投資活動によるキャッシュ・フローは△32百万円の支出となり、前期の△1.0億円から支出が減少しています。これは有形固定資産の取得による支出の減少が主な要因です。財務活動によるキャッシュ・フローは△94百万円の支出となり、前期の△24百万円から支出が増加しています。これは自己株式の取得による支出の増加が主な理由です。
フリーキャッシュ・フローは当期に1.0億円のプラスとなり、前期の△48百万円から改善しています。これは本業で安定的に資金を生み出し、投資活動を賄えている状況を示しています。この資金の流れは、同社が事業を安定的に継続し、成長に向けた投資も行える財務的な余力があることを示しています。
| 項目 | 2024年6月期(前期) | 2025年6月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 57百万円 | 1.3億円 |
| 投資CF | △1.0億円 | △32百万円 |
| 財務CF | △24百万円 | △94百万円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △48百万円 | 1.0億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社はクラウド市場の動向やAmazon Web Services, Inc.への依存に関するリスクを認識しています。経済情勢や景気動向の悪化により企業の情報化投資が低迷した場合、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、AWSの市場規模縮小や経営戦略変更もリスク要因として挙げられています。
③ 人材・組織に関するリスク
同社は優秀な人的資源の確保に関するリスクを認識しています。事業拡大に伴い、適切な人材を確保・維持できなかった場合や、人件費が高騰した場合には、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
Fusicは、「個性をかき集めて、驚きの角度から世の中をアップデートしつづける。」というビジョンを掲げ、テクノロジーを通じて社会に価値を創出し続けることを目指しています。変化の速いIT業界において、常に新しい技術を取り入れ、多様な人材が活躍できる企業風土を重視しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
Fusicは、「個性をかき集めて、驚きの角度から世の中をアップデートしつづける。」というVision(あるべき姿)を掲げています。このビジョンを実現するため、常に変化する経営環境や市場動向に的確に対応し、企業価値のさらなる向上を目指して事業を展開しています。
また、「OSEKKAI × TECHNOLOGY」というブランドスローガンのもと、テクノロジーによる価値を創出し続けることを重要な経営方針としています。同社は、DX市場における生成AIやAIエージェントの急速な進化・普及を成長機会と捉え、社会・産業構造の変化を見越した柔軟かつ先見的な事業戦略の立案・実行を不可欠と考えています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
Fusicは、事業活動の中心を「人」と捉え、一人ひとりの成長と組織の成長が連動し相乗効果を発揮することを目指しています。求める人材像として「自立」「個性」「協働」の3つを掲げています。
「自立」は前向きに物事に取り組み最後までやり遂げる人材、「個性」は自らの強みや可能性を信じ本質を追求し周りに影響を与える人材、「協働」は相互に繋がり助け合うことができる人材を指します。同社は、社員一人ひとりが個性を尊重し、組織として最大限の価値発揮ができる風土を醸成しています。
また、変化の激しいIT業界において「新技術に取り組む土壌」「技術結合力」「展開力」を競争力の源泉としています。社員が常に新しい分野や新技術に目を向け、積極的にチャレンジする文化を醸成しており、採用においても熱意や好奇心といった個性を重視しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
Fusicは、持続的な成長と企業価値向上に向け、複数の重点テーマに取り組んでいます。新技術への対応として、生成AIやAIエージェントの進化に対応したAI-Nativeなシステム開発プロセスへの全面移行と新サービスの開発を継続的に進めています。
優秀人材の確保と育成も重要な課題であり、リファラル採用の強化やOJT教育、勉強会の実施を通じて人材の確保と能力向上を図っています。また、奨学金返済支援制度やリモートワーク、フルフレックス、時短勤務制度の推進により、社員が安心して働ける環境づくりを進めています。
さらに、サービスの高付加価値化と競争優位性の確保のため、エンジニアやセールス・マーケティング人材の拡充、開発プロセスの改善、幅広い最先端技術と開発手法の活用に取り組んでいます。コーポレート・ガバナンス体制及び内部管理体制の強化も重要な課題としています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
Fusicは、取締役会及び監査役会設置会社であり、取締役会と監査役会が連携して経営の健全性、透明性、効率性を確保する体制を構築しています。社外監査役による監督機能の充実や内部牽制機能の強化を経営の重要課題と位置づけています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
Fusicの株主構成を見ると、代表取締役社長である納富貞嘉氏と取締役副社長である濱﨑陽一郎氏が筆頭株主として同率で並んでいます。両氏の資産管理会社も上位株主として名を連ねており、創業者が経営に強い影響力を持つ資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 納富 貞嘉 | 22.52% |
| 濱﨑 陽一郎 | 22.52% |
| NSMC | 11.08% |
| HSMC | 11.08% |
| 楽天証券 | 2.35% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は6名(男性5名・女性1名)で構成され、女性役員比率は16.7%です。代表取締役社長は納富貞嘉氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 納富 貞嘉 | 代表取締役社長 | 2003年10月株式会社Fusic設立取締役副社長、2005年3月同社代表取締役社長より現職。2018年2月株式会社Fixstars Cloud Solutions取締役、2018年10月株式会社ホープ社外取締役。 |
| 濱﨑 陽一郎 | 取締役副社長 | 2003年10月株式会社Fusic設立代表取締役社長、2005年3月同社取締役副社長より現職。2018年6月株式会社データ・キュービック取締役。 |
社外取締役は、安浦寛人氏(大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 国立情報学研究所 副所長)、栗林絹江氏(IMAGICA Lab. 取締役執行役員管理本部長)、柏木街史氏(インターソフト取締役社長)、西原隆雅氏(アクセラレート法律事務所代表)です。
同社は監査役会設置会社であり、社外取締役1名と社外監査役3名を選任することで、独立した立場からの助言・提言と経営監督機能の強化を図っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
Fusicの役員報酬は、固定報酬を基本としています。取締役の報酬は株主総会で決議された総額の範囲内で、役位や会社への貢献度などを考慮して取締役会で決定されます。業績連動報酬は現在導入されていません。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 2名 | 34百万円 | 16.8百万円 |
| 社外役員 | 4名 | 16百万円 | 4.0百万円 |
役員報酬の総額は49.8百万円であり、対象となる役員は合計6名です。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。