#グリーンモンスター転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態
※本記事は、グリーンモンスター株式会社 の有価証券報告書(第12期、自 2024年7月1日 至 2025年6月30日、2025年9月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. グリーンモンスターってどんな会社?
FXや株式投資をゲーム感覚で学べるスマートフォン向け体験型投資学習アプリの開発・運営を主力とする企業です。
■(1) 会社概要
2013年7月に設立され、2018年1月にFXデモトレードアプリ「FXなび」、2019年9月に株式投資デモトレードアプリ「株たす」を相次いでリリースしました。その後も2020年5月に資産運用シミュレーションアプリ「トウシカ」を提供するなどラインナップを拡充し、2024年3月に東京証券取引所グロース市場へ上場を果たしました。
連結従業員数は43名(単体35名)の組織体制です。筆頭株主は創業者の小川亮氏で、第2位は取締役の豊田亜理沙氏、第3位はベンチャーキャピタルのWMグロース4号投資事業有限責任組合となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 小川 亮 | 36.70% |
| 豊田 亜理沙 | 9.70% |
| WMグロース4号投資事業有限責任組合 | 9.57% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性6名、女性1名の計7名で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役には小川亮氏が就任しており、社外取締役比率は25.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 小川 亮 | 代表取締役 | 2005年11月インデックス(現イグジット)入社。2014年3月同社入社、代表取締役に就任し現職。 |
| 開原 信一 | 取締役CFO | 2007年12月有限責任あずさ監査法人入所。ポケラボ、ウェルスナビを経て、2020年7月同社入社、経営企画室長。同年9月より現職。 |
| 藤沢 亜理沙 | 取締役 | 2008年4月リクルート入社。比較.com(現手間いらず)、インデックス(現イグジット)を経て、2013年7月同社入社。2014年3月より現職。 |
社外取締役は、中島真志(麗澤大学教授・元日本銀行)です。
2. 事業内容
同社グループは、「投資学習支援事業」および「その他」事業を展開しています。
■(1) 体験型投資学習事業
FXや株式投資、資産形成について、座学ではなくゲーム感覚のデモトレードやシミュレーションを通して学べるスマートフォン向けアプリを開発・運営しています。主要アプリには「FXなび」「トウシカ」「株たす」があり、投資未経験者の「投資家デビュー」を後押ししています。
ユーザーには無料でアプリを提供し、アプリを介して証券会社やFX会社の口座開設が行われた場合に、アフィリエイト・サービス・プロバイダー(ASP)を通じて成功報酬を得るビジネスモデルです。運営は主にグリーンモンスターが行っています。
■(2) 資産形成支援事業
個人向けに実践的な投資スキルを提供する投資スクールや、法人・個人向けのファイナンシャルプランニングサービスを展開しています。投資スクールではオンライン講座やセミナーを提供し、FPサービスでは金融教育やライフプランニングの提案を行っています。
投資スクールの運営は子会社のファイナンシャルインテリジェンスが、FPサービスは子会社のFPコンサルティングが担当しています。収益は主に受講料や役務提供に対する対価、および保険代理店等からの紹介手数料によって構成されています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は着実な増加傾向にありますが、利益面では変動が見られます。直近の決算では増収となったものの、利益率は低下し、減益となりました。これは事業拡大に向けた先行投資などが影響していると考えられます。
| 項目 | 2021年6月期 | 2022年6月期 | 2023年6月期 | 2024年6月期 | 2025年6月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 15.5億円 | 14.0億円 | 17.1億円 | 19.6億円 | 20.1億円 |
| 経常利益 | 3.3億円 | 0.5億円 | 1.7億円 | 2.3億円 | 1.3億円 |
| 利益率(%) | 21.3% | 3.7% | 9.9% | 11.8% | 6.3% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 2.2億円 | 0.4億円 | 1.3億円 | 1.5億円 | 0.4億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は増加しましたが、売上原価および販売費及び一般管理費の増加により、営業利益は減少しました。特に販管費の増加が利益を圧迫し、営業利益率は低下しています。
| 項目 | 2024年6月期 | 2025年6月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 19.6億円 | 20.1億円 |
| 売上総利益 | 6.2億円 | 7.1億円 |
| 売上総利益率(%) | 31.8% | 35.4% |
| 営業利益 | 2.3億円 | 1.2億円 |
| 営業利益率(%) | 11.8% | 6.2% |
販売費及び一般管理費のうち、支払手数料が1.1億円(構成比19%)、役員報酬が1.1億円(同19%)を占めています。
■(3) セグメント収益
全セグメントに占める投資学習支援事業の割合が高いため、詳細なセグメント情報は開示されていませんが、主力事業である投資学習支援事業の売上高は堅調に推移しています。
| 区分 | 売上(2024年6月期) | 売上(2025年6月期) |
|---|---|---|
| 投資学習支援事業 | 20.1億円 | 20.1億円 |
| 連結(合計) | 19.6億円 | 20.1億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
グリーンモンスターは、投資学習支援事業において、主力アプリの機能改善や新NISA制度に対応した新機能追加、マーケティング強化により、アプリのインストール数及び口座開設数を堅調に推移させました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益の計上と法人税等の支払いが主な要因となり、使用超過となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産や無形固定資産の取得、子会社取得及び事業譲受による支出が主な要因となり、使用超過となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払いと自己株式の取得による支出が主な要因となり、使用超過となりました。
| 項目 | 2024年6月期 | 2025年6月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 1.7億円 | -0.1億円 |
| 投資CF | -0.7億円 | -2.2億円 |
| 財務CF | 6.6億円 | -0.8億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「おかねに対する意識と行動を変える。」をミッションとして掲げています。投資や資産形成を通じて、人々が消費者から支援者へと社会との関わり方を変えていくことを後押しするプロダクトの開発に取り組んでおり、このミッションの達成を経営の基本方針としています。
■(2) 企業文化
同社は、ミッションの実現に向けて、投資や資産形成を通して人々の社会との関わり方を変えていくことを重視しています。座学ではなく体験型の学習を提供することで、投資未経験者が「投資家デビュー」を果たし、その後の継続的な資産運用まで支援することを組織としての行動指針としています。
■(3) 経営計画・目標
同社は、2028年6月期において売上高、営業利益共に過去最高値の更新を目指すとともに、2031年6月期に向けた中長期的な数値目標を掲げています。また、全社一丸となり時価総額100億円の早期実現を目指しています。
* EBITDA:15億円
* 資産形成支援事業の売上高比率:約40%
* M&A件数:累計5社
■(4) 成長戦略と重点施策
体験型投資学習事業においては、FXジャンルへの依存からの脱却を図るべく、新たなプロダクトの開発とパイプラインの拡充を進めるとともに、既存の「FXなび」の収益性強化を図ります。また、資産形成支援事業を新たな成長エンジンと位置付け、戦略的な投資を積極的に行う方針です。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
事業の継続的な成長に向けて、サービスを企画・設計するプランナー人材や事業開発人材を中心に優秀な人材を採用し、強固な組織体制を整備する方針です。積極的な採用と教育を推進すると同時に、従業員が中長期にわたり活躍できる環境整備や企業カルチャーの醸成、人事制度の構築を進め、組織力の強化に取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年6月期 | 34.0歳 | 2.7年 | 5,615,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 特定のアプリへの依存について
同社グループの売上高において、「FXなび」にかかる売上の割合が高くなっています。広告主のプロモーション縮小や、為替市場の変動によるユーザーの口座開設意向の低下、競合の出現などにより当該アプリの収益性が低下した場合、グループ全体の経営成績に影響を与える可能性があります。
■(2) プラットフォームの動向について
同社のアプリはAppleやGoogleのプラットフォーム上で提供されており、OSの仕様変更やプライバシー規制(IDFA取得制限等)の影響を受けます。プラットフォーム事業者の方針変更により、ターゲティング精度の低下や広告効果の悪化などが生じた場合、ユーザー獲得効率が低下し、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
■(3) アフィリエイト・サービス・プロバイダー(ASP)との関係
同社アプリの広告掲載は主にASPを経由しており、特定のASP数社との取引割合が高くなっています。広告主やASPの方針変更、関係性の悪化等により取引に支障が生じた場合、売上が減少する可能性があります。ただし、代替となるASPの開拓は困難ではないと考えています。



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