※本記事は、株式会社トライアルホールディングス の有価証券報告書(2025年6月期、2024年7月1日 ~ 2025年6月30日、2025年9月26日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
トライアルホールディングスは純粋持株会社であり、単体従業員数は117名、グループ連結従業員数は7,080名です。
同社グループは、ディスカウントストア『TRIAL』ブランドを全国展開する流通小売事業を中核とし、リテールAI事業を通じて流通小売業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進しています。連結子会社26社を中心に、テクノロジーと人の経験知を融合させ、リアルコマースの変革を目指しています。
主な国内グループ会社は、トライアルカンパニー.(流通小売事業)、Retail AI(リテールAI事業)、トライアルリアルエステート(その他事業)、トライアルベネフィット(全社共通)などです。
直近では、2024年11月にスーパー丸幸から2店舗を承継し、2024年2月には東急不動産からゴルフ場を取得するなど、事業規模の拡大と再編を進めています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
同社グループは、流通小売業界における効率化とテクノロジー活用を推進し、社会貢献を目指す企業文化を持っています。安定した労使関係のもと、従業員が安心して働ける環境が整えられています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は、平均年齢が39.5歳と比較的若く、中堅層が中心となって事業を推進している傾向が見られます。一方で、平均勤続年数は2.0年と短めであり、組織の流動性や新たな人材の積極的な登用がうかがえます。
なお、同社は持株会社であり、傘下の関係会社は以下のデータと同水準とは限りません。各社の求人情報や口コミサイト等を別途参照してください。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 10,251,000円 |
| 平均勤続年数 | 2.0年 |
| 平均年齢 | 39.5歳 |
| 単体従業員数 | 117人 |
| 連結従業員数 | 7,080人 |
| 単体のグループ内比率 | 1.7% |
同社グループは、確定拠出年金制度(会社が拠出した資金を従業員が運用する)を採用しています。この制度は国内グループ会社に適用されています。
なお、退職一時金の有無や支給条件、従業員ごとの会社拠出額などは、有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、創業以来の企業DNAである「流通小売業界のムダ・ムラ・ムリを削減し、ローコストを実現する」という考え方を基盤に、人材戦略を推進しています。人材の多様性の確保と育成、社内環境の整備を重要な方針として掲げています。
具体的には、「ダイバーシティー&インクルージョンプロジェクト」を立ち上げ、管理職における女性比率向上や若手従業員向けのキャリア支援に取り組んでいます。また、特例子会社や就労継続支援A型事業を通じて、障がい者や外国人の雇用促進活動も行っています。
現段階では具体的な目標値は設定されていませんが、プロジェクト推進を通じて指標や目標設定の検討を進める方針です。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データは開示されていません。
連結子会社の法定開示
主要事業会社3社の数値のみ掲載します。
▼ ㈱トライアルカンパニー
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 男性労働者の育児休業取得率 | 36.4% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 45.1% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 65.8% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 76.8% |
▼ ㈱トライアルストアーズ
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 男性労働者の育児休業取得率 | 36.2% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 70.8% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 79.9% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 110.0% |
▼ ㈱青森トライアル
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 男性労働者の育児休業取得率 | 0.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 55.3% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 72.1% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 95.1% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
株式会社トライアルホールディングスは持株会社制を導入しており、純粋持株会社である同社と複数の連結子会社、関連会社で構成されています。同社グループは「流通小売事業」と「リテールAI事業」を主要な柱とし、これに加えて「その他事業」を展開しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、テクノロジーと人の経験知を融合させ、リアルコマースの変革を目指すビジョンを掲げています。主力である流通小売事業を基盤としつつ、そこで培ったノウハウとデータを活用してリテールAI事業を展開し、小売業界全体のデジタルトランスフォーメーションを推進しています。収益の大部分は国内の流通小売事業から得られており、地域別の売上高においても本邦の外部顧客への売上高が連結売上高の90%を超えています。
流通小売事業
同社グループの中核事業であり、株式会社トライアルカンパニーを中心に「TRIAL」ブランドのディスカウントストアを全国に展開しています。メガセンター、スーパーセンター、smart、小型店といった多様な店舗フォーマットで、生鮮食品をはじめとする豊富な商品ラインナップを競争力のある価格で提供し、ワンストップショッピングを可能にしています。自社物流の最適化やリテールテックの活用により、ローコストオペレーションを実現し、EDLP(Every Day Low Price)を価格戦略の基本方針としています。収益は、店舗での商品販売から得ています。運営は、主にトライアルカンパニーが行っています。
リテールAI事業
小売事業者や食品・消費財メーカーに対し、顧客の買い物体験向上や店舗オペレーション改善、広告・販売促進活動の効率化、サプライチェーンの効率化に資するプロダクトやソリューションを提供しています。実店舗運営で得られる現場のニーズを開発に活かし、開発した技術を速やかに現場で実証実験できる「オペレーション・ドリブン」の体制が特徴です。主力プロダクトであるSkip Cart(決済機能付きレジカート)のほか、データ分析プラットフォームのMD-Link、カメラソリューション、インストアサイネージなどを提供しています。収益は、Skip Cartやその他のプロダクトの月額利用料、ライセンス利用料などから得ています。運営は、主にRetail AIが行っています。
その他の事業セグメント
不動産・リゾート事業を含んでおり、旅館施設やゴルフ場運営などを行っています。「食」のブランディングを通じて流通小売業におけるロイヤルカスタマーの確立を目指し、体験型施設としての認知度を高めています。国内旅行需要に加え、アジアを中心とする訪日外国人観光客の需要も獲得しています。収益は、リゾート関連事業や建築・不動産管理などから得ています。
| セグメント | 売上高(2024年6月期) | 売上高(2025年6月期) |
|---|---|---|
| 流通小売 | 7,149億円 | 7,998億円 |
| その他の事業セグメント | 19.8億円 | 27.3億円 |
| リテールAI | 9.2億円 | 9.8億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの業績は、過去5期間にわたり売上高、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益ともに増加傾向を示しています。特に売上高は一貫して成長を続けており、直近の連結会計年度においても前年同期から大きく伸びています。経常利益も同様に順調な伸びを見せていますが、親会社株主に帰属する当期純利益の増加率は直近の連結会計年度でやや緩やかになっています。
| 項目 | 2021年6月期 | 2022年6月期 | 2023年6月期 | 2024年6月期 | 2025年6月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | - | 5,955億円 | 6,531億円 | 7,179億円 | 8,038億円 |
| 経常利益 | - | 127億円 | 144億円 | 198億円 | 222億円 |
| 経常利益率 | - | 2.1% | 2.2% | 2.8% | 2.8% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | - | 71.3億円 | 80.8億円 | 114億円 | 118億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | - | 73.46 | 82.90 | 109.77 | 96.23 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高(連結)は前期から増加しており、従業員1人あたり営業利益(連結)も同様に増加しています。これらの指標は、同社グループが効率的な事業運営を通じて、従業員一人ひとりの生産性を高めている傾向を示しています。組織全体の収益体質が強化され、持続的な成長に向けた基盤が構築されていることがうかがえます。
| 指標 | 2024年6月期(前期) | 2025年6月期(当期) |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 110.0百万円 | 113.5百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 2.9百万円 | 3.0百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
株式会社トライアルホールディングスは、事業拡大に向けた投資を積極的に進めている段階にあります。財務状況や資金の流れから、同社グループの経営の安定性と成長への取り組みを読み解きます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
トライアルホールディングスは、純資産が前期から増加しており、財務基盤の安定性を示しています。自己資本比率は42.0%で、プライム市場の非製造業平均(24.2%)を上回る水準です。ROE(自己資本利益率)は9.7%であり、プライム市場平均(9.4%)を上回る効率的な資本活用が行われている状況です。
手元資金である現金及び預金は前期から減少していますが、事業活動に必要な資金は確保されていると考えられます。これらの財務状況は、同社グループが安定した経営を維持し、従業員の雇用や給与の安定性にも寄与する基盤となっていることを示しています。
| 指標 | 2024年6月期(前期) | 2025年6月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 1,182億円 | 1,290億円 |
| 自己資本比率 | 40.8% | 42.0% |
| ROE(自己資本利益率) | 12.6% | 9.7% |
| 現金及び預金 | 919億円 | 723億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
トライアルホールディングスの当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、前期の獲得から一転して使用に転じ、△44億円となりました。これは主に仕入債務の減少や棚卸資産の増加、法人税等の支払いが要因となっています。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出が増加し、△359億円の使用となりました。これは新規出店や既存店の改装、リテールテクノロジー開発への積極的な投資を示しています。
フリーキャッシュ・フローは△403億円とマイナスに転じており、本業で得た資金だけでは投資を賄いきれていない状況です。財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の増加により208億円の獲得となっています。同社グループは事業拡大のための先行投資フェーズにあり、借入金による資金調達も活用しながら成長戦略を進めている状況です。この資金の流れは、将来的な事業成長への期待がある一方で、現在の投資負担が大きいことを示しており、入社後の成長性を見極める上で注目すべき点となります。
| 項目 | 2024年6月期(前期) | 2025年6月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 595億円 | △44億円 |
| 投資CF | △260億円 | △359億円 |
| 財務CF | 345億円 | 208億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 335億円 | △403億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループの主力である流通小売事業は、少子高齢化によるマーケット縮小や同業他社との激しい競争に晒されています。また、リテールAI事業においては、IoTデバイスの仕入を中国から行っているため、世界情勢やサプライチェーンに関するリスクが存在します。国内外の感染症流行や貿易摩擦、政治・外交問題等により、調達が滞る可能性が指摘されています。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、店舗拡大や事業規模の拡大を進める中で、労働人口減少に伴う人材確保競争の激化による人材確保・育成の遅れや、労働需給の逼迫による時間給単価の上昇リスクを認識しています。これらの要因により、想定を上回る費用が発生したり、事業拡大のペースが鈍化したりする可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
トライアルホールディングスは、テクノロジーと人の経験知を融合させ、流通小売業界の変革を目指す企業グループです。同社グループは、創業以来のDNAを受け継ぎながら、社会全体の発展と成長に貢献することを目指しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、「世界の誰もが『豊かさ』を享受できる社会をつくる。」をPurpose(存在目的)として掲げています。5年から10年で実現したいVision(自社と世界の姿)は、「テクノロジーと、人の経験知で、世界のリアルコマースを変える。」です。創業以来、「流通小売業界のムダ・ムラ・ムリを削減し、ローコストを実現することで、お客様・社会の役に立つ」ことを経営の根幹としています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
ビジョン実現のためのValue(組織の価値観・行動指針)として、「効率化された店舗網で、モノを流通させる力」と「データとIoTを駆使する力」を重視しています。同社グループは、失敗を財産とする企業文化のもと、従業員一人ひとりが挑戦できる働きがいのある環境づくりを進めています。母体であるトライアルカンパニーの社名には、「挑戦し続ける仲間たち」という意味が込められています。多様な人材が活躍できるよう、ダイバーシティー&インクルージョンプロジェクトを立ち上げ、サポート体制を整備・推進しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、持続的・中長期的な企業価値向上の源泉を「人材」と位置づけています。多様な人材が活躍でき、働きがいがあり、安心して働ける職場環境や教育制度の整備、次世代経営者の育成を経営戦略上の重要課題としています。また、流通小売業界の『ムダ・ムラ・ムリ』削減に向け、他社との連携強化も重要課題です。福岡県宮若市に流通DX開発拠点を構築し、メーカーや卸、他社小売、IT企業などが一体となって流通DXの人材育成に取り組んでいます。テクノロジーやデータの利活用を通じて、業界全体の流通エコシステムを構築し、効率化を実現していくことを目指しています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
トライアルホールディングスは、流通小売業界の課題解決を通じて社会の豊かさを追求することをパーパスとしています。同社グループは、持続的な成長と企業価値向上を目指し、コンプライアンスの徹底、経営の透明性確保、迅速な意思決定を重視したガバナンス体制を構築しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
トライアルホールディングスの株主構成を見ると、筆頭株主は株式会社ティー・エイチ・シーです。第2位には株式会社Heroic investmentが名を連ねており、これら上位の株主は代表取締役社長の永田洋幸氏およびその親族の資産管理会社です。創業家が関連会社を通じて上位に位置し、同社グループの経営に強い影響力を持つ資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| ティー・エイチ・シー | 53.97% |
| Heroic investment | 7.67% |
| 永田 久男 | 1.77% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 1.51% |
| MORGAN STANLEY & CO. LLC | 1.28% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は7名(男性7名・女性0名)で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は永田洋幸氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 永田 洋幸 | 代表取締役 社長 | 2009年8月、トライアルカンパニー入社。2018年11月、Retail AI代表取締役CEO就任。2020年9月、同社取締役就任。2025年4月、同社代表取締役社長就任より現職。 |
| 石橋 亮太 | 取締役 | 1999年1月、ティーアールイー入社。2018年6月、トライアルカンパニー代表取締役社長就任。同社取締役就任より現職。 |
社外取締役は、立本博文氏(筑波大学ビジネスサイエンス系教授)、張相秀氏(亜細亜大学都市創造学部専任教授)です。
同社は監査役会設置会社であり、取締役会と監査役会を設置しています。社外取締役2名と社外監査役2名を選任することで、経営の客観性と中立性を確保し、監督機能の強化を図っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
トライアルホールディングスでは、役員報酬について、持続的な成長と企業価値向上への貢献を促すことを目的としています。社外取締役と監査役を除く取締役の報酬は、固定報酬である基本報酬、短期インセンティブとしての業績連動報酬、そして中長期インセンティブとしての株式報酬で構成されています。社外取締役および監査役の報酬は、原則として基本報酬のみです。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 4名 | 1.3億円 | 32.2百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 13百万円 | 13.0百万円 |
| 社外役員 | 4名 | 24百万円 | 6.0百万円 |
なお、株式報酬は、業績条件型譲渡制限付株式報酬として当事業年度に費用計上した金額を記載しています。
個人別報酬が開示されている役員は存在しません。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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