※本記事は、株式会社クラダシ の有価証券報告書(第11期、自 2024年7月1日 至 2025年6月30日、2025年9月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. クラダシってどんな会社?
フードロス削減を掲げ、廃棄予定の食品などを消費者へ手頃な価格で販売する「Kuradashi」を運営する企業です。
■(1) 会社概要
2014年にグラウクスとして設立され、2015年にソーシャルグッドマーケット「Kuradashi」のサービスを開始しました。2019年に現在の社名へ変更し、2023年に東京証券取引所グロース市場へ上場を果たしています。2024年には株式会社クロスエッジ、2025年には株式会社L'ATELIER de SHIORIを完全子会社化するなど、M&Aによる事業拡大を進めています。
同グループの従業員数は連結で39名、単体で39名です。筆頭株主は創業者の関藤竜也氏の資産管理会社である株式会社Social Goodで、第2位は代表取締役社長CEOの河村晃平氏の資産管理会社であるACTWELL合同会社です。経営陣が主要株主として名を連ねています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| Social Good | 46.19% |
| ACTWELL | 4.68% |
| 新生ベンチャーパートナーズ2号投資事業有限責任組合 | 3.47% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性5名、女性2名(社外監査役含む)の計7名で構成され、女性役員比率は28.6%です。代表取締役社長CEOは河村晃平氏が務めています。社外取締役比率は25.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 河村 晃平 | 代表取締役社長CEO | 豊田通商、Loco Partnersを経て2019年同社取締役。2024年より現職。 |
| 関藤 竜也 | 代表取締役会長 | 住金物産(現日鉄物産)、デジット等を経て2014年グラウクス(現同社)設立、社長就任。2024年より現職。 |
| 髙杉 慧 | 取締役CFO | 公認会計士。新日本有限責任監査法人、GCA(現フーリハン・ローキー)を経て2020年同社取締役。2024年より現職。 |
社外取締役は、柏木彩(元Island and Office代表取締役)です。
2. 事業内容
同社グループは、「食品プラットフォーム運営事業」を展開しています。
**食品プラットフォーム運営事業**
同事業では、規格外や賞味期限切迫などの理由で廃棄される可能性のある商品をサプライヤーから買い取り、ソーシャルグッドマーケット「Kuradashi」を通じて会員へ販売しています。また、オフライン店舗「Kuradashi Hub」の運営や、パートナー企業のブランディング支援を行う「Kuradashi Stores」なども展開しています。
収益は主に会員への商品販売による代金です。また、企業へのブランディング支援等によるサービス収入も得ています。運営は主にクラダシが行っていますが、M&Aにより株式会社クロスエッジが冷凍宅配弁当サービス、株式会社L'ATELIER de SHIORIがオンライン料理教室運営を担う体制となっています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
同社は第11期より連結財務諸表を作成しているため、過去の連結数値との比較はありません。当期の売上高は約31億円となりましたが、積極的な投資や事業拡大に伴うコスト等の影響により、経常損失、当期純損失を計上しています。
| 項目 | 2025年6月期 |
|---|---|
| 売上高 | 31億円 |
| 経常利益 | -0.7億円 |
| 利益率(%) | -2.3% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 0.3億円 |
■(2) 損益計算書
当期の損益構成を見ると、売上総利益率は約45.8%を確保しています。一方で、販売費及び一般管理費の負担が重く、営業段階では損失となっています。
| 項目 | 2025年6月期 |
|---|---|
| 売上高 | 31億円 |
| 売上総利益 | 14億円 |
| 売上総利益率(%) | 45.8% |
| 営業利益 | -0.6億円 |
| 営業利益率(%) | -2.1% |
販売費及び一般管理費のうち、荷造運賃が約5億円(構成比32%)、給料手当が約2億円(同16%)を占めています。売上原価は商品の仕入が中心です。
■(3) セグメント収益
同社グループは食品プラットフォーム運営事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの詳細な増減分析はありませんが、連結全体の売上高は約31億円、セグメント利益(営業利益に相当)はマイナス0.6億円となっています。
| 区分 | 売上(2025年6月期) | 利益(2025年6月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|
| 食品プラットフォーム運営事業 | 31億円 | -0.6億円 | -2.1% |
| 連結(合計) | 31億円 | -0.6億円 | -2.1% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社は営業CFがプラス、投資CFがマイナス、財務CFがプラスであることから、本業で現金を稼ぎつつ、借入等による資金調達も行いながら積極的な投資を実施している「積極型」といえます。
| 項目 | 2025年6月期 |
|---|---|
| 営業CF | 0.5億円 |
| 投資CF | -13億円 |
| 財務CF | 13億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は-3.0%で市場平均を下回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は33.1%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「ソーシャルグッドカンパニーでありつづける」をミッションに掲げ、社会性・環境性・経済性を同時にかなえるビジネスを目指しています。ビジョンには「日本で最もフードロスを削減する会社」を掲げ、独自の商慣習などにより発生するフードロス問題に対し、1.5次流通という新たな市場を創出することで解決に取り組んでいます。
■(2) 企業文化
同社はブランドパーパスとして「楽しいお買い物で、みんなトクするソーシャルグッドマーケットを創る」を定めています。義務感ではなく「楽しいから」という理由で利用される場所を目指し、「トクする」には「得」と「徳」の2つの意味を込め、ステークホルダー全員にとって価値あるサイクルの構築を重視する文化を持っています。
■(3) 経営計画・目標
同社は「フードロス削減のインフラに」をテーマとした中期経営計画を策定しています。2027年6月期の数値目標として以下を掲げています。
* 売上高:100億円
* EBITDA:5億円
■(4) 成長戦略と重点施策
中期経営計画の達成に向け、EC事業の拡大、サプライチェーンにおける機能拡張、新規事業による非連続な成長を戦略の柱としています。
* 日本郵便との資本業務提携により、販売チャネルの拡大や物流・ロジスティクス分野での協業を推進します。
* M&Aを活用し、冷凍宅配弁当事業やオンライン料理教室事業などの周辺領域へ展開しています。
* 再生可能エネルギー事業への参入を決定し、系統用蓄電池の自社保有を通じて新たな価値創出を目指します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は従業員をソーシャルグッドな事業を創る原動力と捉え、人材育成、DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)の促進、Well-beingの実現に注力しています。独自のバリューに基づいた採用・評価を行い、オンボーディング研修や定期的な1on1を通じて、多様な人材が活躍し成長できる環境づくりを推進しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均とほぼ同じ水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年6月期 | 34.2歳 | 2.9年 | 6,166,000円 |
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 0.0% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
| 男女賃金差異(全) | -% |
| 男女賃金差異(正規) | -% |
| 男女賃金差異(非正規) | -% |
※男女賃金差異について、同社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) フードロス市場の拡大
同社はフードロスを削減する1.5次流通の創出に取り組んでおり、市場の拡大を前提としていますが、予測通りにフードロス市場が拡大しなかった場合、売上高の減少等により、同社グループの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 競合他社の動向
現在明確に競合する企業はないと認識していますが、今後高い資本力や知名度を持つ企業が参入し競争が激化した場合には、会員の流出や集客コストの増加が生じ、財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 特定事業への依存
同社グループは食品プラットフォーム運営事業の単一セグメントであり、経営資源を集中させています。事業環境の変化等により当該事業が縮小し、適切な対応ができなかった場合、財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。



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