※本記事は、株式会社テクニスコ の有価証券報告書(2025年6月期、2024年7月1日 ~ 2025年6月30日、2025年9月26日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
同社グループは、精密加工部品事業の単一セグメントを展開しています。電子部品の熱を吸収・放熱するヒートシンク製品、微細加工を施した電子部品用ガラス製品、各種金属・シリコン・セラミック材料の加工製品などを製造販売しています。
単体従業員数は191名、連結従業員数は265名です。セグメントは精密加工部品事業の1つです。
国内においてはテクニスコが生産・販売を一手に担い、海外2社の連結子会社を通じてグローバルに事業を展開しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
テクニスコは、精密加工部品事業を展開する企業であり、従業員の平均年齢や勤続年数から、安定した環境でキャリアを築ける可能性がうかがえます。給与水準や働き方に関する具体的なデータは、以下の各項目で詳しくご紹介します。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は、平均勤続年数が比較的長く、従業員が長期的にキャリアを形成している傾向が見られます。平均年齢も安定しており、経験豊富な人材が多数在籍していることがうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,196,409円 |
| 平均勤続年数 | 15.3年 |
| 平均年齢 | 44.3歳 |
| 単体従業員数 | 191人 |
| 連結従業員数 | 265人 |
| 単体のグループ内比率 | 72.1% |
同社は、確定給付年金制度及び確定拠出年金制度を設けています(確定給付型=給与や勤続年数に応じて給付額が決まる/確定拠出型=会社が拠出した資金を従業員が運用する)。これらの制度は国内の従業員を対象としています。
なお、退職一時金の有無や支給条件、従業員ごとの会社拠出額などは、有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。確定給付制度における退職給付債務は5.9億円、年金資産は6.4億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、社会における存在意義や企業活動の基本となる考え方を「The TECNISCO WAY」として定めています。その中で、高度なクロスエッジ®Technologyへの継続的なチャレンジを通じて、人々の喜びの実現に貢献することを使命としています。ステークホルダーに対する社会的責任と信頼を重視し、The TECNISCO WAYに沿った経営を実践することで、持続的な社会の実現に貢献する方針です。
お客様、サプライヤ、株主、従業員など、ステークホルダーとの持続的な成長を目指し、サステナビリティの重要課題(マテリアリティ)を整理しています。SDGsのターゲットレベルから活動を俯瞰し、ステークホルダー視点で重要な課題をリストアップした上で、The TECNISCO WAYや産業特性を考慮して絞り込み、経営会議で特定・承認しています。人材の多様性の確保を含む人材の育成、及び社内環境整備に関する方針も、これらの重要課題に含まれています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社及び連結子会社は、女性活躍推進法及び育児介護休業法の規定による公表義務の対象ではないため、法定開示データは開示されていません。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
テクニスコは、精密加工部品事業を単一セグメントとして展開しています。電子部品の機能向上に貢献する製品の製造販売を手がけています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、精密加工部品事業を単一セグメントとして営んでいます。主な製品群は「ヒートシンク製品」「ガラス製品」そして「その他」に区分されます。
ヒートシンク製品は、電子部品の熱を吸収し放熱することで性能低下や故障を防ぐ構成部品です。半導体レーザー向け、パワー半導体向け、MPU向けなどの高機能ヒートシンクを提供しています。
ガラス製品は、光透過性や電気的絶縁性などの特徴を持つ電子部品用ガラスに微細な加工を施し、電子デバイスの機能性を高める構成部品です。各種センサー向け、モバイル機器向け、バイオ・医療向けなどの精密ガラス製品を提供しています。
その他には、各種金属材料、シリコン材料、セラミック材料の加工製品や、ガラス・セラミック加工用のダイヤモンドツールが含まれます。同社グループは、産業機器市場、自動車市場、光・無線通信市場、ライフサイエンス市場、航空宇宙市場、環境エネルギー市場など幅広い分野に製品を供給しています。
同社グループの収益モデルは、顧客ごとの要求仕様を受託し、試作から量産まで製品化する受注生産が基本です。「切る」「削る」「磨く」「メタライズ」「接合」といった独自の加工技術を組み合わせる「クロスエッジ®Technology」を強みとしています。また、これまでの受託加工に加え、自社製造の素材をもとにした自社開発製品を新たな事業展開の柱とすべく、サービスの付加価値向上に注力しています。
海外販売は連結売上高の過半数を占めており、主に欧州における高出力半導体レーザー向けヒートシンクや、米国におけるライフサイエンス向けガラス製品の販売を展開しています。営業外損益で為替差損が計上されるなど、為替変動の影響を受ける傾向があります。当連結会計年度においては、外部顧客への売上高のうち、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める特定の相手先はありませんでした。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
過去5期の業績を見ると、売上高は変動があり、直近の2期は減少傾向にあります。経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益は、直近2期で損失を計上しています。
当連結会計年度は、売上高の減少に加え、固定資産の減損処理による特別損失の計上が、経常損失および親会社株主に帰属する当期純損失の主な要因となっています。営業活動によるキャッシュ・フローは直近2期で支出となっており、減損損失や減価償却費、棚卸資産の減少などが影響しています。
| 項目 | 2021年6月期 | 2022年6月期 | 2023年6月期 | 2024年6月期 | 2025年6月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 43.5億円 | 54.8億円 | 53.5億円 | 46.8億円 | 33.6億円 |
| 経常利益 | 3.5億円 | 8.9億円 | 3.3億円 | △3.2億円 | △16.3億円 |
| 経常利益率 | 8.1% | 16.2% | 6.2% | △6.8% | △48.5% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 2.8億円 | 8.0億円 | 2.2億円 | △6.0億円 | △29.8億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 42.55 | 123.18 | 34.12 | △67.48 | △324.72 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
従業員1人あたり売上高(連結)は、前期から当期にかけて減少しています。また、従業員1人あたり営業利益(連結)も、前期から当期にかけて損失額が拡大しています。
これは、売上高の減少や固定資産の減損処理といった一時的な要因が影響していると考えられます。これらの指標は、同社グループの収益体質や組織効率の現状を示しており、今後の事業戦略や市場環境の変化が生産性に与える影響を注視することが重要です。
| 指標 | 2024年6月期 | 2025年6月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 14.9百万円 | 12.7百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | △1.5百万円 | △5.4百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループの財務状況は、事業活動と投資活動において資金が流出しており、資金調達によって補われている状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの自己資本比率は前期から大きく減少しており、プライム市場の製造業平均(46.8%)と比較すると低い水準です。ROEもマイナスであり、収益性が課題となっています。手元資金は減少傾向にあり、不況時の耐性には注意が必要です。これらの財務状況は、入社後の雇用や給与の安定性を検討する上で重要な要素となります。
| 指標 | 2024年6月期(前期) | 2025年6月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 46.9億円 | 16.2億円 |
| 自己資本比率 | 49.3% | 24.7% |
| ROE(自己資本利益率) | - | -94.3% |
| 現金及び預金 | 21.8億円 | 19.1億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループの当連結会計年度における営業活動によるキャッシュフローは、減損損失や税金等調整前当期純損失の計上により、△2.6億円の支出となりました。前期と比較すると支出額は減少しています。投資活動によるキャッシュフローは、有形固定資産の取得による支出などにより、△1.8億円の支出となりました。前期と比較すると支出額は減少しています。
この結果、事業活動と投資活動を合わせたフリーキャッシュフローは△4.4億円のマイナスとなっています。財務活動によるキャッシュフローは、短期借入金の純増加額があった一方で長期借入金の返済による支出があり、2.3億円の収入となりました。前期と比較すると収入額は大きく減少しています。これらの資金の流れは、同社グループが事業活動で十分な資金を創出できておらず、投資活動も行っているため、資金調達に依存している状況を示しています。このようなキャッシュフローの状況は、今後の事業展開や雇用・給与の安定性を検討する上で重要な要素となります。
| 項目 | 2024年6月期(前期) | 2025年6月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | △3.9億円 | △2.6億円 |
| 投資CF | △4.3億円 | △1.8億円 |
| 財務CF | 20.9億円 | 2.3億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △8.2億円 | △4.4億円
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
テクニスコは、独自の先端加工技術「クロスエッジ®Technology」を核に、人々の喜びの実現に貢献することを目指しています。誠実さと独創性を重んじる企業姿勢のもと、常に「次も」期待される存在となることを追求する会社です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
テクニスコグループは、企業理念「The TECNISCO WAY」を掲げ、「高度なクロスエッジ®Technology(切る、削る、磨く、メタライズ、接合を中心とした複数の先端加工技術の融合)への継続的なチャレンジによって人びとの喜びの実現の一助となる」ことを社会的使命としています。また、「いつの時代にも人びとから「次も」期待される存在となる」ことを永続的な目標としています。
2029年度末(2030年6月期)に実現すべき姿を「VISION 2030」として定義し、その具現化を進めています。このビジョンは、売上高や利益といった定量的な要素だけでなく、定性的な要素も含む内容となっています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
テクニスコグループは、「誠実な企業として生きる 独創の企業として生きる」という企業としての姿勢を大切にしています。社会における存在意義や企業活動の基本となる「The TECNISCO WAY」に基づき、お客様をはじめとする全てのステークホルダーに対する社会的責任と信頼を重視しています。
「クロスエッジ®Technology」を求める先端製品開発に携わる人々から認められる存在であることが最重要課題(マテリアリティ)であり、全社的な「テクニスコCSマネジメントシステム」を通じて顧客の声を従業員に届け、CS向上活動を行っています。社員一人ひとりが独創的な挑戦を継続し、進化し続ける企業風土の醸成を推進しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
テクニスコグループは、企業体質の強化を不可欠な課題と認識しています。具体的には、リスクマネジメントシステムの推進、働き方改革の推進、健康経営の推進、人材の育成開発、スピーディな情報連携、内部統制整備運用などを継続的に実施しています。
「クロスエッジ®Technology」の継続的な進化と成長のためには、優秀な人材の確保が重要であると考えています。経験者を中心とした人員確保に加え、ハラスメント防止や労働環境改善のES(従業員満足度)調査への配慮、健康経営を踏まえた人事施策を継続・強化し、社員の独創的な挑戦を促す企業風土の醸成を推進しています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
テクニスコの取締役会は、社外取締役を含む8名で構成され、業務執行の決定と監督を行っています。社外取締役の招聘により、独立した立場からの経営監視体制を構築しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
筆頭株主は合同会社XEホールディングスであり、代表取締役社長である関家圭三氏の資産管理会社です。関家圭三氏個人も上位株主であり、創業家が上位に複数名を占める資本構成となっています。このことから、特定の株主グループが同社の経営に強い影響力を持つ状況がうかがえます。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 合同会社XEホールディングス | 54.69% |
| 関家 圭三 | 5.89% |
| 野村信託銀行(信託口2052276) | 2.07% |
| テクニスコ従業員持株会 | 1.95% |
| 上田 斉 | 1.31% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は11名(男性9名・女性2名)で構成され、女性役員比率は18.0%です。代表取締役社長CEOは関家圭三氏が務めています。社外取締役比率は37.5%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 関家 圭三 | 代表取締役社長 CEO | 1989年7月 ディスコ入社、2005年9月 同社取締役、2009年4月 同社代表取締役社長より現職。 |
| 村上 友孝 | 専務取締役CBO グローバルビジネス本部長 | 1984年1月 ディスコ入社、2015年8月 同社入社、2019年6月 同社取締役グローバルビジネス本部長、2022年9月 同社専務取締役グローバルビジネス本部長より現職。 |
| 相原 正行 | 常務取締役CFO 経営サポート本部長 | 1985年4月 ディスコ入社、2008年7月 同社出向、2011年6月 同社取締役経営サポート部長、2022年9月 同社常務取締役経営サポート本部長より現職。 |
| 曺 明煥 | 取締役CTO | 1990年4月 韓国 LG Electronics Inc.入社、2003年4月 東北大学応用物理専攻/金属材料研究所准教授、2025年9月 同社取締役より現職。 |
| 吉岡 豊吉 | 取締役 広島事業所長 | 1978年3月 同社入社、2000年5月 同社取締役、2007年6月 同社専務取締役、2024年9月 同社取締役広島事業所長より現職。 |
社外取締役は、齊藤琢磨氏(株式会社グローバル・ファミリー・オフィス代表取締役)、市川ルミ氏(弁理士法人ATEN所長)、内山秀氏(元レーザーテック常務取締役)です。
同社は監査役会設置会社です。独立した社外取締役を招聘し、多様な知見に基づいた経営監視体制を構築しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の役員報酬は、基本報酬、業績連動報酬(短期インセンティブ)、中長期インセンティブの3つの要素で構成されています。基本報酬は月額固定報酬で、職責や役割に応じて支給されます。業績連動報酬は連結経常利益率を反映した賞与として支給され、中長期インセンティブは譲渡制限付株式報酬制度により企業価値向上と株主との価値共有を図る仕組みです。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 5名 | 1.4億円 | 27.7百万円 |
| 社外役員 | 6名 | 28百万円 | 4.7百万円 |
なお、報酬等の総額には事業年度中に退任した役員の報酬が含まれており、人数は事業年度中に報酬の支給対象となった人数であり、期中に退任した役員を含みます。また、業績連動報酬は全て賞与です。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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